本の紹介1882 最速で結果を出す人の「戦略的」時間術#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

タイトル通り、結果を出している人の時間術が紹介されています。

いかに必要なことに時間を割ける仕組みをつくるかが肝となります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

優先順位は将来を見据え、ビジネスチャンスに資源を集中投下し、結果を出すためのものである。一方、不要なものを排除することによって時間を濃縮し、仕事やビジネス全体の効率化を図ることも大切だ。重要なのは、仕事で結果を出すためには優先順位をつけることだと認識することであり、そのためにはまず、やらなくてもよいことをきっぱりとやめるというステップを踏むことである。」(85頁)

必要なことに時間を割ける仕組みを作る上で、決定的に必要なことは、「やらないことを決める」ことです。

限られた時間を雑務処理で忙殺されていては、いつまでたっても「時間がない」状況から脱出できません。

時間がない、時間がないと言っているうちに人生は終わってしまいます。

時間は皆平等に与えられています。

違うのは、時間の使い方だけ。

何にこれまで時間を使ってきたのか、その集積が今の自分を作っています。

労働時間90 警備現場からの移動時間など勤務実績報告書の提出等に要した時間が労働時間に該当するとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、警備現場からの移動時間など勤務実績報告書の提出等に要した時間が労働時間に該当するとされた事案を見ていきましょう。

テイケイ事件(東京地裁令和4年6月1日・労経速2502号28頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と労働契約を締結したXが、Y社に対し、平成30年10月から平成31年9月までの期間における時間外労働に対する割増賃金及び交通費の不払がある旨主張して、①労働契約及び労基法37条1項に基づき、8万3715円+遅延損害金、②労基法114条に基づき、付加金7万3860円+遅延損害金、③労働契約に基づき、交通費7110円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

1 Y社は、Xに対し、6万1179円+遅延損害金を支払え。

2 Y社は、Xに対し、2万8728円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Xは、毎週水曜日に、本件支社に赴き、勤務実績報告書を提出していたほか、制服等を着用し、内勤の従業員による点検を受け、シフト希望表を作成して提出し、賃金支払票の交付を受けていたことが認められるところ、これら本件業務報告等はXの業務に関連する行為であることは明らかである。
そして、本件書面には、警備員には、週に1度、水曜日に会社に来てもらい、勤務希望表及び勤務報告書の提出、給料明細の受取り、制服の点検等を行う旨記載されていること、Xは現場における業務がない日もわざわざ自宅から本件支社に赴いて本件業務報告等を行っていることを踏まえると、本件業務報告等は、Y社の明示又は黙示の指示により行った業務というべきであり、これに要した時間は労働時間に該当するというべきである。

2 Y社は、警備員に対し、勤務実績報告書を本件支社に持参することを義務付けておらず、郵送やファクシミリにより行うことも可能であった旨主張し、郵送での提出が認められたことがあることを示す証拠を提出している。
しかしながら、勤務実績報告書の提出自体は業務命令であることは明らかであるし、警備員の本件業務報告等の対応を行っていたP1課長は、警備員の7割程度は勤務実績報告書を本件支社に持参していたにもかかわらず、持参する警備員に対し、郵送やファクシミリでの対応が可能であることを明確に指示していたとはうかがわれないのであるから、例外が認められる場合はあるにせよ、原則としては本件支社に勤務実績報告書を持参することを求めていたというべきであって、勤務実績報告書の提出に要した時間は、Y社の指示により業務を行った時間というべきである。

理屈からするとこのような結論になることはほとんど争いがないところかと思います。

決して警備員に限った話ではないのでみなさんも気を付けましょう。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介1881 リーダーのための仕事術#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

まさにタイトルのとおり、著者が考えるリーダー論が説かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

これからリーダーになろうという人も、この挑戦する気持ちだけは忘れないでほしいと思います。どこでDNAのランプが灯るかわからないのですから、ひたすら努力を続けるのです。そして挑戦し続ける。さらには学び続けることが大事だと思います。」(141~142頁)

実際のところ、ある一定のポジションまで行くと、もうそんなにがむしゃらになって何かに挑戦する必要はなくなってきます。

ただ、それでもなお、挑戦をし続けている人、学び続けている人がいるのはなぜでしょう。

それは必要に迫られてやっているわけではなく、挑戦すること、学ぶことそれ自体が楽しく、生き甲斐になっているからです。

何事も強制されず、何事にも囚われず、すべてのことを自由に選択できることこそが幸せの源泉だと確信しています。

解雇385 医療法人及びその経営者に対する雇用契約上の地位確認が認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、医療法人及びその経営者に対する雇用契約上の地位確認が認められた事案について見ていきましょう。

