不当労働行為282 使用者の労務指揮権に委ねられた事項と義務的団交事項該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、従業員への聞き取り調査を実施したことが義務的団交事項にあたるかが争われた事案を見ていきましょう。

大屋タクシー事件(三重県労委令和2年12月21日・労判1253号147頁)

【事案の概要】

本件は、従業員への聞き取り調査を実施したことが義務的団交事項にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 本件聞き取り調査は、売上金額にかかる乗客とのやりとりに関するドライブレコーダーの記録と、運行日報に記載された金額が食い違っていたことから、事実確認を行うために実施されたものである。運賃の受領において、不明瞭な事象が生じた場合に、事実確認を行うことは、タクシー会社にとって当然かつ必要な行為であるのだから、A2組合員に対して本件聞き取り調査を実施したことは、会社の労務指揮権の範囲内として委ねられている事項であり、業務に付随して通常予定されている労務指揮権の範囲を超えるものではないと解せられることから、第1回団交申入れの交渉事項として会社が理解した「本件聞き取り調査を実施したこと」については、義務的団交事項には該当しない。

2 そもそも、いかなる事項を団体交渉事項とするかを具体的に明らかにすることは、団体交渉申入れに際しての当然の前提であり、また団体交渉の開始にあたって、最小限必要なことでもある。団体交渉申入書に適切な記載がなく、それまでの経緯からも推し量ることもできない状況で、これに適切に対応する義務が使用者にあると解し、使用者の判断に誤りがあった場合には不当労働行為の成立を認めるとするのは、使用者に過大な義務を課すものとなる
組合が団体交渉申入書とは別に具体的な説明をしていたり、要求をしていたりしていたのであれば別であるが、本件においてはそのような事情は認められず、会社が団体交渉申入書の記載から、組合の求める交渉事項が、「本件聞き取り調査を実施したこと」と理解したことはやむを得ない。

上記命令のポイント2の考え方は非常に重要ですので、しっかりと押さえておきましょう。

一般的には義務的団交事項の範囲はかなり広いので、自分勝手な解釈をしないように気を付けましょう。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1251 7つの法則 ビジネスを成功させる正しいコツ#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度読み直してみました。

ありとあらゆるコツが書かれており、盛り沢山です。

何度も読み返すに値する本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

市場の『弱者』なら、リスクを冒すしかない。顧客サービスでホームランを狙う以外の選択肢がないなら、起業家としてリスクを冒すべきだ。失敗が許されないなら、なおさらリスクを冒さなければならない。逆説的だが、より多くの失敗を重ねなければならない。なるべく多くの実験をしたほうが安全だ。なぜなら、そのほうが顧客のための正しい答えが見つかる可能性が高くなるからだ。」(161頁)

さて、みなさんは、日々の仕事、日常生活の中で、どれだけ「リスク」を冒していますか?

コンフォートゾーンから意識的に抜け出し、居心地の悪さを感じる挑戦をしていますか?

挑戦の過程はすべて「実験」です。

途中における失敗はすべてゴールにたどり着くために必要なプロセスの一環にすぎません。

失敗を恐れないというマインドは、ゴールにたどり着くためには必要不可欠です。

このマインドを持っていないと、ほんのちょっとの失敗で「もう無理」「むいていない」と言ってすぐに投げ出してしまうのです。

私たち「弱者」こそ、リスクや失敗を恐れず、果敢に挑戦し続けるべきなのです。

昨日と同じ今日、今日と同じ明日からは、新しい自分をつくることはできません。

労働者性42 業務委託契約の性質が労働契約と認められ、契約解消(解雇)が無効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、業務委託契約の性質が労働契約と認められ、契約解消(解雇)が無効とされた事案を見ていきましょう。

クリエーション事件(東京地裁令和3年7月13日・労経速2465号37頁)

【事案の概要】

本件本訴は、Y社との間で労働契約を締結していたと主張するXが、Y社が令和2年2月28日にした解雇は無効であると主張し、Y社に対し、労働契約上の地位を有することの確認を求めるとともに、解雇日以降の賃金として、令和2年3月から本判決確定の日まで、毎月27日限り10万円(月額35万円から被告に対する貸金債務月額25万円を控除した後の金額)+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

【判例のポイント】

1 被告は、主にクイックまつげエクステをフランチャイズ展開する事業を営む株式会社であり、直営店舗のほか、加盟店(Y社から研修を受けて証明書の発行を受け、顧客に対して施術を行う店舗)及び代理店(Y社と加盟店を仲介する店舗)を通じてまつげエクステの事業を行っていたこと、Xは、令和元年8月ころから、Y社の事務所の鍵及び携帯電話を交付され、麹町所在の事務所又は恵比寿所在の直営店舗(サロン)において、本部長の肩書で、加盟店の管理(販促物の供給、連絡等)、事務用品の購入、広告及び販促物の作成、セミナー及び講習会のサポート並びにAの秘書業務等の業務を行っていたことが認められる。

