本の紹介1328 レバレッジ時間術#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

レバレッジシリーズ、懐かしいですね。

いかに時間を作り出し、いかに多くの成果を生み出すか。

日々、忙しい、忙しいと嘆いている方は、是非読んでみましょう。

忙しくて本を読む時間なんてないでしょうか(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・ルーチンワークというものは、ほうっておけばどんどん増えていきます。ただ漫然と、それまでと同じ時間をかけていたら、重要な仕事や自分の楽しみのために使える時間は削られていきます。1日24時間の枠は変わらないので、当然、仕事の成果は減っていきます。いわば資産がマイナスになって、負債が雪だるま式に増えていくようなものです。」(34頁)

自由な時間が有り余っている人は別として、多くの方は、日々、あれやこれやと忙しいわけです。

常に時間に追われている中で、どうやって時間を捻出し、その時間を何に費やすか、という問題は、その人の人生を大きく左右するくらい大切なことです。

時間を捻出する際に、まず決めなければいけないのは、「何をやるか」ではなく、「何をやらないか」です。

換言すれば、「優先順位の切り替え」が必要です。

まずはここから着手しない限り、自由な時間は決して生まれません。

不当労働行為296 横領等を理由とする組合の分会長を懲戒解雇処分としたことが不当労働行為にあたるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、横領等を理由とする組合の分会長を懲戒解雇処分としたことが不当労働行為にあたるとされた事案を見ていきましょう。

樽本機工事件(大阪府労委令和3年1月22日・労判1266号122頁)

【事案の概要】

本件は、横領等を理由とする組合の分会長を懲戒解雇処分としたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 F分会長が本件解体下架工事においてQから支払われたスクラップ代金の一部をG次長から受け取ったことが、懲戒解雇処分に値する着服、横領であると判断するには、なお証拠不十分であると言わざるを得ず、そうした会社の判断が妥当であるかどうかについては、疑問の残るところである。

2 本件懲戒解雇処分は、団交において労使関係の運営に係る事項を中心に労使間の主張の相違が解消されない中で、会社が組合に対して一方的に否定的な感情及び警戒感を抱いている状況において、当日行われる予定の第3回団交を意識してF分会長に通知され、かつ、分会結成通知の翌日から準備を始めて、3か月足らずという極めて近接した時期になされ、その理由の合理性については疑問が残り、その手続が合理性を欠き、さらに、その結果として、組合員でない他の4名の従業員に対する処分との間には大きな不均衡が存在するのであるから、会社の不当労働行為意思に基づいてなされたものとみるべきであって、組合員であるが故の不利益取扱いに当たり、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為である。

組合員に対する懲戒解雇の不当労働行為該当性は、一般的な懲戒解雇の有効性判断と特に大きな違いはありません。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1327 仕事のヒント#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

タイトルのとおり、著者が考える仕事をうまく進めるヒントが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

半年後のあなたは、いま、この瞬間に決まっている。
半年後の計画がどれだけ具体的に決まっているかで、その人の半年後がわかる。半年後のイメージがぼんやりしている人は、半年後もぼんやりしている。半年後のイメージがクリアな人は、半年後、そのイメージ以上に成長している。」(150頁)

40歳にもなると、これまで自分の価値の向上に努めてきた人たちと、そうでない人たちとでは、もはや如何ともし難いくらいの差が生じてしまっているように感じます。

20代、30代で、どれだけの準備をしてきたか。

日々、忙しい中で、いかに自分の価値を高めるために時間を費やしてきたか。

もうほとんどこの点に尽きるのではないでしょうか。

国力の低下は火を見るよりも明らかです。

すでに国外への出稼ぎについて報道されるようになっている状況です。

老後どころではなく、まさに今をどのように生きていくのか、そのためにどのような準備をすべきかを考える必要があります。

不当労働行為295 組合の申し入れた団交に対し、法人が団交開催時刻および団交開催場所を指定したこと等が不当労働行為に当たらないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡) 

