Category Archives: 有期労働契約

有期労働契約39(ノースアジア大学(本訴)事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう!!

さて、今日は、任期満了で更新拒絶された元教員からの地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

ノースアジア大学(本訴)事件(秋田地裁平成24年10月12日・労判1066号48頁)

【事案の概要】

Xは、平成15年4月、Y大学の専任講師として、期間の定めのない雇用契約により採用され、その後、准教授となった。

Y大学は、平成19年3月、「大学の教員等の任期に関する法律」に基づき、専任教員の任期に関する規程を制定し、専任の全教員に任期制を導入した。

これに伴い、XとY大学との間では、任期2年の任期制雇用契約が締結された。

ところが、Xは、平成21年11月、懲戒処分となり、准教授から講師に降格され、基本給も減額された。

平成22年2月、Xは、Y大学から本件雇用契約が同年3月末をもって終了する旨の通告を受けた。

Xは、本件更新拒絶が不当な雇止めにあたり、無効であると主張し争った。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

【判例のポイント】

1 Y大学における任期制は、理事長、学部長、事務部長などの限られた者の協議によってその導入が決定されてから6か月にも満たない期間で、基本的にY大学の全教員を対象とするものとして実施されたこと、その内容等について、前記の協議に参画していない教員らの意見を聴く特段の手続が行われた様子はなく、各教員につき、それぞれ任期法4条1項各号のいずれの事由によって任期制が導入されるのかといった具体的な検討やその説明がなされた形跡もなく、全教員に所与の決定として告知されたにすぎないこと、Y大学における任期制の具体的内容を決定した任期制規程が定められたのは、任期制実施のわずか11日前であり、継続教員らに実質的にその内容を確認し検討する時間が全く確保されていなかったことが認められ(これらの事情は、Y大学においては任期制の導入前と導入後とで、雇用契約の性質や被雇用者の身分保障について根本的な変更を伴うものではないことを強く推認させるものであるし、少なくとも、適用される教員の側においてはそのようなものと受け止めるのが通常であると考えられる。)、さらに、Y大学代表者がXに対し、任期制は特に問題のある教員等を排除するために導入したものでありXは全く問題はない旨説明していたことを併せ考慮すると、Y大学においては、任期法に基づき制定された任期制が制度として採用されたとはいうものの、ことXとY社との間における任期付雇用契約に限れば、特段の問題がない限り任期満了後も再任用されることが前提となる雇用契約として合意されていたと認めるのが相当である
したがって、平成19年4月1日付雇用契約締結の時点において、Xには、特段の問題がない限り期間満了後も再任用されることについての合理的期待が存在していたというべきである。・・・本件不任用については解雇権濫用法理が類推適用されるというべきである

2 本件不任用に解雇権濫用法理が類推適用される以上、本件不再任が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、XとY社との間で本件不再任後にも従前の雇用契約が更新されたのと同様の法律関係が生じているものといえる。

3 ・・・この点について、本件不再任にあたって否定的な評価がなされる問題点であることが、Y社からXに対し、理解可能な程度に指摘され、改善や弁明の機会が適切に与えられていたとは認められず、この否定的評価をもって本件不再任の理由とすることは、手続的に妥当ではない。そうすると、その他Y社がるる主張する事由を加味しても、結局、本件不再任には、客観的に合理的な理由はなかったものというほかない。

本件事案の仮処分決定については、こちらをご参照下さい。

裁判所は、しきりに手続的な不十分さを指摘し、本件不再任を無効と判断しています。

事案は異なりますが、整理解雇でも3要素説が登場するような流れもある中で、やはり手続面は軽視できないということを再認識させられる事案です。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

有期労働契約38(日本郵便事件)

おはようございます。

さて、今日は、長期欠勤による勤務実態に不良があったことを理由とする雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

日本郵便事件(東京地裁平成25年1月16日・労経速2171号25頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結して稼働していたXが、同社から雇用契約の期間途中に解雇されたところ、同解雇は無効であるなどと主張して争った事案である。

なお、Y社が作成した雇止め理由証明書には、雇用契約を更新しない理由として、Xに長期欠勤による勤務不良等があったことを掲げている。

【裁判所の判断】

雇止めは有効

【判例のポイント】

1 Xは、平成22年9月27日、C、D及びEとX方で面談した際、同年10月31日までを契約期限とする旨の「期間雇用社員雇入労働条件通知書」及び同日をもって雇止めとする旨の「雇止め予告通知書」を受領して、Cからその内容の説明を受けたのに対し、「分かりました」と述べていること、その後、同月27日頃、退職を前提とする秘密保持に係る同年10月31日付「誓約書」を作成し、社員証の返還やロッカーを整理してその鍵を返還し、その際、C課長や周りの職員に対して退職のあいさつをし、新たな稼働先の名刺を交付するなどしているといった事実を指摘することができ、これらの点に照らせば、本件更新契約の契約期間は、XとY社との合意により、同日までとされたものと認めるのが相当である

