本の紹介2042 収入の9割はマネースクリプトで決まる(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

メンタリストDaiGoさんの本です。

マネースクリプトとは「お金への考え方」の意味だそうです。

帯には「考え方を正せば、お金は貯まる」と書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

富裕層たちに、『何が欲しいですか』と、アンケート調査を行いました。その結果、多くの富裕層が望んだのは『自由な時間』でした。一生懸命働いて、年収3000万円以上のトップ1%のレベルに上り詰めたとき、結局、人間が求めたのは『自由でゆっくりした自分の時間』だったのです。」(191頁)

いくらお金があっても、「自由」がなければ幸福度は上がりません。

もちろん、一般的にはお金があるほうが経済的・精神的な自由度は上がります。

しかし、忙しすぎるとどれだけお金があっても、常に時間に追われており、精神的な自由度はそれほど高くありません。

「自由」とは「選択できる状態」を意味します。

そう考えると、公私ともに多忙になりすぎない状況を維持することが幸福度を高める1つの重要な要素になるのだと思います。

朝から晩までずっと予定ややらないといけないことが詰まっているという生活にならないように意識をしていないとあっという間に予定が詰まってしまいます。

セクハラ・パワハラ77 ハラスメント及び安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、ハラスメント及び安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。

医療法人社団慈昴会事件(札幌地裁令和5年3月22日・労判ジャーナル138号26頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が経営するクリニックで就労していた看護師が、Y社に対し、当該クリニックの院長からハラスメントを受けたと主張して、安全配慮義務違反又は民法715条に基づき、損害賠償金110万円等の支払を求めるとともに、当該クリニックの更衣室のロッカーの戸が外れて看護師が受傷した事故につき、安全配慮義務違反に基づき、損害賠償金110万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 院長の発言は、そもそも看護師がマスクの着用を促したことに対するものであると認められる上に、「クソ生意気な女」、「バカ面白くない」、「バカ女」などというその侮辱的な内容のほか、繰り返し「バカ」という侮辱的な言辞が用いられていること、医師と比べて看護師を著しく低く評価する趣旨の表現が含まれていることからすれば、看護師に対する指導・教育の範疇にとどまるなどとは到底評価することができず、看護師に対する不法行為を構成することが明らかであり、そして、Y社自身、院長の言動が看護師に対する指導・教育であると主張していることを踏まえると、院長の上記の不法行為につき、Y社が使用者責任を負うことは明らかであり、看護師の精神的苦痛を慰謝するに足りる金額としては、10万円をもって相当と認める。

このような事案における慰謝料の相場を知ることができます。

金額よりもレピュテーションダメージの方が大きいです。

社内のハラスメント問題については顧問弁護士に相談の上、適切に対応しましょう。

本の紹介2041 大切なことは、「好き嫌い」で決めろ!#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

帯には「好きな人と、好きなことだけやっていけ」と書かれています。

多くの人が実現できないと諦めていることですが、事実、やっている人もいます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ここだけの話、好きなことを仕事にしたら人生は勝ちだ」(68頁)

好きなことを仕事にできた人が全員思うこと。『生まれてきて、本当によかった』」(84頁)

仕事に限らず、あらゆることはすべて自分の選択によります。

「しかたなかった」「選択の余地が事実上なかった」などと言ったところで、実際に選択をしたのは他でもない自分です。

人生の意識のある時間の大半を仕事に費やしているわけですから、仕事が辛いというのはほとんど人生が辛いというのと同義です。

これに家庭も不和で辛いとなるともう円グラフはほぼ「辛い」で埋め尽くされてしまいます(笑)

すべては自分の選択の集積・総体が今の自分をつくっています。

解雇401 退職合意の存否(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、退職合意の存否に関する裁判例を見ていきましょう。

大央事件(東京地裁令和4年11月16日・労判ジャーナル138号42頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、Y社との間の労働契約に基づき、Y社との間で退職に合意したことはないと主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、Xは、令和2年12月28日までY社で勤務したものの、Y社は、同月29日以降、Xを退職したものと扱って勤務できなかったと主張して未払賃金及び未払賞与等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

