本の紹介1227 お金を稼ぐ人は何を学んでいるのか?#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

4年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

名言集に近い本ですかね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『億万長者マインド』を持つ人は常に、自分自身に対して可能性を見出しています。『貧乏マインド』を持つ人は、残念ながら可能性を感じるよりも先に、自分に対して制限をかけてしまっています。」(25~26頁)

いつも私がブログに書いている「どうせ無理」と考えるのか、「どうせできる」と考えるのかの違いです。

まさに「マインド」の問題です。

そういう意味で言えば、もうやる前から勝負がついているようにも思います。

できるかできないかではありません。

やるかやらないか。ただそれだけのことです。

管理監督者50 小規模事業体における管理監督者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、小規模事業体における管理監督者性に関する裁判例を見てみましょう。

青山リアルホーム事件(東京地裁令和3年5月14日・労判ジャーナル115号46頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員が、法定時間外労働等を行ったとして、労働契約に基づく割増賃金等の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づく付加金請求等の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

管理監督者性を否定

【判例のポイント】

1 Y社は、Xが管理監督者に該当する旨主張するが、Y社は、平成25年の設立以来、従業員3名程度の極めて小規模な事業体であったものであり、そもそも、経営者の身代わり的存在を置いて、労働時間規制の枠組みを超えた労務管理をさせるべき必要性があるとは認め難く、また、Xが他の従業員の労働時間等を決定していた事実も、他の従業員の労務管理をしていた事実も認められず、Xの日々の活動は日報等で細かく管理され、直行・直帰についても会社代表者への報告が必要であったことも考慮すれば、出退勤がXの自由に委ねられていたとは認め難く、以上に加え、XがY社の財務情報や決算情報など経営上の重要事項に接することはなかったこと、Xに賞与の支給はなく年間賃金は530万円程度であり、Xに対して労働時間規制の枠組みを超えた労務管理をなさしめることの対価としての十分な待遇がなされていたとは認め難いことにも照らせば、Xが管理監督者に該当すると認めることはできない

結論自体は特に驚くものではありません。

管理監督者性は開かずの扉ですので、この程度の事情で管理監督者性が肯定される可能性は0です。

労務管理は事前の準備が命です。顧問弁護士に事前に相談することが大切です。

本の紹介1226 勝間式生き方の知見(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「お金と幸せを同時に手に入れる55の方法」です。

今のような時代をどのように生きていくのがよいのか、著者の考えがまとめられています。

20~30年前とは明らかに価値観が異なっていることがよくわかります。

時代の変化を感じながらも、親世代の価値観を受け継いでいる方にとっては、なかなかしんどい時代だろうなと思います。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

幸せの定義は人それぞれ異なりますが、共通して言えるのは、ある程度の精神的な余裕や肉体的な余裕がなければ幸せを感じにくい、ということです。その余裕を増やすコツは、優先順位付けです。・・・今の自分にとって大事でなくて、『やらなくてもいいこと』『ならなくても困らないこと』を排除することが、優先順位付けのすべてです。つまり、余裕を増やすための優先順位の第一位は、やるべきことを減らすことになります。」(322~323頁)

何かに追われることなく自分の好きなように生きること以上の幸せがあるでしょうか。

この本でも述べられているとおり、幸せの定義は人それぞれですから、唯一絶対の正解など存在しませんが、私にとって経済的・精神的自由があること、あらゆることに選択の自由があることこそが幸せの定義です。

人生はあっという間に終わります。

それにもかかわらず、貴重な時間を、自分がやりたくもないことのために浪費することは死んでもいやなのです。

「わがまま」は「我がまま」です。

自分が生きたいように生きる。

ただそれだけのことです。

解雇356 整理解雇における解雇回避努力の重要性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、整理解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

ストーンエックスフィナンシャル事件(東京地裁令和3年4月26日・労判ジャーナル114号28頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結していたXが、Y社に対し、Y社がXにした平成31年3月8日付け解雇について無効であると主張し、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、雇用契約による賃金支払請求権に基づき未払賃金等の支払を求めるとともに、雇用契約上賞与を支払う旨の約定があったなどと主張して、雇用契約による未払賞与等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

未払賞与等支払請求は棄却

【判例のポイント】

1 Y社の管理会計上の営業損益は、他社との競争激化でY社の扱うFX取引量が減少したことにより、赤字となり、移転価格会計制度で米国親会社が赤字による損失を引き受けることでY社の販売費及び一般管理費に7パーセントを上乗せした収入を得ることができていたところ、米国親会社からY社に対して繰り返し経費削減要求がされた中で人員削減も要求されたのであるから人員削減の必要はあるといえるが、希望退職者募集ないし退職勧奨について、説明できているのはXのみであり、Y社は希望退職者募集に係る詳細な事実についてこれを認めるに足りる証拠を提出しないから、本件判断にあたり、希望退職者募集はXに対するもの以外は有無ないし内容について不明であり、解雇回避努力は甚だ不十分というほかなく、Y社が主張するXを被解雇者に選定した理由は、基準の客観性に乏しいことを指摘せざるを得ないこと等から、①人員削減の必要性はあるといえるものの、②解雇回避努力は甚だ不十分でこれを認めることができず、③被解雇者の選定の妥当性にも疑問が残ることから、④手続の相当性に関する具体的事情を検討するまでもなく、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であるとも認められず、解雇権を濫用したものとして無効というほかない。

