重要判例【横浜地判平成26年10月16日】自賠責14級9号該当も後遺障害残存を否定、会社代表者の休業損害
1 後遺障害の有無について
原告(男・32歳・不動産業代表取締役)は、平成23年9月10日本件事故後、自身のブログに本件事故による傷害について、「幸い、まだ分かりませんが、今の所、特に大きなケガは無いので仕事ができるの良かったです。」などとする書込みをした。
原告は、同月23日、バドミントンの練習に参加した。
原告は、同年11月19日頃、a市のバドミントン大会で3試合に出場し、準々決勝まで勝ち残った。
原告は、同年12月16日、ボランティアの草刈りに参加した。
原告は、平成24年1月15日、帰宅の際、1時間10分かけてジョギングをした。(以下略)
かかる活動状況及び治療内容に加え、原告の症状が他覚的な所見のない神経症状であることからすれば、原告の傷害は、急性期を経た後は順調に回復し、本件事故から3ヶ月が経過した平成23年12月31日には症状が固定したものと認めるのが相当である。
また、上記症状固定後の原告の活動状況に鑑みれば、原告が本件事故により後遺障害を負って労働能力を喪失したとは認め難い。
原告が自賠責損害調査事務所による等級認定手続において、頸肩痛、右上肢しびれ、耳鳴り等の症状について14級9号に該当すると判断されたことは前記前提事実のとおりであるが、かかる原告の活動状況が検討されたことはうかがわれないから、当該認定結果は採用できない。
したがって、原告の症状は平成23年12月31日には固定したものと認められ、原告が本件事故により後遺障害を負って労働能力を喪失したとは認められない。
2 休業損害について
原告は、B会社の代表取締役であったものの、創業間もない同社から役員報酬を得ておらず、同社からの月々10万円の貸金の回収と配偶者の収入により生活していたことが認められる。
そうすると、原告に本件事故による休業期間中に収入の減少があったとはいえない。
原告は、賃金センサスの平均賃金を休業損害の算定のための基礎収入とすべき旨主張するが、原告が本件事故後もB会社の代表取締役として営業活動に従事していたことからすると、原告が他の職に就いて就労する蓋然性があったとは認め難く、原告の上記主張は採用できない。
したがって、原告が休業損害を被ったとは認められない。