本の紹介2027 イーロン・マスク 未来を創る男#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

本を読み返すと、時の流れの速さを感じます。

進化が止まりませんね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

普通の人ならば、あれだけのプレッシャーにさらされたら、どこかで判断ミスを起こすでしょう。イーロンはそんな状況でも明快で長期的な意思決定が下せる人間です。難しければ難しいほど、彼は力を発揮するんですよ」(201頁)

当時もそうですが、ここ最近のイーロンさんを見ていると、つくづく「図太さ」を感じずにはいられません。

なかなか簡単には真似できませんが、見習うべきところはたくさんあります。

他人の評価や意見に振り回されず、自分が正しいと思うことをやりましょう。

万人から好かれたい、嫌われたくないと思えば思う程、凡庸になってしまいます。

不当労働行為304 コロナ禍を理由に対面での団交に応じなかったことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、コロナ禍を理由に対面での団交に応じなかったことの不当労働行為該当性について見ていきましょう。

エイ・アンド・エム事件(福岡県労委令和4年3月11日・労判1286号85頁)

【事案の概要】

本件は、コロナ禍を理由に対面での団交に応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 本件において、対面による団交を行うとした場合、通常施設には出入りしていない組合側のA1委員長および会社側代理人であるB9弁護士が団交の出席者に含まれることが想定される。
そして、組合が3年1月5日付けで団交申入れを行った時点の社会情勢をみれば、福岡県内においては新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する状況にあり、それを受けて、同月14日から翌月7日までの間、緊急事態宣言が発令される状況に至っていた。
このような中、Y社が、介護を必要とする多数の高齢者が入居する施設内における新型コロナウイルス感染症の感染リスクを低減させるため、外部の者の立入り自体を制限すべきと考えることは、社会通念上不当とはいえない
また、上記の状況にあって、Y社が、高齢者の介護等に携わる施設職員が対面による団交に出席することで、新型コロナウイルス感染症に感染するリスクを考慮し、対面による実施には応じられないとしたことについては、相応に理解できるところである。
加えて、Y社は文書により一定の回答を行っている
さらに、3年3月5日、組合が処遇改善加算の支給基準を明確にすること等について団交を申し入れたことに対しては、Y社は、同月16日、書面により回答するとともに、ウェブ会議方式等による団交の実施を申し入れている
上記の事情からすれば、Y社の対応は、正当な理由なく団交を拒んだとまではいえず、労組法7条2号の不当労働行為には該当しない。

理由付け及び結論に異論はないと思います。

このような状況下において、ウェブ会議方式による団体交渉を拒否する合理的理由はないものと思われます。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介2026 超訳 努力論#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から11年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

幸田露伴の「努力論」と「修省論」を読みやすくしてくれています。

露伴さんは、まえがきによれば、「百年に一人の頭脳」の持ち主だったそうです。

そんな露伴さんの言葉を紹介してくれています。

非常にいい言葉に出会えます。 おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

同じコインは同じ価値しかもたない。もし今の自分が昨年や一昨年の自分と同じなら、自分が受け取るべき運命も同じはずだ。つまり、新しい自分を作り出さないかぎり、新しい運命を獲得することはできないということだ。同一の自分は同一の状態を繰り返すだけだ。」(014)

1年前より自分はどれほど成長したのでしょう。

毎日、怠らずに努力を続けてきたでしょうか。

自己研鑽をしなくなったら、もう終わりの始まりです。

何歳になっても、「もうこれでいい」なんてことはありません。

社会や顧客から求められる自分であり続けるために、常に自分の商品価値を高める努力をする必要があります。

労働時間97 36協定の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、36協定の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

医療法人社団菅沼会事件(東京地裁令和4年12月26日・労判ジャーナル135号46頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されているXが、Y社に対し、Y社が、Xの加入する労働組合が申し入れた過半数代表者の選出手段に関する協議等の要求を拒絶し、Xを過半数代表者の選出手続から排除し、Xがは関数代表者として選出されたにもかかわらずその地位を否定し、Xに無効な労使協定に基づく残業を指示し、もってXの権利を侵害したと主張して、不法行為に基づく損害賠償金約70万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件クリニックの従業員の過半数で組織する労働組合でなければ、Y社との間で、本件クリニックの従業員の36協定を締結する権限はないから、X以外の本件クリニックの従業員の加入者の有無・加入者数が明らかではなかった本件組合との間で、団体交渉事項とされていなかったにもかかわらず、Y社が、本件クリニックの過半数代表者の選出について事前に協議する義務はないというべきであるから、Y社がこれを拒否する旨の回答をしたことに違法はないというべきである。

