本の紹介2037 出世の教科書#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

会社で「出世する人」と「窓際の人」を比較する形式で書かれています。

組織に属していない人でも、結果を出すために必要な記載が多々あります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

出世する人は、厳しい人にしがみついていく。
窓際の人は、厳しい人から逃げ回る。」(74頁)

これは、「人」に限った話ではありません。

「環境」についても全く同じことがいえます。

コンフォートゾーンの外に意識的に自らの身を置くことをしているか。

どれだけ自分の成長にフォーカスしているか。

挑戦をし続けることがとても大切なのです。

管理監督者58 管理本部経理部長の管理監督者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、管理本部経理部長の管理監督者性に関する裁判例を見ていきましょう。

国・広島中央労基署長(アイグランホールディングス)事件(東京地裁令和4年4月13日・労判1289号52頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に勤務していたXが、業務上の事由により適応障害を発症したとして、処分行政庁に対し、労災保険法に基づく休業補償給付の請求をし、平成30年3月23日付けで休業補償給付の支給決定を受けたのに対し、Xは労働基準法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」(以下に該当せず、本件処分には給付基礎日額の算定に誤りがあるとして、その取消しを求める事案である。

【裁判所の判断】

広島中央労働基準監督署長が原告に対し平成30年3月23日付けでした労働者災害補償保険による休業補償給付を支給する旨の処分を取り消す。

【判例のポイント】

1 労基法41条2号の管理監督者とは、労務管理について経営者と一体的な立場にある労働者をいい、具体的には、当該労働者が労働時間規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務や権限を担い、責任を負っているか否か、労働時間に関する裁量を有するか否か、賃金等の面において、上記のような管理監督者の在り方にふさわしい待遇がされているか否かという三点を中心に、労働実態等を含む諸事情を総合考慮して判断すべきである。
そして、ここでいう経営者と一体的な立場とは、あくまで労務管理に関してであって、使用者の経営方針や経営上の決定に関与していることは必須ではなく、当該労働者が担当する組織の範囲において、経営者が有する労務管理の権限を経営者に代わって同権限を所掌、分掌している実態がある旨をいう趣旨であることに留意すべきであり、その際には、使用者の規模、全従業員数と当該労働者の部下従業員数、当該労働者の組織規定上の業務と担当していた実際の業務の内容、労務管理上与えられた権限とその行使の実態等の事情を考慮するとともに、所掌、分掌している実態があることの裏付けとして、労働時間管理の有無、程度と賃金等の待遇をも併せて考慮するのが相当である。

2 Xは、経理部の部下に対する労務管理や人事考課につき何らの権限を持たず、決定権限を与えられていたのは、所掌事務のうち仕訳についてのみであったことになる。権限の範囲が限定されていたことにつき、Xが入社間もないことに伴う時限的措置であったと認めるに足りる証拠もない。
Y社においては経理業務の整備が上場へ向けた重要課題であったことを踏まえても、上記の権限しか有しないXについて、経営者と一体となって労働時間規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務や権限を担っていたと評価することは困難である。

3 Xには、労働時間や出退勤に関し、労基法による労働時間規制の対象外としても保護に欠けないといえるような裁量はなかったと評価するのが相当である。

ここでも管理監督者性が否定されています。

上記判例のポイント1の「経営者と一体的な立場」の意味はしっかりと理解しておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介2036 たった1人との出逢いで人生が変わる人、10000人と出逢っても何も起きない人#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

何人と出会うかではなく、誰と出会うか。

誰の影響を強く受けるかによって、人生は決まるといっても過言ではありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私自身も、これまで紹介してもらうことによって人脈を切り拓いてくることができた部分が大きいと思う。だが自分から紹介を依頼したことはない。いつも相手から紹介してもらった。それは紹介を期待することなく、一人黙々と仕事に打ち込んできたからだ。」(111頁)

紹介してもらうために必要なことは、名刺配りではなく、自分に力をつけることです。

そのために日々、努力を続けることです。

そうすれば早晩、お声がかかります。

メンタルヘルス10 精神疾患を発病した従業員への降格処分が無効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、精神疾患を発病した従業員への降格処分が無効とされた事案を見ていきましょう。

