本の紹介2146 才能を伸ばすシンプルな本#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

1頁目にアリストテレスの言葉が紹介されています。

人間は繰り返しおこなっていることの結果である。したがって、卓越性とは行為ではなく習慣なのだ。

もうこれだけで十分です。

この本では、習慣がいかに重要であるかがこれでもかというくらい書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

新しい習慣を確立するためには、ゆっくりとはじめよう。最初はぶざまでイライラすることを覚悟しなければならない。新しい神経回路がまだ形成されていないから、脳は古いパターンにしがみつこうとする。だから、難度を少しずつ高めて新しい習慣を確立することが重要になる。時間は多少かかるが、新しい習慣を確立するには、これ以外に方法がない。」(151頁)

新しい習慣を確立する上で重要なのは、「三日坊主」をいかにクリアするか、という点です。

つまり、最初が肝心ということです。

逆に言えば、最初さえクリアでき、習慣化さえできてしまえば、あとは苦も無く続けることができます。

そのことを強く意識することが習慣化をする上で決定的に重要なのです。

解雇414 試用期間中の解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、試用期間中の解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

日本コーキ事件(東京地裁令和3年10月20日・労判1313号87頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結し、試用期間中に解雇されたXが、解雇が無効であると主張して、Y社に対し、①労働契約上の地位を有することの確認を求め(請求1項)、②未払賃金及びこれに対する遅延損害金の支払(請求2~4項)を求めるとともに、③解雇が違法であるとして、不法行為に基づき、損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払(請求5項)を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、採用の申込みに当たり、①添え状に、ステンレス、アルミニウム、チタン等のTIG溶接を主に経験してきたことや、板厚も1mmから20mm位までのあらゆる形状のものを製作してきたこと、②履歴書に、TIG溶接が得意であること、③職務経歴書にも、c社においてTIG溶接の技術指導を行ってきたことや、金属加工業を営む会社でアルミ溶接の専任として勤務したことなどを記載している。これらの記載を素直に読めば、Xが、母材の種類や厚みを問わず、商品化に耐え得るだけのTIG溶接の技術力、あるいは、少なくとも専門学校等を卒業したばかりの者に期待される水準を上回る技術力を有し、溶接グループにおける即戦力として期待できるものと受け取るのが自然である。

2 Xは、採用面接と併せて実施された作業テストにおいて、ステンレスのTIG溶接を満足に行うことができなかったものの、①ステンレスの薄物のTIG溶接についても、経験があり、勘を取り戻せばできる旨や、すぐに勘を取り戻せる旨を述べていたこと、②TIG溶接の手順自体は習得していたこと、③作業テストは長くても20分ないし30分程度のものであったこと、④前記の添え状、履歴書及び職務経歴書が提出されていたことからすれば、Xの上記発言を信じ、試用期間中の作業内容を吟味して本採用するか否かを決定することとしたことには、合理的な理由があるというべきである。
しかるに、Xは、濾過機を構成する部品のうち、専門学校等を卒業したばかりの者が製作目標とするような、上蓋ストッパーや圧力スイッチカバーを満足に製作することができず、複数の母材を溶接することさえ要しない引っ掛けドライバーについても曲げる部分の位置や角度を統一することができず、Xが製作した製品のほとんど全てが商品にならないものであったから、Xの実際の技術水準と、履歴書等の各書類や作業テスト時におけるXの言動から期待される水準との間には、相当程度の乖離があったと認められる。
さらに、Xは、C課長から溶接不良の箇所をマーカーで示しながら、溶接が過剰な部分があり、ムラが生じていることや、溶接すべき部分がずれていることなど、溶接不良の原因について具体的な指摘を受けていたにもかかわらず、Y社代表者との面談において、溶接のポイントがずれているという指摘がいかなる趣旨であるか理解できないなどと述べ、その後も溶接不良が改善されなかった
そして、Xが本件解雇までに製作した製品の数は合計で数百点に及び、Xの技術水準を判断するには十分であったと認められるから、Y社において、試用期間の満了を待たずに、Xが期待された技術水準に達する見込みがないと判断したことにも合理的な理由があるというべきである。
以上の諸事情に照らせば、本件解雇は、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる。

