Category Archives: セクハラ・パワハラ

セクハラ・パワハラ42 休職期間満了に伴う復職の可否の判断(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、パワハラに基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

ビーピーカストロール事件(大阪地裁平成30年3月29日・労判ジャーナル76号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に在籍中、上司Aからパワーハラスメントの被害を受けたとして、Y社及び上司Aに対し、不法行為に基づき、慰謝料等を請求し、また、上司Aのパワハラによってうつ病を発症し、会社を休職しており、その後に復職できる状況となったが、Y社が職場環境調整義務を怠ったため、復職をすることができず賃金相当額の損害が毎月発生しているとして、不法行為に基づき、賃金相当損害金を請求し、さらに、復職の許可を受けたものの会社に復職しなかったことを理由にY社から解雇されたが、Xが、Y社が職場環境調整義務を怠ったため復職できなかったものであり、当該解雇は無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 休職期間中であった従業員が復職するに際しては、使用者においては、復職のための環境整備等の適切な対応を取ることが求められるが、もっとも、その個別具体的な内容については、法令等で明確に定められているものではなく、使用者が事業場の実情等に応じて、個別に対応していくべきものといえるところ、Xについて、一応の業務軽減が図られていること、Xは、直行直帰を主たる勤務形態とする営業担当従業員であり、業務の遂行はX自身の判断で調整可能であったこと、d支店における営業担当従業員の業務が特に負担の重い業務であるとまではいえず、Xが休職中は、4名で行っていた業務を3名で対処できていたこと、取引先に対し、同行しての引継は予定されていなかったが、平成28年5月17日のやり取りからすれば、Xが同行しての引継を求めれば、上司も対応する余地があったと考えられ、このような措置が取られなかったのは、Xからの要望がなかったためであること等から、本件において、Y社において、法的義務に違反したとまでは認められない。

2 Xは、休職期間満了後も会社に出勤せず、Y社は、再三にわたって出勤を求め、欠勤を続けた場合は解雇とすることもあり得ることまで明示したものの、Xは出勤しなかったものであり、かかる行為は、Y社の就業規則における解雇事由に該当し、そして、労務の提供は、労働契約における労働者の中核をなす債務であるところ、Xは自らの意思でそれを行わず、しかもその期間が半年以上の長期にわたっていること等の本件の事情を総合すれば、本件においてY社がした解雇が解雇権を濫用したものとは認められないから、本件解雇は有効である。

休職期間満了後の復職に関する問題です。

会社としてどのような対応をとるべきかについてはなかなか判断が難しいと思いますので、弁護士と方針について検討しながら進めていきましょう。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

セクハラ・パワハラ41 職場環境配慮義務違反が否定されるために求められる具体的内容(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、自死した亡従業員の会社等に対する損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

関西ケーズデンキ事件(大津地裁平成30年5月24日・労判ジャーナル77号22頁)

【事案の概要】

本件は、亡従業員Xの遺族らが、Xが勤務していたY社運営の本件店舗の店長が、Xに対し、注意書の徴求、競合店舗の価格調査の強要等のパワハラを行ったことにより、同人が自死したとして、店長には不法行為が成立し、また、店長の使用者であるY社には使用者責任又は安全配慮義務違反を原因とする債務不履行が成立すると主張し、Xの遺族らが、店長に対しては不法行為に基づき、Y社に対しては主位的に使用者責任に基づき損害賠償金約3508万円等の連帯支払を求め、Y社に対して予備的に債務不履行に基づき、損害賠償金同額の損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

慰謝料100万円を認容

【判例のポイント】

1 店長がXに本件配置換えについての意向を打診した際に説明した価格調査業務の内容は、Y社の親会社であるA社が編成するマーケットリサーチプロジェクトチームの業務内容に匹敵する業務量であるにもかかわらず、これをフルタイムで勤務する時給制の非正規雇用労働者1人が地域で競合する1店舗のみに専従するという意味において、極めて特異な内容のものであり、たとえ、店長に、Xに対して積極的に嫌がらせをし、あるいは、本店店舗を辞めさせる意図まではなかったとしても、本件配置換えの結果、Xに対して過重な内容の業務を強いることになり、この業務に強い忌避感を示すXに強い精神的苦痛を与えることになるとの認識に欠けるところはなかったというべきであるから、店長による本件配置換え指示は、Xに対し、業務の適正な範囲を超えた過重なものであって、強い精神的苦痛を与える業務に従事することを求める行為であるという意味で、不法行為に該当すると評価するのが相当であるから、Xに対する店長の行為のうち、本件配置換え指示については、Xに対する不法行為を構成する。