おはようございます。

今日は、組合の申し入れた団交に対し、法人が団交開催時刻および団交開催場所を指定したこと等が不当労働行為に当たらないとされた事案を見ていきましょう。

学校法人スバルが丘学園事件(大阪府委令和3年2月15日・労判1266号121頁)

【事案の概要】

本件は、組合の申し入れた団交に対し、法人が団交開催時刻および団交開催場所を指定したこと等が不当労働行為にあたるかが争われた事案を見ていきましょう。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 法人は、就業時間内に団交を行うことで差しさわりがある点を示している一方、組合は、法人が提案する午後6時からの団交開始により、いかなる不利益や不都合があるかを具体的に示すことなく、就業時間内での団交開催を求め続けていたといえ、かかる組合の対応は、就業時間内での団交開催時刻が合意に達しなかったことについて、法人のみに責任があるとはいえない

2 法人が神戸市勤労会館を団交開催場所として提案したことは合理的であったといえ、また、神戸市勤労会館で団交を開催することにより、組合又は少なくとも本件組合員3名に対し格別の不利益をもたらすとはいえず、さらに、法人は、組合が提案する場所以外を指定する理由を組合に一定説明していたといえるのであるから、法人が提案した神戸市勤労会館も団交の開催場所として認め得るところである。
したがって、法人が、神戸市勤労会館での団交開催を主張し、組合の本校内会議室での開催の求めに応じなかったからといって、かかる法人の対応を不合理であったということはできない
組合は、本校会議室以外の場所で団交を開催することで、組合又は組合員が、いかなる不利益を被るかについて具体的に提示することなく、本校会議室での団交開催を求め続けたといえ、かかる組合の対応は、団交の開催場所について労使で協議して決定するという姿勢に欠けていたといわざるを得ない
以上のことからすると、団交開催場所について合意に達しなかったことについて、法人のみ責任があるとはいえない。

開催時間や開催場所を巡って紛争化するケースは少なくありません。

一般的な考え方は、上記命令のポイントのとおりですので、しっかり押さえておきましょう。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1326 ウォーレン・バフェット 賢者の教え#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から11年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

バフェットさんの考え方が詰まっています。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

頭脳も肉体も1つしかない。それを一生使わなければならない。ただ長い間、乗り回すだけなら楽なものだ。しかし、頭脳も体も大切にしないと、40年後に自動車と同じようにぼろぼろになる。それが今から、今日から、やらなければならないことだ。10年、20年、30年後の頭脳と肉体の働き具合が、それで決まるんだよ」(101頁)

脳も体もメンテナンスをしなければ、年々、劣化していくことは疑う余地のない事実です。

仕事は長期戦ですので、やはり最後に物を言うのは体力です。

詰まるところ、意識して「運動・栄養・休養」のバランスを保つことが長きにわたり活躍する上では必要不可欠と言っていいでしょう。

忙しい、忙しいと言って、この3つのバランスを疎かにすると、長期戦で勝つことは難しいでしょう。

不当労働行為294 法人が組合を批判する内容の文書を全職員に配布したことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、法人が組合を批判する内容の文書を全職員に配布したことが不当労働行為にあたるとされた事案を見ていきましょう。

社会福祉法人千歳会事件(千葉県労委令和3年7月27日・労判1266号116頁)

【事案の概要】

本件は、法人が組合を批判する内容の文書を全職員に配布したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 法人は、B1理事長名で12月20文書を、給与明細と共に全職員に配布した。そして、12月20日文書は、①「真摯に業務に励まれる職員の皆様」を対象としているが、全職員に配布した事実の下では全職員を対象にしたといえ、②12月20日文書の記載内容は、組合の提出した統一要求書に対する法人の回答を報告する内容のほか、組合を批判し、組合と組合に加入していない職員・法人とを対立させるものであり、③12月20日文書の配布時期は、本件不当労働行為救済申立てがなされた後であり、④12月20日文書の名義は、法人の代表者である理事長であり、⑤12月20日文書の内容をみるに、当該文書は、組合の要求内容及び活動は不適当であり、当該要求が受けられた場合は組織が衰退し消滅するとの印象を法人職員に与え、組合への不信感を抱かせるものであるから、法人職員の組合への加入を抑止し、組合活動への指示を失わせるとともに、組合の活動を委縮させる効果を生じさせるものといえる。
これらのことから総合して考えると、12月20日文書の配布は、組合員に対し威嚇的効果を与え、組合の組織、運営に影響を及ぼすものであるといえる。
以上のことから、・・・支配介入に当たり、労組法7条3号に当たる不当労働行為である。