医療法人A会事件(東京地裁令和4年6月16日・労経速2502号36頁)

【事案の概要】

本件は、現在休業している医院を設置するY1法人及びその経営を実質的に差配するY2と、当該医院に勤務していたXらとの間の紛争に関する事案である。
XらのうちX2及びX4は、まず、現在もY1法人の被用者の地位にあるにもかかわらず、Y1法人がそれを認めないとして、Y1法人に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めている。
その上で両名を含む全てのXらは、それぞれ、Y1法人に対し、各人について未払賃金、解雇予告手当、退職金等の請求をする。
また、Xらは、Y2に対し、Y1法人から上記金員が支払われず、その後Y1法人の破綻によって事実上回収が不可能になったのはY2の放漫経営等が原因であるとして、Y2に対し、不法行為に基づき、損害賠償金+遅延損害金の支払を求めている。

【裁判所の判断】

地位確認認容
→バックペイ

Y2はY1と連帯責任

【判例のポイント】

1 本件医院が管理医師不在のために休業に追い込まれたことの原因は、Y1法人を実質的に支配していたY2が、本件医院の事務局等からの助言にもかかわらず、本件医院の管理医師の確保に適切に取り組まなかったためであると認められる。
そうすると、本件医院の休業後にXらが従前どおりに本件医院で就労することができなくなったのは、専ら債権者であるY1法人の責めに帰すべき事由によるものというべきであるから、民法536条1項本文により、Y1法人は、Xらに対し、反対給付である賃金の支払を拒むことはできない。

2 Y2は、Y1法人を実質的に支配していた立場として、原告らに対し、債務弁済の基礎となる責任財産を費消してはならない義務を負っていたにもかかわらず、故意又は重大な過失によってそれを費消し、Xらの債権を事実上回収不能なものとしたものということができる。
したがって、Y2は、Xらの請求権に対して不法行為に基づく損害賠償の義務を負う(なお、上記の事実及びY2が被告法人の理事の地位にあることによれば、Y2の損害賠償義務は、医療法48条1項によっても基礎付けられると考えられる。)。

上記判例のポイント2のような理屈で個人に対する不法行為責任が認められることは押さえておきましょう。

なお、医療法48条1項は以下のとおり規定しています。

「第四十八条 医療法人の評議員又は理事若しくは監事(以下この項、次条及び第四十九条の三において「役員等」という。)がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があつたときは、当該役員等は、これによつて第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1880 小さいことにくよくよするな#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

表紙には「小さいことにくよくよするな! しょせんは、すべて小さなこと」と書かれています。

そうではないこともありますが、多くのことはそのとおりです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

なにかが期待どおりにいかなかったとき、私たちはつい『だれかのせいだ』と思いがち。捜しものが見つからないのは、だれかがどこかにおいたせい。車の調子が悪いのは、修理屋がさぼったからじゃないか。家計費が赤字なのは、カミサンが浪費したから。家が散らかりほうだいなのは、みんなが片づけないから。企画が遅れているのは、同僚がきちんと仕事していないから。例をあげればきりがない。・・・人のせいにすれば、自分の幸不幸は自分でコントロールできず、人の行動に左右されるものとなり、生きることに無気力になる。人のせいにするのをやめれば、自分のパワーを取りもどすことができる。選択者としての自分が見えてくる。」(193~194頁)

本当はすべて自分のせいなのに。

それを認められない。

認めたくない。

自分は正しい。

会社のせい、社会のせい、国のせい、あいつのせい・・・

ずっとなにかのせいにして、それを恨んで、憎んで生きていく。

そんな人は、幸せがどんどん遠のくばかり。

解雇384 異動命令の有効性は肯定されたが、非違行為は認定されず、懲戒解雇の有効性が否定された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、異動命令の有効性は肯定されたが、非違行為は認定されず、懲戒解雇の有効性が否定された事案を見ていきましょう。

