本の紹介2047 人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

読書が有益であることは多言を要しないと思います。

本を読まずにここまで生きてきたとしたら・・・と想像するだけで怖くなります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『忙しくて〇〇できない』というのが口癖の人には近づかないように注意しましょう。お金の貧乏同様に時間貧乏も感染するからです。」(15頁)

すべては優先順位の話。

いつも言っていることですが、「忙しくて〇〇できない」は「〇〇は私にとって優先順位が他と比べて高くありません」という意味です。

忙しいからごはんを食べなかったでしょうか。スマホを見なかったでしょうか。

もっとも、元々、日々のルーティンや雑務に追われている方の場合は、本当に時間に余裕がないため、どうにもこうにもならない場合もあります。

生涯を通じて、いかにあらゆることに対する「自由」を確保・維持し続けられるかがとても大切なのです。

不当労働行為309 組合からの団交申入れに対して、組合執行委員長の交渉権限・協定締結権原の有無に疑義がある等として団交拒否したことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合からの団交申入れに対して、組合執行委員長の交渉権限・協定締結権限の有無に疑義がある等として団交拒否したことの不当労働行為該当性について見ていきましょう。

医療法人社団雄仁会事件(東京都労委令和4年10月18日・労判1291号101頁)

【事案の概要】

本件は、組合からの団交申入れに対して、組合執行委員長の交渉権限・協定締結権限の有無に疑義がある等として団交拒否したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は専従者が労働者でないことを前提とする主張を行うものの労働組合の専従者の立場にあることをもって直ちに労働組合法第3条に定める労働者でないということはできないことなどを考慮すると、労働組合法上の労働者でない者が実質的に組合の中心的地位を占め、その主体をなしているとは認められない。
組合員全体についても、労働者でない者が組合員の多数を占めていると認めるに足りる具体的事実の疎明はなく、組合について、労働者が質量ともに組合の構成員の主体になっていないということはできない。

2 Y社は、団体交渉を拒否したのではなく、留保したにすぎないと主張するが、Y社は、組合の事務折衝終了直後に、別件確認訴訟の結論が確定するまでには相当の期間を要するとの認識の下、組合のこれまでの基本姿勢に変化がない限り、組合との団体交渉には応じないとの基本方針を決定し、この基本方針に基づきその後の組合からのAの解雇等に関する団体交渉の申入れに一貫して応じないと対応してきたのであり、このようなY社の対応は、団体交渉を拒否したものといわざるを得ない

上記命令のポイント2のような理由で団交を拒否(留保)すると、ほぼ間違いなく不当労働行為に判断されますのでご注意ください。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介2046 お金の9割は意欲とセンスだ#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

帯には「あなたの年収が増える本!」と書かれています(笑)

お金のみならず仕事や人生に対するマインドセットがいかに大切であるかがわかる本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

これから年収を上げていきたいのであれば、気の合う人より成長できる人と付き合うようにすべきだ。成長できる人というのは、必ずしも気が合うわけではない。否、むしろ気が合わない人のほうが多い。」(125頁)

傷を舐め合う関係は、心地よく、癒されます。

しかし、いつまでも「わかる~」と共感し合っている場合ではありません。

意識をして、コンフォートゾーンの外に身を置き、負荷を掛けていかなければ、成長は望めません。

5年、10年と時間が経過したときの差は計り知れません。

不当労働行為308 組合員に対する業務委託契約の解除通知を協議事項とする団体交渉に応じなかったことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、組合員に対する業務委託契約の解除通知を協議事項とする団体交渉に応じなかったことの不当労働行為該当性について見ていきましょう。

セントラルメディエンス事件(大阪府労委令和5年1月13日・労判1291号98頁)

【事案の概要】

本件は、組合員に対する業務委託契約の解除通知を協議事項とする団体交渉に応じなかったことの不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は、Aが労働組合法上の労働者に当たるか否かについては主張も立証もしていないが、労働基準法上の労働者に当たらない旨主張するので、念のため、AがY社との関係で労働組合法上の労働者に当たるかについて、労働組合法上の労働者性の基本的判断要素である①事業組織への組入れ、②契約内容の一方的・定型的決定、③報酬の労務対価性に即して検討する。
・・・以上のことを考え合わせると、Aは、労働組合法上の労働者に当たるとみるのが相当である。

2 一般に、団交において労使が協議を尽くした結果、議論が平行線をたどり、交渉が決裂して、再度交渉したとしても進展が見込めない状態に至った場合には、使用者が団交申入れを拒否しても、正当な理由のない団交拒否には当たらない。
この点、8.25団交におけるやり取りについては、本件団交申入れの協議事項について、議論の余地がなくなっていたと認めるに足りる事実の疎明はない。むしろ、その後も団交申入れの協議事項に関連するやり取りがなされていたことからすれば8.25団交が終了した時点において、本件団交申入れの協議事項について、交渉が決裂して、再度交渉したとしても進展が見込めない状態に至っていたとはいえない。