人員削減の必要性が認められているにもかかわらず、手続面で不備があったために無効と判断されています。

解雇をする上で必要なプロセスについては、事前に必ず顧問弁護士に相談するようにしましょう。

本の紹介1225 盾と矛(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「2030年 大失業時代に備える『学び直し』の新常識」です。

2021年時点においてもすでにルーティンの要素が強い仕事は徐々になくなってきています。

本当は自動化・機械化したほうが効率は格段に良いけれど、いまだに人がやっている理由は、単にそちらの方がコストが安いからです。

つまり、自動化・機械化のコストが下がれば、その仕事が消滅することは明らかです。

この状況を理解していない人、理解していても準備しない人がまだまだ多いので、今から準備をしてもまだ間に合います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

グローバル競争に晒されている企業は、業務遂行能力の低下した社員に高い給料を払い続けることはできません。労働分配率を考えれば、年齢を問わず優秀な人により多く払わなければ、優秀な社員ほど辞めてしまい競争力が低下してしまうからです。」(25~26頁)

昔ながらの能力度外視の年功序列の賃金体系は、安定こそしていますが、若くて優秀な人材が集まるわけがない仕組みです。

優秀な人材は、安定など求めていないからです。

なぜか?

稼ぐ自信があるからです。

そのための努力をしているからです。

現状に危機感を感じなくなったら、終わりの始まりかもしれませんね。

解雇355 横領を理由とする解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、横領を理由とする解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

小市モータース事件(東京地裁令和3年4月13日・労判ジャーナル114号40頁)

【事案の概要】

本件は、第1事件において、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社がXに対してした解雇が無効であると主張して、Y社に対し、労働契約に基づく未払賃金として約217万円等の支払いと、Y社がした解雇が不法行為に当たるとして、不法行為に基づく損害賠償請求権として480万円等の支払を求め、第2事件において、Xが、Y社の代表者取締役であるBに対し、BとY社は実質的に同一であり、Y社は完全に形骸化しているから、その法人格は否認されるべきであると主張して、労働契約に基づく未払賃金として約217万円等の支払いと、解雇が不法行為に当たるとして、不法行為に基づく損害賠償請求権として480万円等の支払を求めるとともに、仮に法人格の否認が認められないとしても、Bは、Y社がXに賃金及び割増賃金を支払わなかったことや、違法に解雇したことについて、Y社の取締役としての任務懈怠があるとともに、民法709条の不法行為責任も負うと主張して、会社法429条1項ないし民法709条に基づく損害賠償請求権として、約697万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

未払賃金請求一部認容

損害賠償請求一部認容

【判例のポイント】

1 Y社における本件解雇は、単に解雇として無効というだけでなく、Xから何ら弁解を聴くことなく、十分な裏付けもとらずに会社財産を横領したものと一方的に決めつけ、Xの名誉を著しく損なう内容を記載した本件解雇辞令を、他の従業員の目にも触れるY社の本店内に掲示するという著しく不相当な方法で告知するという方法で行われるなど、著しく社会的相当性を欠いたものであり、その後、XにY社での就労を断念せざるを得ないような実力行動にも及んでいることも考慮すると、本件解雇は、違法にXの権利または法律上保護された利益を侵害するものとして、それ自体不法行為を構成すると認められる。

事前に弁護士や社労士に、解雇手続の進め方を相談できる状況にないのでしょうか。

これでは勝てるものも勝てません。

解雇をする上で必要なプロセスについては、事前に必ず顧問弁護士に相談するようにしましょう。

本の紹介1224 人生を変えるアウトプット術#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

2年前に紹介をした本ですが、再度読み返してみました。

私は、成長はアプトプットの量に比例すると考えているので、まさに人生を変えたければアウトプットの量を増やすことです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

副業が本業を超えた場合、どちらが本業でどちらが副業かわからなくなってしまうが、そのほうが自分の思い通りの人生を創造できることに気づかされたのだ。現在の私は独立して10年と少し経つが、三足の草鞋を履いている。・・・トータルの労働時間は減っているのに、トータルの収入は増え続けている。」(139頁)

人類が誕生して、これほど自由な生き方が許容されている時代があったでしょうか。

自分が選択さえすれば、どのように生きることも可能です。

仕事のしかたも例外ではありません。

労働法の適用がある人を除けば、いくつ職業を持ち、何時間働こうが自由です。

本業も副業もなく、ただやりたいことをやる。

そんな生き方が許容されている時代です。

賃金218 就業規則等に規定されていない能力給の請求は認められるの?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、未払能力給支払請求の可否に関する裁判例を見てみましょう。

