本の紹介1283 超凡思考#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

サブタイトルは、「『当たり前』を愚直にやり抜くと、平凡は非凡に変わる。」です。

ここで重要なのは、そもそも人によって「当たり前」の定義や具体例が大きく異なるということです。

つまるところ、何を「当たり前」にするのかが決定的に重要です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

結局、発想や着想はその人の力の一割に過ぎず、九割は実際に行動できるかどうかに懸かっています。行動した人が勝つのは至極当たり前のことなのです。」(54頁)

アイデアや計画それ自体には価値はありません。

それを形にする行動にこそ価値があるのです。

5年後、10年後、どのような人生を送っていたいのか。

そのために日々、どのようなことを行っているか。

どれだけ崇高な理念、立派な目標、詳細な計画があっても、日々の行動・準備がなければ、すべては絵に描いた餅です。

やり続けられるか。

途中で投げ出してしまうか。

ただそれだけの違い。

途中で投げ出している限り、人生は1ミリも変わりません。

不当労働行為288 仮処分命令後に横断幕等を撤去したため、被保全権利がすでに存在しないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、仮処分命令後に横断幕等を撤去したため、被保全権利がすでに存在しないとされた事案を見ていきましょう。

オハラ樹脂工業事件(名古屋地裁令和3年11月25日・労経速2473号29頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、Y社の従業員らが加入する労働組合及びその上部団体であるXらに対し、所有権、施設管理権等を被保全権利として、XらがY社本社の敷地内に設置した横断幕及びのぼり旗の撤去を求める仮処分命令の申立てをしたところ、当裁判所が、上記各物件の撤去を命じる仮処分命令をしたため、Xらが保全異議を申し立てた事案である。

【裁判所の判断】

仮処分決定を取り消す。

【判例のポイント】

1 Xらは、原決定後に本件のぼり旗等を撤去したことから、審理終結時において、本件のぼり旗等の設置により、Y社が被保全権利として主張する所有権、施設管理権が侵害され、債権者の名誉、信用が毀損されているとは認められない。
したがって、審理終結時において、Y社の所有権又は施設管理権に基づく本件のぼり旗等の撤去請求権の存在は認められない。

2 これに対し、Y社は、Xらによる撤去が仮装であり、Xらは原決定取消後、再度のぼり旗等を設置する蓋然性が高く、被保全権利はなお存在すると主張する。
しかし、Xらが撤去後にも本件のぼり旗等の設置の正当性を主張して争っていること、Xらが本件申立て以前にも、のぼり旗を設置し、Y社がのぼり旗の撤去を求める仮処分の申立てをした後に撤去したとの経緯があったとしても、本件申立ては、所有権又は施設管理権に基づく妨害物排除請求であることからすれば、現に所有権又は施設管理権が侵害されていない以上、Y社の仮処分申立てを認めることはできない

上記判例のポイント2に記載されているY社の懸念は理解できるところですが、要件事実的には上記結論になります。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1282 優雅な肉体が最高の復讐である。#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から8年前に紹介した本ですが、再度、読み直してみました。

「なんで体を鍛えているんですか?」という質問をする方には、

「なんで体を鍛えないんですか?」と聞き返すことにしています。

「何を目指しているんですか?」と何も目指していない方から質問されるといささか照れます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

監督に『なぜ声をかけてくれたんですか?』と聞いたら、『オファーが来てから肉体を作ったり準備したりするのではなく、先が見えない中で走っている人間を評価したいし、受け止めたくなるから』と言ってくださいました。準備ができている人にチャンスは訪れます。」(25頁)

Chance favors the prepared mind.

