重要判例【東京地判平成26年12月11日】急な無謀運転の加害車同乗者の賠償責任、中間利息の控除率
1 加害車同乗者の賠償責任について
本件事故前、被告Aは、ふざけた運転をしていたものの、本件交差点手前に差し掛かるまでは、被告車の運転制御を失いかねない程の危険な運転方法ではなかったが、本件交差点手前において加速し、右に急に転把したために、本件事故が起きたものであって、同乗していた被告B及び被告Cにおいて、被告Aが同乗者の身体生命にも危険を及ぼす本件のような無謀運転をするおそれがあることを予見しえたとまではいい難い。
これらに加え、被告B及び被告Cが、被告Aの運転行為を監督、指導すべき地位になく、過去に被告Aが実際に重大な事故を引き起こしそうになった局面に遭遇したような事情も認められないこと、被告B又はCが、被告Aに対し、ことさらに危険行為をそそのかし、又はこれを煽るような行動をしたとは認められないことを総合的に考慮すれば、本件事故に際し、被告B及びCにおいて、被告Aが本件事故の原因となった過失行為をしないように、被告Aの運転行為を制止すべき法的義務があったとは認められない。
以上によれば、被告B及び被告Cは、本件事故につき、原告らに対し、損害賠償責任を負わない。
2 中間利息の控除率について
原告らは、中間利息の控除は3%の割合によるべきであると主張する。
しかし、損害賠償額の算定に当たり被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するについては法的安定及び統一的処理が必要とされるから、民法は、民事法定利率により中間利息を控除することを予定しているものと考えられること、このように考えることによって、事案ごとに、また、裁判官ごとに中間利息の控除割合についての判断が区々に分かれることを防ぎ、被害者相互間の公平の確保、損害額の予測可能性による紛争の予防も図ることができることに照らし、被害者の逸失利益を現在価額に換算するために控除すべき中間利息の割合は、民事法定利率によらねばならないというべきである(最判平成17年6月14日)。
このような観点からすれば、中間利息控除率は現行民法所定の利率によるべきであり、原告らの上記主張は採用できない。