労基法上の労働者性と労組法上の労働者性の判断は微妙に異なりますので注意しましょう。

また、使用者側から上記命令のポイント2のような理由で団交を拒否する場合には、慎重に判断をする必要があります。多くの事案で不当労働行為と認定されています。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介2045 あの小さなお店が儲かり続ける理由(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

帯には、「小手先のマーケティングはもういらない!」「お金のムダ!」「時間のムダ!」「労力のムダ!」と書かれています。

ブランディングをどのようにしていけばよいかわからない方は是非、読んでみて下さい。

きっとやるべきことがわかると思います。

あとは勇気をもってやり続けられるかどうか。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

オンリーワンビジネスにおいて最も重要なのは、みんなから嫌われないように無難に装うことではなく、自分が本当に付き合いたい人に好かれること。本命を落とすことである。どうでもいい相手に媚びる前に、『おまえは誰に愛されたいんだ?』ということなのである。」(80頁)

万人から好かれることを目指してしまうと、最後は「無難」なサービスになってしまうのが世の常です。

無難は嫌われませんが、愛される(選ばれる)こともありません。

嫌われたくないという気持ちが強い人は、減点を避けるために、意に反して多方面に媚びなければなりません。

そんなことを気にしているうちに人生は終わってしまいます。

できることとできないこと、やりたいこととやりたくないことを明確にすることが、幸せへの第一歩です。

不当労働行為307 金融機関における人事部附への配置転換の不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、金融機関における人事部附への配置転換の不当労働行為該当性について見ていきましょう。

あおぞら銀行事件(東京都労委令和5年1月24日・労判1291号95頁)

【事案の概要】

本件は、組合員Aに対する人事部附への配置転換が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 以上のとおり、Y社がAを人事部附に配属したことについての業務上の必要性は疑問であり、同人を人事部附に配属したことは不自然であるといわざるを得ない。そして、本件懲戒処分をめぐって労使が鋭く対立していた中で、Y社は、組合を軽視し、退職勧奨について組合が交渉を求めていたにもかかわらず、組合を通さずにAと直接話をしようとするなど組合との更なる交渉を忌避しようとしていたことが認められる。
また、本件懲戒処分に納得せず、Y社からの始末書提出の指示に素直に従わず、組合の力を得て団体交渉でY社を追及しようとするAをY社は疎ましく思い、同人をY社から退職させようとしていたことが認められる
そうすると、本件配置転換は、組合の存在を嫌悪していたY社が、組合員として自身の懲戒処分撤回等の活動を行っていたAを退職誘導して職場から排除し、ひいてはY社から排除することを企図して組合を弱体化させるために行ったものであったといわざるを得ない。
したがって、本件配置転換は、Aが組合員であること及び組合活動を行ったことを理由とする不利益取扱いに当たり、また、組合の運営に対する支配介入にも当たる。

気持ちは理解できますが、やはり上記事情からすると、不当労働行為と判断されてしまいます。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介2044 付加価値のつくりかた(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

キーエンスの考え方が紹介されています。

まさにタイトルのとおり、いかにして付加価値をつくり、利益を生み出すかが説かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

売れない人は『特長』を語り、売れる人は『利点』を語る」(194頁)

「特長」のその先の未来をいかに語るか、ということに尽きます。

これは業種を問わず、あてはまることだと思います。

このサービスを導入すると何ができるのか。

それによって、どのように仕事のしかたがより良くなるのか。

この未来を具体的にわかりやすく伝えられるかどうか、です。

解雇402 整理解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、整理解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

リビングエース事件(大阪地裁令和5年2月3日・労判ジャーナル138号34頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結していたXが、Y社から整理解雇され、Xの地位確認等請求を認容する労働審判が確定した後、再度、Y社から整理解雇されたため、本件解雇は解雇権の濫用に当たり無効である旨主張し、雇用契約に基づき、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、未払賃金等の支払を求め、また、本件労働審判が確定したにもかかわらず、Y社がXの職場復帰を認めず、本件解雇をし、あるいは未払賃金の支払を拒否したのは違法である旨主張して、共同不法行為に基づき、Y社、代表取締役B、元代表取締役Cに対し、連帯して、慰謝料100万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

