賃金242 管理監督者、事業場外みなし労働時間制、固定残業制度すべての適用が否定された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、管理監督者、事業場外みなし労働時間制、固定残業制度すべての適用が否定された事案を見ていきましょう。

イノベークス事件(東京地裁令和4年3月23日・労判ジャーナル128号32頁)

【事案の概要】

本件は、本訴において、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、労働契約に基づき、未払割増賃金等の支払並びに労基法114条に基づく付加金等請求の支払を求め、反訴において、Y社が、Xに対し、不当利得に基づき、欠勤控除分の過払賃金の返還、不法行為に基づき、不当な賃上げ要求により被った損害に係る損害賠償金の支払い、及び、不当利得に基づき、過払の残業代の返還等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

管理監督者性否定

事業場外みなし労働時間制否定

固定残業制度否定

【判例のポイント】

1 Xの労働時間は、基本的に現場の勤務時間に従うこととされ、Xが毎月Y社に提出していた作業実績報告書の記載によれば、Xは基本的に定時である午前9時から午後6時までは勤務していたことが認められるから、Xが勤務時間について裁量を与えられていたことはうかがわれず、さらに、Xの給与額は、当初は月額32万5000円(諸手当込み)、その後も最大で月額40万円であったというのであり、厳格な労働時間等の規制をしなくてもその保護に欠けるところはないといえるほど待遇面で優遇措置を講じられていたと評価することはできないから、Xは、管理監督者に該当するということはできない。

2 Xの業務は、勤務場所は当該客先、勤務時間は現場の勤務時間に従うこととされていて明確であり、業務内容も一定の定型性を有していることから、Y社において事前にある程度その勤務状況や業務内容を把握することができたものということができ、また、Xは、業務時間中に常に携帯電話を所持し、Y社と連絡のつく状態でいるよう指示され、Y社代表者から連絡があった場合にはすぐに対応し、Y社代表者の指示に従い、現場で面談を行う、別の現場に移動するなどしていたというのであるから、Y社としては、勤務時間中に必要に応じてXに連絡を取り、その勤務状況等を具体的に把握することができたということができ、さらに、Xは、Y社に対し、月ごとに、毎日の始業時刻、終業時刻及び実働時間を記録した作業実績報告書を提出していたというのであるから、Y社においてXの勤務の状況を具体的に把握することが困難であったということはできず、同項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるということはできない。

3 プロジェクト手当は、就業規則第48条の事業場外みなし労働時間制に該当する者について一定額を支給するものとされているが、時間外労働に対する対価である旨の規定はなく、かえって、事業場外みなし労働時間が、労働時間を算定し難い場合に所定労働時間働いたものとみなす制度であることからすれば、上記手当は時間外労働に対する対価として支払われるものではないとみるのが自然であり、また、仮に同手当に時間外労働に対する対価の趣旨が含まれているとみるにしても、その全額が同趣旨で支払われるものであるか否かは不明といわざるを得ないから、プロジェクト手当は、時間外労働等に対する対価として支払われるものとされているとはいえないか、仮にそうであっても通常の労働時間の賃金に当たる部分と労基法37条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができるとはいえないから、時間外労働に対する対価として支払われたものとは認められない。

ご覧のとおり、すべて否定されております。

管理監督者性に関しては、開かずの扉ですので、やむを得ませんが、固定残業制度については、要件を満たせば有効に運用することができますので、専門家に事前に確認しましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介1357 「できる人」はどこがちがうのか(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から20年以上前の本ですが、再度、読み返してみました。

タイトルのとおり、「できる人」の特徴を指摘する内容になっています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

〈質問力〉の高さを測る一つの基準は、その質問の裏にある課題意識の強さである。『そんなことを聞いて一体何の役に立つのか』と思わせるあいまいな質問もあれば、ジグソーパズルの最後の一ピースを求めてくるような明確な質問もある。自分自身でジグソーパズルをある段階まで苦労して組み合わせてきたプロセスがあってはじめて、一言のアドバイスがパズル全体を完成させるキーとなる一ピースになりうる。」(59頁)

全く同意見。

質問の内容を見れば、その人の本件課題に対する認識の程度が如実にわかります。

本書にも書かれているとおり、「え、そんなこと聞いてどうするの?」「いやいや、ググればわかるじゃん、そんなこと」という質問もあれば、「なるほど、そういう問題意識を持っているんだね」と唸るような質問もあります。

