おはようございます。
今日は、複数の区分所有者がペット禁止規定に違反してペットを飼育している場合における請求権行使の衡平性(東京地判平成13年10月11日)を見ていきましょう。
【事案の概要】
本件は、管理組合である原告が、当該マンション内で犬を飼育している区分所有者の被告に対し、規約に基づいて犬の飼育の禁止を求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償を求めている事案であり、後者の請求に係る付帯請求は不法行為後である訴状送達の日の翌日からの民法所定の割合による遅延損害金の支払請求である。
【裁判所の判断】
請求認容
*弁護士費用損害金30万円認容
【判例のポイント】
1 原告は、区分所有法30条1項に規定する規約である本件規約に基づく本件協定(使用細則)中の動物飼育禁止規定に基づいて、被告に対し、本件マンション及びその敷地内で犬の飼育をしないよう求めることができるというべきである。
2 被告は、本件マンションでは被告以外にも犬や猫等を飼育している者が存在する旨主張するが、仮にそのような事実があったとしても、そのことから直ちに、被告において本件マンション内で犬を飼育していることが正当化されるものではなく、被告の主張内容や本件全証拠を仔細に検討してみても、本件マンションにおいて、本件協定中の動物飼育禁止規定が空文化するほどに犬や猫等の飼育が広汎に行われているとか、原告において、被告と同様に動物飼育禁止規定に違反している者が他にも存在するにもかかわらず、何らか不当な目的をもって、あえて被告に対してのみ訴訟を提起したというような事情があるとは認め難いから、上記判断は左右されない。
したがって、被告に対し本件マンション及びその敷地内での犬の飼育の禁止を求める原告の請求は理由があって、これを認容すべきである。
上記判例のポイント2記載のような事情が認められる場合には、請求権行使が権利濫用として無効になる可能性がありますので注意が必要です。
マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。