理屈は非常にわかりやすいですね。

大切なのは、裁判所にこのように認定してもらうために、上記の事実を裏付ける証拠をどのように収集するかという点です。

解雇を有効にするためには、日頃の労務管理が非常に重要です。日頃から顧問弁護士に相談できる体制を整えましょう。

本の紹介2145 加速成功#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

サブタイトルは、「願望を短期間で達成する魔術」です。

正しい方法で最短で結果を出す方法が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

小さな目標を達成できない人に、大きな目標は決して達成できません。小さな結果を出すことにこだわらない人が、大きな結果を出せるはずがないのです。」(114頁)

すべては日々の積み重ねですから、日頃怠惰な生活を送っておきながら、結果だけを欲してもどうしようもありません。

人が寝ているとき、休んでいるとき、遊んでいるときに、努力を積み重ねたからこそ、結果が出るのです。

やっている人はずっと前からやっている。

やらない人はなにがあってもやらない。

nature or nurture論争はさておき、これが現実です。

管理監督者61 部長職の管理監督者該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、部長職の管理監督者該当性に関する裁判例を見ていきましょう。

ネクスコン・ジャパン事件(大阪地裁令和3年3月12日・労判1313号98頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、①平成28年12月21日から平成31年2月20日までの間に時間外労働を行ったとして割増賃金+遅延損害金の支払、②年俸の一部(賞与とされている部分の一部)が未払いであるとして、未払額+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 職務内容・権限及び責任の重要性について
a Xは、Y社の営業管理部の部長であったところ、Y社において部長職にあったのは、Y社及びCの2名であり、Xより上位の職にあったのはY社代表者らの取締役のみであったものである。そうすると、Xは、Y社において、取締役に次ぐ高位の地位にあったと評価することができる。
b また、Y社では取締役会が開催されていたところ、取締役会の参加者はY社代表者、取締役2名、X(経営管理部長)、C(技術開発部長)、営業部次長の6名であり、その参加者の役職及び会の名称に照らせば、Y社の経営方針の決定等に関する重要な会議であったということができる。そして、Xは、取締役会に出席して、業務、決算、事業計画等について、報告や意見を述べるなどしていたものであるから、Xは、Y社の経営方針の決定に参画していたといえる。
c さらに、Y社はデジタル端末機用バッテリー保護回路製造業、リチウムイオン電池用保護回路の設計、開発、製造、販売及び輸出入等を業とする株式会社であったところ、Xは、不動産事業に関する社外講座を受講するなどした上で、平成30年5月に、これまでの事業とは異なる不動産事業及び人材紹介事業という新規事業に参入することを立案し、新規事業計画書を提出している。しかも、同新規事業に関する一連のやり取りをみると、XがあたかもY社で不動産事業及び人材紹介業を行うことが決定事項であるとして取締役に対し、住民票の提出を求めたのに対し、Y社代表者が更なる協議や定款変更の手続が必要であるとの意見を述べたが、Xは、Y社代表者に対し、定款変更が取締役会の決議事項ではなく株主総会の決議事項であるとしてY社代表者の誤りを指摘すると共に、新規事業計画書提出するという推移をたどっているところ、このような時系列やメールの文面に照らせば、Xが積極的に新規事業計画を立案し、取締役らに対し、提案していたことが明らかである。そして、新規事業を行うというのは正に経営に関する事項である。
d 加えて、Y社においては、平成30年4月頃、売上げが減少し、会社の規模が縮小していくなどの理由からリストラが計画されていたところ、リストラが、企業の経営に大きな影響を与える極めて重要な施策であることはいうまでもない。Xは、誰かから指示されたものではなく、自らリストラを立案して提案し、リストラ計画の責任者として、平成30年4月19日にY社代理人事務所を訪問し、リストラの時期、対象者の選定、対象者への説明について協議し、削減対象者との面接も行うなどしているところ、このようなXが果たしていた役割に照らせば、Xが、リストラというY社における重要な施策の中心的立場にあったということができ、ひいては、経営の中枢に参画していたものといえる。
e Xの供述を前提とすれば、Xは従業員の出勤簿の承認欄に押印していること、勤怠管理システムが利用できない場合にはX宛に残業時間を申告するよう指示していることが認められるところ、かかる事実からは、Xが従業員の労働時間の把握という労務管理をする立場にあったということができる。
f Xは、労働組合との団体交渉に会社側担当者として出席していたところ、団体交渉の意義に照らせば、労使双方が必要資料等に基づき、賃金や賞与の額等の交渉事項について協議を行っていくものであり、会社側担当者として出席するためには、交渉事項について、事前の準備・検討が必要であることがいうまでもなく、Xが、会社側担当者として、事前の準備・検討を行った上で団体交渉に出席し、実質的な協議に臨んでいたことは既に説示したとおりである。そうすると、Xは、Y社の経営に関与していたと評価することができる。
g 以上に加えて、XがY社の貴重品を管理する立場にあったことなどをも併せ考慮すれば、Xは、Y社において、対外的にも対内的にも重要な職務に関与していたものであり、その権限及び責任は重要なものであったと評価することができる。

