ペット問題13 管理規約に飼育可能な犬種が列挙されている場合における当該犬種に該当しない犬の飼育の差止め・排除請求が認められた事案(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、管理規約に飼育可能な犬種が列挙されている場合における当該犬種に該当しない犬の飼育の差止め・排除請求が認められた事案(東京地判令和3年1月14日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、原告が、管理組合の管理規約に基づいて、本件建物の区分所有者である被告会社及び本件建物の占有者である被告Y2(以下「被告Y2」という。)に対し、被告Y2による本件建物内での別紙物件目録記載2の犬(以下「本件犬」という。)の飼育の差止め・排除を求めるとともに、上記管理規約に基づく違約金として88万円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

被告Y1株式会社は、被告Y2に物件内で目録記載の犬を飼育させてはならない。

被告Y2は、物件内で目録記載の犬を飼育してはならない。

被告らは、原告に対し、連帯して、30万円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 本件細則は、純血種の犬については飼育可能な犬種を列挙しているところ、ボーダーコリーが列挙されていないことは明らかである(なお、仮に雑種の場合の基準である体高と体重の積の値でみても、飼育可能な値ではないことは明らかである。)。
この点、被告らは、ボーダーコリーは中型犬である旨主張するが、本件細則は、一般的に「中型犬」と評価され得るかではなく、小型犬,中型犬のうち、列挙するもののみを飼育可能としているのであるから、被告らの主張は失当である。

2 被告らは、本件規約及び本件細則が無効である理由として、被告Y2が糖尿病網膜症を患っており本件犬が米国でいう情緒介助犬に当たるとして人格権に基づく保護が必要である旨主張する。しかし、被告らの主張は独自の主張であって本件規約及び本件細則を無効とすべき事情とは解されない。

3 原告は、本件規約に基づいて、被告らに対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができるところ、実際に原告が弁護士費用として支払う金額が着手金として33万円、報酬金は55万円の予定であること、本件訴訟の内容、その他諸般の事情を斟酌すると、本件規約に基づく違約金としては30万円の範囲で認めるのが相当である。

管理規約の記載内容を尊重した判断となっています。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。