2 Xは、うつ病を患い、度々、長期欠勤をすることがあり、上長であるFから、このままでは契約更新ができない場合があるなどと告げられたこともあったことところ、平成22年8月30日、上長であるCに届けなく欠勤したほか、その後、何らの届けなく欠勤し、連絡すらままならない状態となったこと、・・・こうした経過を踏まえ、1か月の契約更新と同年10月31日をもって雇止めをする方針としたCらが、同年9月27日、Xを訪ね、「期間雇用社員雇入労働条件通知書」及び「雇止め予告通知書」を交付し、その内容の説明をしたところ、Xは、「分かりました」と述べて了承したこと、以上の点を指摘することができる。
上記諸点に照らすと、・・・同雇止めにより契約を終了することとしたからといって、社会通念上相当であると認められない場合に該当するということはできない
してみると、上記事情の認められる本件においては、同雇止めをもって無効と解することはできず、本件更新契約は、同雇止めにより終了したものと認めるのが相当である。

裁判所は、Xが雇止めを受け入れるかのような行動をとっていることに着目し、雇止めを有効と判断しています。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

有期労働契約37(本田技研工業事件)

おはようございます。

さて、今日は、不更新条項を有効として雇止めを認めた原判決を相当とした裁判例を見てみましょう。

本田技研工業事件(東京高裁平成24年9月20日・労経速2162号3頁)

【事案の概要】

Y社は、四輪車、二輪車、耕うん機等の製造・販売等を目的とする会社である。

Xは、平成9年12月、期間契約社員としてY社に入社し、パワートレイン加工モジュールに所属して業務に従事した。

Xは、それ以降も、同業務に従事し、Y社との間で有期雇用契約の締結と契約期間満了・退職を繰り返してきたところ、平成20年12月末、1年間の有期雇用契約が満了したとしてY社から雇用契約の更新を拒絶された。

原審は、Y社のXに対する雇止めを有効と判断した。

そのため、Xは、控訴した。

【裁判所の判断】

控訴棄却
→雇止めは有効

【判例のポイント】

1 Xは、平成20年11月28日、勤務シフト別に期間契約社員に対して開催された説明会に出席し、栃木製作所においては、部品減算に対応した経営努力(モジュール間の配置換え等)だけでは余剰労働力を吸収しきれず、そのため、期間契約社員を全員雇止めにせざるを得ないこと等について説明を受けたこと、Xは上記の説明を理解し、もはや期間契約社員の雇止めは回避し難くやむを得ないものとして受け入れたこと、Xは、本件雇用契約書と同じ契約書式にはそれを明確にするための雇止めを予定した不更新条項が盛り込まれており、また、その雇止めが、従前のような契約期間の満了、退職と空白期間経過後の再入社という形が想定される雇止めではなく、そのようなことが想定されず、再入社が期待できない、これまでとは全く趣旨を異にする雇止めであると十分理解して任意に同契約書に署名したが、その時点で印鑑を持参していなかったために拇印を押してY社に提出したこと、以上の各事実が認められることは引用に係る原判決認定事実のとおりであり、Xは、本件雇用契約は、従前と異なって更新されないことを真に理解して契約を締結したことが認められる

2 従前は更新があり得る内容の有期雇用契約を締結していた労働者が、不更新条項が付された有期雇用契約を締結する際には、不更新条項に合意しなければ有期雇用契約が締結できない立場に置かれる一方、契約を締結した場合には、次回以降の更新がされない立場に置かれるという意味で、いわば二者択一の立場に置かれることから、半ば強制的に自由な意思に基づかずに有期雇用契約を締結する場合も考えられ、このような具体的な事情が認められれば、不更新条項の効力が意思表示の瑕疵等により否定されることもあり得る(Xがその主張において引用する裁判例は、このような具体的な事情が認められた事例であるとも考えられる。)。
しかしながら、不更新条項を含む経緯や契約締結後の言動等も併せ考慮して、労働者が次回は更新されないことを真に理解して契約を締結した場合には、雇用継続に対する合理的期待を放棄したものであり、不更新条項の効力を否定すべき理由はないから、解雇に関する法理の類推を否定すべきである