珍しく管理監督者性が肯定されています。

このような働き方をしている「部長」が世の中にどれほどいるでしょうか・・・。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。   

本の紹介2144 外資系エリートがすでに始めているヨガの習慣#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

心の安定がビジネスにおいていかに重要であるかがよくわかります。

ビジネスは長期戦ですから、いかにメンタルを安定させ続けられるかは勝者の重要な要素となります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『過剰』ではなく『シンプル』であること。『外面』より『内面』を鍛えること。それが本当の意味での豊かさなのだ。」(94頁)

これも結局のところ、何をもって幸せと感じるのかという問題と同じことです。

たくさんのブランド品を身に着けて、幸せを感じるのであれば、そうすればいいのです。

他人がとやかく言う問題ではありません。

私のように、できるだけモノを持ちたくない人は、まったく興味のないことですが。

ブランド品、豪華な家、高級時計は、何1つほしくありません。

幸せ度が1ミリも上がらないからです。

今のように、好きなように生きられる自由な生活こそが、真の豊かさなのだと確信しています。

派遣労働33 紹介予定派遣就業者との労働契約の成否(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今日は、紹介予定派遣就業者との労働契約の成否に関する裁判例を見ていきましょう。

任天堂ほか事件(京都地裁令和6年2月27日・労判1313号5頁)

【事案の概要】

(1)Xらは、紹介予定派遣によってY社で就労していたところ、派遣期間満了後、Y社はXらを雇用しなかった(ここでいう紹介予定派遣は、労働者派遣法2条4号所定のものである。)。
(2)XらのY社らに対する請求の概要は、以下のとおりである。
ア Xらは、XらとY社との間に直接の労働契約が成立したと主張して、Y社に対して、前記第1の1のとおり、それぞれ労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに未払賃金+遅延損害金の支払を求めた。
イ XらとY社との間の労働契約が成立したとは認められない場合の予備的請求として、Xらは、Y社によって、Y社に直接雇用されるとの合理的期待を侵害されたと主張して、Y社に対して、前記第1の2のとおり、不法行為に基づく損害賠償(Xそれぞれにつき800万円)+遅延損害金の支払を求めた。
ウ Xらは、Y社で就労中、Y社の被用者であるY2からパワーハラスメントを受け、Y社に苦情を申し出ても対処されなかったと主張して、前記第1の3のとおり、Y2に対しては不法行為に基づき、Y社に対しては使用者責任又は安全配慮義務違反の不法行為に基づき、損害賠償(原告それぞれにつき100万円)+遅延損害金の連帯支払を求めた。

