Category Archives: 解雇

解雇347 ストーカー行為を理由とする諭旨免職処分(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、スト―カー行為等を理由とする諭旨免職処分等の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

PwCあらた有限責任監査法人事件(東京地裁令和2年7月2日・労判ジャーナル106号48頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのない雇用契約を締結した労働者であるXが、使用者であるY社に対し、
(1)Y社がXに対してした懲戒処分としての諭旨免職処分、人事権の行使としての降格決定及び普通解雇がいずれも無効であると主張して、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認(請求1項)、②諭旨免職処分が無効であることの確認(請求2項)、③降格決定が無効であることの確認(請求3項)、④降格決定から平成31年2月末をもって普通解雇されるまでの未払賃金(降格決定による減額分)及びこれらに対する遅延損害金の支払(請求4項)、⑤普通解雇の翌月である同年3月から本判決確定の日までの賃金及びこれらに対する遅延損害金の支払(請求5項)、⑥平成30年7月から本判決確定の日までの毎年7月の賞与及びこれらに対する遅延損害金の支払(請求6項)、⑦平成30年12月の未払賞与(降格決定による減額分)及びこれに対する遅延損害金の支払(請求7項)を求めるとともに、
(2)上司らによるパワーハラスメント、降格決定、諭旨免職処分及び女性職員との接触を伴う業務の制限が違法であると主張して、民法709条、715条の不法行為責任又は民法415条の債務不履行責任(職場の環境配慮義務違反)に基づき、慰謝料及びこれに対する遅延損害金の支払(請求8,9項)を求め、
(3)Y社の語学学校費用補助制度を利用できなかったことやY社から裁判期日への出席の際に有給休暇を取得するように指示されたことが違法であると主張して、民法709条の不法行為責任に基づき、損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払(請求10項,11項)を求める事案である。

【裁判所の判断】

1 Y社がXに対して平成30年7月1日付けで行ったアソシエイト・ライトからアソシエイト・プライマリーへの降格が無効であることの確認を求める訴えを却下する。
 Xが、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
 Y社がXに対して平成30年5月11日付けで行った諭旨免職の懲戒処分が無効であることを確認する。
 Y社は、Xに対し、平成31年3月から令和2年3月まで、毎月25日限り、36万1640円+遅延損害金を支払え。
 Xのその余の請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 Xは、Y社から事情聴取を受けた際に、反省の弁を述べる一方で、被害女性が、入院したり、PTSDになったりはしておらず、普通に出勤しているのであるから問題はないのではないかなどといった被害女性への配慮を欠く発言をしていることからすると、Xが、本件ストーカー行為が被害女性に与えた精神的苦痛を十分に理解し、本件ストーカー行為を行ったことについて真に反省していたかは疑わしく、Y社において、Xには本件ストーカー行為を行ったことについて反省の態度が感じられないと判断したこと自体に問題があったとはいえない。
しかしながら、Xには、本件警告を受けた後も被害女性に対するストーカー行為を継続していたといった事情や、他の女性職員に対してストーカー行為に及ぶ具体的危険性があったといった事情までは認められない。また、Xには、本件ストーカー行為が発覚するまでに懲戒処分歴はなく管理職の地位にある者でもない。これらの事情を総合考慮すると、Xが本件ストーカー行為を行ったことについて真に反省していたかが疑わしい点を勘案したとしても、労働者たる地位の喪失につながる本件諭旨免職処分は、重きに失するものであったといわざるを得ない。そうすると、本件諭旨免職処分は、社会通念上相当であるとは認められない場合に当たる。

2 ①XとY社との間で令和元年度の目標設定が合意に至らなかったこと、②Xが、上司らに対し、質問事項を電子メールで繰り返し送信し、電子メールでの回答を要求することにより、上司らの業務に一定の支障が生じたこと、③Xが虚偽の内容を含む電子メールを上司らに送付したこと、④Xは、有給休暇を取得することなく、本件裁判期日に出席したことなどが認められ、これらのXの行為には問題があるといえるが、その内容や頻度、程度等に鑑みると、解雇せざるを得ないほどの重大な事由であるとまでは認めることができない。
以上によれば、Xの業務内容や勤務態度に問題があることは認められるが、すべてを総合考慮したとしても、解雇せざるを得ないほどの重大な事由があると認めることはできず、Xにつき、就業規則36条1項8号の「その他前各一号に準ずるやむを得ない事由があるとき」に該当する事由があるとはいえない。
・・・Xに就業規則所定の解雇事由は認められず、仮に解雇事由に該当する余地があったとしても、Xを解雇せざるを得ないほどの事由があるとまでは認めることができないから、本件普通解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認めることはできず、労働契約法16条により、解雇権を濫用したものとして無効である。