先日の社労士勉強会でも取り上げた裁判例です。

第1審判決についてはこちらをご参照下さい。

労働契約法が改正され、5年ルールが新たに誕生しました。

施行はまだ先ですが、今から取り組むべき内容であることは、労務管理をかじっている人であれば誰でも知っていることです。

今後、この5年ルールとの関係で、雇止めに関する訴訟が相当数提起されることは間違いないことです。

現実には、裁判例の集積を待っている時間はないので、適切だと考える対策を各企業で実施する必要があります。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

有期労働契約36(名古屋商工会議所事件)

おはようございます。

さて、今日は、中小企業診断士の雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

名古屋商工会議所事件
(名古屋地裁平成24年8月21日・労経速2159号27頁)

【事案の概要】

中小企業診断士であるXは、中小企業再生支援業務を行う者として経済産業大臣の認定を受けた機関であるY社と業務委託契約(有効期間平成20年7月1日から平成21年3月31日)を交わして契約をし、以後同一契約での契約更新を経たが、Y社より平成23年3月28日、契約更新をせず同月末をもって本件契約関係が終了するとなる旨を告げられた。

Xは、本件契約は有期労働契約であって、契約の終了は雇止めであり、これを無効と主張し争った。

【裁判所の判断】

請求棄却
→本件契約は労働契約ではなく、業務委託(準委任)契約である。

【判例のポイント】

1 認定支援期間であるY社が国から委託を受けて支援業務部門において実施する窓口相談及び再生計画策定支援の業務は、中小企業の活力の再生を支援するための措置及び事業再生を円滑化するための措置等を講じることで我が国の産業活力の再生を図るとの特別措置法の目的を達成するため、中小企業者及び債権者(金融機関等)のいずれの代理人でもない中立公正な第三者としての立場で、事業再生にかかる中小企業者からの相談に対し、これを拒むことなく幅広く誠実に対応し、窓口相談の段階でも、専門的知見をもって、財務面さらに事業面での調査分析を行った上で、必要があると認める場合には、再生計画策定支援を行うものであるから、本件協議会及び支援業務部門は、中立公正な第三者として独立した立場を維持することが要請され、合わせて、協議会業務を実際に担当する個々の統括責任者及び統括責任者補佐も、中小企業の再生に関する専門家又は専門的知見を有する中小企業の再生に関する専門家又は専門的知見を有する中立公正な第三者として独立した立場で業務を遂行することが要請されるものと認められる。そうすると、支援業務部門の構成員である統括責任者及び統括責任者補佐は、各人が協議会業務として担当する具体的な案件について、Y社からの具体的な指揮命令を受けることなく、自らの専門的知見に基づく裁量的な判断に基づいて業務を遂行することが要請され、現に、Xにおいても、そのように業務を遂行していたものと推認される
したがって、本件契約は、実質においてもその契約形式のとおり、XがY社の労務指揮の下で協議会業務に従事するという労働契約ではなく、自らの専門的知見に基づく裁量的な判断に基づいて、委託された協議会業務を遂行する業務委託(準委任)契約であると解することができる

2 本件契約上、勤務場所の限定、勤務場所の指定が存在し、Xの業務遂行の場所的・時間的拘束があるものの、これは、委託を受けた協議会業務の性質上、窓口相談を受けるべき場所的・時間的制約が生じること、また、担当案件に関する資料の存在と当該企業の経営状況等の秘密保持の必要性から場所的制約が生じることにより要請されるものであって、X・Y社間の使用従属関係を肯定させるものではない。そして、本件契約上、出勤日については、235日以内と定められているのみであるから、具体的な出勤日の決定や当該日における業務遂行の段取りは、担当案件を適正に処理する必要から一定の制約は当然あるものの、統括責任者の承諾や決裁なしにXの裁量で決めることが可能(Xは、協議会業務とは別に、中小企業診断士として自己の業務を行うことが可能な有資格者であり、本件契約において、拘束時間外に協議会業務以外の自己の業務を行うことは何ら制限されておらず、仮に自己の業務等による差し支えがある場合には、協議会業務との日程調整も可能)な体制にあったと推認される

労働契約か業務委託(準委任)契約かが争われた事案です。

原告が中小企業診断士だから労働契約ではない、とまで単純化することはさすがにできませんが、士業ですから、被告との間で、使用従属関係があったかはやはり難しいのではないかというのが率直な感想です。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

有期労働契約35(NTT東日本-北海道ほか事件)

