重要判例【松山地今治支判平成27年3月10日】弟と同居、家事従事82歳女子の家事労働逸失利益を賃金センサス女子70歳以上の70%を基礎収入、生活費控除率を40%認定
1 家事労働逸失利益について
被害者は、本件事故当時、原告(弟)と同居し、炊事、洗濯、掃除、病院への付添等の家事を行っていたことが認められ、当該家事労働は、平成24年における70歳以上女子の学歴計平均賃金295万6000円の70%に相当する206万9200円であると評価するのが相当である。
そして、被害者の労働能力喪失期間が5年間であり、対応するライプニッツ係数が4.3295であることは当事者間に争いがなく、前記各証拠及び弁論の全趣旨から認められる生活の実情に照らすと、生活費控除率は40%と認めるのが相当である。
2 年金逸失利益について
被害者が、本件事故当時、年金を受給しており、平成24年分の年金額が152万1662円であること、及び平成24年の82歳女性平均余命が10.03年であることは当事者間に争いがなく、同平均余命に対応するライプニッツ係数は、7.7217と認めるのが相当である。
そして、被害者の生前の生活状況を併せ考慮しても、被害者の生活費控除率は60%と認めるのが相当である。
3 固有慰謝料について
原告と被害者との関係を考慮すると、被害者の弟であり、被害者と20年以上にわたって同居してきた原告については、民法711条を類推適用して固有の慰謝料を認めるのが相当であり、本件に顕れた一切の事情を考慮し、その額は100万円をもって相当と認める。