本の紹介2057 ムダの片づけ方#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

帯には「ムダな『考え』『物』『人』『行動』を捨てると、真に大切なものが得られる!」と書かれています。

まあ、そういうことです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

勉強する時間がないのではなく、勉強しないから時間がないのだ。」(154頁)

木こりのジレンマのお話と同じです。

とはいえ、ただでさえ、毎日、あれやこれやと多忙を極めている方からすると、勉強する時間を確保するのは至難の業ではないでしょうか。

おすすめは、早朝の時間です。

毎朝4時に起きれば、かなりの時間、勉強することができます。

それを5年、10年と続けることができれば、人生が変わります。

でも、多くの人は続けられません。

ゆえに人生を変えるのは難しいのです。

不当労働行為310 組合が申し入れた団体交渉を拒否したことが不当労働行為にあたらないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合が申し入れた団体交渉を拒否したことが不当労働行為にあたらないとされた事案について見ていきましょう。

丸八ホールディングス事件(埼玉県労委令和5年3月30日・労判1293号91頁)

【事案の概要】

本件は、組合がY社に対し、平成30年12月25日付、31年3月1日付および同月4日付で申し入れた団体交渉を拒否したことにつき、本件団交事項のいずれについても、Y社は労組法上の使用者に当たるといえず、組合が申し入れた団体交渉に対しY社が応じなかったことは、労組法7条2号の不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 子会社につき労組法第7条の使用者性が認められる場合において、親会社にも同条の使用者性が認められるためには、親会社が強い経済的支配力を背景に、子会社の経営に対して支配できる地位にあり、子会社の労働者の基本的な労働条件等につき、現実的かつ具体的に支配・決定できる地位にあることが必要となる。その判断に当たっては、様々な事実を総合的に考慮することとなるが、親会社が子会社の労働者の基本的な労働条件等につき、実際に自ら決定していたか、少なくとも明示又は黙示の承認の下に、その決定を子会社に委ねていたかどうかが重要な要素として考慮されなければならない

2 Y社が、支部組合員に対し、実際に自ら労働条件等を決定していたか、少なくとも明示又は黙示の承認の下に、その決定をA社に委ねていたとは認められないことはもとより、その他、Y社が支部組合員の基本的な労働条件等につき、現実的かつ具体的に支配・決定できる地位にあることをうかがわせる事実の存在が疎明されているとまでは言えないから、本件団交事項におけるY社の使用者性については、これを認めることはできない。

労組法上の使用者性が争点となることがときどきありますが、上記命令のポイント1の判断要素をしっかりと押さえておきましょう。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介2056 友だちをつくるな#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

要するに不必要に群れるな、ということです。

時間がもったいない。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人間関係で最大の無駄はみんなに好かれようとすること。」(64頁)

人類史上、みんなに好かれることに成功した人などただの一人もいない。そんな自然の摂理に反することをするな。」(67頁)

こんなことはかなり前に諦めている身でございます。

全員から好かれなくても生きていけます。

全員から好かれようと思うと気疲れします。

気が合う人にだけ好かれれば、もうそれで十分です。

有期労働契約123 介護施設での虐待通報後の雇止めの適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、介護施設での虐待通報後の雇止めの適法性に関する裁判例を見ていきましょう。

グッドパートナーズ事件(東京高裁令和5年2月2日・労判1293号59頁)

【事案の概要】

Xと人材派遣等を業とするY社は、平成31年2月3日、Xの就労場所を第三者が運営する介護付有料老人ホーム、雇用期間を同日から同年3月31日までとする有期労働契約を締結した。
本件は、Xが、Y社から同日をもって上記有期労働契約につき雇止めをされたところ、本件雇止めは違法な雇止めで無効である旨主張して、Y社に対し、①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、②上記労働契約に基づき、同年4月分から令和3年12月分までの未払賃金合計1108万8000円+遅延損害金の支払、③令和4年1月分以降の未払賃金として月額33万6000円の支払並びに④不法行為に基づく損害賠償請求として慰謝料50万円+遅延損害金の支払を各求める事案である。