【裁判所の判断】

Y社らは、Xらに対し、連帯してXら各自につき10万円+遅延損害金を支払え。
Xらのその余の請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 Xらには、派遣期間満了後に直接雇用されるとの合理的期待が認められることから、Y社が直接雇用を拒否することは許されず、派遣期間満了時にY社との間で労働契約が成立するというものである。
紹介予定派遣は、派遣期間満了後の直接雇用に向けて、事前に特定行為をすることや、事前又は就業期間中に採用内定行為をすることを許容したものであるため、派遣労働者においても、直接雇用に向けた期待を抱くことは制度上当然であるといえる。しかしながら、紹介予定派遣は、派遣先での直接雇用に至らない場合があることを制度上当然の前提としていることから、直接雇用に向けた派遣労働者の期待が直ちに法的保護に値する合理的期待であるということはできず、職業紹介を経て直接雇用が確実に見込まれる段階に至ったとか、直接雇用をしない理由が不合理であるといった特段の事情が存しない限り、直接雇用に向けての期待は法的保護に値しないというべきである。
本件では、Y社において、Xらを直接雇用するための採用行為が具体的に進展していたとは認められないところであって、Xらが職業紹介を経て直接雇用が確実に見込まれる段階にまで至っていたということはできない。また、Y社がXらを直接雇用せず紹介予定派遣を終了した理由は、派遣期間6か月間で産業医と円滑な協力体制の構築に至らなかったためであるところ、Xらは、産業医との間で円滑な協力態勢の構築に至らなかったものと認められる。Y社における産業保健の在り方としては、産業医のサポート業務を保健師が行うという形がとられていたから、保健師であるXらと産業医であるY2との協力態勢の構築は重要であり、その構築に至らなかったという点は、紹介予定派遣終了の理由として合理的なものと評価することができる。
なお、Xらに対しては、Y2のXらに対するパワーハラスメントが認められるところであるが、Xらは、Y2のパワーハラスメントが始まるより前から、産業保健の在り方について、Y社とは異なる見解を持ち、このことのため、Y2及びY社に対する不満を募らせ、人事部に対し、Xらより先任の産業医を指導せよとの申入れまでするに至っており、Y2との協力態勢の構築がかなわなかった原因の一端はXらの側にも存するというべきである。このことは、その後のY2のXらに対する言動がパワーハラスメントと評されるとしても異ならない。このような状況下において、Y社では、XらかY2かを選択すべき状況に置かれていたことから、Y社が先に雇用していたY2との労働契約を優先し、Xらを直接雇用しなかったとしても直ちに不合理であるとはいえず、Xらの期待は法的保護に値するとまではいえない。
これに対し、Xらは、労働者の合理的期待を根拠に、契約締結拒否を制限し、契約締結を認めることは、雇止めに関する判例法理上も認められていると主張する。
しかしながら、雇止め法理は、既に有期労働契約が継続していたこと及び更新の可能性があることといった前提の下で認められてきたものであり、派遣先との間で未だ直接労働契約が締結されていない紹介予定派遣の場合とは適用場面が異なり、本件においてもXらの期待が雇止め法理と同様に保護に値するものとは認められない。

紹介予定派遣において直接雇用に至らなかった事案です。

結論に異論はないと思います。

日頃から労務管理については、顧問弁護士に相談しながら行うことが大切です。

一年の締めくくり

おはようございます。

本日をもちまして、今年の営業を終了いたします。

今年も一年、皆様には大変お世話になりました。

弁護士、スタッフ一同、心より感謝申し上げます。

来年は1月6日(月)より営業を開始いたします。

来年も精一杯、依頼者の皆様のために精進してまいりますので、宜しくお願い致します。

なお、顧問先会社様におかれましては、年末年始のお休み中も対応しておりますので、

ご相談等がありましたら、いつでもご遠慮なく、栗田の携帯電話にご連絡ください。

それでは皆様、良いお年を!

本の紹介2143 魔法のコンパス(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から8年前の本ですが、再度、読み返してみました。

サブタイトルは「道なき道の歩き方」です。

西野さんらしい本の内容です。

常識では測れない発想力はとても勉強になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

通知表でいえば『オール3』という状態が最も効率が悪くて、他の教科なんて『1』でいいので、『4』を『5』にする作業をしたほうがいい。」(101頁)

仕事の内容、立場にもよりますが、自分の力で仕事を取ってくる必要がある人は、オール3を目指してもしかたがありません。

全体的に3の人よりも、狭い分野でもいいので5の人の方がお声がかかります。

自分が苦手な分野や手が回らないことは、すべて他に人にお願いすればいいのです。

そして、何かの分野で5の人は、自然と他の分野で5の人と繋がりますので、問題ありません。

セクハラ・パワハラ92 原判決を変更し、上司の性的暴行等に基づく損害賠償等請求が一部認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、原判決を変更し、上司の性的暴行等に基づく損害賠償等請求が一部認められた事案を見ていきましょう。