おはようございます。

さて、今日は、雇用期間5年余、更新回数5回の有期契約労働者の雇止め、および関係会社への雇用替えに関する裁判例を見てみましょう。

NTT東日本-北海道ほか事件(札幌地裁平成24年9月5日・労経速2156号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのある雇用契約を締結し、契約社員として複数回契約を更新していたXらが、Y社らに対し、Y社による期間満了後の更新拒絶(雇止め)は許されないと主張し、さらに、Y社との間の雇用契約を合意解約してA社へ転籍する旨の意思表示は錯誤によるものであるから無効であるなどとして、XらがY社との間で雇用契約関係上の地位を有することの確認等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

雇止め及び雇用替えは有効

【判例のポイント】

1 XとY社との間の雇用契約は、5年6ヶ月にわたり継続し、契約の更新も5回されているが、Xの所属していた113センタにおいては、正社員とXを含む契約社員Ⅱの業務内容には相違点があること、Xの業務は継続性のある業務とはいい難いこと、業務の縮小、再委託等がある場合には雇止めがされていたこと、契約内容更新の際には、一応契約更新の意思の確認及び契約内容の説明は行われており、雇用更新の手続が形式的、機械的なものになっていたということはできないことから、XとY社との間の雇用契約には、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態になっていたということはできず、また、雇用契約が更新されるものとの合理的な期待を抱いていたということもできないから、解雇に関する法理が類推適用されない。

2 Y社による本件雇用替えの目的には、一応の合理性が認められ、Xらを雇止めしてA社に転籍させる理由としても一応の合理性があるものと認められること、Y社は、本件雇用替えに当たって、Xらを単に雇止めするのではなく、A社への移籍という選択肢を提示してるところ、その選択肢は非合理的とはいえないこと、本件雇用替えの実施に当たって適正な手続が執られていること、本件雇用替えの対象者の人選に不公正な点は見られないことからすれば、Xらの主張のように、仮に解雇に関する法理が適用されるとした場合でも、Xらとの間の雇用契約を更新しないということを正当化する客観的に合理的な理由があったというべきである。

3 B、Cは転籍に応じなければ、Y社を雇止めになる旨を認識していたものと認められ、Xについても転籍に応じなければ同社がXを雇止めできると認識していた可能性は否定できないが、A社に転籍後もY社に派遣され、従前と同じ業務を続けることが予定されていたこと、転籍後の労働条件は転籍前と比べてほとんど変更なく、転籍前の不利益をできるだけ小さくするための手当がされていたこと、逆に転籍前と異なり正社員に登用される可能性もあったこと、本件雇用替えがY社と同社の最大労組との協議、大綱了解に至っていた施策であること等からすれば、通常一般人が、仮に、法的に雇止めができないことを認識していたとしても、転籍に合意することは十分にあり得たものと考えられ、仮にXらに錯誤があったとしても、錯誤がなかった場合に、通常一般人が転籍に合意しなかったであろうと考えられるほどに重要な錯誤があったとはいえず、要素の錯誤であるとは認められない

今月、社労士会のセミナーで講師を務める際、有期雇用について触れる予定です。

最近は、使用者の中でも、ちゃんと過去の裁判例から対応策を勉強しているところは、事前に適切な手続をしてから、雇止めをしているため、以前に比べると、有効と判断されるケースが増えているように思います。

まずは、上記判例のポイントの2と3のように、2つのレベルに分けて考えるようにしましょう。

次に、どのような手続をしていると有効と判断されるのかを複数の裁判例から読み取ることが大切です。

セミナーでは、そのあたりも触れます。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

有期労働契約34(X学園事件)

おはようございます。

さて、今日は有期雇用の用務員に対する契約期間中の解雇に関する裁判例を見てみましょう。

X学園事件(東京地裁平成24年4月17日・労経速2150号20頁)