いつ訪れるかわからない一瞬のチャンスを掴むために、毎日毎日コツコツ準備を続ける。

それを見つけてくれて、評価してくれる人が必ずいます。

ボーっと生きていたら、人生なんてあっという間に終わってしまいます。

まわりの環境や他人に対する不平不満ばかりが口から出てくる、そんな人生はまっぴらです。

自分の人生は自分の力で切り拓くしかありません。

労働者性45 元代表取締役が労災保険法上の労働者にあたるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、元代表取締役が労災保険法上の労働者にあたるとされた事案を見ていきましょう。

国・八代労働基準監督署長事件(熊本地裁令和3年11月17日・労経速2473号29頁)

【事案の概要】

Xは、平成31年1月28日、a社が運営する本件工場において、廃タイヤ・廃プラスチック破砕機のメンテナンス業務に従事中の事故により、左肘関節開放性脱臼骨折等の傷害を負った。

本件は、Xが、上記傷害は労働者の負傷に該当するとして、八代労働基準監督署長に対し労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付の申請をしたところ、八代労働基準監督署長が令和元年6月12日付け及び同月17日付けでこれらを不支給とする決定をしたことが違法であると主張して、本件各処分の取消しを求める事案である。

【裁判所の判断】

労災不支給決定を取り消す。

【判例のポイント】

1 Xがa社の代表取締役を退任した後(本件事故当時)、本件工場に所属する従業員はXを含めて7名であり、工場長(リサイクル部の責任者)はFが務め、副責任者3名とともに本件工場の管理を行っており、Xは本件工場に所属する平社員3名のうちの1人として、Fから毎日朝礼時にその日の作業内容について指示を受け、本件工場内で重機を使用した廃タイヤの片付け作業を行い、Fから個別の指示を受けることもあった一方、Xが他の従業員に指示を出すことはなくなっていたものであり、a社の代表取締役を退任したXが以前の地位を理由にFや本件工場の副責任者から受けた業務上の指示を無視したり拒否したりした事実の存在は窺われない
また、本件工場の業務は顧客等から回収した廃タイヤを処理して製紙工場等への販売用チップに再資源化する業務であり、そのために毎月約150トンもの多量の廃タイヤが本件工場に搬入されていたこと、本件工場の業務量は年間を通じて落ち着いており、基本的にXを含む平社員の従業員の残業はなかったことからすれば、Xは本件工場の平社員として毎日継続的に発生する廃タイヤの処理業務を現場の責任者であるFの指示の下に淡々と行っていたにすぎず、X自身による業務量の調整はされていなかったことが推認されることに加え、Xが代表取締役退任後にその旨をa社の取引先等に通知した上で、専ら本件工場内で就労するようになり、外出をするときには工場長のFに報告し許可を得ていたことを併せ考慮すると、a社とXとの間で労働条件通知書や労働者名簿等が作成されていなかったことや本件事故後にXが雇用保険の被保険者であるとの確認を得られなかったことを踏まえても、Xは、使用者であるa社(直接的には本件工場の責任者であるF)から具体的な業務遂行についての指揮監督を受け、それに従って指示された業務を行っていたというべきであり、Xがその業務に対し諾否の自由を有していたものとは認められない

2 Xは、a社の代表取締役を退任した後、毎日、自宅から約6km離れた場所に所在する本件工場に通勤し、同工場の責任者であるFの指揮監督下に就業規則で定められた稼働時間(午前8時から午後5時までの時間帯)の間、本件工場内で廃タイヤの片付け作業を行っており、本件工場での業務を中断して外出することはほとんどなく、仮に外出する場合には責任者であるFにあらかじめ報告を行う必要があったことに照らすと、a社によりXの業務時間及び業務場所は管理されており、Xはa社における就労のために時間的場所的拘束を受けていたものと認められる。

3 Xが、a社の代表取締役退任の前後を通じて(本件事故発生時まで)本件工場内で重機を使用した廃タイヤの処理作業を行っていたことからすれば、Xのa社における業務(労務)の円滑な遂行がXよりも経験年数の少ない従業員により行うことが可能であったとは考え難いし、少なくともXの従事していた作業を他の者に代わって行わせることが容易であったことを窺わせる事情は認められない。