「正しい」質問をするためには、正確に状況の把握ができており、下準備をしっかり行うことが前提となります。

それゆえに、質問内容を見れば、その人の能力がわかってしまうのです。

解雇379 停職6ヵ月の第2次懲戒処分を違法とした原審判断を取消し、懲戒権者の裁量逸脱・濫用が認められなかった事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、停職6ヵ月の第2次懲戒処分を違法とした原審判断を取消し、懲戒権者の裁量逸脱・濫用が認められなかった事案を見ていきましょう。

氷見市事件(最高裁令和4年6月14日・労経速2496号3頁)

【事案の概要】

普通地方公共団体であるY社の消防職員であったXは、任命権者であった氷見市消防長から、上司及び部下に対する暴行等を理由とする停職2月の懲戒処分を受け、さらに、その停職期間中に正当な理由なく上記暴行の被害者である部下に対して面会を求めたこと等を理由とする停職6月の懲戒処分(以下「第2処分」という。)を受けた。

本件は、Xが、Y社を相手に、第1処分及び第2処分の各取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める事案である。

原審は、上記事実関係等の下において、第1処分は適法であるとしてその取消請求を棄却すべきものとする一方、要旨次のとおり判断して、第2処分の取消請求を認容し、損害賠償請求の一部を認容した。
第2処分の対象となる非違行為はそれなりに悪質なものであり、被上告人は第1処分を受けても反省していないとみられるが、上記非違行為は、反社会的な違法行為とまで評価することが困難なものである上、第1処分に対する審査請求手続のためのものであって第1処分の対象となる非違行為である暴行等とは異なる面があり、同種の行為が反復される危険性等を過度に重視することは相当ではない。そうすると、第1処分の停職期間を大きく上回り、かつ、最長の期間である6月の停職とした第2処分は、重きに失するものであって社会通念上著しく妥当を欠いており、消防長に与えられた裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法なものである。

【裁判所の判断】

原判決中上告人敗訴部分を破棄する。

前項の部分につき、本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。

【判例のポイント】

1 被上告人によるHへの働き掛けは、被上告人がそれまで上司及び部下に対する暴行及び暴言を繰り返していたことを背景として、同僚であるHの弱みを指摘した上で、第1処分に係る調査に当たって同人が被上告人に不利益となる行動をとっていたならば何らかの報復があることを示唆することにより、Hを不安に陥れ、又は困惑させるものと評価することができる。
また、被上告人によるCへの働き掛けは、同人が部下であり暴行の被害者の立場にあったこと等を背景として、同人の弱みを指摘するなどした上で、第1処分に対する審査請求手続を被上告人にとって有利に進めることを目的として面会を求め、これを断ったCに対し、告訴をするなどの報復があることを示唆することにより、同人を威迫するとともに、同人を不安に陥れ、又は困惑させるものと評価することができる

2 そうすると、上記各働き掛けは、いずれも、懲戒の制度の適正な運用を妨げ、審査請求手続の公正を害する行為というほかなく、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行に明らかに該当することはもとより、その非難の程度が相当に高いと評価することが不合理であるとはいえない。また、上記各働き掛けは、上司及び部下に対する暴行等を背景としたものとして、第1処分の対象となった非違行為と同質性があるということができる。加えて、上記各働き掛けが第1処分の停職期間中にされたものであり、被上告人が上記非違行為について何ら反省していないことがうかがわれることにも照らせば、被上告人が業務に復帰した後に、上記非違行為と同種の行為が反復される危険性があると評価することも不合理であるとはいえない
以上の事情を総合考慮すると、停職6月という第2処分の量定をした消防長の判断は、懲戒の種類についてはもとより、停職期間の長さについても社会観念上著しく妥当を欠くものであるとはいえず、懲戒権者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものということはできない。
以上によれば、第2処分が裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法なものであるとした原審の判断には、懲戒権者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法があるというべきである。

ちなみに、第1審(富山地裁令和2年5月27日)は、Xの請求をすべて棄却しました。

控訴審(名古屋高裁金沢支部令和3年2月24日)は、前記のとおり、第2処分を違法として取り消し、22万円の賠償金の支払いを命じました。

このような処分の相当性に関する評価は、ぶっちゃけ、どっちの結論でも判決が書けてしまうのです。

親と裁判官は選べませんので、ぎりぎりの事案における勝敗は、もはや運と言っていいでしょう。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1356 20代からの自分を高める勉強法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