労働組合法(不当労働行為)のルールを把握しておらず、かつ、事前にレクチャーする専門家がいない場合には、このような紛争に発展しがちです。お気をつけください。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1325 ラクして成果が上がる理系的仕事術#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

著者が考えるインプット、アウトプットの効果的な方法が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

世の中の仕事の八割は、すでに存在する良質な内容を組みなおして、新しいレポートを作成することで通用する。たいていの新知見は、先人の蓄積の上に成り立っている。自分がまったく新たに考え出したことなど、ごくわずかしかないはずなのだ。純粋にオリジナルな仕事は、まずほとんどないと思っていい。」(168~169頁)

このことを理解している人は、不必要な労力をかけずに一定の成果をあげています。

多くの場合、「新しい」ことに固執する必要はなく、既存の組み合わせと見せ方によって「新しそう」に見えるだけです。

自分で勝手にハードルを上げて、右往左往するくらいなら、徹底的に模倣してみてはいかがでしょうか。

世の中のほとんどすべては、何かの模倣です。

不当労働行為293 組合員2名を含む新入職員7名に対し、組合加入の事実関係等について確認したことが支配介入にあたるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、法人が、組合員2名を含む新入職員7名に対し、組合加入の事実関係等について確認したことが支配介入にあたるとされた事案を見ていきましょう。

一般財団法人日本モーターボート競走会事件(東京都労委令和3年12月21日・労判1266号113頁)

【事案の概要】

本件は、法人が、組合員2名を含む新入職員7名に対し、組合加入の事実関係等について確認したことが支配介入にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

支配介入にあたる

【命令のポイント】

1 本件ヒアリングは、組合員のB及びCとその同期である非組合員5名を訓練後に養成所の教官室に呼び出し、D人事課長が各人と電話で話をする方法で行われている。このように法人が、新入職員7名を教官室に一斉に呼び出し、養成所の職員ではなく本部の人事課長が、組合の勧誘方法、組合加入の経緯又は加入の意思、他の職員の組合加入状況などを詳細に質問すれば、新入職員は、法人が、職員の組合加入の動向等を取り分け注視していることを知るとともに、法人の対応に動揺することは容易に想像できるところである。
そうだとすれば、本件ヒアリングは、組合加入者を動揺させ、組合未加入者に対しては、組合加入を躊躇させるものであったといわざるを得ない。
以上のとおり、本件ヒアリングは、新入職員に対して、法人が職員の組合加入を注視していることを意識させ、組合加入を躊躇させるものであったことから、組合の組織運営に対する支配介入に当たる。

会社の気持ちはわかりますが、これでは不当労働行為になってしまいます。

組合に加入するなとストレートに言わなくても、不当労働行為に当たりますのでご注意ください。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1324 砂漠から芽を出せ!#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

サブタイトルは、「どんな逆境でも絶対折れない自分をつくる50の言葉」です。

「自立」と「挑戦」がこの本のテーマになっています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

だからよく心得よ。現状維持は、最大のリスクだと。
・・・成功している人は全員、そんな何もない明日が怖いから、頑張り続けているんだ。だから不安感を持て。そして願うんだ。さらなる進化を。」(169頁)

そもそもこんな不安定で先が読めない時代に「現状維持」を目標にするのはどうかしています。

先が読めなくても、否、先が読めないからこそ、その場に立ち止まっていることはリスクでしかないのです。

昨日と同じ今日、今日と同じ明日が来るなんて保証はありません。

だからこそ、がむしゃらに努力をして、成長・進化をする必要があるのだと確信しています。

もはや遊んでいる場合ではないのです。

有期労働契約114 中途採用者に対する当初の短期間での雇用契約が試用期間ではないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、中途採用者に対する当初の短期間での雇用契約が試用期間ではないとされた事案を見ていきましょう。