4 Xは、本件事故当時、a社から本件工場に所属する従業員として毎月基本給20万円の支給を受け、当該基本給から社会保険料の控除及び源泉徴収をされた後の金銭を受領していたことに照らすと、当時Xがa社から支給を受けていた基本給は、Xの本件工場における一定時間の労務の提供への対価たる賃金として支払われていたものと認められる。

5 本件事故の発生当時、Xがa社以外の会社で勤務して報酬を得ていたことはなく、個人的な事業(副業)も行っていなかったこと、Xが本件工場で廃タイヤの処理作業に使用していた重機や工具は、a社の所有物であり、X個人が所有するものはなかったことに加え、Xがa社の代表取締役退任後(本件事故発生の1年以上前)に約14年間加入していた労働者災害補償保険の特別加入者から脱退したことを照らすと、Xのa社における勤務には専従性が認められる一方、Xに事業者性は認められないというべきである。

肩書や役職等の形式面に囚われずに、働き方の実質を具体的に主張することが求められます。

労働者性に関する判断は難しいケースも中にはありますので、業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

本の紹介1281 うまくいく人が仕事以外でやっていること99(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

タイトルの通りの内容です。

ここ最近で最も素晴らしい本です。

人生を変えたい人は、絶対に読むべきです。

うまくいっている人たちが、日頃、どんなことを考え、どんな行動をとっているのかがわかります。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

どういうわけか、僕らは何かを始めても、最初か、でなければどこか途中でやめてしまう。結果はほしいけど、結果を得るための苦労はしたくないのだ。大成功を遂げたハリウッドスターには、誰もが畏敬の念を抱く。でも、彼らは夢に全てを捧げた人たちなのだ。人生そのものよりも夢を優先し、どんな困難にあおうともけっしてあきらめなかった。なのに、僕らときたら、卵をひとつも割らずにオムレツを食べようとする。」(331頁)

「僕らときたら、卵をひとつも割らずにオムレツを食べようとする」

みなさんはいかがですか。

成功したい。

お金持ちになりたい。

でも、努力するのは嫌。

赤ちゃんみたい(笑)

人と同じ生活をしていて、人と異なる成果を得られるわけがありません。

人が寝ている時、遊んでいる時、休んでいる時にどれだけ努力を積み重ねてきたか。

ただそれだけの話。

解雇366 理事兼従業員の出向後就業拒否と懲戒解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、理事兼従業員の出向後就業拒否と懲戒解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

医療法人偕行会事件(東京地裁令和3年3月30日・労判1258号68頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の理事兼従業員であったXが、Y社から出向命令とこれに続く就業を拒否する旨の通知を受け、その後懲戒解雇されたことに関し、Y社に対し、①出向命令及び就業拒否はいずれも無効であるからXの就労不能はY社の責めに帰すべき事由によるものであり、また、懲戒解雇は無効である旨主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、雇用契約に基づく賃金として平成28年12月16日から本判決確定の日まで毎月16日限り100万円+遅延損害金の支払を求め、②無効な懲戒解雇により精神的苦痛を被った旨主張して、不法行為による損害賠償として、慰謝料1000万円+遅延損害金の支払を求め、③Y社の理事長及び理事らによるXの名誉及び信用を毀損する発言等によって精神的苦痛を被った旨主張して、医療法46条の6の4及び民法715条による損害賠償請求として、慰謝料1000万円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xはそれまで約11か月にわたって体調不良を理由として就労の意思を示さず、同年8月4日頃に送付した書面にはXの体調に関しては言及されていなかったことに照らすと、同書面の送付及び本件訴訟の提起の事実のみから直ちにXに就労の意思及び能力があったと認めることはできない

