Category Archives: 管理監督者

管理監督者22(ゲートウェイ21事件)

おはようございます。

さて、今日は管理監督者性に関する裁判例を見てみましょう。

ゲートウェイ21事件(東京地裁平成20年9月30日・労判977号74頁)

【事案の概要】

Y社は留学・海外生活体験商品の企画、開発、販売等を業とする会社である。

Xは、Y社に勤務し、銀座支店の支店長であり、Y社社内では、シニアブランチマネージャー(SBM、部長相当、非役員では最高等級)の地位にあり、営業を担当していた。

Xは、Y社を退職後、Y社に対し、未払時間外手当等の請求をした。

【裁判所の判断】

管理監督者には当たらない

付加金として、請求認容額とほぼ同額を認めた

【判例のポイント】

1 Y社は、Xに勤務上の広い裁量があり、Xに残業を命じる立場の者はいないので、残業命令がないところを自らの意思で残業したにすぎないと主張する。
しかし、Y社代表者は、午前10時ころのみならず、遅い時刻にもメールや電話で、Xらに、営業成績の報告等をするよう、強く求めていたことが認められる。Xの地位からすれば、具体的に何日の何時まで残業せよという命令が出ることはないと考えられる。けれども、Y社では、全社的に営業成績(ノルマ)の達成を強く義務づけ、従業員一般に対して、これを達成するよう叱咤激励を繰り返したことが認められるところ、その達成には所定労働時間内の勤務では不十分であることは明らかであるから、Xに対して残業命令が出ていないという理由により、Y社が時間外手当の支払を免れることはないというべきである。

2 管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理につき、経営者と一体的な立場にあるものをいい、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであると解される。具体的には、(1)職務内容が、少なくともある部門全体の統括的な立場にあること、(2)部下に対する労務管理上の決定権等につき、一定の裁量権を有しており、待遇において、時間外手当が支給されないことを十分に補っていること、(4)自己の出退勤について、自ら決定し得る権限があること、以上の要件を満たすことを要すると解すべきである。

3 Xの職務内容は、部門の統括的な立場にあり、部下に対する労務管理上の決定権等はあるが、それは小さなものにすぎないといえる。また、時間外手当が支給されないことを十分に補うだけの待遇を受けておらず、出退勤についての自由も大きなものではないといえる。これを総合すれば、Xは、経営者との一体的な立場にあり、労働時間等の枠を超えて事業活動することを要請されるような地位とそれに見合った処遇にある者とはいえず、労働時間等に関する規定の適用を除外されることが適切であるとはいうことができない。したがって、Xは管理監督者には当たらないというべきであるから、Y社はXの時間外労働に対する手当の支払を免れられないというべきである。

4 本件において、Y社は、X1に対し時間外手当を支払わず、本件訴訟提起後も、X1の時間外労働自体を争うなどし、弁論の全趣旨によれば、逆に損害賠償訴訟を提起するという態度をとるなど、時間外手当を支払う姿勢が見られないから、付加金の支払いを命ずるのが相当である。なお、時間外手当の総額は、386万8621円と認められるが、請求の趣旨の範囲内(370万1571円)で認容する

この裁判例は、とても参考になります。

特に、判例のポイント1は、労働者側にとって非常に参考になります。

ノルマの達成が強く義務づけられていたという事実を裁判所は重く評価しています。

付加金に関する裁判所の判断は、会社にとっては、痛いところです。ただ、やむを得ないといった感じでしょうか。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

管理監督者21(九九プラス事件)

おはようございます。

さて、今日は、管理監督者に関する裁判例を見てみましょう。

九九プラス事件(東京地裁立川支部平成23年5月31日)

【事案の概要】

Y社は、「SHOP99」と称し、食料品、日用雑貨のほか、生鮮食品も取り扱う24時間営業のコンビニ型店舗をチェーン展開して経営する会社である。

Xは、平成18年9月、Y社との間で期限の定めのない雇用契約を締結し、社員として雇用された。Xは、平成19年6月、店長となった。

Y社では、Xは、労基法41条に定める管理監督者に当たるとして、残業代等は支払われていなかった。

Xは、Y社に対し、店長としての扱いを受けて以降の未払割増賃金及び休日割増賃金、付加金等の支払いを求めた。

【裁判所の判断】

管理監督者には該当しない。
→未払割増賃金等の支払いを命じた。

付加金は、時間外手当の5割を認めた。

【判例のポイント】

1 Xが管理監督者に該当するか否かの判断に当たっては、・・・当該労働者が職務内容、責任及び権限に照らし、労働条件の決定、その他の労務管理等の企業経営上の重要事項にどのように関与しているか、勤務態様が労働時間等の規制になじまず、また、自己の出退勤につき一般の労働者と比較して自由な裁量が認められているか、賃金等の待遇が管理監督者というにふさわしいか否かなどの点について、諸般の事情を考慮して検討すべきものと解する