【事案の概要】

Y社は、Y学園の設置・運営を目的とする会社である。

Xは、Y社において、特別専任職員として採用され、契約期間1年とする用務員として勤務していた者である。

Y社は、Xを契約期間途中で解雇した。

Xは、Y社に対し、(1)契約期間途中でなされたY社による解雇(無断欠勤2回、欠勤届不提出、昼休憩の際の打刻の不履行、生徒用掃除道具箱の清掃、備品の確認・補充の不履行を理由とする解雇)は、労働契約法17条1項に定める「やむを得ない事由」を欠くものであって無効である等と主張した。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 本件解雇理由(ア)ないし(エ)記載の事実の存在が認められ、これらは、いずれも業務命令違反行為として就業規則39条1項4号に該当するものといえる。
しかし、Xが有期雇用の用務員であって教員ではないことにかんがみれば、本件解雇理由(ア)ないし(エ)記載の事実がY社の設置・運営する学園の教育現場に与えた影響は、非常に限定的であったと推察される。また、就業規則39条は懲戒解雇の規定であるところ、Xには、本件解雇まで懲戒歴が全くない。加えて、解雇理由(イ)につき、事後的にではあるが、一応、欠勤届を提出していること、有期雇用は、雇用期間の満了によって自然に終了する反面、期間中の解雇は抑制的であるべきこと等の諸事情を総合考慮すれば、欠勤届の提出を求め、実際の昼休憩時間を把握するために打刻を指示した点は、労務管理上、合理的かつ当然の指示であること、生徒用掃除道具箱の清掃及び備品の確認・補充を指示した点も、用務員として通常予想される職務範囲内の正当な業務指示と認めることができること、平成22年12月中旬以降のXの勤怠が著しく悪いこと等のY社に有利な諸事情を考慮しても、本件解雇に、法17条の「やむを得ない事由」があるとまで認めることはできない

2 したがって、解雇手続の相当性について検討するまでもなく、本件解雇は無効であり、XとY社との間の雇用関係は、本来の期間満了日である平成23年4月30日の経過によって終了したものと認めるのが相当である。

3 そして、本件解雇日から上記満了日までのXの不就労は、Y社の責めに帰すべきものと認められるから、民法536条2項により、Y社は、Xに対する上記期間中の賃金支払義務を免れないが、Xは、解雇予告手当を平成23年2月分に充当する前提で同年3月分及ぶ4月分のみを請求しており、Y社も、解雇予告手当が同年2月分のみに充当されることにつき異議を述べないので、Y社がXに支払うべき未払賃金額は、平成23年3月及び同年4月の各月当たり23万7850円となる(なお、通勤手当は、実際に通勤することを前提に支給される手当であるから、本件において、Y社に支払を命ずることは相当ではない。)。

懲戒解雇ですから、自ずとハードルはあがります。

普通解雇ではダメだったのでしょうか?

また、有期雇用の期間途中の解雇は、「やむを得ない事由」がなければいけませんので、普通解雇の要件よりも厳しいです。 このことも裁判所はちゃんと踏まえていますね。

とはいえ、本件でY社がXに支払うのは2か月分の賃金だけですので、それほど大きな負担ではないですね。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

有期労働契約33(学校法人加茂暁星学園事件)

おはようございます。

さて、今日は、約20年勤務の高校非常勤講師2名の雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

学校法人加茂暁星学園事件(東京高裁平成24年2月22日・労判1049号27頁)

【事案の概要】

Xらは、Y学校との間で年度ごとに雇用契約を締結し、Y社が経営するY高校に非常勤講師としてそれぞれ25年間と17年間にわたって勤務していた。

Xらは、いわゆる雇止めにより、雇用を継続されなかったのは不当であると主張し、訴訟を提起した。

【裁判所の判断】

雇止めは有効

【判例のポイント】

1 Xは、昭和57年から平成18年度まで25年間にわたって、Y社との間で年度ごとに締結した雇用契約に基づき、Y高校において理科の非常勤講師として勤務していたものであるが、非常勤講師は、クラス担任及び生活指導等は行わず、校務分掌にも入っておらず、兼職も禁止されておらず(現にXらは、いずれもY高校の非常勤講師在勤中に新潟県立高等学校の非常勤講師を兼務していた。)、給与体系や適用される就業規則が専任教員と異なり、勤務時間数も各年度の各学科のクラス編成数や生徒の科目選択によって変動するものであった(これに対し、専任教員は基本的に1週40時間以内と決まっていた。)。
これらの点からすれば、XらとY社との間の雇用契約が、実質において専任教員の場合と同じく期間の定めのない雇用契約と異ならない状態にあったものといえないことは明らかである

2 非常勤講師は、専任教員の持ち時数を超える授業時数が発生した場合に採用されるものであり、非常勤講師に担当させるべき授業時数がないにもかかわらず、これを捻出して非常勤講師を採用しなければならないものではない。そして、非常勤講師が担当する授業時数があるか否か、あるとしてどの程度の時数となるかは、どのようなカリキュラムが編成されるかによって変動するものであることも自明である

3 したがって、次の年度のカリキュラム編成がされておらず、非常勤講師に担当させるべき授業時数が生ずるか否かが明らかではないにもかかわらず、Xらが次年度もY高校に非常勤講師として採用されるものと期待したとしても、その期待が合理性のあるものとはいえない(このことは、Y高校における非常勤講師の採用が従来から人件費削減のために本来専任教員を充てるべきところを賄うという面があったとしても、同様である。)。
その他、Xらが挙げる事情も、雇用契約の継続の期待が合理的なものとする根拠とはならない

