おはようございます。
今日は、未払管理費等請求における弁護士費用全額の請求が認容された事案(東京地判平成30年4月17日)を見ていきましょう。
【事案の概要】
本件は、マンションの管理組合である原告が、マンションの区分所有者の共同相続人である被告らに対し、管理規約に基づき、被相続人の死亡後に発生した平成24年2月分から平成29年5月分までの管理費、修繕維持積立金及びコミュニティ費用、平成24年2月分から平成26年10月分までの駐輪場使用料、弁護士費用等並びにそれらの遅延損害金の支払を求める事案である。
【裁判所の判断】
全部認容
【判例のポイント】
1 原告は、理事長において、原告を代表して、未納管理費等に関する訴訟を追行することができると認められる。
しかし、原告では、管理規約において、原告は、本件管理費等を支払わない区分所有者に対し本件弁護士費用を請求することができる旨定めているから、原告は、理事長において訴訟を提起するのでなく、弁護士に委任して本件管理費等を支払わない区分所有者に対する訴訟を提起させ、追行させることも許容しているということができる。
そして、原告は、弁護士に委任して被告らに対する本件管理費等に係る本件訴訟を提起していることが認められるので、原告は、本件訴訟に係る本件弁護士費用を請求することができるというべきである。
また、原告が請求している本件弁護士費用は、原告が負担し、又は負担することとなる弁護士の着手金8万1000円及び報酬金22万9210円並びに本件訴訟に係る訴状貼用印紙代として1万6000円であり、その着手金及び報酬金の額は、日本弁護士連合会がかつて定めていた報酬等基準の範囲内にとどまるものであり、被告Y2が主張するような相当性に疑義があるものとはいえない。
請求可能な弁護士費用の金額については、旧日弁連基準の範囲内が一定の基準となっています。
着手金のみならず報酬金についての請求も認めてくれています。
マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。