2 この点、Y社は、労働者が、特定の事業所において、使用者のために、他の労働者の労務提供を確保し、又は採用・解雇等の人事管理を行う者で、その職務の内容等が労働時間等の制限になじまないものであれば、管理監督者の該当性を判断する旨主張するが、これは、事業所の規模の大小を問うことなく事業所単位で管理監督者の該当性を判断する点、当該労働者の権限の広狭等を問うことなく使用者のために労務提供の確保等を行う者であれば足りるとする点、使用者が労働者に対し労働時間等の制限になじまない内容の職務等を課せば管理監督者に該当し得るとする点、賃金等の待遇面を考慮しない点等において、上記法の趣旨に合致するものとはいえず、採用できない

3 Y社は、コンビニ型店舗をチェーン展開して経営する会社であり、X勤務当時、約700店舗の直営店を有しており、店長は、エリアマネージャーの指揮の下、そのうちの1つ(兼務している場合は複数)の店舗内の運営を任されているにすぎず、平成18年9月当時かかる立場にある店長は、少なくともY社の正社員の3分の2を占めていた
そして、Y社では、店長は採用後約4か月で社員が4日間の店長養成研修を受講し、その後、2日間の4級店長資格研修及び2日間の店長任命研修を受講すれば店長に任命されるといった短期間かつ簡易なシステムを採用しており、Xの場合、研修終了の約3か月も前に店長として勤務するなど、研修自体も重視されていない実態があった。

4 店長は、PAを採用する権限があったものの、一般社員の採用や昇格等については、何ら権限を有していなかったPAの採用等についても、店長の完全な自由裁量ではなく、時給等については、Y社によって定められた一定の制限があり、また、解雇についても、職務権限表には規定がなく、Y社において、店長にPAの解雇の権限の有無や範囲について明確な説明をしていなかった。また、店長は、シフト作成を行っていたものの、PAの勤務可能な曜日及び時間帯があらかじめ定められているため、これに沿ったシフトを作成せざるを得ず、Xの裁量にも制約があった。

5 店長は、月1回開催される店長会議やエリア会議等に出席し、その場で各店長に本社の経営方針、経営戦略等が伝達されるのみで、店長からの意見聴取や経営方針について討論する機会はほとんどなかった。

6 店長は、その出退勤につき、自由な裁量が認められているとは言い難い上、PAと同じ方法により出退勤時刻等が管理されていたのであるから、自己の出退勤につき一般の労働者と比較して自由な裁量が認められているとは認められない

7 Y社においては年俸制が採用されており、年俸制の14分の1が月例賃金として支払われていたところ、Xが店長に昇格した後、年俸56万円、月例賃金は約4万円それぞれ増額されたが、店長昇格後にXが受け取った賃金額は、店長昇格前の額を超えることはなかった

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

管理監督者20(レイズ事件)

おはようございます。

さて、今日は、管理監督者に関する裁判例を見てみましょう。

レイズ事件(東京地裁平成22年10月27日・労判1021号39頁)

【事案の概要】

Y社は、不動産業を営む会社である。

Xは、Y社に採用され、その後、解雇された。解雇時は、営業本部長の地位にあった。

Xは、解雇後、Y社に対し、時間外・休日労働にかかる未払賃金の支払いを求めた。

これに対し、Y社は、Xが管理監督者にあたること、事業場外みなし制度が適用されることなどを主張し、争った。

【裁判所の判断】

管理監督者性を否定

事業場外みなし制度の適用も否定

【判例のポイント】

1 労働基準法41条は、同条2号に掲げる「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)には、労働時間、休憩、休日に関する労働基準法の規定を適用しない旨を定めているところ、その趣旨は、同法の定める労働時間規制を超えて活動することが、その重要な職務と責任から求められる者であり、かつ、その職務内容(権限・責任)や現実の勤務態様等に照らし、労働時間規制を除外しても、同法1条の基本理念や同法37条の趣旨に反するような事態が避けられる(労働者保護に欠けることにはならない)ということにあり、行政通達が、管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理につき、経営者と一体的な立場にある者をいい、その名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであるなどとしているのも、前記趣旨に沿ったものと解される。