4 平成16年度分以降は手続が厳格化され、しかも辞令書及び平成16年度分以降の雇入通知書には、採用期間又は雇用期間は1年である旨が、また、平成18年度分の雇入通知書には、契約は更新する場合があり得るにすぎず、更新の有無については期間満了の1箇月前までに通知する旨が、さらに、平成17年12月22日付け及び平成18年12月27日付けで送付された「来年度の雇用に関して(通知)」と題する文書には、次年度の雇用については学級数や生徒数が不透明であるため確約できる状況ではない旨がそれぞれ明記されていたのであって、それにもかかわらず平成19年度以降にも雇用契約が更新されるものと期待するのは、到底合理的なものとはいえない

5 以上のとおり、Xらが本件雇用契約の継続を期待することに合理性があるとはいえないから、本件雇止めにつき、解雇に関する法理を適用又は類推適用すべき余地はない。

一審は、Xらの請求を全部認容しています。

これに対して、東京高裁は、雇止めを有効と判断しました。 Xらの逆転敗訴となっています。

当然、Xらは、上告しています。 最高裁の判断はどうなるでしょうか。

控訴審は、本件雇止めに解雇権濫用法理が類推適用されるかという争点のみについて判断しています。

専任教員と非常勤講師との職務内容の違い、契約更新時の対応等から判断されています。

会社側としては、十分参考にすべき内容です。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

有期労働契約32(学校法人東奥義塾事件)

おはようございます。

さて、今日は、塾長に対する期間途中の解雇に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人東奥義塾事件(仙台高裁秋田支部平成24年1月25日・労判1046号22頁)

【事案の概要】

Y社は、学校法人であり、Xは、Y社が設置する高校の校長(塾長)であった。

Xは、塾長就任後、運営方針等に関してY社理事会とたびたび衝突した。

平成22年3月、Y社理事会において、Xを会食する旨の緊急動議が提出され、これが可決された。

これを受けて、Y社は、翌日、Xを解職する旨の通知をし、解雇予告手当を支払った。

Xは、Y社に対し、本件解職処分の理由を明らかにするよう求めたところ、Y社は、XがY社の理事会を非難し、高校、生徒および教員を誹謗し、寄附行為に違反した行動や塾長としての品位に欠ける行動をとることにより、高校内の秩序を乱したとの理由でXを解職した旨通知した。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 法17条1項は、やむを得ない事由がある場合でなければ、期間の定めのある労働契約について、契約期間が満了するまでの間において解雇ができない旨規定する。同条が、解雇一般につき、客観的に合理的な理由及び社会通念上の相当性がない場合には解雇を無効とするとする法16条の文言をあえて使用していないことなどからすると、法17条1項にいうやむを得ない事由とは、客観的に合理的な理由及び社会通念上相当である事情に加えて、当該雇用を終了させざるを得ない特段の事情と解するのが相当である

2 以上の諸点を総合的に検討すると、Xは、卒業祝賀会や平成22年3月の礼拝に際し、学校関係者への配慮を欠いた発言をしており、また、事業部が炭酸飲料の撤去に直ちに応じないのに対し、事業部の管理に係る自動販売機に無断で張り紙をするなど、やや乱暴で思慮に欠くというべき行動をとっており、校務をつかさどり、所属職員を監督する塾長としての見識が十分でない面があることは否定できない。
しかしながら、清涼飲料水の自動販売機などに張り紙を貼るなどした行為については、東奥義塾高校の生徒の健康を図る目的があり、卒業祝賀会における発言については、父兄の労苦をねぎらうなどの意図でなされたものと認められ、極めて不適切とはいえず、平成22年3月の言動は、Xが、東奥義塾高校から排除される懸念を抱いたことによりなされたものとも推測され、その後、実際に本件解職処分が行われたことも踏まえると、同様に極めて不適切とはいえない。そして、Xの塾長としての活動により、職員会議への職員の出席率が向上し、学生の態度に良好な変化があったと認められ、Xは、4年の任期の初年度において、すでに、塾長として一定の成果を出していたことに照らすと、Xが、塾長として、教職員らからの一定の信頼を得ていたと認められる。これに加え、Xには、そもそも管理職経験はおろか国内における一般的な教職経験もなかったものであり、乙山理事長をはじめとする理事会がこれを承知であえてXを塾長として採用したと認められるのであって、各理事、理事会においても、これを踏まえて、Xの経験不足の点を保管すべきであったと解されるところ、理事会がこれを全うしたとは認められない
以上の諸事情を勘案すると、本件解職処分には、法17条1項にいうやむを得ない事由があったとは認め難い。したがって、その余の点を判断するまでもなく、本件解職処分は法17条1項により無効であり、Xは、Y社に対して、労働契約上の地位を有すると認められる。