退職合意無効確認請求認容

未払賃金等請求認容

未払賞与請求棄却

【判例のポイント】

1 ①退職届などのXの退職の申出を記載した書面は作成されていない上に、X自身は退職の申し出をしたことはない旨を陳述していること、②Y社自身の供述によっても、「それでも出ろって言うなら辞めます」「どうしても出なきゃいけないんであれば、自分は辞めます」とのXの発言は、年末年始の休暇取得を認めるか否かのやり取りのなかでされた発言であって、少なくとも確定的にY社を退職する旨の意思表示とはいえないこと、③Xは、令和2年12月27日に、Y社に対して解雇通知書の交付を求めているとともに、令和3年1月7日には、代理人を通じて、Y社を退職する意思はない旨を伝えていることからすると、Y社代表者が令和2年12月初旬ころにXから退職の申し出を受け、これを了承したとまでは認められない。

2 Xは、令和3年2月1日、A社に就職したことが認められるところ、XはすぐにY社に復職できる見込みがあったわけではなく、家族がいるため収入のない状態のままでいるわけにはいかないことから、同社に就職したことが認められるから、Xは、Y社において就労する意思を喪失したとは認められない

上記判例のポイント1の事情からすれば、退職の意思表示を認定することは難しいですね。

また、上記判例のポイント2では、再就職をした場合に問題となる復職の意思の有無について判断されていますが、他の裁判例を見ても、必ずしも再就職したからといっても当然に復職の意思は否定されていませんので、この点はしっかりと押さえておきましょう。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2040 リーダーになる前に20代でインストールしておきたい大切な70のこと#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

若いうちに仕事のしかたや考え方を叩き込まれた人は、その後のビジネスライフがとても楽になることは明らかです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『何が起こっても原因は自分にある』という考え方がある。仮に目の前の苦しいことから逃げたとしても、時を経て別の形で苦しいことはあなたの目の前に再びやってくる。いくら自分で先延ばししたつもりになっていても、人生の最後までそのツケは払わせ続けられるようになっている。一時的にあなたが逃げ切ったとしてもセーフではない。むしろあなたの人生としてはアウトである。」(167頁)

これは考え方の習慣(癖)の問題ですので、一度、形成された習慣・癖はそう簡単には変わりません。

したがって、本を読んで、セミナーを受けた程度では、ほとんど何も変わらないのです。

最初が肝心である所以です。

国のせい、コロナのせい、円安のせい、会社のせい、上司のせい・・・

so what?

自分の人生は、自分の力で切り拓くしかありません。

有期労働契約122 2回更新された有期雇用契約につき、さらなる更新への合理的期待がないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、2回更新された有期雇用契約につき、さらなる更新への合理的期待がないとされた事案を見ていきましょう。

ISS事件(東京地裁令和5年1月16日・労経速2522号26頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結したXが、Y社に対し、本件雇用契約は無期雇用契約であり、仮に有期雇用契約であり契約期間が満了しているとしても労働契約法19条によって更新されている旨主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、本件雇用契約に基づき、令和2年10月から本判決確定の日まで毎月末日限り22万5000円の賃金の支払を求め、また、Y社が本件雇用契約の締結に当たって無期雇用契約である旨の労働条件を明示せず、Xを不当に解雇した旨主張して、不法行為に基づき、損害金150万円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、11万円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 本件雇用契約は2回更新され、その契約期間は通算して約8ヵ月となっているところ、Xは、Y社の求人情報に応募した当時29歳であって、ITエンジニア未経験者についての求人条件を満たしておらず、Y社の基幹業務を担当するITエンジニア職に就ける見込みが高くはなかったこと、Y社は、いずれの更新についても契約期間を記載した各雇用契約書を作成し、Xとの間で対面又はオンラインでの面談を行った上、2回目の更新に際して作成した雇用契約書にはXの署名押印を得るなどして、明示的に更新手続を行っていたこと、Xは、2回目の更新に際して、Y社代表者Aから、Xが従事していたライセンス管理業務に関する取引が終了する見込みである旨、営業活動を行って新しい仕事先を見つけられるよう最善を尽くすものの、最悪の場合雇用を継続することができない旨の説明を受けていたことに照らすと、Xにとって、本件雇用契約が2回目に更新された令和2年8月7日の時点で、本件雇用契約が更新されるものと期待することについての合理的な理由があったとはいえない。

更新回数が少なく、更新手続をしっかり行っていたこと等が考慮された結果となっています。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有期雇用契約に関する労務管理を行うことが肝要です。

本の紹介2039 お金と人を引き寄せる50の法則#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

仕事ができる人の思考が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『ああ、この部下は伸びないな』と一瞬で判別する方法がある。上司と同行訪問させてもらった際に、訪問先のお客様の話を聞く部下の姿勢をよく観察しておくことだ。退屈そうに『よくわからない』『自分には興味がない』という表情で聞いている部下は伸びない。お客様から嫌われるし、上司にも愛想を尽くされるからだ。」(85頁)