いつもながら相当性の判断はとても難しいです。

予見可能性は極めて低いため、訴訟リスクを考えると慎重にならざるを得ません。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

解雇346 正社員採用時における事実不告知を理由に懲戒処分できる?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、学生運動関与秘匿を理由とする分限免職処分の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

京都府事件(京都地裁令和2年3月4日・労判ジャーナル108号38頁)

【事案の概要】

本件は、平成29年4月1日付で京都府に条件付採用され、京都府A課に勤務していたXが、京都府知事から同年9月30日付けで分限免職処分を受けたことから、これを不服として、京都府に対し、本件分限免職処分には裁量権の行使を誤った違法があると主張し、行政事件訴訟法3条2項に基づき、本件分限免職処分の取消しを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求認容

【判例のポイント】

1 本件訓告を受けたXについて、本件人事院規則10条2号又は4号に準じた分限事由が存在するか否かについて、本件無期停学処分及び本件放学処分の秘匿等の動機、理由として、条件付採用期間中の職員にある者がいわゆる学生運動関与とそれに関わる大学からの懲戒処分といった事実が正式採用に向けて不利に作用するものと憶測するのは自然の情であるものといえ、上記秘匿をもって勤務成績や公務員としての適正を殊更に否定する事情とまではならないというべきであり、また、学生運動は飽くまで、本件条件付採用の1年半以上も前のXがB大学との関係で行ったものであり、京都府とは無関係のものであり、そして、京都府での勤務を開始した平成29年4月以降に、XがB大学全学自治会同学会の学生運動に関与したことはなく、また、Xが、条件付採用期間中の京都府A課での勤務において、勤務成績や適性の面で問題視されるような行動をとったことをうかがわせる証拠も存在しないこと等から、本件分限免職処分は、裁量権の行使を誤った違法があるというべきである。

このように、裁判所は、入社時の「ウソ」にかなり寛大です。

安易に入社時の「ウソ」を理由に解雇をすることは避けるべきです。

しっかり顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

 

解雇345 精神疾患の業務起因性と解雇制限(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、労基法19条1項違反に基づく解雇無効地位確認等請求に関する事案を見てみましょう。

中央自動車工業事件(大阪地裁令和2年11月19日・労判ジャーナル108号16頁)

【事案の概要】

本件は、自動車の修理加工、販売、仲立等を目的とするY社の従業員であったXが休職期間満了により退職扱いとされたところ、XがY社の従業員の嫌がらせにより精神疾患に罹患し休職せざるを得なくなったのであって、Xの休職がY社の業務に起因するため、労基法19条1項により退職扱いとすることができないと主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに平成30年6月以降本判決確定の日まで毎月27日限り月額44万6000円の賃金+遅延損害金の支払を求めるとともに、上記Y社の従業員の嫌がらせ又はY社の退職扱いによりXの権利ないし法律上保護に値する利益を侵害され、また、これに対して何らの対応もしなかったY社に職場環境配慮義務違反があるとして、Y社に対し、使用者責任(民法715条1項)、不法行為(民法709条)又は債務不履行(民法415条)に基づき、慰謝料200万円及び治療費等34万5600円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Xが平成28年5月頃、適応障害を発症した旨主張し、これに沿うI医師の意見も存する。しかしながら、Xが平成19年6月23日、うつ病と診断され、その後、多少症状が軽減した時期はあるが、平成28年5月頃まで、抗うつ薬を中止できるような寛解状態には至っていないことからすると、それまでのうつ症状とは異質の、いらいら及び攻撃的な感情の出現を認められることを考慮しても、大阪労働局地方労災医員協議会精神障害専門部会の意見のとおり、「反復性うつ病性障害(F33)」が自然経過を超えて著しく悪化した可能性を否定できない

