おはようございます。
今日は、原告が費用を出して修繕工事をしたガス管は専有部分?それとも共用部分?(東京簡判平成28年11月18日)を見ていきましょう。
【事案の概要】
本件は、原告が費用を出して修繕工事をしたガス管の一部分(本件係争部分ガス管)について、原告が本件係争部分ガス管は共用部分に属するとして、その修繕費用をマンションの管理組合である被告に対し請求したところ、被告が本件係争部分ガス管は専有部分に属するとして、これを争っている事案である。
【裁判所の判断】
請求認容
【判例のポイント】
1 本件係争部分ガス管は、本件居室に関するガスメーターから出て、本件居室の壁に入っていき、本件居室で使用されるガス器具へとつながっていること及び本件居室に供給されるガスを通すのみであることは争いがないところ、この状況からすれば、本件係争部分ガス管は、構造上も利用上も、専有部分に属するものと言える。
2 ところで、管理規約の第7条は、1項及び2項で区分所有権の対象となる専有部分を定めたうえで、さらに3項において、「第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。」と定めている。
そして、本件係争部分ガス管が設置されている場所が倉庫であり、その倉庫が共用部分に属するものであることは、当事者間に争いがないから、結局、本件係争部分ガス管は、共用部分規約により、共用部分に属するものと言うのが相当である。
裁判所が管理規約の規定に基づき判断していることがよくわかります。
区分所有建物における紛争においては、安易な拡大解釈や類推適用はしません。
マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。