ECサイト運営における法令遵守の重要性と顧問弁護士の役割
近年、物販系分野をはじめとするEC市場の規模は拡大し続けており、その規模は今後ますます大きくなることが予想されます。
すでにECサイトを運営されている事業者様において、ECサイト運営におけるコンプライアンスの重要性は多言を要しないと思います。
実際、ECサイト運営に関する法令違反が報じられる例は枚挙に暇がありません。
では、なぜ、これほどまでにECサイトに関連する法令違反が多発しているのでしょうか。
いくつかの理由が考えられますが、その1つとして、事業者が遵守すべき法令の数及び複雑さが挙げられます。
例えば、景品表示法、個人情報保護法、特定商取引法、消費者契約法、電子契約法、特定電子メール法、資金決済法、薬機法、健康増進法、製造物責任法、著作権法、商標法・・・等。
これだけでもかなりの数の法令になりますが、加えて、これらの法令が規定する個々のルールの複雑さ、法改正に伴う度重なるルール変更が、常にECサイト運営事業者を悩ませています。
法務部員や企業内弁護士を複数名雇用している一部の大企業であればともかく、中小企業やスタートアップ企業において、これらの法令を隅から隅までフォローすることは事実上不可能ですし、仮にできるとしても極めて効率が悪い(もっと他にやるべきことがある)ことは明らかです。
ただでさえマンパワーが足りない現状においては、専門家に外注(アウトソーシング)できる分野はすべて外注(アウトソーシング)するというのが今の時代にマッチした仕事術です。
また、コスト面から見ても、内製化を図るよりはるかにリーズナブルですし(賞与も有給休暇も社保負担もありません(笑))、契約解除の容易さ(従業員を解雇する大変さは皆様ご存じのとおりです。)等を考えますと、この分野は外注(アウトソーシング)するのがベターであると思います(私ならそうします。)。
自社のECサイトを運営する上での法令遵守については、顧問弁護士に相談できる体制、リーガルチェックを依頼できる体制を整えることが、最も効率的かつ確実な方法です。
「一度、話を聞いてみたい」と思っていただけましたら、弁護士法人栗田勇法律事務所にご連絡をください。栗田自ら顧問契約の内容をご説明いたします。ご連絡をお待ちしております!
措置命令事案から読み解く!絶対に押さえておくべき景表法の核心
第1 優良誤認表示の典型例
●牛肉販売広告において、実際には、国産有名ブランド牛ではない国産牛肉であるにもかかわらず、あたかも「国産有名ブランド牛の肉」であるかのように表示。
●中古自動車販売広告において、実際には、10万km走行した中古車であるにもかかわらず、あたかも「走行距離3万km」であるかのように表示。
●予備校の合格実績広告において、実際には、他校と異なる方法で数値化し、適正な比較をしていないにもかかわらず、あたかも「大学合格実績No.1」であるかのように表示。
●ダイエット食品広告において、あたかも食事制限をすることなく痩せられるかのように表示していたが、実際には、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料はなかった(不実証広告規制)。
●ウイルス除去商品広告において、あたかも商品を使用するだけで、商品に含まれる化学物質の効果により、身の回りのウィルスを除去するなど、周辺の空間を除菌等するかのように表示をしていたが、実際には、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料はなかった(不実証広告規制)。
第2 有利誤認表示の典型例
●携帯電話販売広告において、実際には、自社に不利となる他社の割引サービスを除外した料金比較であるにもかかわらず、あたかも「自社が最も安い」かのように表示。
●家電量販店の店頭価格について、競合店の平均価格から値引きすると表示しながら、その平均価格を実際の平均価格よりも高い価格に設定し、そこから値引きしていた。
●太陽光発電システム販売広告において、実際には、電力会社による電力の買取価格は、電力会社に余剰電力の買取の申込みを行う時期によって異なり、また、発電電力量も、季節や天候等の条件によって変動するにもかかわらず、あたかも「月々○○円」の売却益を毎月安定的に得られるかのように表示。