2 本件懲戒解雇事由①及び③については就業規則上の懲戒解雇事由に該当するところ、本件懲戒解雇事由①は、Xへの金銭の支払を要求したものではないが、Y社から工事を受注した取引先に対して威圧的言動を用いて法的根拠のない金銭の支払を要求するものであって、その態様に照らすと規律違反の程度は軽いとはいえない。そして、何よりも、本件懲戒解雇事由③は、内容虚偽の請求書を作成してY社の関連法人であるA会を欺いて4200万円を超える損害を与えたというものであり、その態様は極めて悪質でA会に与えた損害も重大であって、これを主導したXの規律違反の程度は著しいというべきである。
したがって、本件懲戒解雇は、社会通念上相当であると認められる。

3 Y社は、Xが本件公益通報通知をする約4か月前の平成29年8月10日の時点で既にXに対して本件懲戒解雇事由①ないし③を理由とする懲戒解雇のための弁明の機会を付与する旨通知しており同日時点で既にXに対する懲戒処分を検討していたのであるから、本件懲戒解雇が本件公益通報通知と近接された時期にされたことをもって、本件懲戒解雇が本件公益通報通知を理由とされたものと推認することはできず、本件懲戒解雇は公益通報者保護法3条1号により無効であるとか、懲戒権の濫用として無効であるということはできない

公益通報や内部通報が行われた時期と近接した時期に解雇等の不利益取扱いを行うと、上記判例のポイント3のような争点が生じてしまいますが、時期の先後関係も因果関係を判断する重要なファクターとなることを押さえておきましょう。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1280 その後の世界最強の商人(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

「世界最強の商人」の続編です。

目標達成に必要なことが何なのかがわかりやすく書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成長し繫栄するためには、仕事にしっかりと取り組み、そして、時代の一歩先を歩み続けなければならない。頂点を極める人は、自分に求められていることを行うだけでは満足しない人である。彼らはより多くのことをなす。彼らは1マイル先に行く。そして、さらにもう1マイル先に進む。報酬の計算は彼らの心には全くない。彼らは、報酬はいつかは支払われることを知っているのだ。」(178頁)

仕事の報酬はいつだって「次の仕事」です。

依頼される仕事の重要度、難易度を見れば、会社や上司のあなたに対する評価は如実にわかります。

目の前の仕事で結果を残す以外に「次の仕事」はありません。

会社にとって大切な顧客の対応や重要案件を任せるのは、いつだって信頼している部下です。

「楽な仕事でラッキー」なんて余裕をこいているみなさん、それ、全然ラッキーではありませんから(笑)

あなたに任せられる案件がそれくらいしかないのですよ。

配転・出向・転籍49 転居を伴う異動命令に保全の必要性が認められなかった事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、転居を伴う異動命令に保全の必要性が認められなかった事案を見ていきましょう。

学校法人コングレガシオン・ド・ノートルダム事件(福岡地裁小倉支部令和3年12月15日・労経速2473号13頁)

【事案の概要】

本件は、Q1市及びQ2市(Q1、Q2は転居を必要とする遠隔地に所在する)にそれぞれ学校を設置する学校法人であるY社が、Q1市所在の学校で勤務していたXに対し、Q2市所在の学校での勤務を命じたところ、Xが、同勤務命令が無効であると主張して、Q2市所在の学校で勤務すべき義務のないことを仮に定めるよう求めた事案である。

【裁判所の判断】

申立て却下

【判例のポイント】

1 Xは、Q1市内に自宅を保有しており、Q2市に転居することにより転居費用やQ2市での住居の賃料等、相応の費用が発生することが想定される。上記費用のうち、転居費用はY社から支給されるものの、Y社の住宅手当の規程に照らすと、住居の賃料の全額が支給されるとは限らないことから、本件配転命令に従って転居することによりある程度の経済的負担がXに生ずる可能性が高いと認められる。
しかしながら、Xは、毎月43万7409円の賃金を受領しており、本件配転命令に基づく異動の前後で賃金の受領額に変更はないのであるから、Xの世帯構成を勘案すると、上記経済的負担を賄えない特段の事情があるとは認められない
Xは、独身であることに加え、平成28年度以降、Bにおける授業を担当しておらず、令和4年度においても担当予定授業がなく、その他本件において、Q1市から転居できない特段の事情の疎明はない

