管理組合運営5 特定の区分所有者の役員への立候補及び理事会運営参加資格を永久に喪失させる旨の決議が公序良俗に反するとされた事案(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、特定の区分所有者の役員への立候補及び理事会運営参加資格を永久に喪失させる旨の決議が公序良俗に反するとされた事案(東京地判平成29年3月29日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件事件は、本件マンションの区分所有者又はその配偶者である原告らが、被告は本件マンションの区分所有者の全員で構成される建物の区分所有法47条1項に基づく管理組合法人であるところ、平成27年6月6日に開催された被告の臨時総会において、1ないし3の各決議がされたが、本件各決議は公序良俗に反するなどと主張して、被告に対し、本件各決議がいずれも無効であることの確認を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求認容

【判例のポイント】

本件決議1は、組合員総数の4分の3以上、かつ、議決権総数の4分の3以上が賛成する特別決議をもって、特定の者が被告の役員に立候補する機会及び理事会の運営に参加する機会を永久に喪失させるとする新規約50条3項8号を本件規約に追加して設けるものである。

しかし、被告の組合員にとって被告の役員に就任する資格は非常に重要なものであるにもかかわらず、新規約50条3項8号は、特別決議によって、本件規約35条1項によれば役員に就任する資格を有する組合員又はその関係者が役員に立候補することができないようにするものであり、さらに、本件マンションの区分所有権を有する限り、被告の組合員であり続けるにもかかわらず、立候補することができない期間は「永久」であることを考えると、新規約50条3項8号は極めて大きな制約を課すものといえる。
そして、候補者が役員にふさわしくないというのであれば、役員に選任しなければよいのであり、これに立候補することを未来永劫許さないとする合理的な理由は見いだし難い

同裁判例は、その後、控訴されていますが、控訴審も同様の判断をしています(東京高判平成29年8月30日)。

上記判例のポイント1記載のとおり、このような制約は客観的に合理的な理由が見出し難いため無効です。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。