原審は、上記③のうち、判決確定後の賃金の支払を求める部分については確認の利益がないとして訴えを却下した上で、本件雇止めは無効であるが、XとY社の雇用契約は令和元年5月31日を終期とする有期労働契約であるから同日をもって終了し、本件雇止めによるXの精神的苦痛は本件雇止めの無効及びその後の未払賃金の請求が認められることにより慰謝されたなどとして、上記②の請求のうち平成31年4月分及び令和元年5月分の給与から、中間収入を控除した40万5570円+遅延損害金の支払を求める限度で許容し、その余の請求を棄却した。

【裁判所の判断】

原判決主文第2・3項を次のとおり変更する。
(1)Y社は、Xに対し、56万2244円+遅延損害金を支払え。
(2)Xのその余の請求を放棄する。

【判例のポイント】

1 平成31年4月分について、Xが別会社で稼働したのは同月のうち16日から30日までであるから、同月1日から同月15日までの間については中間収入の控除は認められないが、同月16日から30日までについては中間収入の控除が認められる。
なお、Xが原審において主張する中間収入控除後の未払給与額の計算方法では平均賃金の4割を超える部分を控除することにもなり得るものであるが、他方においてXは中間収入を控除する前の未払賃金額を全額請求していることを踏まえると、労働基準法12条1項及び最高裁昭和37年7月20日判決に忠実な形で上記のような計算方法を採ることを否定する趣旨ではないと解される。

中間収入控除後の賃金額について、高裁は、原審判断を修正しています。

最判昭和37年7月20日の判旨「連合国軍関係事務系統使用人給与規程並びに同技能工系統使用人給与規程の各休業手当に関する各条は、休業期間中における駐留軍労務者の最低限度の生活を保障するために特に設けられた規定であつて、軍の都合による休業が民法第五三六条第二項にいう「債務者ノ責ニ帰スヘキ事由」に基づく履行不能に該当し、労務者が政府に全額賃金の支払を請求し得る場合においても、その請求権を平均賃金の六割に減縮せんとする趣旨に出たものではないと解するのを相当する。」

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有期雇用契約に関する労務管理を行うことが肝要です。

本の紹介2055 人生って、それに早く気づいた者勝ちなんだ!#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

表紙には、「若いうちにはわからない、若いうちにしかできないこと」「人生は、後戻りできない。」と書かれています。

残酷ですが真実です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ずっと幸せな人と、ずっと不幸な人がいる。世の中、不公平で理不尽で、神様はえこひいきだと恨んでしまう。しかし、世の中はとても理に適っており、すこぶる公平だ。今あなたに起こっていることは、生まれてから今までの集大成の結果なのだから。人生って、それに早く気づいた者勝ちなんだ。」(42頁)

この文章を読んだ時の感想ですら、人によって異なるでしょう。

その通りと考える人もいれば、何を言っているんだと不満を持つ人もいるでしょう。

今の自分は、昨日だけ、先週だけ、先月だけの集大成ではなく、これまで生きてきたあらゆる経験の集大成です。

まさに小手先の努力だけでは人生は変えられない所以です。

才能の差はさほどありません。

日々の努力の積み重ねをしてきたか否か、ただそれだけの違いです。

退職勧奨22 辞職の意思表示における錯誤の成否と辞職承認処分の適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、辞職の意思表示における錯誤の成否と辞職承認処分の適法性に関する裁判例を見ていきましょう。

栃木県・県知事(土木事務所職員)事件(宇都宮地裁令和5年3月29日・労判1293号23頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の職員であったXが提出した退職願に基づき、処分行政庁がXに対し令和元年10月31日付け辞職承認処分をしたことについて、Xが、Y社に対し、①本件退職願に係る辞職の意思表示は錯誤により無効であり、又は、詐欺を理由として取り消され、そうでなくとも、Xの自由な意思に基づかないものであるから、これを前提としてなされた本件処分は適法であると主張して、その取消しを求めるとともに、②Y社の職員がXに対し違法に退職を強要したと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金110万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

辞職承認処分取消し

その余の請求棄却

【判例のポイント】

1 職員から退職願が提出されている場合であっても、退職願の作成に至る経緯や職員の心身の状況その他の事情に照らし、その意に反しないものと認められない場合には、当該退職願に基づきなされた、当該職員に対する職を免ずる旨の行政処分は、違法であると解するのが相当である。

2 本件面談及び本件退職願の作成・提出はいずれも、Xが双極性感情障害のため傷病休暇を取得して約半月が経過し、なお傷病休暇中であった最中に行われたものであり、28余年にわたる公務員としての身分を失うという人生の重要局面における決断を、熟慮のうえでなし得るような病状であったとはいいがたい