セントラルインターナショナル事件(東京高裁令和4年9月22日・労経速2520号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と労働契約を締結しているXが、Y社に対し、
 Y社がXに対して平成28年7月7日付けで行った降格処分(第2降格処分)及びこれに伴う基本給の減額は無効であるなどと主張して、労働契約に基づき、同月16日から平成29年1月15日まで減額前の賃金との差額月額7万円の割合による未払賃金42万円+遅延損害金の支払を求め、
 Xは業務過重、上司との関係悪化、Y社がこれらを放置したこと等により平成27年12月頃に精神疾患を発病し、同月以降医療機関に通院することになり、また、平成29年1月16日から同年6月15日まで就業不能となったなどと主張して、Y社の安全配慮義務違反に基づき、月額35万円の割合による賃金相当額175万円の損益相殺後の残額52万7520円+遅延損害金の支払を求め(当審における拡張請求、一部請求)、
 Y社がXの復職に関する団体交渉を拒否し、復職条件を提示せず、復職時期を平成29年10月16日まで引き延ばしたなどと主張して、不法行為又は労働契約上の労務提供の違法な拒否に基づき、同年6月16日から同年10月15日まで月額35万円の割合による賃金相当額140万円及びこれに対する上記①と同様の遅延損害金の支払を求める
事案である。

原審は、上記①の請求を棄却し、上記②の賃金相当額の請求部分につき、5万5864円+遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余を棄却し、上記③の請求をいずれも棄却したところ、Xが敗訴部分を不服として控訴するとともに、上記②の通院慰謝料の請求部分につき請求の拡張をし、他方で、Y社が敗訴部分を不服として附帯控訴した。

【裁判所の判断】

原判決を次のとおり変更する。
1 Y社は、Xに対し、234万7520円+遅延損害金を支払え。
2 Y社は、Xに対し、254万円+遅延損害金を支払え(当審における拡張請求)。

【判例のポイント】
1 Xは、平成27年12月頃には、Y社の業務に起因して遷延性抑うつ反応を発病していたものであり、本件処分事由①から本件処分事由⑩までは、いずれもその頃以降の事実と認められる。また、Xは、メディア企画事業部におけるB部長の業務執行の在り方(部下である控訴人に対する命令・指示、控訴人に担当させた業務の内容、業務量等を含む。)について既に平成27年3月には疑問や不満を抱いており、B部長やE専務に対して業務の改善を繰り返し要望するなどしたが、同人らによって十分な対応がされた事実は認められず、この対応の不備等が要因となってXの遷延性抑うつ反応が引き起こされたことが認められる。
そして、B部長、E専務が、Xが平成27年12月頃に「遷延性抑うつ反応」を発病したと認識することは困難であったとしても、その頃までにXの心身の異常やその原因となる事情について現に認識し又は認識し得る状況にあったことは、XとB部長又はE専務との間でやりとりされたメールの内容等から明らかである。
加えて、本件処分事由⑦及び本件処分事由⑩に関する録音内容にも照らせば、Y社において、平成28年7月に第2降格処分をする際、Xの心身の更なる異常等について認識し得たものというべきである。
以上の事情に、次の(ア)ないし(オ)等の諸点も総合すれば、第2降格処分は、重きに失し、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、懲戒権を濫用したものとして無効であるというべきである。」

現場における対応の難しさというのは、経験をした人にしかわからないと思います。

訴訟等に発展する前に、日頃から弁護士に相談の上、適切に対応することがとても大切です。

使用者として何をどの程度行うべきかについては、顧問弁護士の助言の下に判断するのが賢明です。

本の紹介2035 1年で億り人になる(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

タイトルからは、お金の稼ぎ方が書かれているように感じますが、内容の大半は、考え方やマインドという最も大切な点にフォーカスされています。

大切なことはいつだってテクニックではなく、マインドなのです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功する人は、成長するタイミングで捨てるべきものが3つある。付き合う人、それまでいた環境、時間。それが捨てられれば成功を手にしたようなものだよ」(95頁)

今までと同じ生活をしておきながら、今までと違う結果を望むことを「わがまま」と呼びます。

人と違う生活をしたいと願いつつ、人と同じ時間の使い方をしていては、いつまでたっても人と同じままです。

そりゃそうだ、という話です。

もうみんな、そんなことはずっと前からわかっているのです。

わかっちゃいるけど、できないのです。

やるか

やらないか

もう本当にそれだけの話。

賃金266 就業規則の不利益変更の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、就業規則の不利益変更の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

恩賜財団済生会(山口総合病院)事件(山口地裁令和5年5月24日・労判ジャーナル137号12頁)

