おはようございます。
今日は、管理会社が中心的立場に立って管理組合名義で滞納管理費等を請求債権として民事執行手続を申し立てたことが不法行為にあたらないとされた事案(東京地判令和3年1月27日)を見ていきましょう。
【事案の概要】
本件は、マンションの区分所有者である原告が、当該マンションの管理組合から管理業務を受託していた被告に対し、原告に管理費等の滞納がなかったにもかかわらず、被告が中心的立場に立って管理組合名義で滞納管理費等を請求債権として民事執行手続を申し立てたことが不法行為に該当するとして、民事執行手続に対応するために要した費用等合計100万円+遅延損害金の支払を求める事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 原告は、本件競売事件を申し立てたことが違法であると主張するところ、本件競売事件を申し立てたのは本件管理組合であることが認められる。
この点について、原告は、本件競売事件の申立てについて被告が主体的かつ中心的な立場にあったものであるから責任があると主張する。
しかし、本件競売事件の申立ては、本件管理組合の権利を実現するため、本件管理組合の名義で申し立てられたものであるから、仮にその申立てに違法な点があったならば本件管理組合が責任を問われることはあり得るものの、本件管理組合から管理業務を受託していたにすぎない被告については、特段の事情のない限りは責任を負うことはないものというべきである。
しかし、本件証拠によってもそのような事情を認めることはできない。
よって、その余について判断するまでもなく原告の請求は理由がない。
そもそも論のところで請求根拠がないと判断されています。
しかしながら、管理会社としては、このような紛争に巻き込まれる可能性を十分に理解しておく必要があります。
マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。