おはようございます。
今日は、未払管理費等の一部が認容された場合における弁護士費用(成功報酬)の算定(東京地判令和3年8月25日)を見ていきましょう。
【事案の概要】
本件は、本件マンションの管理組合である原告が、本件マンションの307号室の区分所有者である被告に対し、管理費及び給湯費等の未払があるとして、その未払分及びこれに対する本件マンションの管理規約所定の年18%の割合による遅延損害金の支払を求めるほか、本件管理規約に基づき、本件に関して要した弁護士費用等37万7589円+遅延損害金の支払を求める事案である。
【裁判所の判断】
1 被告は、原告に対し、120万6094円+遅延損害金を支払え。
2 被告は、原告に対し、37万7272円+遅延損害金を支払え。
【判例のポイント】
1 原告は、内容証明郵便等による催告手続の弁護士手数料として4万4000円、本件訴訟を提起する際の着手金として11万円、本件訴訟の出廷費用として少なくとも1万1000円、及び本件訴訟の報酬を支払うべきことになったと認められる。
ところで、原告は、本件訴訟の報酬について、(滞納分に係る請求の)認容額が120万7894円であった場合を前提として、それに16%を乗じ、消費税(10%)相当額を加算した21万2589円としているが、本件における(滞納分に係る請求の)認容額は、120万6094円(計算式:92万4160円(管理費・修繕積立金関係)+7万2000円(本件駐輪契約に係る使用料関係)+20万9934円(給湯費等関係))であるので、本件訴訟の報酬額は、21万2272円(計算式:120万6094円×0.16×1.1)と認めるのが相当である。
以上によれば、原告が被告に請求できる弁護士費用等の請求額は、合計37万7272円となる。
成功報酬については、経済的利益をベースとして計算されるため、上記判例のポイント2のような判断になってしまいます。
そのため、着手金のウェイトを上げるという方法を採用する弁護士もいますので参考にしてください。
マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。