スルガ銀行事件(東京地裁令和4年6月23日・労経速2503号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されて営業本部パーソナル・バンク長を務めていたが、平成30年4月1日付けで経営企画部詰審議役への異動を命じられ、これに伴い、給与が減額され、同年11月27日付けで懲戒解雇されたXが、Y社に対し、本件異動命令及び本件懲戒解雇がいずれも無効であると主張して、①Xが労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、②本件異動命令以降本件懲戒解雇まで(平成30年4月分から同年11月分まで)の差額賃金及び本件懲戒解雇後の平成30年12月分から平成31年2月分までの賃金の合計として1607万6848円の支払、③遅延損害金の支払を求め、④違法な懲戒解雇等を行った不法行為に基づき、慰謝料800万円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、次の金員を支払え。
(1) 150万円
(2) 平成31年3月から令和2年3月まで毎月22日限り50万円+遅延損害金
(3) 令和2年4月から令和3年7月まで毎月22日限り50万円+遅延損害金

【判例のポイント】

1 人事権の行使としての異動命令と、企業秩序の違反に対する懲戒権の行使である懲戒処分とは、本質的に異なるものであるところ、Y社は、本件異動命令をした際には、これを人事異動として社内掲示板に掲載し、本件懲戒解雇時と異なり、Xに対する弁明の機会の付与や懲戒処分通知書の交付といった手続を行っていないこと、「経営企画部詰審議役」への異動は、組織規程25条、本件協定5条に基づき、Y社が人事権の行使として決定し得る範囲のものであることを考慮すると、本件異動命令は人事権の行使として行われたものと認めるのが相当である。

2 人事権の行使と懲戒処分とは、その根拠も有効要件も異なるものであり、使用者はその相違を踏まえた上で人事権の行使又は懲戒処分として当該措置を執っていることを考慮すると、当該措置が人事権の行使と懲戒処分のいずれであるかを使用者の主観的意図と無関係に判断することが相当とはいえない
そして、本件異動命令が行われた当時は、e社の支払停止が発生し、e社(又はその関連会社であるg社)から家賃の支払を受けられない債務者(顧客)がY社に対する返済に窮し、シェアハウスローンが回収困難となるおそれが顕在化したことから、危機管理委員会による事実関係の調査が開始され、いずれ金融庁の検査が行われることも予想される事態となっていたことを考慮すると、Y社が、上記調査や検査に適切に対応するために、シェアハウスローンに関与してきた営業部門のトップの地位にあったXをそのままその地位に置いておくことはできないと判断したことが合理性を欠くとはいえず、本件異動命令について業務上の必要性がないとはいえない
仮に、Y社が本件異動命令を行うに当たり、Xに対する制裁目的があったとすれば、Y社が懲戒処分を意図したことを基礎づける事情にはなり得る
しかし、Xが、C会長から「シェアハウスの一連の問題があったので降りてもらう。」と告げられたとする点は、X本人の陳述書によっても、執行役員の辞任についての発言である上、Y社においては、この頃、危機管理委員会を設置して事実関係の調査を開始したばかりであったのであるから、Xに「一連の問題」の責任を取らせるには時期尚早であるともいえ、C会長の上記発言をもって本件異動命令に制裁目的があったと認めることはできない。また、G人事部長が金融庁からのヒアリングへの対応のため原告に対して退職願の撤回を求めた事実は、本件異動命令の制裁目的を推認させるものではない

人事権の行使と懲戒処分が錯綜する事案は決して少なくありません。

本裁判例で出てくる「業務上の必要性」、「制裁目的」といったキーワードを理解することがまずは大切です。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1879 トリガー・フレーズ#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

これまでの著者の本の中から「自分にスイッチを入れる」170のフレーズをピックアップしたものです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

プロスポーツ選手が費やす時間の割合は、試合20パーセント、トレーニング80パーセントと言われています。ビジネスパーソンにとっての試合は仕事、トレーニングは勉強、自己投資になります。ある調査によると、多くのビジネスパーソンが費やす時間の割合は、仕事99パーセント、自己投資1パーセント。これではほとんど練習しないまま試合に臨んでいるようなもの。」(138頁)

日本の社会人の勉強時間の少なさは有名な話ですが、とはいえ、やっている人はちゃんとやっています。

早朝や休日の時間を使って、自己投資という名のトレーニングを積み重ねることで、自分の商品価値を高めていると、次第にそれにふさわしい仕事や顧客に恵まれるものです。

不思議に感じるかもしれませんが、これが引き寄せの法則です。

賃金246 会社による賃金の消滅時効援用が権利の濫用にあたるか(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社による賃金の消滅時効援用が権利の濫用にあたるかについて争点となった事案を見ていきましょう。

