ペット問題10 管理規約・使用細則に基づくペット飼育の全面禁止の有効性(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、管理規約・使用細則に基づくペット飼育の全面禁止の有効性(東京地判平成10年1月29日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、高層集合住宅の管理組合の管理者である原告が、右高層集合住宅の区分所有者である被告らに対し、管理規約・使用規則に基づき、ペット(犬、猫)の飼育禁止等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求認容

【判例のポイント】

1 マンションその他の集合住宅においては、居住者による動物の飼育によってしばしば住民間に深刻なトラブルが発生すること、他の居住者に迷惑がかからないように動物を飼育するためには、防音設備、防臭設備を整え、飼育方法について詳細なルールを設ける必要があることから、集合住宅において、規約により全面的に動物の飼育を禁止することはそれなりに合理性のあるものであり、ペット飼育禁止を定めた本件使用規則の制定にあたり手続上の瑕疵が認められない以上、原告による本件ペット飼育禁止請求が権利の濫用にあたるとまでいうことはできない

2 たしかに、被告らにとって、ペットは、家族の一員であり、精神的な支えとなっており、ペットと別れての生活はおよそ考えられないことが認められる。
また、集合住宅においても、ペットの飼育は、運営如何によっては、充分可能であること、ペットの飼育を容認している集合住宅も珍しくないことが認められる。
しかしながら、これらの事情があるからといって、現実に再開発組合の定時総会においてペット飼育禁止の案件が多数決で可決されている以上、右決議の効力を否定してまで、ペットの飼育を容認することはできないものといえる。

他の裁判例と同様の判断がなされています。

上記判例のポイント2のような主張が被告から出されることがよくありますが、裁判所の考え方はご覧のとおりです。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。