サブタイトルは、「いままでの自分に付加価値をつけ、『なりたい自分』になるための50のヒント」です。

20代、30代前半までに付加価値を付けている人は、公私ともにその後の人生における自由度が圧倒的に高まります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

もちろん、十分に考え抜いてから動けばミスは少なくなるかもしれない。しかし、ビジネスの現場では、考えている間に状況はどんどん変わってしまう。・・・つまり、考えている間にチャンスを逃してしまうことになる。動きながら、考えて、判断を下す。これがビジネスの現場ではいちばん大切なことである。」(32頁)

あとから修正できるものについては、ビジネスに限らず、どんどん行動に移すことが成功への秘訣です。

リスク・ベネフィットの判断をのんびりしているような時代ではありません。

特に大企業でありがちな何人ものはんこをもらわないとGOできないという体制は、この時代、マイナスでしかありません。

常に身軽でフレキシブルに対応できる状況を作っておくことがとってもとっても大切なのです。

労働時間87 事業場外労働のみなし制の適用の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、事業場外労働のみなし制の適用の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

協同組合グローブ事件(熊本地裁令和4年5月17日・労経速2495号9頁)

【事案の概要】

本件は、(1)Y社に勤務していたXが、①Y社に対し、賃金の未払があるなどと主張して、労働契約に基づき、未払賃金82万7948円+遅延損害金の支払等を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、29万6080円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 Y社では、業務後の報告として、訪問先への直行の有無、始業時間、終業時間、休憩時間のほか、行き先、面談者及び内容とともにそれぞれの業務時間を記載したキャリア業務日報を業務時間内に日々作成させ、毎月月末までに所属長に提出することとされていたことが認められる。
そして、Y社が提出を求めていたキャリア業務日報には、単に業務内容を記載するだけでなく、具体的な業務時間を記載することとされており、Y社は、業務の遂行の状況等につき比較的詳細な報告を受けているものというべきである。
使用者であるY社において、全ての行き先や面談者に対して業務状況を逐一確認することは困難であると考えらえるが、Xの事業場外労働では実習実施者や実習生などの第三者と接触する業務がほとんどであり、虚偽の記載をした場合にはそれが発覚する可能性が高く、実際に支所長が審査しており、業務の遂行等に疑問をもった場合、Xのほか、実習実施者や実習生などに確認することも可能であることなどからすると、同業務日報の記載についてある程度の正確性が担保されているものと評価することができる。

2 そして、労働時間の一部につき事業場外みなし制が適用される場合には、事業場外の労働について労働基準法38条の2第1項ただし書の「業務の遂行に通常必要とされる時間」を把握して労働時間を算定する必要がある。しかるに、Y社では、支給明細書上の残業時間の記載のほか、別紙労働時間算定表におけるY社の支払済み手当の残業時間等の計算を併せ見せると、Y社は、労働時間の一部が事業場外労働である場合には、キャリア業務日報に基づいて労働時間を把握した上で残業時間を算定していたことが認められる。そうすると、Y社自身、キャリア業務日報に基づいて具体的な事業場外労働時間を把握していたものと評価せざるを得ない

事業場外みなし労働時間制を採用する場合には、労働時間が算定しがたい場合である必要がありますが、過去の裁判例を参考に、裁判所が当該要件についてどのような事実に着目して判断しているのかをしっかり理解しておく必要があります。

安易に同制度を採用するとやけどしますので、ご注意ください。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介1355 勝負論 ウメハラの流儀#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

プロゲーマーの著者が考える「勝負論」が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

結局は、自分のペースでアクセルを踏み続けていた僕が残る。というより、僕しか残っていないような状況というのが正しいと思う。成長の持続は、終わりのないレースだと思ってほしい。最後まで走っていること、最後まで成長し続けていることが大切なのであって、途中のスピードや順位には固執しない。」(207頁)