2 そして、AはY社の代表取締役であること、X及びAとY社の代理店等が加入するLINEグループが20以上あり、XはAとの間でLINEグループにより、Y社の内部的事務、取引に係る予算及び発注、代理店その他の関係者との連絡等の業務に関するやり取りを行っていたこと、XとAは、LINEグループでのやり取りを通じて、頻繁に業務上の報告、連絡をしていたこと、Xが業務を行うに当たってはAから具体的な指示を受けることが多くあったことが認められ、これらの事情に照らせば、AはXに対して業務上の指揮命令を行う関係にあったと認められる。なお、Aは、X本人尋問において、Xに対し、自らが依頼したコピーを取ることを拒否したことを非難する旨の発言をしているところ、かかる発言からも、AがXに対して指揮命令を行う関係にあったことがうかがわれる

3 また、Xは、休暇を取得する場合はAに報告し、Aの了承を得ていたこと、Aは、令和2年1月ころから、Xに対してタイムカードに打刻するよう求めており、同月28日、Xに対し、「ずいぶんまえから、タイムカードできるよえにしてくださいといいましたが、いつできるのでしょう。」、「きちんと皆んな8時間勤務で、お休みもまえもってわかるようにするために、タイムカードをかったのですが、全然いみがないです。」、「会社は早くても6時までは対応してもらいたいので今月はそのようにおねがいします。」、「タイムカードおしてください。」、「お昼とるとらないは、自由ですが、8時間はいるようにしてください。」などのメッセージを送信したことが認められる。
上記の事実によれば、Xは、Aから具体的な指示を受けてY社の業務を遂行していたと認められ、仕事の依頼や業務の指示に対する諾否の自由を有していたとは認められない。また、Xは、Y社における勤務日や勤務時間について一定の拘束を受けていたというべきであり、これらの事情を考慮すれば、本件契約の性質は労働契約と認めることができる。

労働法規適用回避目的で、業務委託契約を選択する方が少なくありませんが、そのうち、雇用契約と業務委託契約の違いを十分に理解している方がどれほどいるでしょうか。

労働者性に限らず、管理監督者、固定残業代、変形労働時間制等、多くの労働紛争は、使用者の無知から生じているのが現実です。

労働者性に関する判断は難しいケースも中にはありますので、業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

本の紹介1250 成功へのメッセージ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「決意した瞬間から夢は実現する」です。

15年程前に出版された本ですが、今読んでも全く遜色ありません。

奇を衒うことのない王道の内容です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私たちがうしろめたさを感じる時は、必要な努力を払っていない時なのです。」(45頁)

正解。

私は平日も休日も毎朝4時に起きていますが、寝坊して5時に起きるとうしろめたさを感じます。

毎朝のルーティンである勉強・筋トレ・仕事の時間が短くなってしまうからです。

同様に、休日にのんびりしていると「ああ、なんて非生産的な時間の使い方をしてしまったのだろう。」とうしろめたさを感じます。

まあ、ほとんどありませんが。

人と同じ時間に起きて、人と同じことをやって、成功したいなんて、世の中にそんな都合のいい話はありません。

やり続けるか、途中で投げ出すか。

ただそれだけのことです。

労働災害110 下請企業従業員の業務中の事故につき、元請企業の責任が否定された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、下請企業従業員の業務中の事故につき、元請企業の責任が否定された事案を見ていきましょう。

岡本土木・日鉄パイプライン&エンジニアリング事件(福岡地裁令和3年6月11日・労経速2465号9頁)

【事案の概要】

本件は、Xがガス管敷設工事の現場監督をしていた際に、バックホーで吊された鋼矢板が落下した後、倒れてXの頭部に当たった事故について、同工事の元請企業であるY1及び同工事の下請企業でありXの使用者であるY2にそれぞれ安全配慮義務違反があるなどと主張して、債務不履行又は不法行為に基づき、連帯して損害賠償+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y2は、Xに対し、607万9539円+遅延損害金を支払え

Y1に対する請求は棄却

【判例のポイント】

1 元請企業と下請け企業の労働者との間には、直接の労働契約はないものの、下請け企業の労働者が労務を提供するに当たって、元請企業の管理する設備、工具等を用い、事実上元請企業の指揮監督を受けて稼働し、その作業内容も元請企業の労働者とほとんど同じであるなど、元請企業と下請企業の労働者とが特別な社会的接触関係に入ったと認められる場合には、労働契約に準ずる法律関係上の債務として、元請企業は下請企業の労働者に対しても、安全配慮義務を負うというべきである。