東京税理士会神田支部事件(東京高裁令和6年2月22日・労判1314号48頁)

【事案の概要】

本件は、本訴において、Y社との間で雇用契約を締結し、事務局職員として稼働していたXが、総務部長であるBから性的暴行を受け心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、休職せざるを得なくなったと主張して、B及びY社に対し、Bについては不法行為に基づき、Y社については使用者責任又は安全配慮義務違反に基づき、連帯して休業損害等の合計約1380万円等の支払を求め、また、Xが、本件性的暴行を原因として休職したものであり、Y社による解雇は解雇権の濫用に当たり無効であるなどと主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、未払賃金等の支払等を求め、反訴において、Bが、Xが本訴請求の提訴前に記者会見を開き、Bから性被害にあったため損害賠償請求をするなどと説明したことが名誉毀損に当たると主張して、不法行為に基づき、慰謝料等550万円等の支払並びに謝罪広告の掲載を求めた事案である。

原判決は、解雇は有効であるとして、解雇無効地位確認等請求を棄却し、Bの性的暴行は認められない等として、損害賠償請求も棄却し、Bの名誉毀損に基づく慰謝料等請求を棄却したため、X及びBが控訴した。

【裁判所の判断】

原判決変更

損害賠償等請求一部認容(本訴)

慰謝料等請求棄却(反訴)

【判例のポイント】

1 令和元年8月21日にBの事務所内で行われた一連の性的行為は、Xにおいては、支部役員である税理士と支部事務局の職員という関係を意識して、Bの言動に対してあからさまに拒絶的な態度をとることを当初控えていたものの、Bと性的行為に及ぶことを期待も受容もしていなかったのに、Bにおいて、Xに対し性的関心を抱き、性交まで進む意図の下に、徐々に性的行為をエスカレートさせていく形で、一方的に行ったものであると推認され、全体として、同意のない性的行為であったとの評価を免れず、また、Xの供述中に、居酒屋での滞在時間や、事務所内での双方の位置関係、移動状況等に関する点で事実と整合しない部分やあいまいな部分があることは、上記認定を妨げる事情とはいえないから、Bは同意のない性的行為によりXの人格権を侵害したことについて、不法行為責任を負う。

2 本件性的暴行は、XとBが、支部の業務とは無関係に、私的に飲食を共にする目的で、業務時間外に二人で居酒屋において会食をした後に、引き続き二人でBの事務所で過ごす間に起きた出来事であって、これに起因して発症したXのPTSDは業務上の疾病であるとはいえず、また、本件面談に起因してXの体調が出金できないまでに悪化したとは認められないから、本件解雇は、業務上疾病にかかり療養のために休業する期間中にされたものとは認められず、労働基準法19条に反するとはいえない。

立場に上下関係がある場合には、特に注意をする必要があります。

昨今の不同意わいせつ、不同意性交事案同様、行為者が、相手が同意していたと思っていた(勘違いしていた)としても、大きな問題に発展しますので、気を付けましょう。

社内のハラスメント問題については顧問弁護士に相談の上、適切に対応しましょう。

本の紹介2142 人生のダイヤモンドは足元に埋まっている#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から3年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

サブタイトルは「強欲資本主義時代の処方箋」です。

今日のグローバル資本主義の特徴がわかりやすく書かれています。

いかに本当の自分を見失わずに生き続けられるか、という本質的な問題を考えるきっかけになると思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人生の価値を測るものはどこにあるのか。私はまだ、この問いに対する答えを見つけていない。だが、これだけは言える。私たちはモノによって、すなわち各人が蓄えてきた有形の持ち物で、人生の重みを測ってはいけない。これほど物質的に恵まれた国では、いともたやすくこの罠に陥ってしまいがちだ。」(165頁)

物を所有することで幸せを感じることができる人は、それでいいのです。

他人がそれに対してどうこう言う必要はありません。

他人と自分を同じ尺度で測らないことです。

そんなことをして何の意味があるでしょうか。

自分自身の幸せの定義をしっかりと持っている人は、他人から何を言われようと、もはや何とも思いません。

批判されようが、嫉妬されようが、お構いなし。