おはようございます。
今日は、マンション駐車場について瑕疵担保責任を理由とする損害賠償請求が除斥期間の経過を理由に棄却された事案(東京地判令和元年8月30日)を見ていきましょう。
【事案の概要】
本件は、本件マンション及びその敷地並びに付属建物の管理を目的とする団地管理組合法人である原告が、本件マンションの団地共用部分である本件駐車場に隠れた瑕疵があったことにより修補費用相当額の損害を被ったと主張して、本件マンションの共同売主の一社である被告に対し、民法570条に基づき、上記修補費用相当額の一部である1000万円+遅延損害金の支払を求める事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 瑕疵担保責任を理由とする損害賠償請求権を保存するには、その除斥期間内に、裁判上の権利行使をするまでの必要はないものの、売主の担保責任を問う意思を裁判外で明確に告げることを要するところ、原告は、本件売買契約上の約定除斥期間内(本件駐車場それ自体の引渡しを基準とすれば平成19年8月まで、本件駐車場を含む売買物件全ての引渡しを基準としても平成20年3月11日まで)に被告に売主の担保責任を問う意思を裁判外で明確に告げたことはなかった。
仮に(本件売買契約の定めにかかわらず)民法所定の除斥期間の規定(事実を知った時から1年以内。民法570条、566条3項)の適用が否定されないと解する余地があるとしても、原告は、平成22年頃に、仮にそうでないとしても、遅くとも平成26年、平成27年にはその主張に係る本件駐車場の瑕疵の存在を知り、被告に対し瑕疵担保責任を追及し得る程度に確実な事実関係を認識したのに、上記除斥期間内に被告に売主の担保責任を問う意思を裁判外で明確に告げたこともなかった。
したがって、原告主張の瑕疵担保責任を理由とする損害賠償請求権は除斥期間の経過により消滅したというべきである。
通常、本件同様、売買契約書には、瑕疵担保責任の除斥期間について、例えば、引渡しから2年間等と規定されています。
上記「除斥期間内に、裁判上の権利行使をするまでの必要はないものの、売主の担保責任を問う意思を裁判外で明確に告げることを要する」という考え方をしっかり押さえておきましょう。
マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。