2 以上からすると、転居を伴う転勤は、一般に、労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えるものであることを考慮しても、本件配転命令に従ってQ2市において就労することにより、Xに著しい損害又は急迫の危険が生じるとはいえず、保全の必要性が認められない。

転居を伴う配転であったとしても、裁判所は、よほど不合理と認められる場合でなければ、基本的には会社の裁量を尊重します。

北海道から沖縄まで2~3年で配転している裁判官からすると、「まあ、そういうこともあるよね」という感じでしょうか。

転居を伴う配転命令の対応については顧問弁護士に相談しながら行うことをおすすめいたします。

本の紹介1279 「ズバ抜けた結果」を出す人の行動習慣#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

タイトルからわかるとおり、日々の行動習慣こそがすべてだと言っていいでしょう。

日々の積み重ねに勝るものはありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

多くの人が大きな事を成し遂げる可能性を持っているのに、その可能性を活かしきれていないように感じます。その可能性を活かせるかどうかは、行動しだいです。仕事における結果の差は、行動の差によって決まります。この差を埋めるのに必要なのは、能力ではなく、行動へつなげるための意識の持ち方です。『才能の差は5倍、意識の差は100倍』」(204頁)

知識よりも意識。

意識の差が、日々の行動の差となります。

行動の差が、成果の差となります。

自分の人生は自分で切り拓くしかありません。

人生を切り拓くために必要な準備にどれだけの時間を費やしてきたか。

まさにこの点が最大のポイントです。

さまざまな雑務に追われ、気づいたら1日終わっていたという方がほとんどではないでしょうか。

この状況から抜け出すのは至難の業ですが、隙間時間を見つけて、準備に集中するほかありません。

人が寝ているとき、休んでいる、遊んでいるときに、努力を積み重ねるしかないのです。

解雇365 会社解散に伴う解雇の有効性の判断基準(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、会社解散に伴う解雇の有効性の判断基準に関する裁判例を見てみましょう。

龍生自動車事件(東京地裁令和3年10月28日・労経速2473号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と労働契約を締結したXが、Y社から解雇されたことについて、Y社に対し、①当該解雇が無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに解雇後の賃金月額19万3894円+遅延損害金の支払を求めるとともに、②Y社による違法な解雇及び本件訴訟における不誠実な態度が不法行為を構成すると主張して、Y社に対し、慰謝料100万円の支払をもとめる事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 会社の解散は、会社が自由に決定すべき事柄であり、会社が解散されれば、労働者の雇用を継続する基盤が存在しないことになるから、解散に伴って解雇がされた場合に、当該解雇が解雇権の濫用に当たるか否かを判断する際には、いわゆる整理解雇法理により判断するのは相当でない。もっとも、①手続的配慮を著しく欠いたまま解雇が行われたものと評価される場合や、②解雇の原因となった解散が仮装されたもの、又は既存の従業員を排除するなど不当な目的でなされたものと評価される場合は、当該解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であるとは認められず、解雇権を濫用したものとして無効になるというべきである(なお、仮にXの主張するとおり、本件解雇が解散に伴うものではなく事業の廃止に伴うものと解したとしても、Y社が全ての事業を廃止している以上、労働者の雇用を継続する基盤が存在しないことは会社が解散された場合と同様であり、解散に伴う解雇と同様の枠組みにより判断すべきこととなると解される。)

2 本件解雇は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大や緊急事態宣言発出に伴う営業収入の急激な減少という予見困難な事態を契機としてなされたものであって、Y社がXに対し事前に有意な情報提供をすることは困難であった上、解雇後には一応の手続的配慮がされていたことからすれば、本件解雇が著しく手続的配慮を欠いたまま行われたということはできない。

解散に伴う整理解雇の有効性について、上記判例のポイント1の規範を押さえておきましょう。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。