おはようございます。
今日は、水道料立替金を区分所有者が管理組合に支払う旨の本件水道規約の有効性(浜松簡判令和3年6月30日)を見ていきましょう。
【事案の概要】
本件は、原告管理組合が被告区分所有者に対して、管理規約に基づく管理費(水道料)の請求及び遅延損害金請求並びに弁護士費用請求をする事案である。
【裁判所の判断】
1 被告は、原告に対し、5万2395円+遅延損害金を支払え。
2 被告は、原告に対し、金22万円+遅延損害金を支払え。
【判例のポイント】
1 水道料金は、本来専有部分の個別に発生するものであり、専有部分と共有部分と一体となっている管理費と同じとみることはできない。
このため立替水道料について、被告の主張するように区分所有法7条及び8条の適用のあるものとは、ただちには言えない。
しかし、専有部分の水道料金を使用者が不明であっても、同専有部分の占有者又は所有者が支払うことは管理のしやすさなど一定の合理性がある。
原告が主張するように水道メーターが集中検針方式で、マンション内共用部分の設備として設置され、各専有部分にこれに対応した各戸メーターが設備されているところ、この設備を浜松市による各戸個別検針にするためのメーター更新設備が、平成27年6月23日の通常総会において、区分所有者からの合意が取れず、現在までも浜松市との個別の水道契約が行えていない現状から水道料金を管理組合による立替払い方式による徴収を行わざるを得ないという事情にある。
このような状況の中で、水道料の徴収を効率的に行って、管理組合の運営を円滑に行うことは、区分所有者全体の利害に関わるものであり、その意味で利用している当時の所有者が管理費とともに支払うという本件規定の趣旨は、その限りにおいて、同法30条1項の規約事項であると肯定できる。
被告は、平成29年2月28日から平成31年2月28日までの滞納期間以降については、規約に基づいて支払を行っているところからも、その意義を認めていると窺われる。
本件では、本件管理規約が管理組合の管理の対象の範囲を超えているかが争点となりました。
「水道料金は、本来専有部分の個別に発生するものであり、専有部分と共有部分と一体となっている管理費と同じとみることはできない。」という点は、原則的な考え方として理解しておきましょう。
マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。