白鳳ビル事件(東京地裁令和3年4月23日・労判ジャーナル114号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、網膜剥離等にり患していたXに無理な職場復帰を求めるなどといった安全配慮義務違反がY社にあり、これにより損害を被ったとして、慰謝料等の損害合計約167万円等の賠償金の支払、雇用契約に基づき、平成30年6月21日から同年7月16日までの管の就労に係る能力給約2万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社との間の雇用契約では、偶数月の末日に能力給が支払われることが合意されていた旨主張するが、Y社の就業規則やXが同意したとして署名した本件説明書には能力給との名称の賃金についての規定がなく実際にもXに対し能力給との名称の賃金は支払われていないから、XとY社の間の雇用契約において、能力給との名称の賃金が支払われることが合意されていたとは認められず、また、Xは、賞与の支払を求めるものとも思われるが、Y社では、賞与の支払については、Y社の業績や従業員の貢献度を基にしてY社の裁量により査定をして金額を定めるものとされているところ、査定の結果は明らかではなく、賞与の具体的な金額を算定することができず、また、賞与については支払日である偶然月の末日に在籍した従業員に対してのみ支払われるものとされているところ、Xが支払を請求する平成30年6月21日から同年7月16日までの間の賞与の支払日は同年8月31日と解されるが、Xは、同日より前の同年7月17日にはY社を退職しており、これにもかかわらず賞与の支払の請求を認めるべき事情を本件証拠上見出せないから、Xは、Y社に対し、能力給ないし賞与の支払を請求することはできない

これではどうしようもありません。

口頭でそういう話を聞いたというだけでは、裁判に勝つのは難しいです。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介1223 富を築く技術#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

3年前に紹介をした本ですが、再度読み返してみました。

まさに王道の内容が書かれております。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

何ごとにもすぐ取りかかろう。必要なら、昼も夜もなく、時季を問わず、あらゆる手を尽くしていまできることを、1時間たりともぐずぐず引き延ばしてはならない。・・・やるべきことを徹底的に実行して富を築く者もいれば、ものごとを中途半端にしかできず、貧乏にとどまる者もいる。意欲や活力に満ちていること、勤勉であること、粘り強いことは、ビジネスで成功するために不可欠な要素である。」(85~86頁)

「秘訣」なんてものは、いつだってシンプルです。

「そんなこと知ってるよ」という内容です。

結果が出ないのは、その当たり前とされていることをやり続けないからです。

途中で辞めてしまうから結果が出ないのです。

この事実もまた、多くの人にとっては「そんなこと知ってるよ」という内容です。

結果を出す方法は簡単です。

その方法をやり続けるのが難しいのです。

競業避止義務29 取引先奪取行為等を理由とする未払退職金請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、取引先奪取行為等を理由とする未払退職金請求に関する裁判例を見てみましょう。

ユフ精器事件(東京地裁令和3年3月30日・労判ジャーナル114号48頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、本訴として、Y社に対し、退職金規程に基づき退職金約685万円等の支払を求め、これに対し、Y社は、反訴として、Xに対し、取引先を違法に奪い、在庫品を無断で搬出するなどの違法行為をしたとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき損害約4619万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

本訴退職金請求認容

反訴損害賠償請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社はXが本件4病院に対し、取引先を変更するよう社会通念上自由競争の範囲を逸脱した方法で働きかけた旨主張するが、社会通念上自由競争の範囲を逸脱した方法で働きかけたことを認めるに足りる証拠はなく、そして、M記念病院以外の病院、医療センター及び脳神経センターについては、Xが取引先を変更するよう働きかけたことを認めるに足りる証拠はないから、Y社の主張を認めることはできない。

2 Y社は、Xが、本件搬出行為、本件販売行為及び本件取引先奪取行為という一連の行為を行ったことにより、本件4病院は、Y社との取引を終了させたと主張するが、Xは、本件取引先奪取行為をしたと認めることができず、そして、Y社の方で、Xが退職することとなった後に本件4病院に対して積極的な営業活動を行ったことは認められず、かえってY社は、東京警察病院に対してXと連絡を取らないように求める書面を差し入れるなどしてY社の社内に紛争を抱えていることをあえて同病院に知らせてその印象を悪化させる行動にすら及んでおり、これらの状況に照らせば、本件4病院がY社との取引を終了したことは、かえって専らY社のフォロー不足が原因であると推認することができ、本件搬出行為及び本件販売行為と本件4病院がY社との取引を終了させたこととの因果関係を認めることはできないから、Y社の前記主張を認めることはできず、Y社の反訴に係る損害賠償請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。

顧客は、会社ではなく担当者につくのは、美容師やキャバ嬢に限った話ではありません。

その結果、担当従業員が退職することによって、「顧客を奪われた」ように見えてしまうことは多々あります。

しかしながら、著しく不相当な事情がない限り、裁判所は「自由競争」を重んじます。

競業避止に関する裁判は、多くの場合、会社に不利な結果となりますのでご注意ください。

競業避止義務の考え方については顧問弁護士に相談をし、現実的な対策を講じる必要があります。