こんな部下は、上司からもお客様からもかわいがられる要素が0です(笑)

逆にこのあたりをうまくできる人には、どんどんチャンスが与えられるため、早い段階で頭角を現すことになります。

特に力があまりないうちは、上司やお客様からかわいがられてなんぼです。

IQよりも愛嬌です。

退職勧奨21 辞職の意思表示と自由な意思(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、辞職の意思表示と自由な意思に関する裁判例を見ていきましょう。

栃木県事件(宇都宮地裁令和5年3月29日・労判ジャーナル137号18頁)

【事案の概要】

本件は、栃木県の元職員Xが提出した退職願に基づき、栃木県知事がXに対し辞職承認処分をしたことについて、Xが、栃木県に対し、本件退職願に係る辞職の意思表示は錯誤により無効であり、又は、詐欺を理由として取り消され、そうでなくとも、Xの自由な意思に基づかないものであるから、これを前提としてなされた本件処分は違法であると主張して、その取消しを求めるとともに、栃木県の職員がXに対し違法に退職を強要したと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金110万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

辞職承認処分取消請求認容

損害賠償請求棄却

【判例のポイント】

1 本件退職願について、人事チームのリーダーのA及び次長であるBは、本件面談の際、Xが仕事を休むことで、他の職員等に迷惑が掛かっており、仕事をしないXに給与が支給されることに対し納税者たる県民の理解が得られないのではないかなどと、Xに対する消極的な事情を畳みかけるように告げ、さらに、県職員は向いていないという見方もできるとして、Xの適性にまで踏み込んで肯定的ではない評価を述べた上で、Xがそれまで自ら口にしていなかった退職という選択肢を栃木県側から示し、あらかじめ用意していた退職願の様式をその場で交付しているから、たとえAらに退職勧奨の意図がなかったとしても、Xからすれば、退職を勧められていると受け止めても仕方がない状況であったと認められるところ、Xが本件面談時にはあくまで復職を希望していたことや上記経過からすると、退職はXの意に反するものであったといえ、本件面談時の健康状態及び本件面談におけるAらの説明が相互作用したことにより、熟慮することができないまま退職の選択肢しかないという思考に陥った結果、本件退職願を提出するに至ったものと認められるから、本件退職願は自由な意思に基づくものとはいえないから、本件退職願を前提としてなされた本件処分は違法であるから、取り消されるべきである。

退職勧奨ですから、文字通り、退職を勧められているわけです。

労働者がそのように受け止めたからといって、直ちに自由な意思に基づかないとは限らないと思いますが、本件では自由な意思に基づくとは認められませんでした。

退職勧奨の際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介2038 たった2分で、自分を超える本。#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

この本のサブタイトルは「心の『格差』を逆転する64のビジョン」です。

格差は存在する。だから超えていくのだ。」とも書かれています。

諦めたらそこで終わり。

人のせいにしても何も変わらない。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

格差に対して不満を言っている人は、野口英世やヘレン・ケラーの伝記を読んだことがないのだろうか。以上の名前を挙げた人々が、どのようにして格差を超えたのかについても、本やインターネットですべて知ることができる世の中になった。これだけの環境が整備されていながら、格差という言葉を安易に使ってはいけないと私は思う。縄文時代も戦国時代も現代も、人間にはいつも二通りしか存在しなかった。文句ばかり言って一歩も動かない人間と、文句を言われながら動いた人間だ。」(27頁)

断言します。

今の時代、動いた者勝ちです。

批判ばかりしている人、不満ばかり言っている人で、成功した人を見たことがありません。

差はますます開く一方。

有期労働契約121 雇用調整助成金受給中のコロナ禍等を理由とした雇止めの適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、雇用調整助成金受給中のコロナ禍等を理由とした雇止めの適法性について見ていきましょう。

コード事件(京都地裁令和4年9月21日・労判1289号38頁)

【事案の概要】

本件本訴事件は、Xが、Y社に対し、①Y社との間で期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を締結して就労していたXが、Y社による雇止めは無効であると主張して、労働契約上の地位の確認及び本件雇止め後の賃金の支払等を求めるとともに、②本件反訴は不当訴訟であるとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、その賠償金等の支払を求めた事案である。