【事案の概要】

本件は、Y社設置のY病院に勤務している職員ら9名が、職員らに支給される賃金が、令和2年10月1日に就業規則及び給与規程が変更されたことにより、住宅手当及び扶養手当が減少したところ、職員らが、主位的には、上記就業規則等の変更は専ら人件費の削減を目的とするものであることを秘してされたため合理性がなく、予備的には労働契約法10条所定の諸事情に照らして合理性を有するとはいえず、いずれにせよ、同条により有効であるとはいえないから、上記変更は同法9条本文により無効であると主張して、Y社に対し、差額賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y病院においては、パートタイム・有期雇用労働法の趣旨に従い、非正規職員への手当の拡充を行うに際し、正規職員と非正規職員との間に格差を設けることの合理的説明が可能か否かの検討を迫られる中で、女性の就労促進及び若年層の確保という重要な課題を抱えるY病院の長期的な経営の観点から、人件費の増加抑制にも配慮しつつ手当の組換えを検討する高度の必要性があったところ(なお、職員らの月額賃金あるいは年収の減額率は高くても数%程度(5%を下回るもの)にとどまるから、就業規則の変更を行わないと使用者の事業が存続することができないというような極めて高度の必要性までは要しない)、本件変更により正規職員らが被る不利益の程度を低く抑えるべく検討・実施され、また、その検討過程において、本件組合の意見が一部参考にされるなど、本件変更への理解を求めて一定の協議ないし交渉が行われたということができるから、本件変更は合理的なものであると認められる。

ご覧のとおり、労働条件の不利益変更を行うのは、本当に大変です。

労働者の同意を得ようにも、後から真意に基づく同意でないと判断される可能性もあります。

気を付けましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介2034 JUST KEEP BUYING(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

自動的に富が増え続ける『お金』と『時間』の法則」が書かれています。

脱法行為やトリックではなく、極めて健全かつ確実な方法が紹介されています。

書かれているとおりにやり続けられるかどうか、ただそれだけの話。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

リスクを避け続けている人は、何年経ってもリターンを得ることはない。だがそれは、リスクを取りすぎたのと同じくらいダメージを被る可能性があることなのだ。」(312頁)

そもそも何のリスクもない人生なんて退屈でしかたありません。

「安定」という名の下、ただ問題や不祥事を起こさないことだけを考えて生きていく。

リスクとリターンは表と裏の関係です。

「怖い」「危ない」「失敗したらどうしよう」とそんなことを考えていたら何もできません。

何をしようと、何もしなかろうと、人生はあっという間に終わります。

セクハラ・パワハラ76 ゼネラルマネージャーのパワハラに基づく損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、ゼネラルマネージャーのパワハラに基づく損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。

日本ビュッヒ事件(大阪地裁令和5年2月7日・労判ジャーナル137号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員Xが、Y社から解雇されたが、その後、Y社は解雇を撤回したため、Xが、Y社に対し、なおも従業員としての地位に不安があるとして、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに将来分の賃金の支払を求め、さらに、Y社のゼネラルマネージャーらから受けたパワーハラスメントやY社による解雇が不法行為又は債務不履行を構成するとして、使用者責任又は債務不履行に基づく損害賠償請求として慰謝料200万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

地位確認請求却下

損害賠償請求として50万円認容

【判例のポイント】

1 (1)GMは、Xが、マネージャーの地位にはなく、a営業所長との役職も存在しないなどとして、Xがこれまで果たしてきた役割を否定する内容のメールをXだけでなく、他のマネージャーにも送信したものであり、このようなGMの行為は、Xの自尊心を深く傷つけるものであって、軽率のそしりを免れず、不法行為を構成するというべきであり、(2)GMによる10月5日ミーティング以降のXに対するメールの送信等は、自らの言動の問題性を何ら顧みることなく、これに恐怖心等を抱くXへの心情にも全く配慮しないまま、自らの指示に従おうとせず、逆に自らを失脚させようとしたXをY社から排除すべく行われたものであると認めるのが相当であって、社会通念上許容される範囲を逸脱し、従業員の人格権を侵害し、不法行為を構成するというべきであり、(3)本件解雇に解雇理由がないことが明らかであり、その目的が不当といえること、GMが独断で本件解雇に及んだこと等に照らすと、本件解雇は、GMが自らの権限を濫用して行った恣意的で著しく社会的相当性を欠くものというべきであって、GMは、本件解雇後、Xが担当していた顧客や販売会社に対し、解雇したXの評価を貶めるような発言をしたことと併せ、不法行為を構成するというべきである。