酔心開発事件(東京地裁令和4年4月12日・労判1276号54頁)

【事案の概要】

本件は、未払残業代、付加金、不法行為に基づく損害賠償等を請求する事案である。

【裁判所の判断】

1 Y社はXに対し、88万8788円+遅延損害金を支払え。

2 Y社はXに対し、64万3767円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Xは、故意に割増賃金の支払を怠っていたY社が消滅時効を援用するのは権利の濫用であると主張するが、消滅時効制度は故意に義務の履行を怠っていたものを時効の援用権者から排除する仕組みをとっておらず、また、本件全証拠を検討しても、Y社がXによる権利行使を殊更に妨げたとも認められないことからすると、Y社が本件割増賃金請求について消滅時効を援用することが権利の濫用に当たると認めることはできない

2 また、Xは、当時、割増賃金の請求を委任していた前代理人らが催告を適時に行わなかったために消滅時効が完成してしまったのであり、それにもかかわらずY社が消滅時効を援用するのは、前代理人らの拙劣な対応の咎をXに押し付けることによって不当に利得を得るものであって、公序良俗に反するなどとも主張するが、X側の事情を理由にY社が時効の利益を受けることが制限される理由はない。この点に関するXの主張は、独自の主張と言わざるを得ず、採用しない。

未払賃金等の請求を行う場合には、消滅時効期間が他の債権と比べて短いため、対応を誤ると原告としては上記のような主張をせざるを得なくなります。

労働者側としては気を付けなければいけないポイントの1つです。

使用者側としては上記のような考え方を押さえておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介1878 トップ営業のお客様から「教わる力」#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から12年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

著者は、外資系生保のエグゼクティブ・ライフプランナーの方です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人というのは後でペースを落とすことはできても、逆に上げることはなかなかできないものです。最初に目一杯限界の量をこなさずして一体いつやれるのだと、徐々に気付いていきました。野球の1000本ノックと同じです。自分を限界まで追い込みヘトヘトになる練習をどれだけ積み重ねることができるかが鍵。そうすることで足腰が鍛えられ、判断力や洞察力が磨かれ、感性が研ぎ澄まされていくのです。」(97頁)

まさに最初が肝心ということです。

仕事は、最初のうちにぬるま湯に浸かってしまい、それに慣れてしまうと、もうそれが当たり前の環境になってしまうため、その後にハードな仕事をしようとしても、体が言うことを聞かないのです。

習慣というのは、私たちが思っているよりも、人生に対して大きな影響を及ぼしています。

1度身についた習慣を変更することは、本当に本当に大変です。

結局のところ、どのようなことを習慣としているかでその人の人生の大半は決まってしまうのではないかと思います。

解雇383 採用内定取消に基づく損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、採用内定取消に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。

日本振興事件(大阪地裁令和4年6月17日・労判ジャーナル130号38頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社に対し、XはY社から採用内定を得たものの、その後、Y社から違法な内定の取消しをされたと主張して、不法行為に基づき、損害金合計約230万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社のD支店の業務課長であったEがXに対して本件業務に係る労働条件を提示して労働契約締結の申入れを行い、Xがこれを承諾したことによって、XとY社との間に労働契約が締結され、Y社による採用内定が成立した旨主張するところ、確かに、Eは、Xに対し、本件業務の大まかな業務内容及び労働条件を説明して本件業務を紹介し、その後もXとのやり取りを続け、Xが博多行の新幹線乗車券を購入することを許可し、かつ、Xが業務を開始することができるように、Y社の九州支店との間で調整を行っていたことが認められるが、XとY社との間で本件業務に係る労働契約を締結することを目的とする契約書が取り交わされたとの事実を認めることはできず、Y社がXに対して本件業務に係る労働条件を明示した書面を交付したとの事実を認めることもできず、また、Y社がXに対してXを採用する旨をメールで通知したとの事実を認めることもできないこと等から、XとY社との間において、本件業務に係る労働契約を締結する旨の確定的な意思表示の合致があり、Y社による採用内定が成立していたとの事実を認めることはできない。

「確定的な意思表示の合致」がキーワードになります。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。