2 これを本件についてみると、本件事故発生時に使用されたバックホーは、Y2が手配したものであり、本件鋼矢板を吊るクランプは、Q2が用意したものであって、Y2の管理するものではなかった。また、本件鋼矢板をバックホーで吊るして運搬するという作業の選択をしたのはY2であって、Y1が指示したものではないし、Y1がY2ないしQ2の労働者の作業に関して、指揮監督を行っていたものと認めるに足りる証拠はない。また、Y1の従業員に、具体的な作業に従事する者もおらず、XとY1の従業員とでは、作業内容も異なっていた。
したがって、Y1とXとが「特別な社会的接触の関係」に入ったものと認めることはできず、Y1はXに対して安全配慮義務を負わない

3 XはY2の作業責任者であり、RKY活動を中心となって行う立場として、また本件作業全体を直接監督する立場として、特に安全を遵守すべき立場にあったこと、Xは約21年5ヶ月程度の工事経験を有しており、重機の旋回範囲内に入らないという注意については、これまで何度も受け、自己も行ってきたこと、それにもかかわらず、Xは、これに背き、作業を一旦止めるなどといった措置もとらず、重機の旋回範囲に立ち入るという重大な不安全行動をとったこと、その他本件証拠により認められる諸事情を総合考慮すると、Xがとった行動には重大な過失があるといわざるを得ず、Xの損害額について6割の過失相殺をするのが相当である。

元請責任が発生する場合について、上記判例のポイント1の考え方は理解しておきましょう。

本件では、元請会社の責任は否定されています。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介1249 カエルを食べてしまえ!#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度読み直してみました。

帯には「一番重要でやっかいな事からすませなさい!」と書かれています。

おっしゃるとおりです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

待っていてはいけないー『絶好の』ときなどない。いまいる場所からスタートし、自分の使える道具を使おう。そうすれば、やがてもっといい道具が見つかるだろう。 ナポレオン・ヒル」(117頁)

とにかくやってみる、ということですよ。

やりながら修正する。

正確には、やってみないと修正箇所がわからないのです。

すべての準備が整ってからでないと動けないのでは、いつまでたっても始められません。

考えてから動くような時代ではありません。

リスクを恐れてチャレンジすることを避ける人生は、本当につまらないです。

うまくいかないのは、失敗ではなく、単なる修正の機会にすぎません。

とにかくまずはやってみるということに尽きます。

有期労働契約109 雇止めが不法行為に該当するとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、雇止めが不法行為に該当するとされた事案を見ていきましょう。

社会福祉法人特別区人事・厚生事務組合社会福祉事業団事件(東京地裁令和3年5月26日・労経速2465号37頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と期間の定めのある雇用契約を締結していたXが、Y社による違法無効な雇止めにより精神的苦痛を被ったと主張して、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料300万円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、50万円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 本件雇止めは無効であるところ、無効な雇止めが直ちに不法行為に該当するとはいえないが、本件雇止めについては、契約更新に対する合理的期待は高かったというべきであり、雇止めの態様を見ても、Y社は、Xに本件雇止めの理由として看護師の過員という明らかに合理性のない理由を告げた後、Xに書面の交付を求められるや、雇止めの理由について「事業団の運営事業の経営状況により判断する。」という本件規則上の根拠条文を掲記するのみで具体的な理由が記載されていない文書を交付するという不誠実な対応に終始しているのであるから、本件雇止めは不法行為に該当するというべきである。
そして、相当期間Y社に貢献してきたXが本件雇止めにより精神的苦痛を被ったことは明らかであり、Xが、本件雇止めの無効及び雇用継続を前提とする賃金請求や、逸失利益として賃金相当額の損害賠償請求を行っていないという事情に照らすと、本件においては精神的苦痛に対する慰謝料の支払を命ずるのが相当であり、その額は、これまで検討してきた事情のほか、不法行為後の事情としてY社がXから本件雇止めが無効である旨の通知を受けるや早期に復職の提案をしてXの心情に配慮したことなど本件によって認められる諸般の事情を総合的に考慮すると、50万円と認めるのが相当である。

解雇や雇止め事案で、地位確認+バックペイという構成ではなく、慰謝料一本ということはあまりありませんが、本件では、慰謝料のみ請求したため、結果としては、このような少額の支払を命じられています。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介1248 「総合診療かかりつけ医」が患者を救う(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