フォーカスすべきは、「成功」ではなく「成長」です。

「成長」は、プロセスそのものですから、ある一地点での瞬間最大風速を意味するものではありません。

著者が言うように、大切なのは「アクセルを踏み続ける」ことです。

もうクリープ現象で自動的に先に進めるような時代はかなり前に終了しています。

人が休んでいるとき、遊んでいるときにどれだけ努力を重ねられるか。

ただそれだけの話。

労働災害112 業務上災害により後遺障害の決定を受けた原告の労災民訴の請求が、意図的な負傷として棄却された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、業務上災害により後遺障害の決定を受けた原告の労災民訴の請求が、意図的な負傷として棄却された事案を見ていきましょう。

善国工業事件(東京地裁令和4年3月30日・労経速2494号32頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員であるXが、Y社に対し、Y社において就業中に負傷したとして、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権に基づき、2232万7787円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、本人尋問において、本件事故が起こった時の状況について、おおむね次のように述べる。そして、このような状況の下、誤って右足でペダルを踏んでしまったと供述するものである。
「Xは、椅子に座り、左足はペダルの左側に、右足はペダルの右側に、ちょうど両足でペダルを挟む形で、両足ともに接地していた。その後、原告は、試し材を取りに行こうと思い、プレス機から離れようと、椅子から立ち上がりながら、両膝の後ろで椅子を押し下げ、左足に重心を置いて、左足を椅子よりも外に出した。そして、右足も左に寄せるように動かすことで、ちょうど右足でペダルをまたぐような形になった。」
「そして、椅子から腰を上げて立ち上がるまでの間のちょうど真ん中くらいのタイミングで、ダイセットの上部の、真ん中より若干左寄りのところに、こびりつくような抜きカスを見つけた。そこで、とっさに左手を出し、左の中指の爪で引っかいて取ろうとした。」

2 しかしながら、仮に、上記供述のとおり、体が左方向に動いており、重心も左足に移っているのであれば、接地している右足も、これに応じて左上方向に動くはずであるから、ペダルをまたぐような形になったという右足で、床面から18cmの高さにあるペダルの上面を、上から下に向けて垂直に踏み込むことは、身体構造上、困難である。
Xが、上述するような状態からペダルを踏み込むためには、むしろ右側に重心移動する必要があるところ、そのような状況にあったとは見受けられない。
また、Xは、右足の内側がペダルに引っ掛かった可能性があるとも述べる。しかしながら、本件プレス機のペダルは、意識して踏み込まないと時々反応しなかったり、踏み込みが甘いとプレスできないことがあるなど、通常は、それなりの力で踏み込まないと作動しないというのであり、引っ掛かった程度で作動するものではないといえる。
このようなXの上記供述内容の不合理性は、ペダルを誤って踏んだという、Xの主張の根幹部分を揺るがすものであり、そうすると、Xの、ペダルを誤って踏んだという旨の供述は信用することができない
この点、進行協議期日におけるXの事故状況の再現内容にも、上記指摘と同様の不自然さを認めることができる
さらには、XにはY社やY社の代表者から借入れがあるなどして金銭的に余裕がない状態であったことが認められるところ、過去に同様の事故を起こして保険給付を受けた経験があること、今回の事故によって得られる経済的利益は原告の収入と比較すると相当高額といえることなどの事情を鑑みると、Xが故意に本件事故を生じさせものとして矛盾がない
そうすると、Xは意図的にペダルを踏み込んだものと認めるのが相当であり、Xの負傷について、Y社の安全配慮義務違反があったと認めることはできない。
よって、その余の点について判断するまでもなく、Xの請求には理由がない。

労災認定された事件で、使用者側の過失が否定されることはありますが、本件のように労働者が意図的に負傷したと判断される例は多くありません。

使用者側はあきらめずに訴訟内でも主張を尽くすことが求められます。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介1354 みんなのたあ坊の賢人訓 中国編(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から15年以上前の本ですが、再度、読み返してみました。

よくある「いい言葉」集です。

今も昔も大切なことは変わらないことがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

少年老い易く学成り難し朱熹の詩「偶成」より)」(84頁)

有名なフレーズですね。

この後に「一寸の光陰軽んず可からず」と続きますが、まさにそのとおりです。

限られた時間に中で効果的な勉強を積み重ね、1つ1つ結果を出す。

そのプロセスを楽しめるかどうか。

この国は、今後ますます経済的に厳しい時代を迎えます。

運命だと諦めるか

自分の人生を切り拓くか

すべては自分の選択次第。

賃金241 勤務時間外の酒気帯び運転で物損事故を発生させた運転手に対する退職手当支給制限処分が有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、勤務時間外の酒気帯び運転で物損事故を発生させた運転手に対する退職手当支給制限処分が有効とされた事案を見ていきましょう。