電通オンデマンドグラフィック事件(東京地裁令和2年6月23日・労経速2485号37頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と労働契約を締結して就労していたXが、契約期間満了を理由に雇止めされたところ、主位的には、Y社との間で締結していた労働契約は有期労働契約ではなく、試用期間付無期労働契約であるから、期間満了により終了することはないと主張し、予備的には、仮に有期労働契約であるとしても、Y社による雇止めは客観的合理的理由を欠き、社会通念上の相当性もなく無効であると主張して、Y社に対し、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、平成31年4月から本判決確定の日までの賃金(月額22万4000円)+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、被告のB取締役が採用面接の際に原告に説明したように、本件労働契約の期間は「社員試用期間」であり、「業務内容や社風などを双方で確認する」ための期間であるから、その性質は試用期間であり、本件労働契約は解約権留保付きの無期労働契約であると解されるべきであると主張する。
しかしながら、法律上、有期労働契約の利用目的に特別な限定は設けられておらず、労働者の能力や適性を判断するために有期労働契約を利用することもできると解される。
特に、本件のような中途採用の場合には、即戦力となる労働者を求めていることが少なくなく、即戦力となることを確認できた者との間でのみ正社員としての労働契約を締結するための手段として、有期労働契約を利用することには相応の合理的理由があると認められる。
したがって、労働契約において期間を定めた目的が労働者の能力や適性の見極めにあったとしても、それだけでは当該期間が契約期間なのか、試用期間なのかを決めることはできないというべきである。
期間の定めのある労働契約が締結された場合に、その期間が存続期間なのか、それとも試用期間であるかは、契約当事者において当該期間の満了により当該労働契約が当然に終了する旨の合意をしていたか否かにより決せられるというべきである。
これを本件についてみるに、XとY社は、本件労働契約においてXの地位を6か月間の期間の定めのある有期契約社員と定めていることや、本件有期契約社員規則2条が有期契約社員の労働契約において定められる期間は「契約期間」であると明記し、同規則3条が原則として「契約期間満了時には当然にその契約は終了する。」、例外的に契約が更新される場合であっても、その回数は1回に、その期間は6か月以内に限られ、「この場合も、継続的な雇用ではない。」と明確に定めていることに照らすと、原告と被告は、本件労働契約を締結するに当たり、期間の満了により本件労働契約が当然に終了することを明確に合意していたと認められる。

2 確かに、Xが正社員として雇用されることを希望して、Y社と本件労働契約を締結したことは認められる。
しかしながら、その一方で、Xは、B取締役から、本件労働契約が6か月間の期間の定めのある有期契約社員を採用するものであり、その期間は延長されることがあるものの、最長で6か月(通算で1年間)に限られると説明されたことや、Cから採用条件の説明を受けた際、「2.雇用形態 有期契約社員」、「3.契約期間 2018年4月1日から2018年9月30日まで(6ヵ月)」などと記載された本件採用条件承諾書1を交付され、これに基づいて説明を受けた上、Xにおいてこれを持ち帰って自ら改めてその内容を確認・検討する機会を得た上で、これに署名して提出し、その際、その記載内容について特段の疑問を呈することもしなかったことに照らすと、本件労働契約の期間満了後に改めて正社員として採用されるチャンスはあると思ってはいたものの、本件労働契約がその期間の満了により当然に終了すること自体は十分に認識していたというべきである。
このことは、Xが、平成30年3月14日の面談の翌日にB取締役に宛てたメールにおいて、「御社では将来的に正社員として働くチャンスがあると思い面接させて頂きました。」と述べていることからもうかがうことができる。

結論部分のみを捉えて、安易に真似をするのはやめましょう。

しっかりと事案を読むと、そう簡単に試用期間目的で有期雇用契約とすることが広く認められているわけではないことがわかります。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。