2 仮に、XがI医師の意見のとおり、平成28年4月後半頃に適応障害を発病していたとしても、発病前おおむね6か月の間に生じた可能性のある出来事は、別表Y社の従業員による嫌がらせ行為一覧表の番号10(「お前なんか死ね。早よ死ね。」,「アホ!ボケ!」)のみである。
この点、Xは、認定基準においても、いじめやセクシュアルハラスメントのように出来事が繰り返されるものについては、発病の6か月前よりも前にそれが開始されている場合でも、発病前6か月以内の期間にも継続しているときは、開始時からの全ての行為を評価の対象とするとされていることを指摘する。
しかしながら、Dによる嫌がらせ行為が継続的に行われていたと認められないことは別表Y社の従業員による嫌がらせ行為一覧表「当裁判所の判断」欄記載のとおりである。
また、発病前おおむね6か月の間に生じた出来事に限定しないとしても、別表Y社の従業員による嫌がらせ行為一覧表のうち、認められる可能性のある出来事は、番号4,5,8,10,11にとどまる。

3 加えて、これらを総合的に考慮したとしても、別表Y社の従業員による嫌がらせ行為一覧表のとおり、これらが継続して行われているとはいえず、また、多人数が結託して行われたともいえない(Dの肩が当たったとしても治療を要するものでない)以上、認定基準の別表1「業務による心理的負荷評価表」項目29(「(ひどい)嫌がらせ,いじめ,又は暴行を受けた」)に沿って検討すれば、「強」である例には当たらず、心理的負荷の強度が「強」であるとは認められない
したがって、本件疾病の業務起因性を認めることができない
よって、本件疾病が業務上の疾病に該当することを前提とするXの地位確認請求及び賃金請求にはいずれも理由がない。

精神疾患の業務起因性の判断は本当に難しいです。

本件のように全く問題がないというわけではない事案において、業務上の疾病には該当しないと判断すれば、ほぼ間違いなく訴訟に発展します。

その覚悟を持ち、顧問弁護士に相談をしながら客観的に判断することが求められます。

解雇344 証拠の偽造・書面の虚偽記載と不当提訴(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、営業部長に対する懲戒解雇の存否等と不法行為該当性に関する裁判例を見てみましょう。

日成産業事件(札幌地裁令和2年5月26日・労判1232号32頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、①Y社がXに対してしたとされる懲戒解雇は存在せず、又は無効なものであるとして、労働契約に基づき、懲戒解雇の不存在又は無効を前提とした未払賃金及び遅延損害金の支払を求め、②懲戒解雇事由がないにもかかわらずY社がXを懲戒解雇したかのように装うなどしたため、Xが支給を受けるべき退職金共済制度に基づく退職一時金が減額されたとして、不法行為に基づき、同減額相当額の損害賠償及び遅延損害金の支払を求め、③上記②のように懲戒解雇したことを装い、上記退職一時金の受給を妨害し、不当な損害賠償請求をするなどしてXの人格権及び財産権を侵害したとして、不法行為に基づき、慰謝料等の損害賠償及び遅延損害金の支払を求め、④Y社が主張するXのY社に対する労働契約に基づく損害賠償債務は存在しないとして、その不存在の確認を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、未払賃金28万3800円+遅延損害金を支払え

Y社はXに対し、61万4760円+遅延損害金

債務不存在確認認容

【判例のポイント】

1 本件損害賠償請求の内容をみると、本件約束手形の不渡りに伴う損害のみならず、XがY社の従業員としての地位を有していた間の本件経費についても、それが損害ではないことは明らかであるにもかかわらず損害賠償を求めている。また、本件損害賠償請求の方法をみると、存在しない本件懲戒解雇に係る本件懲戒解雇通知とともにしていることや、本件回答書において本件経費について明らかな虚偽記載をしていることに鑑みると、正当な権利の行使とは評価できない。加えて、Y社は、本件訴訟において、本件取引に係る決裁等に関してあえて事実と異なる主張をしたばかりではなく、Y社内部における決裁手続を経た本件申請認可書Aを改変した本件申請認可書Bや偽造した本件申請認可書Cを書証として提出しているのであって、もはや正当な権利の行使として許容される方法を逸脱していることは明らかである。そうすると、本件損害賠償請求及びそれに関する本件訴訟におけるY社の訴訟行為は、Xに対する不法行為となるものというべきである。

提訴や訴訟行為の不法行為該当性については、要件が厳しいので、そう簡単には認められませんが、本件くらいの事情があればさすがに認められます。

提訴や反訴の是非については、感情に任せず、冷静に判断する必要があります。

事前に顧問弁護士に相談することが大切です。

解雇343 確たる証拠もなく産前休業直前に解雇したことと不法行為責任(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、売上金窃取等を理由とする妊娠中の普通解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