総合考慮の結果、期間途中に解雇するやむを得ない事由までは存しないという判断です。

労働契約法16条と17条の比較については、他の裁判例でも同様の判断が示されていますね。

事実を根気強く主張し、視点を示すというのは、訴訟における弁護士の基本的な仕事ですが、本件でも、Xの各行為について、代理人がXに有利な視点を示せたことが勝訴につながったのだと思います。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

有期労働契約31(北海道宅地建物取引業協会事件)

おはようございます

さて、今日は、懲戒処分と雇止めの有効性に関する裁判例を見てみましょう。

北海道宅地建物取引業協会事件(札幌地裁平成23年12月14日・労判1046号85頁)

【事案の概要】

Y社は、宅地建物取引業法74条に基づき北海道知事の認可を受け設立された公益法人である。

Xは、平成22年4月、Y社の嘱託職員として採用された。また、Xは、税理士登録し、北海道税理士会に入会している。

Xは、平成22年6月、Y社代表者から出頭命令を受け、Y社本部へ出頭したところ、Y社役員数名から、本件税理士登録等が本件兼職禁止規定に反することを理由として税理士業を廃業するように求められたが、これを拒否した。

Y社は、平成23年2月、Xについて、雇用契約を更新しない旨を決議し、3月末をもって期間満了となる旨を通知した。

【裁判所の判断】

懲戒処分は無効

雇止めは無効

Y社はXに対して慰謝料10万円を支払え

【判例のポイント】

1 本件兼業禁止規定及び本件履歴書規定の文言の通常の意味に照らせば、本件税理士登録等が本件兼職禁止規定に該当し、また本件履歴書に本件税理士登録等を記載しなかったことが本件履歴書規定に違反すると解するにはいささか無理がある反面、本件処分に至る経緯において、Xに何らかの落ち度があるとは言い難い。・・・以上の事実に照らせば、本件処分は、Y社によるXに対する嫌がらせとして行われた側面があるといわざるを得ないから、Y社が本件処分を行ったことは、本件処分が無効である以上、Xに対する不法行為を構成するというべきである。そして、かかる不法行為によってXが被った精神的苦痛に対する慰謝料の額は、本件処分がY社の懲戒処分における最も軽い戒告であること等本件に現れた一切の事情を考慮すれば、10万円が相当である

2 本件嘱託細則3条1項において、「嘱託職員の委嘱契約期間は、原則として1年以内とし、業務の必要に応じて契約期間を更新するものとする。」と規定されていること、Y社は、本件雇止めが行われるまで、Xを除く嘱託職員を雇止めしたことはなかったこと、Xを含むY社における嘱託職員は、採用に際し、Y社との間で、本件契約書と同様の書式を用いた「嘱託職員雇用契約書」を作成していたこと、Y社は、嘱託職員との雇用契約の期間満了時において、契約更新のために同職員との間で上記「嘱託職員雇用契約書」を新たに作成するものの、他にY社内部において特段の手続は行われていなかったこと、Xは、Y社小樽支部において、会計処理、資料作成、資料送付及び電話応対等といった恒常的かつ常用的業務を担当していたこと並びに、Y社代表者自身、少なくともXが採用される前に採用されたY社の嘱託職員については、雇用期間の限定がないか、少なくとも雇用契約が更新されることが原則であるとの認識を有していたと認められることからすれば、本件契約による雇用継続に対するXの期待利益に合理性があるというべきである

3 本件契約による雇用継続に対するXの期待利益に合理性がある以上、本件契約に解雇に関する法理を類推すべきである。そして、本件処分は無効であること、そもそも事務局業務の効率化の観点からY社小樽支部の嘱託職員を削除しようとする計画が存在したこと自体極めて疑わしいこと及びXの就業態度その他適格性等について、Y社は何ら具体的に主張立証しないことからすれば、本件雇止めは、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められないから、無効である

4 雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する判決が確定した後に支払期が到来する賃金については、上記判決確定後もなお賃金の支払いがされない特段の事情のない限り、「あらかじめその請求をする必要がある」ということはできないところ、Xの本判決確定後に支払期が到来する賃金に係る訴えについては、上記特段の事情があることは窺われないから、将来請求の訴えの利益を欠くものとして不適法であるといわざるをえないから、これを却下する。 

期待利益の合理性に関する事実認定は、勉強になりますね。

代理人としては、こういう事実をどれだけ取りこぼさずに主張できるかが大切ですね。

履歴書の問題は、今回のケースでは、それほど大きな問題ではないと判断されています。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