2 過半数代表者の選出手続は、「協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法」によらなければならないが(労働基準法施行規則6条の2第1項2号)、使用者において立候補者の一般募集を行うことが義務付けられているものではなく、また、労働者又は労働組合からの要求によってそのような義務が生じるとも解されないから、Xが、第2回団体交渉で、本件組合との事前協議を行わないことに抗議したことなどをもって、Y社において一般募集を行う義務が生じたということはいえず、Y社が令和元年の過半数代表者の選出に当たり立候補者の一般募集を行わなかったことが不法行為を構成するとは認められない。

労使協定締結時の過半数代表者の選出方法については、一般的なルールが定められていますので、留意点をしっかりと押さえてながら進めていきましょう。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2025 賢人の知恵#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から11年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

この本の著者は、17世紀のスペインで活躍した方だそうです。

今読んでも何の違和感もないのがすごいです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人はつきあう友人によって判断される。だから、よく吟味してから注意深く選ぼう。分別に欠ける人の仲間だと決して思われないように。・・・友人関係は、たまたまできるのを待つのではなく、自分たちで選びとって作っていくものなのだ。」(32頁)

誰とどれだけ時間を共有するかによって、その人の「常識」が形成されていきます。

できるだけ自分の成長につながる人と時間を共にしましょう。

待っているだけでなく、自ら行動しなければ、何も変わりません。

チャンスは、待つものではなく、自ら作り出すものだからです。

人生を有意義なものにするのも無価値にしてしまうのも、すべては日々の自らの選択次第。

労働時間96 不動産会社における事業場外みなし労働時間制適用の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週もがんばりましょう。

今日は、不動産会社における事業場外みなし労働時間制適用の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

住友不動産事件(名古屋地裁令和5年2月10日・労判ジャーナル136号36頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に対し、雇用契約に基づき、時間外労働に対する未払割増賃金等の支払及び付加金等の支払を求め、また、Xは、パワーハラスメントを受けたとして、営業所の所長であるC及びXの指導係であるDに対しては、不法行為による損害賠償請求権に基づき、Y社に対しては、使用者責任(不法行為)、職場環境配慮義務違反又は措置義務違反(不法行為又は債務不履行)による損害賠償請求権に基づき、連帯して、330万円等の支払をもとめた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 Xは、土地の確認等のために営業所外での業務を行うことがあったと認められるが、Xは、Cに対し、一日の行動予定を毎朝メール送信しており、その中には営業所外での業務を行う予定が記載され、また、Xは営業所外での業務を行う場合でもいったん出社した上で、営業所外に移動し、再び営業所に戻っているのであるから、Y社がXの勤務の状況を具体的に把握することが困難であると認めるに足りないから、「労働時間を算定し難いとき」に該当するとは認められず、Xに対する事業場外みなし労働時間制は適用されない。

2 Cの行為について、Xに対する指導の中で半年程度の間、暴行、暴言が少なくない頻度で継続的に行われたことが認められ、XがY社を退職した理由の1つにもなったことが認められるが、他方で、Cによるハラスメントが業務と無関係に行われたものではなく、指導の必要性自体は否定できないこと等の事情を総合考慮すれば、Cの不法行為によってXに生じた精神的苦痛に対する慰謝料としては、70万円と認め、また、Y社は使用者責任に基づく損害賠償として連帯して、77万円等を支払う義務を負う。

事業場外みなし労働時間制については、過去の類似の裁判例と同様、有効に運用することは極めて困難です。

残業代請求リスクが高まりますので、安易な導入は控えましょう。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2024 菜根譚#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から11年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

この本は、今から400年程前に、中国の学者によって書かれたもので、日本には、江戸時代末期に伝わったそうです。

ちなみに、この本の題名「菜根譚」とは、「人よく菜根を咬みえば、すなわち百事なすべし」(堅い菜根をかみしめるように、苦しい境遇に耐えることができれば、人は多くのことを成し遂げることができる)という言葉に由来しているそうです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

天が幸福を授けてくれないなら、自分を磨いて幸福を得よう。天が肉体を苦しめるなら、精神を楽にして苦しみを減らそう。天が進む道を阻むなら、努力してわが道を貫き通そう。こうすれば、天といえども、どうすることもできないだろう。」(10頁)

自分の人生は自分で切り拓くしかありません。

「どうせ無理」と言って、やる前から諦めていては、結果は出るわけがありません。

まずはやってみる。

そして、いろんな言い訳をして、途中で投げ出さないことです。

負けてもゲームオーバーにはなりませんが、辞めたらそこでゲームオーバーです。

不当労働行為303 会社が団体交渉を拒否したといえるかが争われた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社が団体交渉を拒否したといえるかが争われた事案について見ていきましょう。