2 そして、同通達の内容をも踏まえると、管理監督者に該当するかどうかについては、(1)その職務内容、権限及び責任が、どのように企業の事業経営に関与するものであるのか(例えば、その職務内容が、ある部門全体の統括的なものであるかなど)、(2)企業の労務管理にどのように関与しているのか(例えば、部下に対する労務管理上の決定等について一定の裁量権を有していたり、部下の人事考課、機密事項等に接したりしているかなど)、(3)その勤務態様が労働時間等に対する規制になじまないものであるか(例えば、出退勤を規制しておらず、自ら決定し得る権限があるかなど)、(4)管理職手当等の特別手当が支給されており、管理監督者にふさわしい待遇がされているか(例えば、同手当の金額が想定できる時間外労働に対する手当と遜色がないものであるかなど)といった視点から、個別具体的な検討を行い、これら事情を総合考慮して判断するのが相当である。

3 Xは、Y社において「営業本部長」という肩書は有しているものの、その業務内容は、基本的には営業活動であり、(宅地建物取引主任者の資格を活用する点、より重い営業ノルマ等を課されている点は別論として)他の一般社員(営業担当社員)と異なるところはなかったものと解される。

4 Xは、原則として、午前9時前後にはY社に出社して、タイムカードに打刻し、Y社を退社する際もタイムカードに打刻していたこと、Y社は週休2日制であるにもかかわらず、Xが週2日の休日を取得することはあまりなかったことが認められ、Xは勤務時間(出退勤)について自由裁量はなかったものと強く推認されるといわざるを得ない。

5 Xが部下の査定に実質的に関与していたと認めることはできない

6 Y社は、Xに支給されている報奨金等の多寡をも問題としているが、報奨金は、基本的には、従業員の立場等とは関係なく、契約を成立させた事実に対して支給されるものであり、その多寡が直ちに管理監督者性を基礎付けるものであるとは解し難い。

本裁判例では、管理監督者性の問題のほかに、事業場外みなし労働時間制の適用の有無についても争点となっています。

この点は、また別の機会に検討します。

管理監督者性の問題で、会社側の主張が通ることはほとんどありません。

理由は簡単です。

基準が厳しいことと、会社が、都合よく管理監督者と認定しすぎていることです。

裁判所の示す基準をすべてみたす管理職は、ほとんど存在しないと思います。

会社としては、この問題を放置しておくと、本裁判例のように、いつか時間外・休日労働の未払賃金を請求されたときに、多額の出費をしなければなりません。

このあたりは、実質的な損得の判断が求められています。

「訴訟リスク」「敗訴リスク」を実質的に判断しましょう。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

管理監督者19(デンタルリサーチ社事件)

おはようございます。

さて、今日は、管理監督者に関する裁判例を見てみましょう。

デンタルリサーチ社事件(東京地裁平成22年9月7日・労判1020号66頁)

【事案の概要】

Y社は、歯科を中心とする医療に関する情報処理サービス業および情報提供サービス業等を主要な業務とし、具体的には、歯科医として開業を検討している者に対し、人材紹介事業、不動産事業、情報誌発行事業などを行っていた。

Xは、平成9年5月にY社に雇用され、人材事業部に所属していたが、Y社が平成13年に不動産事業部を立ち上げたことに伴い、同部に移籍し部長に就任し、不動産物件の紹介、賃貸借契約書の作成・チェック、市場調査や事業計画の策定、融資手続や開設に必要な書類作成、諸手続の代行等の業務を一手に行っていた。

なお、Xが、不動産事業部の従業員の労務管理や人事考課を担当していたことはない。

Xは、平成19年7月、Y社に対し、退職願を提出した。

退職後、Xは、Y社に対し、在職中に行った時間外・休日労働につき、割増賃金および付加金の支払いを求めた。

【裁判所の判断】

請求認容。
→Xは管理監督者にはあたらない。

付加金の支払いを命じる。

【判例のポイント】

1 Xは、その労働時間の立証としてタイムカードを提出し、概ねその打刻に沿う内容の労働時間の主張をする。タイムカードの打刻により打刻時刻が機械的に印字される以上、X自身が打刻する限り、タイムカードの打刻時刻はXの出勤、退勤時刻をほぼ正確に示すものということができるから、この意味で、上記タイムカードはXの労働時間を端的に立証する信用性の高い証拠資料ということができる

2 割増賃金の基礎となる賃金から除外される賃金として「家族手当」「通勤手当」「別居手当」「子女教育手当」「住宅手当」などが定められているところ、Xに対し家族手当及び住宅手当という名目で支給されている。
これらの規定は、労働の内容、量と無関係な事情で支給される手当が割増賃金額を左右するのは不当であるとして、これを除外賃金とするとの趣旨に基づくものであることから、その名称にかかわらず実質的に判断されるべきものであり、家族手当、住宅手当と称していても、扶養家族の有無・数や、持家・賃貸の別や、住宅ローン・家賃の額に応じた金額が支給されていないような場合には、上記の立法趣旨にかんがみ除外賃金には含まれないと解するのが相当である