中学・高校の同級生の本です。

毎年、年末に2人で食事をする数少ない親友です(笑)

この本で「総合診療かかりつけ医」の存在意義を知ることができます。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人間は単なる臓器の寄せ集めではなく、臓器や組織が影響し合って発症したり症状が進んだりします。どんなにたくさんの医者にかかっていても、それらの医師が自分の専門とする臓器のことしか分からなければ、肝心の、患者の命に対して責任を負うのは誰なのかが、不明確です。まさに、患者からすると『結局、私の主治医は?命を守ってくれるのは誰?』ということになってしまうのです。」(158頁)

どの業界でも、一般的には、専門性の細分化が進めば進むほど、専門家が対応可能な分野は狭くなります。

指揮者は、あらゆる楽器の特徴、性質を理解し、状況を俯瞰する必要があります。

スペシャリストが重宝される時代において、全体を俯瞰し、コーディネートできるジェネラリストのスペシャリストこそが求められているような気がします。

派遣労働30 勤務態度不良を理由とする派遣労働者の雇止め(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、勤務態度不良を理由とする派遣労働者の雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

スタッフマーケティング事件(東京地裁令和3年7月6日・労経速2465号31頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と期間の定めのある労働契約を締結して就労していたXが、Y社による雇止めの無効を主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、雇止め以降本判決確定までの期間における賃金月額29万4737円他+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

【判例のポイント】

1 Y社は、Xが自らの勤務態度や知識不足等について繰り返し指導を受けたにもかかわらず改善がみられなかったと主張し、その証拠としてb社やY社の従業員が送信した電子メールを提出するが、これらのうち乙第1号証・第2号証については,そもそもXの勤務態度等に問題がある旨が指摘された事実を認めることができず、乙第7号証・第8号証によれば、a社の会議等においてXの接客方法が問題視された事実が認められるものの、それを踏まえてXに対し指導がなされた状況や指導を受けたXの対応に関する証拠はなく、Xが勤務態度等について指導を受けたにもかかわらず改善がみられなかった事実を認めることはできない
そうすると、本件雇止めは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものというべきである。

2 Y社は、令和2年2月13日、X代理人に対し復職に向けた打合せの機会を設けることを申し入れており、遅くとも同日以降はXの就労は履行不能でなかった旨を主張する。
しかし、当該申入れは、Xが「雇い止めに至る経緯で問題があったことを素直に認めて今後改善するということであれば、受け入れを検討する」、「自分は悪くないという態度で、気に入らないことがあるとかみつくという姿勢が改まらないのであれば受け容れられない」という内容であったものと認められ、結局のところ、Xが態度を改めなければ復職させない旨を申し入れたものというべきであるから、Y社がXの就労を拒絶している事実を左右するものではない
また、Y社は、Xが、同月以降他社において就労していたこと、本件雇止め前から別の仕事に移ることを希望していたことを指摘して、Xが本件労働契約に基づき就労する意思があったとは認められない旨を主張するが、雇止めを受けた労働者が他社において就労していたからといって直ちに雇止め前の労働契約に基づく就労の意思を喪失したものとはいえず、Xが本件雇止め前に異動を希望していたことについても本件労働契約に基づく就労の意思を否定するものでないことは前示のとおりであって、Y社の主張は採用することができない。

非常に基本的な内容ですが、実務においては極めて重要な内容です。

勤務態度を理由とする解雇・雇止めの注意、就労の意思の有無についての判断方法についてしっかりと理解しておきましょう。

日頃から労務管理については、顧問弁護士に相談しながら行うことが大切です。

本の紹介1247 二番目の悪者(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

表紙には、「考えない、行動しない、という罪」と書かれています。

とても薄い絵本ですが、内容は示唆に富んでいます。

今の社会問題をうまく捉えています。

大人も子供も読むべき絵本です。

そして、読めばタイトルの意味がわかります。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

一部始終を見ていたのは、空にうかぶ真っ白な雲だけ。
『嘘は、向こうから巧妙にやってくるが、真実は、自らさがし求めなければ見つけられない』
雲は呟き流れていった。しかし、その声は誰にも届かなかった。」(43頁)

人は、自分が信じたいものだけを信じます。

そして、自分が信じるものと矛盾しない情報だけを都合よくピックアップし、矛盾する情報は見なかったことにするのです。

それが真実であろうと嘘であろうと。

何を信じるかはまさにあなた次第。

とある国では、省庁が作成する統計データですら改ざんされる始末です。

コロナの感染者数、コロナによる死者数、コロナ患者向け病床使用率、ワクチンの有効性・・・

ほんまかいな(笑)

人は自分が信じたいものだけを信じる生き物です。