本の紹介2012 ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

帯には「社員のモチベーションが10割!」と書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

思いどおりにいかないことがあっても、他人のせいにしない。自分の問題として受け入れて、努力する。社員を成長させるために、社長は、『不条理な出来事もトラブルも、すべて自分を磨く砥石である』ということを早期から社員に指導していくべきだと思います。」(228頁)

何事も最初が肝心です。

何を「当たり前」とするかで、その人の人生が決まるといっても過言ではありません。

人生のアーリーステージで、メンターからどのような教えを受けたかによって、その人の価値感の大半は形成されるのだと思います。

一度形成された価値観は、そう簡単に修正されることはありません。

良くも悪くも。

解雇396 運転免許停止処分中の自動車運転行為を理由とした懲戒解雇が社会通念上の相当性を欠くとして無効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、運転免許停止処分中の自動車運転行為を理由とした懲戒解雇が社会通念上の相当性を欠くとして無効とされた事案を見ていきましょう。

トヨタモビリティ事件(東京地裁令和4年9月2日・労経速2513号19頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結していたXが、Y社に対し、Y社のXに対する懲戒解雇が無効であると主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、令和2年3月分の未払賃金26万6725円+遅延損害金等の支払を求め、上記地位確認請求が認容されない場合の予備的請求として、退職金513万6550円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

【判例のポイント】

1 本件賞罰規程9条1項及び2項において具体的に列挙された事由は刑法典に規定された犯罪を構成するものに限られていないこと、かつ、犯罪の重大性にかかわらず、あえて特別法に規定された犯罪を懲戒事由から除外する合理性も見いだし難いことからすれば、同条1項⑧及び同条2項⑤の「刑法」は、「刑法その他の刑罰法規」と解釈すべきである。

2 本件運転行為は、事故の発生を伴っていないところ、本件賞罰規程上、事故の発生を伴わない飲酒運転が懲戒解雇事由とされていないこと及び無免許運転(免停処分を受けている期間中の運転)が危険性や悪質性の点において飲酒運転のそれを超えるとは直ちにいい難いことに照らせば、これについて懲戒解雇を行うことの相当性は慎重に検討せざるを得ない
・・・以上に加え、本件運転行為が、本件店舗と近隣の商業施設との間の約1.3㎞を1回走行したにとどまること、本件運転行為によりY社に明らかな損害が発生したとは認められないこと、Xが、Y社に入社してから本件懲戒解雇(及びこれに先立つ諭旨退職)を受けるまでの約27年間にわたり、Y社から懲戒処分を受けたことがないこと等の酌むべき事情をも勘案したとき、本件運転行為について懲戒解雇を行うことは、懲戒処分の量定の均衡を欠くといわざるを得ない

相当性の要件を欠くという理由で無効と判断されています。

現場での判断がとても難しいですね。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介2011 9割の日本人が知らないお金をふやす8つの習慣#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

お金の増やし方なんて、学校では教えてくれませんからね。

自分で勉強するしかありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私の知る限り、苦労せずにお金持ちになっている人は1人もいません。まずは今の居心地の良い環境を捨て、自分にとって居心地の悪いところで新しいチャレンジをしてみてください。そうすればきっと新しい道が見えてきますよ。行動しなければあなたの人生は今のまま全く変わりませんし、社会の流れに任せていてはむしろ悪化していくだけかもしれません。」(190頁)

こんなことは、もう何十年も前から言われていることで、2023年現在も状況は何一つ変わりません。

やる人は言われなくてもやるし、やらない人はどれだけ言われてもやらないのです。

そういうものです。

この習慣の違いが積もり積もって、今の自分、これからの自分を形成します。

何の練習もせず、運任せの一発逆転ホームランを狙うのではなく、毎日、コツコツ素振りをして、ヒットを積み重ねることが、最も確実な勝ち方なのです。

No pain, no gain.

解雇395 会社情報の営業秘密性が否定され、その漏洩の事実もないにも関わらず、情報保存行為が私的目的と推認され、懲戒解雇が有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社情報の営業秘密性が否定され、その漏洩の事実もないにも関わらず、情報保存行為が私的目的と推認され、懲戒解雇が有効とされた事案を見ていきましょう。

