重要判例【大阪地判平成27年1月13日】18歳女子短大生の死亡逸失利益を賃金センサス男女総平均を基礎収入として算定し、生活費控除率45%で認定
1 基礎収入について
Xは死亡当時18歳の女子であり、現在の社会情勢や、Xの将来に向けて非常に大きな可能性を有していたことを勘案し、短大卒業後の基礎収入としては平成24年賃金センサス・男女計・全年齢・全学歴計平均賃金である472万6500円を採用するのが相当である。
なお、短大卒業までの2年間については、アルバイト収入として年間62万6109円を得る蓋然性があったものと認める。
2 生活費控除率について
一般的に女子の生活費控除について30%ないし40%という数字が採用される趣旨は、基礎収入として低額な女子平均賃金を採用することとの関係で、最終的な結論の妥当性を確保することにあり、基礎収入がより高額になる場合には、その趣旨は当てはまらない。
実際問題としても、女子平均賃金よりも高額な基礎収入を設定する場合に、被害者が女子であるからといって一律に上記割合を採用すると、男子平均賃金を基礎として、一般的な50%の生活費控除率を設定した場合の逸失利益額を遙かに超える金額が算出されることとなり、その不均衡を合理的に説明することは到底困難である。
このような事情を考慮し、短大卒業後の生活費控除率については、45%を相当する。
なお、アルバイトの2年間については、平均賃金や性別との関係を考慮する必要はないところ、Xがアルバイト収入で家族等を扶養していたわけではないこと等に照らし、生活費控除率は50%を相当とする。