おはようございます。
今日は、理事会が機能不全に陥っている場合における各区分所有者の行為差止請求の可否(大阪地判平成30年9月19日)を見ていきましょう。
【事案の概要】
本件は、区分所有者個人の行為差止請求の可否が争点となった事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
原告らは、管理組合の理事会が機能不全に陥っている場合には、各区分所有者が、法6条1項、3項に基づき、差止請求をすることができると主張する。
しかし、法6条1項、3項により保護される利益は、区分所有者全員の共同利益であるから、これらによる区分所有者の権利は、当該共同利益背反行為をした者を除く区分所有者全員に個別に帰属するのではなく、団体的に帰属しているというべきである。
そして、法は、かかる観点から、法57条において、法6条1項、3項に規定する行為の停止等を請求することができる主体を、当該共同利益背反行為をした者を除く区分所有者全員又は管理組合法人と明示的に定めたのであるから、各区分所有者が個別に6条1項、3項の権利を行使することはできないと解すべきである。
上記判例のポイント記載のとおり、行為差止め(停止)請求権を行使できるのは、違反行為者を除く区分所有者全員または管理組合法人です(57条1項)。
管理者および集会で指定された区分所有者も、当該請求権を行使する訴訟追行が可能です(同3項)。
なお、同3項は、管理組合が法人化されていない場合に限られますのでご注意ください。
マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。