重要判例【大阪地判平成27年1月16日】年金逸失利益、ペットホテル代は損害といえるか
1 年金逸失利益について
亡Xは、本件事故当時63歳であり、約5ヶ月後である平成24年10月10日には、厚生年金受給権が発生し得た。
ただし、同人が年金受給権を得るためには、62ヶ月分の国民年金保険料を追納する必要があった。
以上によれば、亡Xは、本件事故当時年金受給年齢に達していなかったばかりでなく、年金保険料を追納しなければ同受給年齢に達したとしても年金を受給できない状態にあった。
このような場合には、仮に追納資力があったとしても、追納して年金を受給することが確実であるとはいえない。
したがって、同年金については発生の蓋然性がなく、損害とは認められない。
2 ペットホテル代について
原告Aの飼う犬が平成24年5月4日(本件事故日の翌日)から同月7日又は8日までペットホテルに預けられ、そのための費用として1万8900円が支出された事実が認められる。
原告らが同ペットホテルを利用したのは、亡Xの葬儀等に対応するためであると推認でき、その期間としても4ないし5日間は相当といえることからすれば、上記金額は本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。