有期労働契約30(本田技研工業事件)

おはようございます。

さて、今日は、不更新条項と継続雇用に対する期待利益に関する裁判例を見てみましょう。

本田技研工業事件(東京地裁平成24年2月17日・労経速2140号3頁)

【事案の概要】

Y社は、四輪車、二輪車、耕うん機等の製造・販売等を目的とする会社である。

Xは、平成9年12月、期間契約社員としてY社に入社し、パワートレイン加工モジュールに所属して業務に従事した。

Xは、それ以降も、同業務に従事し、Y社との間で有期雇用契約の締結と契約期間満了・退職を繰り返してきたところ、平成20年12月末、1年間の有期雇用契約が満了したとしてY社から雇用契約の更新を拒絶された。

【裁判所の判断】

雇止めは有効

【判例のポイント】

1 Y社は、期間契約社員に対し、約1年ごとに有期雇用契約を更新せずに終了させ、慰労金や精算金を支払って一旦雇用契約関係を解消した上、再入社希望者について改めて選考した上で再度入社する機会を与え、改めて入社手続を行っていたこと、期間契約社員のほとんどが5年以内に雇用契約を終了させており、期間契約社員が一般的に長期間継続してY社に雇用されて勤務するという実態は存在しないこと、Xが長期間Y社で雇用されたのは、自らの意思に基づいてそれを望んだ結果でしかないこと、有期雇用契約の更新手続は、前契約期間中に新契約書を作成して取り交わす等新たな有期雇用契約の締結事実を明確にしており、自動更新とはいい難いこと、以上の事実が認められ、これらの事実によれば、X・Y社間の有期雇用契約が実質的に期間の定めのない雇用契約と異ならない状態にあったと認めることはできない

2 Xが、Y社との間で、自らの意思に基づいて不更新条項を定める本件雇用契約を締結したことは明らかであり、また不更新条項が公序良俗違反であるとはいい難い。

3 Xは、有期雇用契約に基づき、平成9年12月から平成20年12月末までの11年余もの長期にわたり、有期雇用契約の締結、契約更新、契約期間満了・退職、一定期間経過後の再入社・新規有期雇用契約の締結を繰り返してY社の業務に従事してきたこと、Y社は、平成20年9月、この頃既に一部の期間契約社員の雇止めを実施せざるを得ず、またリーマンショックによる深刻な世界経済の停滞等の事態が生じつつあったにもかかわらず、Xに対し、契約更新の上限期間を1年間から3年間に延長する本件直前雇用契約を締結したこと、XはこれまでのY社に再入社して同年6月から平成21年5月末ころまでの1年間の継続勤務ではなく、平成23年5月末ころまでの約3年間Y社での勤務を継続できると期待したこと等によれば、Xが、本件直前雇用契約を締結した平成20年9月の時点において、自動車業界の最大手の1つであるY社の経営状態に不安を覚えずに、安堵感を抱き、また本件直前雇用契約の満了日の翌日である同年12月1日以降もなお引き続き平成23年5月末日ころまでY社での勤務を継続できると期待したことは、やむを得ないというべきであって、Xが、本件直前雇用契約の期間中、Y社に対して抱いた有期雇用契約の継続に対する期待は合理的である

4 Xが、本件雇止めになることについて、これを粛々と受け入れ、継続雇用に対する期待利益と相反する内容の不更新条項を盛り込んだ本件雇用契約を締結し、さらには平成20年12月には、本件退職届をも提出したのであり、本件雇止めに対して何らの不満や異議を述べたり、雇用契約の継続を求める等を全くしていないのであるから、Y社の説明会が開催された同年11月時点において、本件雇用契約の期間満了後における雇用契約の更なる継続に対する期待利益を確定的に放棄したと認められる

5 Xが、本件雇用契約の期間満了後における雇用継続に対する期待利益を有しているとは認められないのであるから、本件雇止めについては、解雇権濫用法理の類推適用の前提を欠くものといわざるを得ない。

上記判例のポイント4は、非常に参考になります。

裁判所は、Xの雇用契約の期間満了後における雇用継続に対する期待利益を認めませんでした。

その理由として、契約更新できなくなった事情等をY社が真摯に労働者に説明し、労働者がそれを理解して不更新条項付き労働契約を締結したことをあげています。

本件では、Y社が、労働者に理解を求めるべく説明を尽くしたこと、相談窓口を設け、上司の面談を設定するなど、相応の手続を尽くしたという事情を評価したものだと思われます。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。