おはようございます。
今日は、駐車場の管理費を定めた総会決議が原告の権利に特別な影響を及ぼすものとはいえないとされた事案(東京地判令和2年3月19日)を見ていきましょう。
【事案の概要】
本件は、本訴原告が本訴被告に対し、マンション内で専用使用している駐車場の管理費を定めた臨時総会決議について原告の権利に特別な影響を及ぼすものであるにもかかわらず、原告の承諾なくして決議したものであり区分所有法31条1項後段に反するとして臨時総会決議の無効確認を求める本訴事案と、反訴被告が反訴原告に対し、未払となっている管理費(平成26年5月分~平成31年4月分 合計678万円)と各支払期日の翌日から約定利率年14%の遅延損害金の支払を求める反訴事案である。
【裁判所の判断】
本訴原告の請求棄却
反訴被告の請求認容
【判例のポイント】
1 本件決議では、本件各室の管理費額について、住戸と駐車場の違いを考慮していない。
しかし、住戸と駐車場の違いをどの程度考慮するかは、一義的に決められるものではなく、被告において裁量的に決めることができる性質のものであり、本件決議のように専有面積や共有持分に応じて定めることも一つの方法として許されるものと考えられる。
また、本件各室は雨ざらしの駐車場ではなく、本件マンション内の半地下にあり、構造上部屋に変更することもでき、貸駐車場として収益物件として使用されていること、管理人による清掃も行われているところであり、本件各室の管理費は、住戸部分と同一に扱われるべき要素も認められる。また、本件各室の管理費は、旧各管理会社とDがなれ合ったり、本件マンションの最大の区分所有者であるDが被告において強硬策に出られないことをよいことに被告からの請求を無視し、本件マンション建築以降40年間払われてこなかったものであり、かかる不平等が長きにわたって続いてきたことを無視することもできない。
本件決議は、かかる管理費の不平等を是正し、管理費の徴収を確実にするため行ったものであり、原告に特別の影響をもたらすものとまでは認め難い。
本件は、上記のとおり、住戸と駐車場の違いを考慮せずに駐車場の管理費を住戸部分と同一に取り扱っていますが、裁判所は、駐車場の特徴や原告のこれまでの対応等を考慮して、総会決議を有効と判断しました。
マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。