ヨコヅカ事件(栃木県労委令和5年1月12日・労判1286号83頁)

【事案の概要】

本件は、会社が団体交渉を拒否したといえるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

肯定

【命令のポイント】

1 令和3年11月4日の回答時点においてY社がウェブ会議を含むリモートでの団体交渉を提案しているということはできず、また、Y社が電話による話合いを提案しているとしても、そこに労使双方の合意や特段の事情があったとはいえない。さらに、Y社は、組合から要求事項の根拠となる証拠が提出されなければ団体交渉に応じないという態度であり、組合からの団体交渉申入れを拒否したものといわざるを得ない

2 Y社は、団体交渉を拒否したとしてもそれには正当な理由があるとして、解雇に対する事実の認識が異なること、そもそも解雇ではないのだから、不当解雇に関する内容は義務的団交事項に当たらない旨を主張している。
しかし、「解雇問題」は義務的団交事項であるから、Y社のその主張は採用できない。また、「社会保険等の未加入問題」及び「時間外労働賃金等の未払い」については、団体交渉を拒否する正当な理由があることについての主張及び疎明をしていないことから、これらについても正当な理由があったとはいえない。

上記命令のポイント1、2における使用者側の主張は、いずれも団体交渉の基本的ルールからすれば、採用されないことは明らかです。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介2023 ニーチェの言葉#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から11年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

タイトルのとおり、ニーチェの言葉がたくさん紹介されています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

脱皮しない蛇は破滅する。人間もまったく同じだ。古い考えの皮をいつまでもかぶっていればやがて内側から腐っていき、成長することなどできないどころか、死んでしまう。常に新しく生きていくために、わたしたちは考えを新陳代謝させていなくてはならないのだ。」(43頁)

成長意欲がある人は、少し会話しただけですぐにわかります。

自分への投資がいかに大切かをよく理解していることがすぐにわかります。

現状を憂いている時間があるなら、勉強しよう。

国や会社や上司や制度を批判したところで、何1つ変わりません。

自分の人生は自分の力で切り拓こう。

賃金263 就業規則のない会社における賃金減額・配転命令の成否等(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、就業規則のない会社における賃金減額・配転命令の成否等に関する裁判例を見ていきましょう。

Ciel Bleuほか事件(東京地裁令和4年4月22日・労判1286号26頁)

【事案の概要】

本訴は、Y社との間で雇用契約を締結していたXが、①Y社からの賃金が一部未払であると主張して、Y社に対し、雇用契約に基づく賃金請求として、令和元年7月分から同年9月分までの未払賃金等合計73万9591円+遅延損害金の支払、及び、同年10月分の未払賃金30万4333円+遅延損害金の支払を求めるとともに、②Y社の経営者一族の身内であるA及びY社の執行役であるBから、一方的に減額をされる、横領疑惑をかけられる、理由のない配転命令をされるという違法行為を受けたと主張して、Aらに対し、共同不法行為に基づき、損害金220万円+遅延損害金の連帯支払いを求める事案である。

反訴は、Y社が、Xに対し、Xが真実はY社の経費として費消したのではないにもかかわらず、経費であると申告してY社を欺罔し、経費名下に金員を騙取したとして、不法行為に基づき、損害金675万5958円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

1 Y社は、Xに対し、73万9591円+遅延損害金を支払え

2 Y社は、Xに対し、30万4333円+遅延損害金を支払え

3 A及びBは、Xに対し、連帯して55万円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 Y社らは、Y社においては、営業職の給与は、各人の売上の多寡といった成果に応じて不定期に昇給ないし降給がされる制度となっていたこと、Xの売上が平成26年から急激に降下し、その後も長期にわたって売上が低迷して改善の兆しがみられなかったことから、上記制度の中で本件減給措置を実施するに至ったのであって、本件減給措置はY社の裁量の範囲内である旨を主張する。
しかしながら、Y社においては、本件減給措置が実施されるまで、従業員の売上が低下したことを理由に降格・減給措置が実施されることはなかった。Y社の営業職の売上の増加に応じて営業職の給与が上昇することはあったにせよ、Y社において、営業職の給与が、各人の売上の多寡といった成果に応じて不定期に昇給ないし降給がされる制度が存在したことを認めるに足りる証拠はない。したがって、Y社らの上記主張は、Y社らの主張する制度の存在が認められない以上失当である。

言うまでもありませんが、営業マンの売上が減少したことを理由に当然に減給することはできません。

歩合給を採用するのであれば、その旨を契約書や就業規則、賃金規程等に予め規定しておく必要があります。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。