おはようございます。
今日は、組合財産の不適切な管理を理由とする理事の解任請求が認められた事案(東京地判平成30年2月27日)を見ていきましょう。
【事案の概要】
本件は、本件マンションの区分所有者であり本件管理組合の組合員である原告らが、本件管理組合の理事及び理事長を務める被告が、①不合理な多額の支出を継続して本件管理組合の財務状況を極めて困窮させ、②その事実を本件管理組合の組合員に隠し続けたほか、③本件管理組合の財産と私財を混同させているなどと主張して、区分所有法49条8項、25条2項に基づき、被告を本件管理組合の理事から解任することを請求する事案である。
【裁判所の判断】
請求認容
【判例のポイント】
1 本件管理組合の組合員から集めた管理費や修繕積立金等の財産を、不明朗な点や扱いに疑義が残る点を生じさせることなく、適確に管理していくことは、管理組合の理事として、最も基本的で、かつ、重要な任務であるが、被告は、本件管理組合の理事長として、その最高責任を負う立場にありながら、前記のような不適切な財産管理、会計処理を行っているのであって、これらの点のみをみても、被告には、適正に職務を遂行し得るのかにつき重大な疑いを生じさせる事情があるというほかない。
被告には、区分所有法49条8項、25条2項に定める理事の職務を行うに適しない事情があると認められ、本件管理組合の理事からの解任事由が存在するというべきである。
上記判例のポイント1は、結論部分だけですが、その前提として、複数の組合財産の不適切管理が認定されています。
事案によっては、理事(長)に対する損害賠償請求もされますので気を付けましょう。
マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。