管理費・修繕積立金6 専有部分の共有者に対する管理費・修繕積立金の支払債務は不可分債務であるとされた事案(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、専有部分の共有者に対する管理費・修繕積立金の支払債務は不可分債務であるとされた事案(東京地判平成25年11月13日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、マンションの管理組合である原告が、区分所有建物の共有者である被告に対し、未払いの管理費・修繕積立金等及びこれに対する弁済期の翌日から支払済みまでの管理規約に定める遅延損害金を請求するとともに、管理規約に定める管理費等の滞納があった場合の違約金としての弁護士費用等及びこれに対する催告の日から支払済みまでの民事法定利率に基づく遅延損害金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

被告は、原告に対し、金197万9241円及び内金155万8500円に対する平成25年10月1日から支払済みまで年14%の割合の金員を支払え。

被告は、原告に対し、金31万6686円及びこれに対する平成25年10月3日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。

【判例のポイント】

管理費(本件マンションの管理規約26条)は、共用部分の清掃、保守、修繕、防犯及び組合の運営などの区分所有者に対する不可分的な利益の対価であると認められる。   
その他の修繕費(同27条)も、共用部分の将来の修繕という不可分的な利益を享受するための積み立てであり、使用料(同28条)も共用部分の使用という不可分的な利益の対価であると認められる。そして、遅延損害金はこれらに付随するものであるし、本件弁護士費用等も不可分的給付の対価の不履行によって生じる違約金(損害賠償請求権)である。
これらの事情によれば、本件管理費等並びに遅延損害金及び本件弁護士費用等は、いずれも不可分的給付の対価として、性質上不可分の不可分債務(民法430条)に該当するというべきである。

本裁判例は、共有者全員を共同被告とすることなく、共有者2名のうち1名のみを被告としています。

未払管理費等が不可分債務に該当するとされた結果、共有者1名に対して全額の請求が認められました。

共有者2名を被告とする場合には、「連帯して」支払うことを求めることになります。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。