アニマルホールド事件(名古屋地裁令和2年2月28日・労判1231号157頁)

【事案の概要】

甲事件は、Y社に雇用されていたXが、後記窃取を理由に普通解雇されたが、窃取事実はなく解雇は無効であるなどと主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び解雇後である平成30年7月21日以降の賃金の支払を求めるとともに、違法解雇であり不法行為が成立するとして、解雇により受給できなかった出産手当金相当額52万7967円及び慰謝料300万円の小計352万7967円の損害賠償金のうち300万円の支払を求める事案である。

乙事件は、Y社が、Xが平成29年9月23日から平成30年5月11日の間の計40日間・41回にわたり、Y社の運営する動物病院の診療費明細書(控)を破棄・隠匿すると同時にレジスターから計26万3966円の診療費を窃取したとして、不法行為に基づき、上記診療費に加えて無形の損害100万円、弁護士費用50万円の損害賠償を求める事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効
→バックペイ

Y社は、Xに対し、17万7288円+遅延損害金を支払え

Y社は、Xに対し、102万7967円+遅延損害金を支払え

X・Y社のその余の請求を棄却

【判例のポイント】

1 本件解雇は、客観的合理性・社会的相当性を欠いており、権利濫用と評価され、認定事実の平成30年5月11日以降の経過や本件訴訟での主張立証状況に鑑みても性急かつ軽率な判断といわざるを得ず、少なくともY社に過失が認められることは明らかであるから、Xの雇用を保持する利益や名誉を侵害するものとして、不法行為を構成するというべきである。

2 Xは、Y社から確たる証拠もなく窃取を理由に産前休業の直前に解雇されたものであること、本件解雇の通告後、その影響と思われる身体・精神症状を呈して通院していることに照らすと、未払賃金の経済的損失のてん補によっても償えない特段の精神的苦痛が生じたと認めるのが相当である。・・・Xの精神的苦痛に対する慰謝料額として50万円が相当である。

窃盗、横領事案については、いかに裏付けをとるかが鍵となります。

「そうではないか」程度で解雇すると、訴訟になってから立証に苦労することになります。

訴訟になる前の段階から顧問弁護士に相談しながら対応することが大切です。

解雇342 解雇予告手当の除外認定に関する裁判所の考え方(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、窃盗を理由とする解雇と解雇予告手当に関する裁判例を見てみましょう。

石田商会事件(大阪地裁令和2年7月16日・労判ジャーナル105号36頁)

【事案の概要】

本件は、日用雑貨、食料品、書籍雑誌、服飾雑貨、タバコ、酒類の販売等を目的とするY社の従業員であったXがY社に対し、労働契約に基づき、未払時間外、休日及び深夜割増賃金計346万3286円及び平成29年12月支給分の未払賃金5万円+遅延損害金、平成29年9月分から同年12月分の交通費等計8万9584円+遅延損害金、労基法20条1項に基づき、解雇予告手当の一部である21万9519円+遅延損害金の各支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、267万4781円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、5万0032円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、4万5601円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Xは、休憩時間が60分であったと主張し、これに沿う供述(陳述書の記載を含む。)をする。しかしながら、Xが応募した求人票及びXがY社と取り交わした雇用契約書には休憩時間150分と記載されている。また、甲号証として提出されたY社の従業員であったKの陳述書では、Xの昼の休憩時間が45分から60分程度であったと記載され、X自身採用面接の際には昼休憩が60分と説明を受けた旨述べている。さらに、昼の休憩に加えて、Xがタバコ休憩をとっており、それがXの認める範囲でも2,3回、1回当たり5分から10分程度あった。加えて、Xが勤務時間に322点も窃盗を繰り返し、窃取のために閉店準備時間まで待ったり、あるいは、窃取した商品をメルカリに出品するため、多数回にわたり、勤務時間に商品の写真を撮ったり、メルカリの顧客とやりとりを行っていた。そうすると、Xの上記供述部分を採用することができず、これらの事情に照らせば、Xの休憩時間は90分、特にa店で窃取を行っていた平成29年7月以降同年12月までについては、原告の休憩時間を120分と認めるのが相当である。
他方、上記のとおり、Xは統括バイヤーとして仕入れ業務等を行っていたこと、Xが応募した求人票では、休憩時間150分と記載される一方、月平均20時間の時間外労働がある旨の記載があり、現実に150分もの休憩を取れるのかは疑問があること(Y社も求人票の記載は統括バイヤーであるXには当てはまらない旨述べる。)等からすると、上記事情やXがバックヤードでさぼっていたとのY社の指摘を考慮しても、Xが150分も休憩をとっていたとまでは認められない