3 本件面談当時のXは、頭の回転が落ちているという状況下において、必要な選択肢が明示的に与えられなかったことで、適切な判断をすることが困難な状況にあったものということができる。

4 本件退職願は自由な意思に基づくものとはいえず、退職がXの意に反しないものであったとは認められない。

精神疾患のある労働者に対して退職勧奨を行う際の注意点がわかる裁判例です。

現場における判断はとても難しいので、顧問弁護士等に相談をしながら慎重を進めるほかありません。

退職勧奨の際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介2054 お金を稼ぐ人は、なぜ、筋トレをしているのか?#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

お金持ちの全員が全員、筋トレをしているわけではありませんが、この本のいわんとしていることはよくわかります。

いかに自己投資が大切であるか、ということです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ボディビルダーに限らず、何かスポーツに打ち込んでいる人は現状維持に耐えられないはずだ。エグゼクティブが筋トレ、トライアスロン、ゴルフ、ジョギングなどに没頭するのは、終わりなき成長を求めているからだ。ビジネスで現状維持は衰退を意味する。」(43頁)

経営者の多くは、現状維持は衰退を意味することを知っています。

この発想は、ビジネスに限った話ではなく、プライベートにおいてもまさに同じことがあてはまります。

代わり映えのしない日常生活を漫然と送っているだけでは、日々、衰退していることを無意識に感じるのでしょう。

何も獲得することなく、気がついたら年だけ取っていたという絶望を味わいたくないのです。

周りから「いまさらそんな大変なことをしなくてもいいのに。」と思われてしまうようなことをあえてやっているのは、まさに現状維持を嫌う精神からなのかもしれません。

賃金269 夜勤時間帯における割増賃金算定の基礎単価が夜勤手当がベースとなるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、夜勤時間帯における割増賃金算定の基礎単価が夜勤手当がベースとなるとされた事案について見ていきましょう。

社会福祉法人A事件(千葉地裁令和5年6月9日・労経速2527号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員として勤務していたXが、Y社に対し、労働基準法37条の割増賃金請求権に基づき、①平成31年(令和元年)2月から令和2年11月までの夜勤時間帯の就労に係る未払割増賃金合計312万9684円+遅延損害金の支払を求め、②労基法114条所定の付加金312万9684円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、69万5625円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 労基法37条の割増賃金は、「通常の労働時間又は労働日の賃金」を基礎にして計算されるところ、本件雇用契約においては、基本給のほかに、1日当たり6000円の「夜勤手当」が支給されていたほか、基本給の6%に相当する夜間支援手当が支給されていたことが認められ、これによれば、本件雇用契約においては、夜勤時間帯については実労働が1時間以内であったときは夜勤手当以外の賃金を支給しないことが就業規則及び給与規程の定めにより労働契約の内容となっていたものと認められる。そして、このように1回の泊まり勤務についての賃金が夜勤手当であるとされていたことに照らすと、夜勤手当の6000円は、夜勤時間帯から休憩時間1時間を控除した8時間の労働の対価として支出されることになるので、その間の労働に係る割増賃金を計算するときには、夜勤手当の支給額として約定された6000円が基礎となるものと解される。
したがって、Y社における夜勤時間帯の割増賃金算定の基礎となる賃金単価は、750円であると認めるのが相当である。

2 これに対しXは、Xの勤務は、泊まり勤務の後に午前10時まで勤務することを基本としていたが、Xが更に続けて勤務したときは、その超過時間数に応じ、給与明細書に記載された時間数に応じた「時間外手当」が支給され、その時間数及び額によれば、Xの割増賃金算定の基礎となる賃金単価は、そのときの基本給の額に応じて1528円、1540円又は1560円となると主張する。
しかしながら、夜勤時間帯が全体として労働時間に該当するとしても、労働密度の程度にかかわらず、日中勤務と同じ賃金単価で計算することが妥当であるとは解されない

3 なお、最低賃金に係る法規制は全ての労働時間に対し時間当たりの最低賃金額以上の賃金を支払うことを義務付けるものではないから、泊まり勤務に係る単位時間当たりの賃金額が最低賃金を下回るとしても、直ちに泊まり勤務の賃金額に係る合意の効力が否定されるものとは解されない