3 労基法41条2号の管理監督者が時間外手当等支給の対象外とされるのは、その労働者が経営者と一体的な立場において、労働時間、休日等の規制を超えて活動することを要請されてもやむを得ない重要な職務や権限を付与され、賃金等の待遇及び勤務態様の面においても、他の一般労働者に比べてその職務や権限等に見合った優遇措置が講じられている限り、厳格な労働時間等の規制を行わなくても、その保護に欠けるところはないという趣旨に出たものと考えられる。したがって、管理監督者に該当するというためには、単に管理職であるだけでは足りないことはもとより当然であって、その業務の態様、与えられた権限、待遇等を実質的にみて、上記のような労基法の趣旨が充足されるような立場であるかが検討されなければならない
Xはその権限の面でも労働時間に対する裁量という面でも管理監督者にふさわしい立場にあるということはできず、その待遇面を最大限強調しても管理監督者であることが基礎付けられるとはいえない。

4 付加金については、裁判所の裁量により支払を命じる性質のものであり、使用者側にその支払を命じることが酷である事情が存する場合にまでこれを命じることは相当ではないものの、本件においては、Y社が長年にわたって時間外手当の未払を続け、かつ、管理監督者と認識している旨述べる管理職の者以外の従業員に対しても時間外手当等を支払っていなかったことなどの本件記録上顕れた諸般の事情を考慮すれば、Y社に対しては、付加金の支払を命じるのが相当である
Y社は、XがY社の営業に関する様々なデータを持って退職したことなどにより甚大な損失を被った旨主張するが、仮にそうであったとしても、そのこと自体がY社において従業員に時間外手当を支給しなかったことを正当化するものではないから、その主張については採用することができない

いつもながら管理監督者性が否定されております。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

管理監督者18(学樹社事件)

おはようございます。

さて、今日は、管理監督者に関する裁判例を見てみましょう。

学樹社事件(横浜地裁平成21年7月23日・判時2056号156頁)

【事案の概要】

Y社は、進学教室の経営及び運営等を目的とした会社で、小学生・中学生・高校生を対象とする受験予備校を東急田園都市線、横浜線沿線に開設している。

X1は、Y社の学習塾校長でマネージャーの地位にあり、その後、退職した。

X2は、Y社の学習塾の校長代理でマネージャーの地位にあり、その後、退職した。

Xらは、退職後、Y社に対し、時間外労働の割増賃金と付加金の支払いを求めた。

Y社は、Xらが労基法41条2号に規定する管理監督者に当たると主張し、争った。

【裁判所の判断】

管理監督者性を否定し、時間外手当及ぶ同額の付加金の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 労働基準法37条1項は、割増賃金の算定の基礎となる賃金を、「通常の労働時間又は労働日の賃金」と規定し、同条4項及び労働基準法施行規則21条で割増賃金の算定の基礎となる賃金から除外される手当を規定しているところ、これらの手当は制限的に列挙されているものであるから、これらの手当に該当しない「通常の労働時間又は労働日の賃金」はすべて算入しなければならず、これらの除外される手当は名称にかかわらず、その実質によって判断すべきであると解される。
そして、労働基準法37条4項及び労働基準法施行規則21条3号により割増賃金の算定の基礎となる賃金から除外される住宅手当とは、住宅に要する費用に応じて算定される手当をいい、住宅の賃料額やローン月額の一定割合を支給するもの、賃料額やローン月額が段階的に増えるにしたがって増加する額を支給するものなどがこれに当たり住宅に要する費用にかかわらず一定額を支給するものは、除外される住宅手当に当たらないと解するのが相当である

2 労働基準法41条2号が管理監督者に対して労働時間、休憩及び休日に関する規定を適用しないと定めているのは、管理監督者がその職務の性質上、雇用主と一体となり、あるいはその意を体して、その権限の一部を行使するため、自らの労働時間を含めた労働条件の決定等について相当程度の裁量権を与えられ、報酬等その地位に見合った相当の待遇を受けている者であるからであると解される。したがって、同号にいう管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理につき、雇用主と一体的な立場にあるものをいい、同号にいう管理監督者に該当するか否かは、(1)雇用主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を有するか、(2)自己の出退勤について、自ら決定し得る権限を有するか、(3)管理職手当等の特別手当が支給され、待遇において、時間外手当及び休日手当が支給されないことを十分に補っているかなどを、実態に即して判断すべきである。

3 X1については、校長として校長会議及び責任職会議への出席、時間割作成、配属された職員に対する第一次査定等を行っていたものの、校長会議及び責任職会議は、ブロック長以外の者が出席する会議等で決定された経営方針、活動計画を伝達されるだけであり、校長がY社代表者の決裁なしに校舎の方針を決めたり、費用を出捐したり、職員の人事を決定することはない