2 Y社は、平成29年12月支給分の賃金減額は、統括バイヤーの解任に伴うものであるから有効である旨主張する。しかしながら、職務手当については、平成27年4月頃にも5万円の減額がされており、また、一方でY社は、職務手当の全額が超過勤務手当であるかのような主張もするなど、職務手当に役職手当に相当するものが含まれているのか、それがどの程度であるのかが判然とせず、Xが統括バイヤーから解任されたからといって、直ちに平成29年12月頃の職務手当の減額が有効であるとは認められない

3 Xは、Y社の商品を322点も窃取したことを理由として解雇されたものであるから、Xの解雇は、労働者の責めに帰すべき事由に基づくものと認めるのが相当である。
よって、Xの解雇予告手当支払請求には理由がない。

「え?除外認定受けなくてもいいの?」と思われる方もいるかと思います。

一般的には以下の規定のとおり、除外認定を受ける必要があります。

【労基法20条】
1 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない
3 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。

【同法19条2項】
前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない
*「行政官庁の認定」=所轄労基署長の解雇予告除外認定
*ちなみに、20条違反は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(同法119条1号)。

しかしながら、裁判所は、本件裁判例同様、除外認定がなくても、「労働者の責めに帰すべき事由」がある場合には解雇予告手当の支払を不要と解しています。

ただし、非常に危ないので鵜呑みにしないように!!(結果、セーフだっただけですから)

事前に顧問弁護士に相談をしつつ、慎重に対応していきましょう。

解雇341 自家用車への不正給油と懲戒免職処分(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、自家用車への不正給油と懲戒免職処分に関する裁判例を見てみましょう。

津市事件(津地裁令和2年8月20日・労判ジャーナル105号28頁)

【事案の概要】

Xは、津市の職員であるが、公用車の自動車燃料給油伝票を用いて、Xの自家用車に不正に給油したことを理由に、津市長Aから懲戒免職処分を受け、更に、三重県市町総合事務組合管理者Cから、退職手当等の全額を支給しないこととする退職手当支給制限処分を受けた。
本件は、Xが、津市に対し、本件免職処分が違法であると主張して、その取消しを求める(第1事件)とともに、被告組合に対し、本件制限処分が違法であると主張して、その取消しを求める(第2事件)事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 各非違行為のうち、最も重大な非違行為である非違行為1について見ると、津市の参事であったXは、平成26年8月から平成28年11月までの間に63回にわたって、X車両を使用していたにもかかわらず、給油伝票に公用車の車両番号等の虚偽の記載をして、給油業者及び津市の担当職員を欺罔し、X車両に不正に給油を受け、津市に27万0831円の損害を与えたことが認められる。そして、津市においては、私用車を利用し、その使用料を請求できるのは、当該職員が公用車を利用することが困難な場合等に限定されており、Xの職場の公用車の配備状況からすれば、Xは、X車両を公務に利用する許可を受けて、その使用料を津市に請求することはできなかったのである。
このように、Xは、給油伝票に虚偽の記載を行うという積極的な欺罔行為によって、本来請求し得ないX車両のガソリン代を津市に支出させているのであり、この行為態様やその期間の長さ等に鑑みれば、これは相応に重い非違行為であるというべきであり、本件指針にいう詐取に該当するものであると解される。

2 以上のとおり、Xの非違行為1の態様は相応に悪質なもので、その動機に特段酌むべき事情があるともいえず、Xの地位に照らすと、この非違行為1が公務に及ぼす影響も決して軽視できるものではない。これらの事情を勘案すると、Xがその勤務状況について高い評価を得ていたこと、Xが非違行為の後には反省の態度を示し、津市のために勤務をしていること、Xは全額の被害弁償をしていることなどのXに有利な事情を勘案した上で、免職処分を選択するに当たっては特に慎重な配慮を要することを踏まえても、津市長の判断は、その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものと認めることはできない。