2 本件解雇後の経過について、令和4年1月4日の面談におけるGMらのXに対する発言は、自らの問題を何ら顧みることなく、Xに非がある旨を述べ、退職を迫るものであり、およそ許容し難いものであって、Xの人格権を侵害する不法行為を構成するというべきであり、本件けん責処分は、Xに対する不法行為を構成するというべきであり、従業員を敵視し、退職させようとの意図のもとに自宅待機状態を継続させていることは、不法行為を構成するというべきである。

退職させる意図での自宅待機命令は、それ自体が不法行為と評価される可能性がありますので注意が必要です。

自宅待機命令をする場合は、合理的な理由があるかについて客観的に判断しましょう。

社内のハラスメント問題については顧問弁護士に相談の上、適切に対応しましょう。

本の紹介2033 替えがきかない人材になるための専門性の身につけ方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

もうタイトルのとおりです。

収入を上げたければ、替えがきかない人材になることです。

需要と供給の関係からすれば当然の帰結です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

勤務時間というのはいわば試合中ですので、試合の中だけでうまくなろうとするのではなく、練習時間をしっかりと設けて、自分の技に磨きをかけるのがプロのビジネスパーソンとしての作法になります。ちゃんと練習をしないまま、ある日突然、英語を話せたりプレゼンがうまくなったり、プログラミングできるようになったりしないのと同様に、朝目覚めたら新しい専門性が身についていたということは、残念ながら起こらないのです。」(69頁)

このような発想を持っている人はどれ程いるでしょうか。

自分を1つの商品と捉えている人は、勤務時間外に自分の商品価値を高めるための努力や準備を日々行っていることと思います。

まさに中学、高校のとき、部活がない日に自主練をしていた、例のあれです。

誰からも強制されることなく。

うまくなりたいという一心で。

やっている人は言われなくてもずっと前からやっている。

やらない人は言われたとしてもずっとやらない。

そういうものです。

賃金265 記者の未払割増賃金等請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、記者の未払割増賃金等請求に関する裁判例を見ていきましょう。

埼玉新聞社事件(さいたま地裁令和5年5月26日・労判ジャーナル137号10頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員Xが、時間外労働に対する未払割増賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 Y社は、Y社の給与規定に定められた役職手当は、定額時間外手当に当たる旨主張するが、Y社の就業規則及び給与規定において、役職手当が時間外労働に対する対価であることをうかがわせる規定は見当たらないから、Y社の就業規則及び給与規定の文言や位置付けから、役職手当が時間外労働に対する対価であるものと評価することはできない。

2 Y社は何十年にもわたり、役職手当を定額時間外手当と運用し、Y社の従業員においても、労働組合においても、そのように理解し、Y社の運用を受け入れてきた旨主張するが、平成30年頃から、過去の残業代の未払問題の解決と今後の実残業制度の導入が検討され、役員と従業員らとの個別面談が行われたこと、Y社は役職手当は時間外労働の対価の性質を有することを前提として上記の検討を行ったこと、大部分の従業員がY社の提案に異議を述べなかったことが認められるが、異議を述べなかった従業員らが、Y社が経営危機に陥っているとの説明を踏まえて、Y社の存続を願ってY社の提案に応じる判断をしたことは十分に考えられ、Y社が提案した解決方法に従業員らが異議を述べなかったことにより、役職手当が時間外労働手当の性質を有することが長年にわたり受け入れられていたとのY社の主張が裏付けられるとは必ずしも言えず、そして、従業員がY社の各提案に同意したとは認められないのであって、給与規定の改定が行われないままとなっている状況下で、Y社の提案に他の従業員の同意を得られたとしても、従業員・Y社間の労働契約における労働条件がY社と従業員以外の従業員との間の同意内容に沿ったものとなるということはできないから、Y社が従業員に対して支払った役職手当を、時間外労働に対する既払い額として控除することはできず、また、従業員の割増賃金の基礎となる賃金に役職手当を含めることとなる。

いまだに固定残業代について有効要件をあまり意識せずに支払っている会社が散見されます。

固定残業代の有効要件は決して難しくないので、弁護士等に相談をして適切に運用してくださいませ。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。