4 X2については、校長代理として責任職会議に出席していたのみであり、特別な事情がない限り校長業務を代理することはなく、直接他の職員に指示することもないことから、いずれもY社の経営に参画したり、労務管理に関する指揮監督権限を有していたとは認められない。

5 Xらについては、出退勤時間が定められ、勤務記録表により出退勤時間を管理されていたことから、出退勤について自ら自由に決定し得る権限があったとはいえない

6 さらに、役職手当が支給されていたものの、年収が400万円台半ばまでにとどまっていることから、待遇において、時間外労働の割増賃金が支給されないことを十分に補っているとはいえない

7 Y社は、Xらを含め雇用期間の定めのない正社員の約8割に該当するサブマネージャー以上の地位にある社員がいずれも管理監督者であるとして、時間外手当等を支払っていないところ、・・・Y社の行為が労働基準法37条に違反することは明らかである。
よって、本件については、労働基準法114条に基づき、Y社に対し、Xらの時間外手当等の認容額と同額の付加金の支払を命じるのが相当である。

Y社は、Xらに対し、付加金を含め、合計約1000万円の支払いを命じられました。

Y社は、控訴していますが、おそらく結論は変わらないでしょう。

遅延利息が増えるだけです。

また、Y社では、Xらだけでなく、雇用期間の定めのない正社員の約8割を管理監督者として扱っているようですので、この裁判例の影響は測り知れません。

あと、管理監督者性の問題とは直接関連しませんが、上記判例のポイント1の割増賃金の算定の基礎となる手当の範囲について、会社の担当者のみなさんは、もう一度確認してみてください。

せっかく支給しているのに、支給方法を誤ると、この裁判例のように、除外されなくなってしまいます。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

管理監督者17(プレゼンス事件)

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

さて、今日は、管理監督者に関する裁判例を見てみましょう。

プレゼンス事件(東京地裁平成21年2月9日・判時2036号138頁)

【事案の概要】

Y社は、イタリア料理店を経営する会社である。

Xは、Y社に採用され、X料理長としてイタリア料理店で稼働してきた。

Y社では、タイムカードによる勤務時間管理がされていた。

Xは、時間外手当の請求に備えて、自己のタイムカードを持ち出した。

Y社は、建造物侵入、窃盗等で、Xにより、Xらのタイムカードが盗まれた旨の被害申告を警察に対して行い、これによりXは逮捕され、身柄拘束期限に釈放された。

Xは、Y社に対し、時間外手当の請求を行った。

また、Xは、自己のタイムカードをY社から持ち出した行為により警察に逮捕されたことにつき、Y社及びY社代表者に不法行為が成立とし、慰謝料を請求した。

Y社は、Xは管理監督者に該当する等と主張し、争った。

【裁判所の判断】

管理監督者性を否定し、時間外手当及ぶ同額の付加金の支払いを命じた。

不法行為は成立しない。

【判例のポイント】

1 Y社は、Xに対し、何時に出勤せよなどといった具体的な指示はしていないこと、特段ノルマ等は課していないこと、本件店舗で出す料理は、Y社代表者の了承を得たものではあったが、何を出すかあるいは何食出すかといった点については、Xの裁量に基本的に任されていたことが認められる。
したがって、このような状況で、Xが料理人としての個人的な趣味や信条に従って選択した料理の準備に長い時間を費やすことがすべて使用者の経済的負担となる時間外労働となるとは解されない。加えて、この早朝の時間帯のXの勤務状況については、使用者において確認していないのであるから、これらを考慮すると、時間外手当を発生させる労働としては、9時からと認めるのを相当とする。

2 Xが時間外手当の請求をしている平成17年10月から平成19年2月のうち、タイムカードの存在しない期間については、この時の勤務状況に他の期間と特段の差が存したことをうかがわせる証拠は存しないから、Xの請求のとおり、上記期間の平均値をもって時間外労働が行われたものと推認すべきである

3 管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理につき、経営者と一体的な立場にあるものをいい、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであると解される。具体的には、(1)職務内容が、少なくともある部門全体の統括的な立場にあること、(2)部下に対する労務管理上の決定権等につき、一定の裁量権を有しており、部下に対する人事考課、機密事項に接していること、(3)管理職手当等の特別手当が支給され、待遇において、時間外手当が支給されないことを十分に補っていること、(4)事故の出退勤について、自ら決定し得る権限があること、以上の要件を満たすことを擁すると解すべきである