裁判官によっては、相当性の要件で解雇の有効性を否定することもあり得るかなと思います。

ときどき「え、まじで!?これでも解雇無効なの?」と思ってしまう裁判例を見かけますので、油断はできません。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

解雇340 代表者に対する暴行を理由とする解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、代表者に対する暴行等を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

モロカワ事件(東京地裁令和2年6月3日・労判ジャーナル104号40頁)

【事案の概要】

第1事件のうち本訴請求事件は、Y社で稼働していたXが、平成30年10月18日、Y社の代表者であるBに暴行を加えたなどとして、同年11月9日、同日付けで、Y社から普通解雇をされたところ、同解雇は無効であると主張して、Y社に対し、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認と、②雇用契約に基づき、同年12月以降、本判決確定の日に至るまで毎月25日限り、月例賃金65万円の支払を求めるとともに、③雇用契約に基づき、平成28年12月25日支払分から平成30年10月25日支払分までの未払残業代875万6019円+確定遅延損害金51万3918円と翌20日から支払済みまで同様の割合による遅延損害金の支払並びに同月25日支払分の未払残業代10万0966円の支払を求め、さらに、④労基法114条に基づき、付加金885万6985円の支払、⑤不当な懲戒解雇による慰謝料請求として、不法行為に基づき、慰謝料100万円の支払をそれぞれ求めた事案である。

第1事件のうち反訴請求事件は、Y社が、Xに社宅として本件建物を賃貸していたところ、本件解雇により賃貸借契約が終了したとして、Xに対し、賃貸借契約終了に基づき、本件建物の明渡しと、債務不履行に基づき、賃貸借契約終了の日の翌日である平成30年11月10日から本件建物明渡しまで1か月当たり18万9500円の賃料相当損害金の支払を求めた事案である。

第2事件は、Y社の代表者であったBが、本件暴行によって負傷したとして、Xに対し、不法行為に基づき、治療費等の損害金100万9100円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

XはY社に対し建物を明け渡せ。

Xは、Y社に対し、平成30年11月17日から建物明渡済みまで1か月当たり5万4200円の割合による金員を支払え。

Xは、Bに対し、30万9100円+遅延損害金を支払え。

Xの本訴請求はいずれも棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Bに対し、暴行を加えたものであって、しかも、これにより、全治4週間を要する見込みの左肋骨骨折、左手足打撲の傷害を負わせたものである。しかも、Xは、暴行自体は認めつつも、Bが暴言を述べたからであるとか、Bが先に暴行をしてきたなどと主張し続けていたものであり、それ以上に適切な慰謝の措置を講じなかったものである。
しかも、Y社は、代表取締役であるBを中心に、その家族が枢要な役職を担って運営されてきた会社であって、その娘婿であるXも、そうした縁故の下、稼働してきたと推認することができる。しかるところ、本件暴行は、そうした企業活動の中心にあったBに対して行われたものであって、Y社が、これを背信行為であるとして重く見たとしても、それが不合理であるともいえない。
そうしてみると、本件暴行が酔余の所為であったことや、Xが長年Y社に勤務してきたことなど、Xに酌むことのできる事情を考慮するにしても、本件解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものであるとは認められない

2 Y社は、本件解雇の際、直ちに労基法20条1項本文所定の平均賃金(解雇予告手当)の支払をしておらず、その支払がなされたのは平成30年11月16日のことであると認められる。そして、所轄労働基準監督署長の除外認定を経た形跡があるとも認められず、同項ただし書所定の事由があったとまではたやすく認め難いところ、同条同項所定の措置を経ていない解雇の通知は、即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、通知後30日の期間を経過するか、又は通知の後に予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生じるものである(最高裁判所昭和35年3月11日第二小法廷判決参照)。本件において、Y社が即時解雇に固執する趣旨であったとみるべき事情は認められないから、本件解雇は、その支払時である平成30年11月16日をもって効力を生じたものと認めるのが相当である。

