義務違反者に対する措置20 区分所有者に対する妨害排除請求について弁護士費用100万円全額の請求が認められた事案(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、区分所有者に対する妨害排除請求について弁護士費用100万円全額の請求が認められた事案(東京地判令和元年7月18日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、管理組合法人である原告が区分所有者である被告に対し、本件建物の10階から被告所有物を撤去して、同部分を明け渡し、かつ、平成30年12月11日から明渡済みまで1か月1万円の割合による金員、弁護士費用100万円の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

1 被告は、原告に対し、本件建物の10階から被告所有物を撤去して、同部分を明け渡せ。

 被告は、原告に対し、100万円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 被告は、原告に対し、法57条1項に基づいて被告の所有物を撤去して本件共有部分を明け渡す義務を負い、また、管理規約67条4項に基づいて弁護士費用100万円の支払義務を負うものと認められる
この点についての被告の主張はその趣旨は判然とせず、本件において採用の余地はない。
他方、原告の不法行為に基づく請求については、本件占有行為によって原告が被る損害が1か月当たり1万円であることを認めるに足りる証拠はないことに加え、損害額算定の根拠となり得る主張もなく、損害額を算定することができない。

当事者間に請求原因事実の存在について争いがない事案のようですが、弁護士費用100万円全額について認容されています。

区分所有関連の訴訟における1つの特徴といっていいでしょう。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。