地位確認請求認容

損害賠償請求棄却

【判例のポイント】

1 本件解雇当時、Y社の経営状況が悪化して人員削減が必要な状況にあったとはいえず、その他これを認めるに足りる証拠はなく、また、Y社は、経費削減について最大限できることはやり尽くした旨主張するが、かかる事実は認められず、役員報酬等の減額が十分といえるかには疑問があり、さらに、Bは、本件解雇をするに当たって雇用調整助成金が受給可能であるかどうかの検討をしていないことからすると、Y社の解雇回避努力が十分であったとはいえず、他方、本件解雇当時におけるY社の従業員は、Xのほかに、代表取締役であるBと女性事務員の2名であったことからすると、人員削減の必要性が肯定される限りにおいて、Xを解雇対象とすることが不合理であるとまではいえないから、本件解雇につき人選の合理性があったこと自体は否定できないが、Y社は、先行解雇が無効であることを前提とする本件労働審判に対して異議申立てをせずにこれを確定させており、本件労働審判の内容を履行すべき立場にあったところ、その後、民事調停を申し立て、民事調停が不成立となるや、Xに対して何ら事前説明をすることなく本件解雇をするに至ったものであり、本件解雇の手続が相当であったとは認められないから、客観的に合理的な理由があったとはいえず、解雇権を濫用するものとして無効である。

2 本件解雇は無効であるというべきであるが、本件解雇に至る経緯等を考慮しても、Y社による復職拒否及び未払賃金支払拒否が独自の不法行為を構成するとは認められず、あるいは、Xに上記未払賃金が支払われることによってもなお填補されない精神的損害が発生したとは認められないから、XのY社らに対する不法行為に基づく損害賠償請求には理由がない。

整理解雇を行う場合、一般的には経営がかなり逼迫した状況であるため、手順や手続を無視してしまうことがありますが、有効要件がかなり厳しいので、多くの事案で無効と判断されています。

整理解雇を行わざるを得ない場合には、事前に顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2043 お客を捨てる勇気(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

「お客を捨てる」なんて、とても怖くてできません、という経営者の方は是非、読んでみて下さい。

いかにブランディングが大切であるかを再確認できる本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

例えば旗のないお店は、集客サイトなんかに頼って利便性やお得感をエサに集客するしかないから、当然自分都合なお客ばかりが集まるんだよ。」(85頁)

いずれにしても、吹けば飛ぶような小さなお店が、しっかりと足元を固めて真の安定経営を築き上げようとするならば、なにを差し置いてもお客選びだけは間違えちゃいけない。だからこそ、まずは自分自身のことを正しく知るためにも、自店の旗をつくる。つまり明確な想いを炙り出すことが重要なんだよね。」(87頁)

この発想、感覚、少数で事業を行っている経営者であれば、ご理解いただけるかと思います。

万人を対象としたビジネスを行わないということは、本当に本当にとても大切です。

力が分散しないように、あれもこれもと手を出さないことです。

「何をやるか」も大切ですが、それと同じくらい「何をやらないか」を決めることが大切だということです。

時間もマンパワーも有限です。

これからますますこの傾向が強くなっていくと思います。

 

賃金267 賃金減額不同意に基づく未払賃金等請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、賃金減額不同意に基づく未払賃金等請求に関する裁判例を見ていきましょう。

海外商事事件(東京地裁令和4年11月30日・労判ジャーナル138号36頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員が、Y社に対し、同意していないにもかかわらず賃金を減額されたとして、労働契約に基づき、減額された未払賃金等の支払を求めるとともに、時間外労働をしていたと主張して、労働契約に基づき、未払割増賃金等の支払並びに労働基準法114条に基づく付加金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 Y社は、Xに対し、仕事ができていないことなどを説明した上で、平成28年6月度からの賃金を20万円に減額することを申し入れ、同様の状態が続いたため、平成30年1月度からの賃金を10%(2万円)減額することを申し入れたところ、いずれもXはこれに同意したと主張するが、Y社の上記主張を裏付ける確たる証拠はないから、Y社の上記主張は採用することができないが、Y社は、コロナ禍で業績が悪化したため、Xを含む全従業員に対し、令和3年2月度からの賃金を5%減額することを申し入れたところ、Xの同意が得られたと主張するが、XがY社の状況を理解した上で令和3年2月度からの基本給が減額になることに同意する旨の書面に署名しただけでなく、減額幅は5%にとどまり大きいものとはいえず、Xだけでなく全従業員が対象となっていること、コロナ禍によりY社の業績が悪化し、他の経費削減方法については既に尽くしていることを書面で説明していることなどに照らすと、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するといえ、Xは、令和3年2月度からの基本給が5%減額になることに同意したと認められる。

どのような事情があれば労働条件の不利益変更について労働者の自由な意思に基づく同意を認定してくれるのか、とてもよくわかる事案ですね。

是非、参考にしてください。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。