前記判例のポイント2は、初歩的な判例知識ですので、押さえておきましょう。

解雇事案は必ず事前に顧問弁護士に相談の上、冷静に対応することが求められます。

解雇339 提訴時の記者会見は解雇事由となる?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、育児休業取得妨害等に基づく損害賠償等請求に関する裁判例を見てみましょう。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券事件(東京地裁令和2年4月3日・労判ジャーナル103号84頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていた原告が、①Y社から育児休業取得の妨害、育児休業取得を理由とする不利益取扱いをされたとして、不法行為による損害賠償請求権(不利益取扱いについては一部債務不履行による損害賠償請求権も根拠とする。)に基づき、損害賠償金+遅延損害金の支払を求めるとともに(損害賠償請求)、②Y社がXに対してした平成29年10月18日休職命令は無効であるとして、民法536条2項に基づき、平成29年10月分の未払賃金,同年11月分の未払賃金円+遅延損害金(休職期間賃金請求)、③Y社がXに対してした平成30年4月8日解雇は無効であるとして、民法536条2項に基づき、同年12月分から本判決確定の日までの賃金+遅延損害金(解雇後賃金請求)の支払を求め、④雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める(地位確認請求)事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社は、Xに対し警告をしたにもかかわらず、本件訴訟において、Y社の内部文書である本件収益一覧表を顧客名等について黒塗りすることなく証拠として提出し、第三者による閲覧及び謄写が可能な状態に置いたことは「Y社及び取引先の経営情報、営業上の秘密、その他公表していない情報を他に漏らした場合」(戦略職就業規程70条3号)に当たる旨主張する。
しかしながら、Xが訴訟代理人弁護士を通じて本件収益一覧表を提出した先は裁判所であり、Y社は閲覧制限を申し立てる方法により閲覧の対象者は当事者に制限することができ、また実際にも申立てがされていて、第三者が閲覧及び謄写した事実はない(記録上明らかな事実)。そうすると、Xの行為は軽率のそしりは免れないとしても、本件収益一覧表を他に漏らした場合に当たるとまでは評価することができない。上記Y社の主張は失当であり採用することができない。

2 Xは、本件のような労使紛争において社内的な解決を図ることができない場合に、裁判所を通じた法的措置をとり、その際に世論の喚起及び支援を求めて記者会見をし、取材を通して自らが訴訟において主張する事実関係を述べることは一般的に行われており、このような行為は表現の自由として憲法上保障されているからXの前記各発言を原告の不利益に考慮することは許されない旨主張する。
Xが記者会見をして自らが訴訟において主張する事実関係を述べること自体は表現の自由によって保障されるものであることはもとよりであるが、表現の自由も他人の名誉権や信用など法律上保護すべき権利・利益との間で調整的な文脈での内在的制約に服さざるをえないというべきであって、記者会見における表現行為であるとの一事をもって、その内容がどのようなものであっても対第三者との間において許容されるべきことにはならないというべきである。かような観点からすれば、訴訟追行に必然的なものではない記者会見を通して広く不特定多数の人に向けて情報発信をした事実が客観的真実に反する事実により占められ、Y社の名誉や信用等を侵害する場合、これを解雇理由として考慮することが許されないと解することはできない。

3 Xは、育児休業から復帰した直後からハラスメントを受けたとし、B、D及びEが繰り返しXに対しXの誤解であることを説明したものの、かえってXは広く世間に対し同内容の主張を情報発信することを繰り返した。このようなXの言動は本件解雇に至るまで続いており、Xに改善の兆しは見られない。また、Xは、自らの担当顧客について「利益を生まないし、これからもそうはならないであろう」顧客などと指弾し、担当顧客の評価を不当に貶めるような発言をした。加えて、Y社では、Xの別紙の情報発信を理由として顧客取引の停止等の影響が実害として発生していることが認められる。そして、X自身も、平成29年11月2日記者会見において、Xによるハラスメントを訴えたことを理由に既にY社との取引を止めたという噂も耳にしている、この動きは広がる一方である旨述べていて、別紙の情報発信によりY社に与える打撃及び影響を十分に認識し認容しながら、Y社からの警告を受けてもなお、あえて情報発信を継続したと理解することができる。Xは、日本株及び日本株関連商品の営業業務の担当として高い職務実績をあげY社の当該業務の成果に大きく貢献することが期待され高額の給与が保証されている戦略職であり、別紙の一連の情報発信及び情報の拡散行為は、戦略職として求められている期待に著しく反するものであって、本件雇用契約上の信頼関係は修復不可能な状態になっているということができる。

上記判例のポイント2は注意が必要ですね。

提訴時の記者会見について裁判所の考え方が示されていますので参考にしてください。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