2 Y社においては、店長等の管理職従業員に対してパワハラの防止についての研修を行っていることパワハラに関する相談窓口を人事部及び労働組合に設置した上でこれを周知するなど、パワハラ防止の啓蒙活動、注意喚起を行っていることが認められるし、本件においても、Xは店長からの本件配置換え指示について、パワハラに関する相談窓口となっているY社労働組合の書記長に対して相談したところ、書記長は、これを受けて部長に対して本件配置換えを実行させないように指示されたいとの連絡をしているのであって、Y社における相談窓口が実質的に機能していたことも認められるから、Y社としては、パワハラを防止するための施策を講じるとともに、パワハラ被害を救済するための従業員からの相談対応の体制も整えていたと認めるのが相当であるから、Y社の職場環境配慮義務違反を認めることはできない

たとえ、積極的に嫌がらせをする意図まではなかったとしても、不法行為に該当することは当然あり得ます。

また、ハラスメントに対する対応策については、上記判例のポイント2が参考になります。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

セクハラ・パワハラ40 セクハラを理由とする懲戒解雇と相当性要件(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、女子大教授のセクハラに基づく懲戒解雇に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人渡辺学園事件(東京地裁平成29年10月20日・労判ジャーナル73号28頁)

【事案の概要】

本件は、女子大学を経営する学校法人であるY社の男性である元教授Xが、女性職員や女子生徒に対して性的な発言等のセクシャル・ハラスメント等をしたことを懲戒事由として懲戒解雇されたことから、Y社に対し、本件懲戒解雇は懲戒事由の事実を欠き又は懲戒権を濫用したものとして無効であるなどと主張して、労働契約上の地位の確認、賃金、賞与、不当解雇による慰謝料300万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

賃金一部認容

賞与認容

慰謝料請求は棄却

【判例のポイント】

1 Y社が主張する懲戒事由のうち、懲戒事由に該当する行為の存在とハラスメントの該当性が認められるものは懲戒事由(10)(Xが、Aなど特定の女性職員に対する呼びかけやメールなどで、下の名前で呼び捨て、あるいは様付けで呼び、また「東方三美人」等と呼称したこと)のみであって、懲戒事由(1)から(9)まで及び(11)は行為の存在が認められないか又は行為があってもハラスメントに当たるとは認め難く、そして、懲戒事由(10)がそれほど悪質なものとはいえないこと、Xにこれまで懲戒処分歴はないことに照らすと、懲戒解雇は重きに失し、相当性が認められないから、本件懲戒解雇は無効である。

2 Y社と教職員組合の協議の結果、Y社の教職員の平成27年度賞与は、俸給を基にした一定の計算式で算出された額を支給され、以降の賞与も同程度であったと認められるから、Xは、Y社に対し、・・・の賞与支払請求権を有している。

3 懲戒処分された労働者が被る精神的損害は、当該懲戒処分が無効であることを確認され、懲戒処分中の賃金が支払われることにより慰謝されるのが通常であり、これによってもなお償えない特段の精神的損害を生じた事実が認められる時に初めて慰謝料請求権が発生するところ、Xには懲戒事由に該当する事実が存在することを考慮すると、本件において、上記特段の精神的苦痛を生じた事実は認められないから、Xの慰謝料請求は理由がない。

めずらしく賞与請求が認容されています。

それはさておき、上記判例のポイント1のように、たくさんのハラスメント行為を列挙しても、それらが違法性を有する程重大なものかを冷静に判断しなければなりません。

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セクハラ・パワハラ39 パワハラによるうつ病発症と慰謝料額(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、パワハラに基づく元上司と会社に対する損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

東建コーポレーション事件(名古屋地裁平成29年12月5日・労判ジャーナル72号25頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社において元上司Aからパワーハラスメント行為を受け、うつ病となり、退職を余儀なくされたなどと主張して、Aに対し不法行為に基づく損害賠償として、Y社に対し使用者責任又は安全配慮義務違反の債務不履行責任に基づく損害賠償として、約752万円等の連帯支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 Aの言動は、Xに対する嫌がらせ、いじめ、あるいは過大な要求と捉えざるを得ないものであって、強度の心理的負担をXに与えていたといえ、そして、Xは、平成26年3月頃から、手先のしびれと震え、倦怠感、記憶の不安定がみられるようになって内科を受診し、さらには同年5月以降、精神科を受診して同年4月頃にうつ病を発症したと診断され、休職に至ったものであり、上記の経緯と照らし合わせても、Xは、Aの言動によって同月頃にはうつ病を発症し、休職に至ったものといえ、本件パワハラ行為のころ、Xは家庭内で妻と別々に過ごす時間が多くなっていた事実が認められるが、これが深刻なものであったことをうかがわせる事情は見当たらず、これがXのうつ病発症の原因となったとは認められないから、Aの本件パワハラ行為一覧表記載の一連の言動は、Xに対するパワハラ行為といえ、不法行為を構成するものというべきである。

