おはようございます。
今日は、建物のエレベーターの損壊行為を行った区分所有者に対し、本件エレベーターやマンションのスパの使用を禁止した行為が適法とされた事案(東京地判令和4年1月27日)を見ていきましょう。
【事案の概要】
本件は、親子である原告らが、居住中の区分所有建物の管理組合である被告Y1管理組合の役員であるその余の被告らから、上記建物のエレベーターの破損に関して脅迫されるなどしたとして、被告役員らに対しては不法行為に基づき、被告管理組合に対しては民法715条に基づき、それぞれ次の各支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 原告らは、被告役員らが原告X1に対して12月16日頃に本件出来事が解決するまで本件マンションのエレベーターの使用を禁止した旨主張する。
しかし、被告管理組合は、原告X1に対し、同原告の本件エレベーター損壊行為が区分所有法6条3項及び1項違反であるとして、同法57条1項に基づき,本件出来事が解決するまで本件エレベーターの使用の停止を請求したものであり、原告X1が起こした本件出来事の内容からすれば、上記請求には根拠があるというべきであるから、これに関わった被告役員らに原告X1に対する不法行為が成立するとはいえない。
2 原告らは、被告役員らが原告X2に対して、12月16日頃、入居者が利用できる本件マンションの付属設備のスパについて、本件出来事が解決するまで利用を禁止する旨申し渡した旨主張する。
しかし、原告X2が本件マンションのスパにおいて、被告Y2に対して本件出来事につき大声で苦情を述べるなどの迷惑行為をしたことから、被告管理組合は、原告X2に対して、スパ使用細則4条1項及び2項に基づき、本件マンションのスパの使用禁止を請求したものであり、同請求には根拠があるというべきであるから、これに関わった被告役員らに原告X2に対する不法行為が成立するとはいえない。
3 原告らは、被告管理組合が、民法715条に基づき、被用者である被告役員らの原告らに対する不法行為につき使用者としての責任を負う旨主張する。
しかし、被告役員らは被告管理組合の被用者ではなく、この点を措くとしても、上記のとおり、被告役員らに原告らに対する不法行為が成立するということはできないから、原告らの上記主張は、その前提を欠き理由がない。
上記判例のポイント1、2ともに管理規約や使用細則に基づいて対応していることが重要になってきます。
また、基本的なことですが、上記判例のポイント3も押さえておきましょう。
マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。