本件紛争は、「夜勤手当」という名称の紛らわしさが原因となっていることは明らかです。

また、上記判例のポイント3は、誤解しがちな点ですので、しっかりと押さえておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介2053 20代のうちに知っておきたいお金のルール38#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

まさにお金のルールが書かれています。

若いうちにここに書かれているルールを身につけておくと、人生の後半戦がとても楽になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『収入を増やして支出を減らすことがお金持ちになる王道だ』というのは間違っている。『いかにお金を払わずに済むか』ばかり考えているようなせこい人間には人が集まってこない。お金は人が運んでくる。つまりどんなに収入を増やしてもお金を使わなければ、いずれお金も枯渇するというわけだ。
継続的なお金持ちになるためにはどうすればいいか。たくさん稼いでたくさん使うことだ。」(26頁)

その人がけちでせこい人かどうかは、少し付き合ってみればすぐにわかります。

引き寄せの法則からすれば、テイカーにはテイカーが、ギバーにはギバーが引き寄せられます。

プライベートでどうしようがその人の自由ですが、ビジネスにおいては、どのような人間関係を構築するかは、長期的な視点では、極めて大切なことです。

賃金268 労働契約書等において、割増賃金の対価と明記された職務手当に、通常の労働時間の対価も含まれているとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、労働契約書等において、割増賃金の対価と明記された職務手当に、通常の労働時間の対価も含まれているとされた事案を見ていきましょう。

国・渋谷労基署長(カスタマーディライト)事件(東京地裁令和5年1月26日・労済速2524号19頁)

【事案の概要】

本件は、渋谷労働基準監督署長から平成29年12月14日付けで労働者災害補償保険法14条1項に基づく休業補償給付を支給する旨の決定を受けたXが、本件処分には給付基礎日額の算定を誤った違法があると主張して、その取消しを求める事案である。

【裁判所の判断】

請求認容

【判例のポイント】

1 本件労働契約に係る契約書や本件会社の就業規則の記載を踏まえても、XのY社における地位及び職責に照らし、通常の労働時間に対応する賃金が基本給の限りであったと認めるには無理があること、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いと評価される80時間を大幅に超える1か月当たり150時間前後の法定時間外労働を前提とする職務手当を支給することは当事者の通常の意思に反することを総合考慮すると、本件Y社から支払われた職務手当には、その手当の名称が推認させるとおり、通常の労働時間も含め、XのD事業部マネージャーとしての職責に対応する業務への対価としての性質を有する部分が一定程度は存在したと認めるのが相当である。
Y社は、職務手当の全額を割増賃金として支給する旨の合意は必ずしも長時間の時間外労働等をXに義務付けるものではなく、むしろ労使双方にとって一定の合理性があると主張する。しかし、時間外労働が1か月当たり80時間を大幅に超過しない限り、職務手当を超える割増賃金が発生しないという賃金体系は、直ちに長時間の時間外労働等を義務付けるものではないにしても、それを誘発する効果があることは否定し難い
この点は、Xが平成27年12月から平成28年6月までの間において80時間を超える法定時間外労働を行った月は4か月であり、うち3か月の法定時間外労働時間数は100時間を超えていることからも裏付けられており、労働者であるXにとって極めて不利益の大きい合意というほかなく、これが当事者の通常の意思に沿うものと認めることはできない。したがって、Y社の上記主張は採用することができない。

2 職務手当は、その全額が労基法37条に基づく割増賃金として支払われるものと認めることはできず、通常の労働時間の賃金として支払われる部分が含まれると認められる。
本件労働契約に係る契約書においても、本件会社の就業規則においても、職務手当に含まれる労基法37条に基づく割増賃金に対応する時間外労働等の時間数は記載されておらず、その他本件全証拠に照らしても、本件労働契約において、職務手当における通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することはできないものといわざるを得ない。
 したがって、職務手当の支払をもって、本件会社がXに対し労基法37条に基づく割増賃金として支払ったとする前提を欠くことになるから、結局のところ、職務手当の全額を通常の労働時間の賃金に当たるものとして給付基礎日額を算定するよりほかないというべきである。

固定残業制度に関する裁判例をほぼ落ち着いてきていますので、しっかり制度運用さえできれば、無理なく有効と判断されます。

判例の考え方を正確に理解しないで、素人判断で制度を導入することは百害あって一利なしなので気を付けましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。