伊藤忠商事ほか事件(東京地裁令和4年12月26日・労経速2513号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結して勤務し、Y社に対して自主退職をする旨の意思表示をした後、予定されていた退職日までの間に懲戒解雇されたXが、当該懲戒解雇は懲戒権及び解雇権の濫用に当たり、労働契約法15条及び16条に反し、違法かつ無効であって、Xは、予定されていた退職日に自主退職したものであると主張して、①Y社に対し、退職をする旨の意思表示をした後にY社から支給に関する説明を受けた、変動給(夏期賞与)の按分支払分164万4140円+遅延損害金を求めるとともに、②Y社の企業年金基金であるZ社に対し、退職金210万2400円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件アップロード行為は、Y社において重要であり、合理的な体制により管理されていた有用性及び非公知性のある機密情報を含む大量の情報を、X自身又はY社以外の第三者のために退職後に利用することを目的として、Y社の管理が及ばない領域に無差別に移転する行為であって、本件データファイル等の全部又は一部がXの転職先において有用な情報であったと認めることができないことを踏まえても、Y社の社内秩序において看過することのできない、極めて悪質な行為といわざるを得ない。
なお、本件アップデート行為後に本件データファイル等がXの支配領域から出ていないことは、Y社がサイバーセキュリティ対策を行って、システム監視やログ分析を行った結果、本件アップロード行為が早期に発覚した結果であるに過ぎないことが推認され、Xに特に有利に考慮すべき事情ということはできない。

2 従業員の非違行為により情報が事業者の管理が及ばない領域に一旦流出した場合には、その後に当該情報が悪用されるなどして事業者に金銭的な損害が生じたとしても、その立証が困難なことや、当該従業員が会社に生じた損害賠償を支払うだけの資力に欠けることもあり得るところであり、情報の社内流出に関わる非違行為に対し、損害賠償による事後的な救済は実効性に欠ける面がある。さらに、このような非違行為は、退職が決まった従業員において、特にこれを行う動機がああることが多い一方で、このような従業員による非違行為に対しては、退職金の不支給・減額が予定される懲戒解雇以外の懲戒処分では十分な抑止力とならないから、事業者の利益を守り、社内秩序を維持する上では、退職が決まった従業員による情報の社内流出に関わる非違行為に対し、事業者に金銭的損害が生じていない場合であっても、比較的広く懲戒解雇をもって臨むことも許容されるというべきである。

非常に重要な裁判例です。

本件と同種の事案は決して珍しくありませんので、是非参考にしてください。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介2010 あなたが生きづらいのは「自己嫌悪」のせいである。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

サブタイトルは、「他人に支配されず、自由に生きる技術」です。

簡単なように見えて、実はかなり難しいです。

とはいえ、すべては自分の選択です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

たしかに、『誰にも頼らないことが自立だ』と思う人は多いでしょう。しかし、これは誤解です。『多くの人に依存することが自立』なのです。」(176頁)

それがないと困る状態を「依存」と言います。

生活をする上で、また、仕事をする上では、できるだけ依存度を下げることがとても重要です。

経済的にも精神的にも。

多くの人に依存するということは、すなわち、ある特定の人に依存しないという意味ですので、結果、それぞれの人に対する依存度は下がります。

「この人がいなくなってしまったら生きていけない」という状況を作らないことです。

仕事もプライベートも。

依存は執着に変わります。

労働時間93 タイムカード等により機械的に労働時間が記録されていない場合の労働時間の算定方法(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、タイムカード等により機械的に労働時間が記録されていない場合の労働時間の算定方法に関する裁判例を見ていきましょう。

クロスゲート事件(東京地裁令和4年12月13日・労判ジャーナル134号28頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていた元従業員114条所定の付加金等の支払を求め、Xが令和元年10月7日から10日までの間のアルバイトをしていたときの未払アルバイト代等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

未払割増賃金等請求、付加金等請求一部認容

未払アルバイト第等請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社においては、Xの労働時間をタイムカード等により機械的に記録しておらず、その把握は、従業員が所定の勤務簿(MicrosoftExcelのデータ)に各日の出退勤時刻等を入力して提出する方法によりなされていたことが認められ、Y社がXの提出した出勤簿に記載された勤務時間について疑義を述べた形跡も見当たらないことに照らすと、別段の反証のない限り、Xの始業時刻及び終業時刻は当該出勤簿により認定するのが相当であり、Y社からかかる反証はなされておらず、そして、本件労働契約においては各日の休憩時間が1時間と定められているから、別段の主張立証のない限り、各日について1時間の休憩がとられていたものと認めるのが相当であり、Xからかかる主張立証はなされていないから、Xは、令和2年1月6日から5月20日までの間、「裁判所 時間シート」のとおり労務を提供したものと認められる。

会社から具体的な反証がなく、単に原告である労働者の主張立証が不十分であると反論するだけでは足りません。

労働時間を管理する義務を使用者が負っていることの帰結といえるでしょう。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2009 君なら勝者になれる#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から8年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

サブタイトルは、「成功者の『態度』と『行動』の法則」です。

天賦の「才能」ではありません。

とてもいい本です。おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

失敗する原因のほとんどは、知識や才能の不足ではなく、諦めによるものだ。成功の秘訣は、忍耐強さと抵抗力という二つの性質にある。やらなければならないことをやる忍耐強さと、やるべきでないことに抗う抵抗力である。」(85頁)

