おはようございます。
今日は、犬猫の飼育を禁止する管理組合の規約を有効とした事案(東京地判平成6年3月31日)を見ていきましょう。
【事案の概要】
本件は、犬猫の飼育を禁止する管理組合の規約の有効性が争点となった事案である。
【裁判所の判断】
被告らは、物件内で犬を飼育してはならない。
被告らは、原告に対し、各自40万円+遅延損害金を支払え。
【判例のポイント】
1 原告においては、規約24条に基づく細則の本件規定により、犬猫の飼育を禁止しているが、原告の構成員の多数が今なお本件規定の遵守を組合員等に求めていることが容易に認められるものであつて、ペットクラブの自然消滅を期し、厳格な管理の下に、ペットクラブ発足時の犬猫一代限りの飼育のみを承認するものとしている原告の構成員の多数の意思に反し、それ以外の犬猫を飼育する行為は、区分所有法6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当するものとして、同法57条1項により差止(飼育禁止)請求の対象となるものというべきである。
2 被告らは、本件規定に違反して犬の飼育を続け、原告の再三の飼育禁止の申入れに応じなかつた。そのために、原告は、弁護士に依頼して、本訴を提起せざるを得ず、原告は、弁護士に訴訟の提起、追行を委任し、着手金として27万円、諸費用3万円、成功報酬として、30万円を支払うことを約したことが認められる。
そして、本件事案の難易、訴え提起に至る経過、被告らの応訴の状況、その他諸般の事情を斟酌すると、右弁護士費用のうち40万円は被告らの不法行為と相当因果関係に立つ損害と認めるのが相当である。
他の類似事案における裁判例と同様の判断ですね。
ペット飼育禁止の規約の新設又は変更をする場合には、既にペットを飼育している者に対する配慮から、いきなり全面禁止にするのではなく、飼育のルールを定めた上で、現在飼育しているペット「一代限りの飼育」と制限するのがバランスがいいと思います。
マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。