4 Xは料理長という肩書きが与えられ、厨房スタッフ3名程度の最上位者にいたことは当事者間に争いがない。しかし、Xが部下の採用権限を有していたり、人事考課をしていたなどの事実は認められない。また、Xに裁量のあった料理内容についても、出す料理はすべてY社代表者の了承を得ていたものであり、広範な裁量とはいえない。本件店舗の営業時間が決まっていることから、出退勤を自由に決められるわけではなく、現に毎日に出勤し、朝早くから夜遅くまで勤務していた。待遇についても、Xの月額給与は、36万円であるが、賞与も歩合給も役職手当もないのであるから、この程度では経営者と一体的な立場にあるとは到底いえない。

5 Y社は、Xに対し時間外手当を支払わず、本件訴訟提起後も、変わることなく、時間外手当を支払う姿勢が見られないから、時間外手当と同額の付加金の支払を命ずるのが相当である。

6 Y社代表者は、Xが自己のタイムカードを盗んだことについて窃盗にならないのか、と警察署に相談し、被害届けを勧められてそのようにした。また、Xが自己のタイムカードを持ち出した行為につき、窃盗として逮捕することが相当か疑問がなくはないが、逮捕自体は警察の判断であり、Y社らの行為ではないから、虚偽の被害届けを提出して警察を陥れたという事情が認められない以上、Y社らの不法行為は成立しないというべきである

いろいろと参考になる裁判例です。

本件で、Y社は、合計1000万円を超える金額を支払わなければいけなくなりました。

せめて付加金については、回避したかったところです。

要件を見れば明らかですが、よほどのことがないと管理監督者に該当しません。

また、このケースで、会社側に参考になるのは、上記判例のポイント1です。

従業員から時間外手当を請求された場合の争い方のひとつです。

労働者側として参考になるのは、判例のポイント2です。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

管理監督者16(稲沢市(消防吏員・深夜勤務手当等)事件)

おはようございます。

さて、今日は、管理監督者に関する裁判例を見てみましょう。

稲沢市(消防吏員・深夜勤務手当等)事件(名古屋高裁平成21年11月11日・労判1003号48頁)

【事案の概要】

Xらは、Y市の消防吏員であり、主幹または副主幹として管理職手当を支給されていた。

Y市は、Xらの深夜割増賃金は、管理職手当に含まれるとの前提で別途深夜割増賃金を支払っておらず、また、仮眠時間中の火災出勤等による所定勤務時間外の勤務についても、割増賃金を支払っていなかった。

Xらは、Y市に対し、平成12年度から平成19年度の勤務について、労基法上の深夜割増賃金、時間外割増賃金と、市条例に基づく時間外勤務手当の支払い等を求めた。

Y市は、給与条例上の管理職手当は深夜割増分を含んでいるから同割増分は弁済済みであるし、Xらは、労基法41条2号の管理監督者であるから時間外割増賃金請求には理由がないと主張するとともに、あわせて、2年の消滅時効の援用を主張した。

【裁判所の判断】

管理監督者性を否定し、深夜、時間外割増賃金等の支払いを命じた。

2年の消滅時効を認めた。

【判例のポイント】

1 給与条例10条1項の「管理又は監督の地位にある職員」及び同条3項の「第1項に規定する職員」はいずれも労基法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」(労基法上の管理監督者)と同義と解するのが相当である

2 労基法の管理監督者の意義については、労基法41条2号が管理監督者に対しては同法の定める労働時間、休憩及び休日に関する規定を適用しないものとしている趣旨が、管理監督者は、その職務上の性質や経営上の必要から、経営者と一体的な立場において、労働時間、休憩及び休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されるような重要な職務と責任、権限を付与され、実際の勤務態様も労働時間等の規制になじまない立場にあり、その一方で、賃金等の待遇面で他の一般の従業員に比してその地位に相応しい優遇措置が講じられていることや、自己の労働時間を自ら管理できることから、労基法の労働時間等に関する規制を及ぼさなくてもその保護に欠けるところはないと考えられることによるものと解されることから、これに基づいて判断することが必要である

3 具体的に、当該労働者が実質的に経営者と一体的な立場にあるといえるだけの重要な職務と責任、権限を付与されているか、経営や労務管理等に関する重要事項にどの程度関与しているか、出退勤を管理されることなく、勤務時間についてある程度の自由が認められているか、給与や手当等においてその地位と職責に相応しい待遇がなされているか等について検討し、実質的、総合的に判断すべきものということができる。したがって、いわゆる管理職手当が支払われているとしても、そのことだけをもって、その労働者を管理監督者と認めることはできない

