重要判例【名古屋地判平成26年11月7日】深夜の幅5.3㍍道路で左側歩行の飲酒原告の大きなふらつき接触と過失割合、傷害慰謝料
1 過失割合について
本件事故は歩行者と対向進行してきた事故であり、被告は原告と安全な間隔を保ち、徐行して通過しようとしたところ、原告が予想に反して大きくふらつき被告車両に近づいてきたため生じたものである。
被告は、原告がふらついて歩いているのを認識していたのであるから、さらに減速あるいは停止するなどして歩行者の保護を尽くすべきところ、これを怠ったとの過失があることを否定することはできない。
他方、原告にも大きくふらついて被告車両に近づいた過失が認められる。
したがって、過失割合は原告5%、被告95%と認めるのが相当である。
2 傷害慰謝料について
原告の受傷内容、通院期間、通院実日数、また、被告が原告の安否を確認することなく本件事故現場から立ち去ったことなどの諸事情を考慮すると、本件事故と相当因果関係にある傷害慰謝料は、120万円を相当と認める。
なお、原告は、上記諸事情のほか、警察官への報告義務を怠ったこと、被告車両に同乗していた女性が、原告がわざとぶつかったと暴言を吐いたこと、被告が、原告のしていることは恐喝だと原告を中傷したことが考慮されるべきである旨主張し、原告はこれに沿う供述をする。
しかし、被告は、間もなく本件事故現場に戻り、原告と話し合い、警察を呼び、病院まで原告を送っていること、数日後に示談するかどうかについて話合いをしていること、原告が高額の示談金を求めたことから話合いが上手く行かず、その後、被告は弁護士や保険会社の担当者に対応を依頼したことが認められ、これに反する原告の供述等は不自然、不合理であって採用できない。
そうすると、上記のほかに傷害慰謝料算定に際し顧慮するに値する事情は存在しないというべきである。