解雇338 身元保証契約の効力が及ぶ範囲とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、窃盗を理由とする懲戒解雇に関する裁判例を見てみましょう。

近畿中央ヤクルト販売事件(大阪地裁令和2年5月28日・労判ジャーナル102号34頁)

【事案の概要】

第1事件は、乳製品乳酸菌飲料の販売等を目的とするY社の従業員であったXがY社による懲戒解雇が無効であるとして、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、主位的に、労働契約に基づき、平成29年11月分の未払賃金9万7147円+遅延損害金、同年12月から本判決確定の日まで毎月25日限り16万円の賃金+遅延損害金、別紙割増賃金一覧表「割増賃金未払額」欄記載の各割増賃金+遅延損害金、労基法114条に基づき、上記未払割増賃金のうち325万5837円と同額の付加金+遅延損害金の各支払、XとY社との間において、XのY社に対する売上金領得に係る不法行為に基づく損害賠償債務が存在しないことの確認、予備的に、不当利得に基づき、9万7147円+法定利息の支払を求める事案である。

他方、第2事件は、Y社の従業員であったXがY社の管理する自動販売機から売上金を回収する際、自動販売機内の売上金を着服(窃取)し、Y社の権利を故意に侵害したとして、Xについては不法行為に基づき、Xの同損害賠償債務をB及びCが連帯保証したとして、B及びCについては連帯保証契約に基づき、連帯して、窃取された売上金相当額等計137万0460円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Xの債務不存在確認の訴えを却下する。

Y社は、Xに対し、別紙原告金額シート「割増賃金未払額」欄記載の各金員+遅延損害金を支払え。

第2事件被告らは、Y社に対し、連帯して123万円+遅延損害金を支払え。

Xのその余の請求及びY社のその余の請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 Xに交付された「雇用条件」と題する書面、Xに適用される本件嘱託規程には、営業手当にみなし残業代が含まれる旨の記載がない。また、本件嘱託規程には、営業手当等の各種手当は、職務内容等を勘案し、各人ごとに個別の雇用契約書で定める旨記載されているところ、Xの労働条件通知書(雇入通知書)には、基本賃金月給15万5000円とあるのみで営業手当に関する定めがない
この点、Y社の当時の給与規程において営業手当に関し、「ただし、営業手当には、時間外勤務手当相当額を含むものとする。」との定めがあったとしても、Xとの間においてはそれと異なる約定であった可能性を否定できない。Xの労働条件通知書においては、他の箇所(休暇等)では詳細について就業規則を引用する定めがある一方、賃金については給与規程を引用しておらず、営業手当に関する定めがないことは給与規程とは別段の定めがある可能性を裏付けるものといえる。
そうすると、Xとの関係では、Y社が主張する上記固定残業代の合意があったとは認められない。

2 第2事件被告らは、本件各身元保証契約の範囲がXとY社との間の当初の労働契約の範囲(遅くとも平成28年3月31日まで)に限られる旨主張する。
しかしながら、本件各身元保証契約自体には期限が定められていない。また、XとY社との間の労働契約が当初から一定期間の継続雇用が見越されていたことは当事者間に争いがない。さらに、Xの当初の労働契約とその後の労働契約でXの任地や職務内容に変更がなく、B及びCの責任を加重したり、監督を困難にするような契約内容の変更は認められない。そうすると、本件各身元保証契約を締結するに当たり、B及びCは、平成28年4月1日以降もXの行為について責任を負うことを想定していたものと考えられる。このように解しても、身元保証ニ関スル法律1条により存続期間が制限されるから同法の趣旨に反することにはならない。加えて、Xの行為によるY社の損害額が123万円である一方、XがY社以外で勤務し、平成30年1月以降月額30万円以上(平成30年7月から令和元年5月まで月額38万円,令和元年6月は39万5000円)の収入を得ており、Xにもある程度の弁済能力があると考えられ、したがって、B及びCに全額の保証責任を負わせても、過大な負担を負わせるとはいえないこと、Y社の過失を認めるに足りる証拠がないこと等の事情を斟酌すると、本件各身元保証契約の範囲は、Xの売上金着服行為に及び、その金額もY社が被った全額に及ぶと認めるのが相当である。
よって、B及びCは、Xの行為によりY社が受けた123万円の損害の賠償責任を負う。

民法改正により身元保証に関しても、極度額による制限が設けられましたが、考え方自体は参考になりますね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。