4 Xらは、組織上管理職の一端を担い、自ら指揮命令を行い、タイムカード管理を受けなかったこと、管理職手当の額は管理監督者としての職務内容や職責に見合った額であることが認められる。
他方、所定勤務時間が厳格に定められ、場所的にも一定の拘束を受けるなど、その勤務態様は労働時間の規制になじむものであること、人事関係等の決裁権限を有さず、重要な意思決定に関与することもなかったこと、むしろ、部下である一般の消防吏員と一体となって、同様の職務に従事していたこと、管理職手当の額はさほど優遇されているとはいえないことからすると、Xらは、管理監督者には該当しない。

5 給与条例上の管理職手当支給対象者ではない職員に管理職手当を支給すると定めた本件給与規則は、Y市の給与条例に違反するものであり、Xらが得た管理職手当は不当利得となるから深夜割増賃金債務の有効な弁済とは認められないし、本来支給されるべきものでなかったとすれば、管理職手当を名目の異なる他の手当の支給に振り替えて、結果的に適法下しようとすることも給与条例主義に反するとされ、Xらは不当利得の返還義務を負うが、労基法24条の趣旨に照らし相殺は許されない

判例のポイント5は、特徴的ですね。

公務員ならではの理由付けです。

管理監督者性に関する判断は、通常通りですね。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

管理監督者15(光安建設事件)

おはようございます。

さて、今日は、管理監督者に関する裁判例を見てみましょう。

光安建設事件(大阪地裁平成13年7月19日・労判812号13頁)

【事案の概要】

Y社は、土木工事等を業とする会社である。

Xは、土木施工技術者としてY社に入社したXは、現場監督であり、その業務は工事現場における施工の管理、監督等と工事の見積もりなどである。

Y社は、Xを解雇した。

Xは、Y社に対し、解雇は無効であると争うとともに、時間外・深夜・休日労働にかかる割増賃金約302万円と同額の付加金の支払いを求めた。

Y社は、Xは、管理監督者に該当するなどと主張し争った。

【裁判所の判断】

管理監督者性を否定し、休日労働割増賃金及び同額の付加金の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 労基法41条2号にいう「監督若しくは管理の地位にある者」とは、労働時間、休憩及び休日に関する同法の規制を超えて活動しなければならない企業経営上の必要性が認められ、現実の勤務形態もこの規制になじまないような地位にある者を指すから、その判断にあたっては、労働条件の決定その他の労務管理について経営者と一体的立場にあり、出社退社などについて厳格な規制を受けず、自己の勤務時間について自由裁量権を有する者と解するべきであり、単にその職名によるのではなく、その者の労働実態に即して判断すべきものである。また、賃金においても、労基法の規制を超えて活動をするに見合った役職手当等その地位にふさわしい待遇がされているか、賞与等において一般従業員に比較して優遇措置が取られているかもいわゆる管理監督者にあたるか否かの判断の一要素となる。

2 XはY社において、工事現場においては他の従業員を指揮監督する権限及び現場において生じる費用等についての決裁権限を有していたといえる。

3 しかし、一方で、Xの勤務時間は、午前8時から午後5時までと定められており、求人票においても、現場監督人について勤務時間を指定して募集している

4 Xの賃金は入社時から基本月給50万円であって、諸手当は支給されていない
この点について、Y社は、Xの賃金は他の従業員と比較して高額であることをXがいわゆる管理監督者であることの理由の一つとして主張しているが、Xの賃金が仮に他の従業員の賃金と比較して高額であったとしても(他の従業員の賃金を明らかとする証拠はない。)、Xが他の現場監督人より経験年数が長いことが認められることからすれば、Xの賃金額をもって直ちにXがいわゆる管理監督者の地位にあったと推認することはできない。

5 Xが単に工事現場従業員の考課、Y社の労務管理方針の決定に参画し、または労務管理上の指揮権限を有し経営者と一体的な立場にあった、あるいは、Y社の経営を左右するような立場にあったと認めるに足りる証拠はない。

Xは、「工事現場において」は、指揮監督権限を持っていたようです。

あくまで工事現場において、です。

また、Xは、勤務時間と賃金の点でも管理監督者と判断するには十分とはいえないと判断されています。

なお、この裁判例は、判決では、時間外労働等の割増賃金について、Xが作成した工事日報記載の労働時間が、工事が行われていた時間とは認められるものの、Xの労働時間と全く同一であったとまで認めることはできず、請求の基礎となる労働時間の特定に欠けるとして、棄却しています。

とても厳しい判断です。

労働時間を管理する義務を負うのは、Xではなく、Y社です。

Xが、自己の労働時間を完全に把握するところまで必要なのでしょうか・・・。

結局、2日間の休日出勤について、1日8時間の限度で、割増賃金及び同額の付加金請求だけを認めました。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

管理監督者14(チェーン店における管理監督者に関する通達)

