重要判例【東京地判平成25年11月13日】労働能力喪失率、後遺障害慰謝料(嗅覚障害(12級相当)、歯牙障害(13級5号)、顔面部醜状障害(14級10号)(併合11級))

1 労働能力喪失率について

原告(男・症状固定時29歳焼き鳥店勤務)は、本件事故により嗅覚脱出の後遺障害が残存したものと認められるところ、原告は、和食店を自ら開店する夢を持ち、妻の理解も得て、G店の店主の了解を得た上、それを前提として同店で勤務をしていたものと認められる。

そうすると、原告は、同店での勤務や、将来の和食の飲食店の開店に不可欠ともいえる嗅覚脱出に陥ったということができ、これにより同店での勤務や将来の和食の飲食店開店を断念せざるを得なかったものということができる

そうすると、原告においては、同後遺障害により労働能力を一部喪失したものと評価すべきであり、その喪失率は14%に及ぶものとするのが相当である。

もっとも、原告の歯牙破折及び顔面部の醜状障害については、原告が現在3トン貨物トラックで酒箱を配送する業務に従事している等という原告の主張を前提としても、咬合い時に痛み等が認められない状況にあるとみとめられるから、これにより将来にわたる労働能力を喪失したと認めることまではできない。

2 後遺障害慰謝料について

原告の各後遺障害の内容に加え、原告が将来の夢であった和食の飲食店の開店を断念せざるを得ず、また、調理人として生きていくこともできなくなったことをも考慮すると、原告が本件事故により各後遺障害を負ったことに対する慰謝料は、これを500万円とするのが相当である。