●歯科クリニックの広告において、実際には、別途、矯正装置の費用が必要であるにもかかわらず、あたかも、初診料や検査診断料などとして記載された「○○円」だけを支払えば歯列矯正のサービスを利用できるかのように表示。
●スキューバダイビングの広告において、実際には、1万円の教育コース料金のほか、約2万円のダイビング器材のレンタル料金、約16万円のドライスーツを購入する必要であるにもかかわらず、「今ならライセンスが1万円(税込)ポッキリで取得できる!!」その下に、「※別途、機材のレンタル代金はかかります。」と小さく記載。
第3 打消し表示
1 基本的な考え方
一般消費者に対して、商品・サービスの内容や取引条件について訴求するいわゆる強調表示は、それが事実に反するものでない限り何ら問題となるものではありません。
ただし、強調表示は、対象商品・サービスの全てについて、無条件、無制約に当てはまるものと一般消費者に受け止められるため、仮に例外などがあるときは、その旨の表示(いわゆる打消し表示)を分かりやすく適切に行わなければ、その強調表示は、一般消費者に誤認され、景品表示法上問題となるおそれがあります。
強調表示と打消し表示との関係は、強調表示の訴求している内容が商品・サービスの実際を反映していることが原則であり、打消し表示は、強調表示だけでは一般消費者が認識できない例外条件、制約条件等がある場合に例外的に使用されるべきものです。
したがって、強調表示と打消し表示とが矛盾するような場合は、一般消費者に誤認され、景品表示法上問題となるおそれがあります。
また、例えば、打消し表示の文字が小さい場合や、打消し表示の配置場所が強調表示から離れている場合、打消し表示が表示されている時間が短い場合等、打消し表示の表示方法に問題がある場合、一般消費者は打消し表示に気付くことができないか、打消し表示を読み終えることができません。また、打消し表示の表示内容に問題がある場合、一般消費者は打消し表示を読んでもその内容を理解できません。
このように、打消し表示の内容を一般消費者が正しく認識できないことにより、商品・サービスの内容や取引条件について実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される場合、景品表示法上問題となるおそれがあります。
なお、ここでいう「著しく」とは、当該表示の誇張の程度が、社会一般に許容される程度を超えて、一般消費者による商品・サービスの選択に影響を与える場合を指します。
2 打消し表示の表示方法について
(1)基本的な考え方
打消し表示の内容を一般消費者が正しく認識できるように適切な表示方法で表示されているか否かについては、打消し表示の文字の大きさ、配置箇所、色等から総合的に判断されるところ、この判断に当たっては、全ての媒体に共通する要素とともに、各媒体で特徴的な要素についても留意する必要があります。
打消し表示の内容を一般消費者が正しく認識できるような適切な表示方法で表示されているか否かは以下の要素等から総合的に判断されます。
●打消し表示の文字の大きさ
●強調表示の文字と打消し表示の文字の大きさのバランス
●打消し表示の配置箇所
●打消し表示と背景の区別
●【動画広告】打消し表示が含まれる画面の表示時間
●【動画広告】音声等による表示の方法
●【動画広告】強調表示と打消し表示が別の画面に表示されているか
●【動画広告】複数の場面で内容の異なる複数の強調表示と打消し表示が登場するか
●【Web 広告(PC)】強調表示と打消し表示が1スクロール以上離れているか
●【Web 広告(スマートフォン)】アコーディオンパネルに打消し表示が表示されているか
●【Web 広告(スマートフォン)】コンバージョンボタンの配置箇所
●【Web 広告(スマートフォン)】スマートフォンにおける強調表示と打消し表示の距離
●【Web 広告(スマートフォン)】スマートフォンにおける打消し表示の文字の大きさ
●【Web 広告(スマートフォン)】スマートフォンにおける打消し表示の文字とその背景の色や模様
●【Web 広告(スマートフォン)】他の画像等に注意が引きつけられるか
(以上につき、「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(実態調査報告書のまとめ)」(消費者庁)参照)
実績