本件反訴事件は、Y社が、Xに対し、①Y社の名誉や信用を毀損する内容の記者会見を行い、②京都府下の多数の労働組合をして、Y社の雇止めへの抗議や撤回を求める大量の書面を被告に送りつけさせて被告の業務を妨害し、③a労働組合総連合会の関係者に誤った事実を流布して、Y社の名誉や信用を毀損したなどと主張して、不法行為による損害賠償請求権に基づき、その賠償金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Xの本訴請求及びY社の反訴請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 Y社において、本件労働契約を有期労働契約とした目的には、相応の合理性があり、しかも、上記のとおり、Xの担当業務は、代替可能なものであるということができる。そして、その後の更新についても飽くまで単年度毎の契約更新となる旨定められていたというのであり、X自身、令和元年8月の1回目の契約更新を経た後、令和2年3月にY社代表者らとの本件面談時に同年8月に必ずしも契約更新とならない旨示唆されたというのであるから、Xは、本件労働契約締結当時及びその後も、本件労働契約の雇用期間が1年であることを十分認識していたというべきである。
以上のほか、本件雇止めまでの間、僅か1回という更新回数や、試用期間を含めても、その雇用通算期間は合計2年3か月と比較的短期間にとどまっていること等を併せ考えると、Xが指摘する契約更新される年齢の上限の定めや、1回目の契約更新時の状況を十分考慮してみても、Xの雇用継続に対する合理的期待を認めるのは難しく、そうでないとしても、その程度は必ずしも高いものということはできない。

2 ①Y社においては赤字経営が続いていたところ、令和2年に入って新型コロナウィルス感染症が拡大していく中、その売上げは、同年3月は前年度比の約62.3%、同年4月は前年度比の約29.4%、同年5月は前年度比の約26.8%に落ち込み、緊急事態宣言解除後の同年6月でも前年度比の約48.8%にとどまっていたこと、②Y社は、同年4月20日頃から、一部の無期雇用従業員とXを含む全てのパート従業員を休業とし、また、勤続20年以上、勤続4年以上のパート従業員2名に対し、退職勧奨をして退職してもらうことにし、さらに、他に従業員に対しても同年夏季の賞与を支給しない旨決定していたこと(なお、Y社は、同年、加工高の107%に相当する額を人件費に充てていた。)、③加えて、本件労働契約の期間満了時である同年8月6日時点では、その2日前に、厚生労働省が、同年9月末までとされた雇用調整助成金の新型コロナウィルス感染症の影響に伴う特例措置を同年12月末までとする案を軸に延長する方向での検討に入った旨の報道がされてはいたものの、緊急雇用安定助成金を含む雇用調整助成金の拡充制度の延長の有無及びその内容や期間は依然として定まっていなかったこと、④製造部には、Xのほかに、もう1名のパート従業員である本件従業員が所属していたが、同従業員は、Xよりも前に採用され、当時既に2度の契約更新(雇用期間各1年)を経て、通算雇用期間も3年となっていたこと、⑤Y社は、契約期間満了の約1か月前には、理由を付して契約更新に応じられない旨通知し、その前後の団体交渉の席上においても、Y社の業績が芳しくないため原告を雇止めする旨説明していたことを指摘することができ、これらを総合考慮すると、本件雇止めが、客観的合理性・社会的相当性を欠いたものということはできない

3 Y社が名誉毀損行為として主張するXの本件記者会見上の発言そのものは、本件雇止めに関して、X・Y社間で紛争が生じ、そのための交渉を踏まえた、本件本訴におけるXの立場から見た意見表明にとどまるものであって、Y社側としても、これに対し、本件雇止めは正当なものであったと反論すれば足りる程度のものであったというべきである。
そして、新型コロナウィルス感染症拡大に関連する雇止めは社会的関心事であり、そのような社会的関心事に関して本件本訴を提起したことを述べ、これと併せてXの立場を説明するため、本件記者会見を開いたことについては、本件記者会見上の発言が人身攻撃に及ぶようなものではなかったなど自らの意見表明の域を逸脱したとはいうことができない本件においては、表現の自由の尊重が社会の根幹を構成することに照らし、違法な無形的利益の侵害行為であるということはできない。

リストラとしての雇止めの有効性がどのような要素を考慮して判断されているかについて、とても参考になります。

また、上記判例のポイント3のように、提訴前の記者会見は、反訴の形で損害賠償請求の対象となり得ますので、ご注意ください。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有期雇用契約に関する労務管理を行うことが肝要です。