換言すれば、しつこさ、粘り強さ、諦めの悪さが極めて重要だということです。

ほんの数十回やってダメだとやめてしまう。

ほんの数年やって結果が出ないと諦めてしまう。

結果を出すのに、才能はいりません。

才能なんて言葉は、何かを諦めるときに「自分は才能がない」と言い訳に使うくらいなものです。

労働災害115 業務上の疾病該当性と退職扱い無効地位確認等請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、業務上の疾病該当性と退職扱い無効地位確認等請求に関する裁判例を見ていきましょう。

足立通信工業事件(東京地裁令和4年12月2日・労判ジャーナル134号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、Y社が休職期間満了を理由とする退職手続を執ったことについて、当該休職の原因は代表取締役であるB及び取締役会長であるCの療養中に執られたものであるから無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるほか、Y社に対しては債務不履行に基づき、B及びCに対しては不法行為及び取締役責任に基づき、長時間労働、B及びCの暴言、違法解雇、解雇撤回後のハラスメント等による慰謝料等の損害賠償等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

退職扱い無効

【判例のポイント】

1 労働基準法19条1項の業務上の疾病に該当するためには、当該疾病の発病ないし悪化に業務起因性が認められる必要があるところ、Xは、遅くとも平成29年10月中旬頃までに、抑うつ状態ないし気分(感情)障害を発症したものと認めることができ、Xの上記抑うつ状態ないし気分(感情)障害の発症については、労災認定基準のうち「仕事量が著しく増加して時間外労働も大幅に増える(倍以上に増加し、1か月当たりおおむね100時間以上となる)などの状況になり、その後の業務に多大な労力を費やした(休憩・休日を確保するのが困難なほどの状態となった等を含む)」場合に該当する事情があったものであるから、Y社における長時間労働によって発症したものというべきであるから、業務とXに発症した疾病に因果関係がないとするY社らの主張は、いずれも採用することができず、Xは、なお業務上の疾病について治癒に至ったものとはいえず、本件退職手続は、無効というべきであるから、Xは、労働契約上の権利を有する地位にある

直近で長時間労働が認められる場合には、ほとんど例外なく労災が認定され、結果、休職期間満了に伴う退職処分は労基法19条1項により無効となります。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2008 ハードワーク#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

ラグビー元日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズさんの本です。

マインドセットがいかに大切かがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『自分に満足するな。常にゼロから始めよ』このメッセージは、2015年11月から私が率いることになったイングランド代表の選手たちにも、常に発しています。イングランドはワールドカップでの優勝経験もある強いチームですが、たとえトップクラスでも、落ちたくなければ、ゼロから始めるしかないのです。いい成績を上げても、努力を怠らず、ハードワークを続けます。その繰り返しがあるだけです。」(182頁)

自分に満足し出したら、もう引退時期が迫っている証です。

もうそれ以上、成長しない、否、成長する気がないのですから。

昔取った杵柄で食っていける程、プロの世界は甘くありません。

スポーツもビジネスも。

人と同じ生活をしていて、人と違う成果は出ません。

賃金259 体調不良を理由とする自宅待機期間中の賃金請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、体調不良を理由とする自宅待機期間中の賃金請求に関する裁判例を見ていきましょう。

ゼリクス事件(東京地裁令和4年8月19日・労判ジャーナル134号44頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、体調不良のため、令和2年8月20日、仕事を休み、同月21日、38度以上の発熱があったため、Y社に報告したところ、Y社から、2週間自宅で待機するように命じられたため、この間の賃金の支払を請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 少なくとも同月20日及び同月21日については、Y社の責に帰すべき事由ではなく、また、同月22日から同月末日までの期間については、この間のXの体調は明らかではなく、Y社による自宅待機命令により就労することができなかったというべきであるが、この頃、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が生じていたこと(公知の事実)からすれば、感染が広がる危険を避けるため、発熱した労働者に2週間程度の自宅待機を命ずることには合理的な理由があったというべきであり、また、本件現場では、令和2年9月、クライアントの予算不足のため体制を縮小したことにより、Y社の人員に余剰が生じていたものであるから、令和2年8月及び同年9月分の賃金請求につき、Xの本件雇用契約に基づく就労義務の不履行については、労働基準法26条における債権者の責に帰すべき事由があったということはできないから、Xの同月分の賃金の支払請求には理由がない。

自宅待機命令の理由が本件のように不可抗力等を含め使用者側の故意・過失によらない場合には、賃金が発生しません。

もっとも、その判断は慎重に行う必要がありますのでご注意ください。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有給休暇に関する運用を行うことが肝要です。