東京都公営企業管理者交通局長事件(東京地裁令和4年3月17日・労経速2494号32頁)

【事案の概要】

地方公営企業である東京都交通局が運営する都営バスの運転手であったXは、令和2年9月9日、東京都交通局の管理者である東京都公営企業管理者交通局長から、Xが勤務時間外に酒気帯び運転をし、交通事故を発生させたことを理由として、懲戒免職処分及び一般の退職手当の全部を支給しないこととする退職手当支給制限処分を受けた。

本件は、Xが、Y社に対し、本件不支給処分は裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであると主張して、本件不支給処分の取消しを求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件非違行為は、酒気帯び運転によって物損事故を発生させたというものであり、勤務時間外に行われたものであるとはいえ、都営バスの運転手という原告の職務及びその責任に照らせば、強い非難に値する行為であるというべきである。このことは、Xの呼気から検出されたアルコール濃度が、呼気1リットルにつき0.15ミリグラムであったことにより、左右されるものではない。
また、Xは、都営バスの運転手として、長年にわたる勤務歴を有し、複数回の表彰歴も有するものの、他方で、勤務中に2回の交通事故を発生させたことからすると、Xの勤務の状況に照らして一部の支給制限にとどめるべき事情があるとまではいえない。
さらに、Xは、①本件非違行為の前日の午後11時頃以降、焼酎の水割り4、5杯とバーボンのロック3杯を飲み、アルコールが体内に残っているという認識を有していながら、知人を車で送っていくと誘い、知人を同乗させて飲酒運転を開始したこと、②普段から、自家用車を運転して飲食店に向かい、深夜まで飲酒をした後、午前7時か午前8時頃、自家用車を運転して帰宅するという行為を行っていたことからすると、Xには飲酒運転に対する規範意識が欠如していたといわざるを得ず、当該非違に至った経緯に関し、Xに有利に斟酌すべき事情は見当たらない
そして、本件非違行為は、都営バスの運転手であるXが酒気帯び運転をして交通事故を発生させたものであるから、都営バスの安全・安心な運行に対する都民の信頼を失わせるものであって、都民の理解を得て都営交通を円滑に運営するという公務の遂行に及ぼす支障の程度は決して小さいものとはいえない。
そうすると、Xが本件事故発生後速やかに本件非違行為を勤務先に報告したことや罰金を納付したことなど、非違後におけるXの言動を原告に有利に斟酌したとしても、一般の退職手当の全部を不支給とした本件不支給処分は、本件解釈運用方針に沿ったものであるというべきであり、社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとは認められない。

都営バスの運転手の酒気帯び運転の事案です。

他の類似の裁判例と比較したときに、本裁判例を妥当と考えるか厳しいと感じるかは人によるかと思います。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介1353 自分の中に毒を持て#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から11年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

サブタイトルは、「あなたは”常識人”を捨てられるか」です。

「みんなと同じ」が大好きな国ですが、それではどんどん貧しくなってしまいます。

とてもいい本です。必ず何か感じるものがあると思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

つまり自分自身の最大の敵は他人ではなく自分自身というわけだ。自分をとりまく状況に甘えて自分をごまかしてしまう、そういう誘惑はしょっちゅうある。だから自分をつっぱなして自分と闘えば、逆にほんとうの意味での生き方ができる。誰だって、つい周囲の状況に甘えて生きていくほうが楽だから、きびしさを避けて楽なほうの生き方をしようとする。ほんとうの人生を歩むかどうかの境目はこのときなのだ。安易な生き方をしたいときは、そんな自分を敵だと思って闘うんだ。」(13頁)

みなさんは、日々、最大の敵と戦っていますか。

人生は習慣の集積でできています。

そう。「ちりつも」の結果が今の自分であり、これからの自分を作ります。

言うは易しですが、これまでの習慣を変えることはほとんど不可能なくらいに難しいことです。

「人はそう簡単には変われない」

良くも悪くもそう思います。

可塑性のあるうちに良い習慣を身に付けておくと後が楽です。