管理会社等との紛争20 管理組合に対する排水管の更新工事費用の請求が棄却された理由とは?(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、管理組合に対する排水管の更新工事費用の請求が棄却された理由とは?(東京簡判令和元年5月22日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

原告は、本件マンション207号室の階下である1階駐車場の天井に配された共用部分である排水管の更新工事を訴外会社に実施させたところ、被告が共用部分であるにもかかわらず、その代金の支払をせず、原告がこれを支払ったことにより、原告が、被告に対し、不当利得返還請求、弁護士費用及び遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件排水管は、本件居室の区分所有者である訴外Cが排他的に使用することができる構造になっており、訴外Cが専用使用権を有していることが認められる。
本件マンションの管理規約第21条2項及び第2条8号によると、本件排水管は本件居室の区分所有者が専用使用権を有するというべきである。
そうすると、この専用使用部分の通常の使用に伴う管理費用は、本件居室の区分所有者が負担すべきと解される。
したがって、原告が行ったとする本件工事費用は、本件居室の区分所有者が負担すべきであり、被告には負担義務はない。

2 原告は、本件工事について、被告の理事又は関係者の事実上の承認を得て行われたと主張するが、これを認めるに足りる証拠はなく、被告の理事会においても本件工事を承認した事実は認められない。

排水管等に関する工事費用の負担が、管理組合か各居室の区分所有者かという争いは、まさに当該区分所有者が専用使用権を有するか否かがカギとなります。

物理的状況、管理規約での規定内容等から判断することになります。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。