おはようございます。

さて、今日は、少し古いですが、チェーン店における管理監督者に関する通達をチェックします。

多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について

この中で、具体的な判断要素を示した資料はこちらです(PDF)

日本マクドナルド事件判決を受けたものです。

注目すべきなのは、以下の文章です。

管理監督者であっても過重労働による健康障害防止や深夜業に対する割増賃金の支払の観点から労働時間の把握や管理が行われることから、これらの観点から労働時間の把握や管理を受けている場合については管理監督者性を否定する要素とはならない

通常、裁判例を見ていると、タイムカード等により、労働時間を管理されている場合には、管理監督者性を否定する要素として考慮されています。

しかし、コトブキ事件判決で見たとおり、管理監督者であっても、午後10時以降の業務に対しては深夜労働の割増賃金を支払わなければいけません。

そのため、会社としては、何らかのかたちで午後10時以降の業務を管理しなければなりません。

裁判になり、従業員側から「労働時間を管理していたから管理監督者ではない」と主張された場合に、会社としては、この通達を反論の材料にすることが考えられます。

あくまで健康障害防止と深夜勤務の管理が目的であると。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

管理監督者13(播州信用金庫事件)

おはようございます。

さて、今日は管理監督者に関する裁判例を見ていきましょう。

播州信用金庫事件(神戸地裁姫路支部平成20年2月8日・労判958号12頁)

【事案の概要】

Y社は、姫路市内に本店を置く信用金庫である。

Xは、Y社K支店の代理職にあり、店舗外に出て行う、いわゆる渉外業務の責任社であり、主として部下である渉外担当職員に対する指示・相談を行っていた。

K支店の管理職は、支店長、代理職のX、調査役という3名で構成されていた。

Xは、Y社退職後、Y社に対し、時間外割増賃金、付加金等の支払いを求めた。

Y社は、Xが管理監督者に該当する等と主張し争った。

【裁判所の判断】

管理監督者性を否定し、時間外割増賃金(約350万円の支払いを命じた。

付加金として、100万円の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 Xの出勤時刻や退勤時刻は、金庫の開閉という仕事があるため、それを全く自由に決められるということはなく、また、出社中に関しても、渉外担当職員に対する指示・相談という業務があること、Xの机が支店長の斜め前にあることからして、自由にいわゆる中抜けということができたとも考えられない。したがって、Xが自己の勤務時間について自由裁量を有していたとは評価することはできない。

2 Xが行っていた渉外担当職員に関する人事評価についての支店長に対する意見の伝達も、書面として残るものではないので、その重要性は高いとはいえず、また、かかる意見伝達が、制度的組織的なものであるとは認められない。また、Xが内勤業務に関し、調査役に対し、指揮命令していたことも認められない。更に、Xが参加していた経営者会議も懇親会という色彩が強く、Xが支店長不在の時、参加したことがある支店長会議も各支店の報告会というものである。そして、Xが支店長不在の時、2回ほど代行した残業命令という業務も、K支店にはタイムカードがなく、出勤簿に出勤退勤時刻が記載されていないことからして、形骸化していると評価できる。したがって、XがK支店の経営方針の決定や労務管理に関し、Y社経営者と一体的な立場にあったとは評価することはできない。

3 Xの給与を、時間外勤務手当等が支給されている調査役と比較するに、Xが、本俸、役付手当及び特別残業手当を併せて36万5000円であるのに対し、調査役が、本俸及び役付手当を併せて35万8000円であり、その差はわずか7000円であり、管理監督者たる地位にふさわしい給与が支給されているとは評価することができない

4 付加金については、付加金制度は、法114条に規定する金銭給付について、その支払を確保することを目的とした制裁的性質を基本とするものである。
すると、本件において、労働基準監督署が、Xが管理監督者に該当しないこと及びXの労働実態について、どこまで正確に認識した上でのことかは疑問ではあるが、臨店調査をした労働基準監督署がXに対する時間外勤務手当等不支給に関し、指導・是正勧告をしたことはないこと、及びX自身、Y社在職中は、自分に時間外勤務手当等が支給されないことに関し疑問を感じていなかったこと等、本件に現れた諸事情を考慮すると、付加金は100万円の限度で支払を命ずるのが相当である

この程度では、残念ながら管理監督者とは認定してもらえません。

付加金は、約3分の1に減らされています。

労基署から指導・是正勧告をされたことが1つの理由となっています。

また、興味深い理由としては、X自身、Y社在職中は、自分に時間外勤務手当等が支給されないことに関し疑問を感じていなかったことがあげられています。

Y社の問題だと思うのですが、X自身の主観によって付加金の金額は変わってくるのですかね・・・。

会社側代理人としては、尋問で聞いてみてもいいかもしれませんね。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。