ペット問題2 ペット飼育を禁止する管理規約に違反することを理由に飼育の差止めを認めた事案(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、ペット飼育を禁止する管理規約に違反することを理由に飼育の差止めを認めた事案(東京地判平成19年10月4日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、管理組合である原告が、マンションの区分所有者かつ原告の組合員である被告らに対し、管理規約に違反して、犬を飼育しているとして、管理規約の規定及び区分所有法57条に基づき、その差止を求めるとともに、管理規約に違反する被告らの行為により訴訟提起せざるを得なかったとして、弁護士費用について、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求認容

【判例のポイント】

1 それぞれ考え方も事情も異なる多数の人々が一棟の建物を区分所有している場合において、区分所有の性質上、区分所有者は、自己の生活に関して内在的な制約を受けざるを得ないものである。区分所有法6条1項は、この内在的制約の存在を明らかにしており、その一棟の建物を良好な状態に維持するにつき区分所有者全員の有する共同の利益に反する行為を禁止しているところである。

2 この共同の利益に反する行為については、区分所有者は管理規約においてこれを定めることができるものとされ(同法30条1項)、マンションにおけるペット飼育の可否も、マンションの管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項として、当該マンションの団体自治に委ねられる事項である。
しかるに、本件マンションにおいては、管理規約によってペット飼育禁止を定め、これまで原告の総会においても、ペット飼育を可能とする提案について審議されたものの、これが否決されるなど、団体自治のルールの中で、区分所有者の多数の意思により、ペット飼育禁止が確認されてきているところである。
そうすると、管理規約に反してペットを飼育すること自体、具体的な被害の発生等がなくとも共同の利益に反する行為に当たるというべきである。

この裁判例でも、具体的な実害が生じていなかったとしても、管理規約に反してペットを飼育すること自体をもって共同利益背反行為であると認定しています。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。