2 XがY社に入社した時点において、Aには既に他の従業員に対する威圧的な言動が時にみられたところであるが、そのようなAに対する指導等が本件パワハラ行為以前にされた形跡はうかがわれないこと、AのXに対する本件パワハラ行為について、他の従業員が相談窓口に連絡した形跡もうかがわれず、抜き打ち調査等でも把握されなかったことなどに照らすと、Y社の前記措置は、実際には必ずしも奏功しているものではなく、実際にAの本件パワハラ行為が数箇月にわたって継続していたことからしても、Y社は、Aの選任、監督につき相当の注意をしたとはいえないものというべきであるから、Y社は、Xに対し、Aのした本件パワハラ行為について使用者責任を負い、Aと連帯して損害賠償義務を負う。

3 ・・・本件パワハラ行為により、Xは就労困難なうつ病に罹患したものであって、その程度は決して軽いものではなく、Y社はXが休むようになった平成26年6月以降、本件パワハラ行為等について調査を行うなど一定の対応をしているとはいえるものの、労災認定がされるまではこれをパワハラとは判断しなかったものであって、結果的にその対応は十分なものであったとはいえず、また、Aについても、現在に至るまでXに対し特段の対応をしていないこと等から、本件パワハラ行為によりXに生じた精神的苦痛を慰謝するための慰謝料の金額は、100万円を下らない。

ハラスメント事案における会社の対応方法については、各社でしっかり手順を理解しておくことは必須です。

事前の予防と事後の対応をしっかり準備しておきましょう。

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セクハラ・パワハラ39 グループ会社の就労者に対する相談体制整備・対応義務の有無(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、グループ会社の就労者に対する相談体制整備と信義則上の対応義務に関する判例を見てみましょう。

イビデン事件(最高裁平成30年2月15日・ジュリ1517号4頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の子会社の契約社員としてY社の事業場内で就労していたXが、同じ事業場内で就労していた他の子会社の従業員Aから、繰り返し交際を要求され、自宅に押し掛けられるなどしたことにつき、国内外の法令、定款、社内規程及び企業倫理の遵守に関する社員行動基準を定め、自社及び子会社等から成る企業集団の業務の適正等を確保するための体制を整備していたY社において、上記体制を整備したことによる相応の措置を講ずるなどの信義則上の義務に違反したと主張して、Y社に対し、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償を求める事案である。

原審は、上記事実関係等の下において、要旨次のとおり判断し、Y社に対する債務不履行に基づく損害賠償請求を一部認容した。
(1)従業員Aは、本件行為につき、不法行為に基づく損害賠償責任を負う。
また、勤務先会社は、Xに対する雇用契約上の付随義務として、使用者が就業環境に関して労働者からの相談に応じて適切に対応すべき義務を負うところ、課長らは、Xから本件行為1について相
談を受けたにもかかわらず、これに関する事実確認や事後の措置を行うなどの対応をしなかったのであり、これによりXが勤務先会社を退職することを余儀なくさせている。そうすると、勤務先会社は、本件行為1につき、課長らがXに対する本件付随義務を怠ったことを理由として、債務不履行に基づく損害賠償責任を負う。

(2)Y社は、法令等の遵守に関する社員行動基準を定め、本件相談窓口を含む本件法令遵守体制を整備したことからすると、人的、物的、資本的に一体といえる本件グループ会社の全従業員に対して、直接又はその所属する各グループ会社を通じて相応の措置を講ずべき信義則上の義務を負うものというべきである。
これを本件についてみると、Xを雇用していた勤務先会社において、上記(1)のとおり本件付随義務に基づく対応を怠っている以上、Y社は、上記信義則上の義務を履行しなかったと認められる。また、Y社自身においても、平成23年10月、従業員BがXのために本件相談窓口に対し、本件行為2につきXに対する事実確認等の対応を求めたにもかかわらず、Y社の担当者がこれを怠ったことによりXの恐怖と不安を解消させなかったことが認められる。
以上によれば、Y社は、Xに対し、本件行為につき、上記信義則上の義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償責任を負うべきものと解される。

【裁判所の判断】

破棄自判
→原判決中Y社敗訴部分を破棄する。
前項の部分につき、Xの控訴を棄却する。

【判例のポイント】

1 Xは、勤務先会社に雇用され、本件工場における業務に従事するに当たり、勤務先会社の指揮監督の下で労務を提供していたというのであり、Y社は、本件当時、法令等の遵守に関する社員行動基準を定め、本件法令遵守体制を整備していたものの、Xに対しその指揮監督権を行使する立場にあったとか、Xから実質的に労務の提供を受ける関係にあったとみるべき事情はないというべきである。また、Y社において整備した本件法令遵守体制の仕組みの具体的内容が、勤務先会社が使用者として負うべき雇用契約上の付随義務をY社自らが履行し又はY社の直接間接の指揮監督の下で勤務先会社に履行させるものであったとみるべき事情はうかがわれない。
以上によれば、Y社は、自ら又はXの使用者である勤務先会社を通じて本件付随義務を履行する義務を負うものということはできず、勤務先会社が本件付随義務に基づく対応を怠ったことのみをもって、Y社のXに対する信義則上の義務違反があったものとすることはできない

2 もっとも、・・・Y社は、本件当時、本件法令遵守体制の一環として、本件グループ会社の事業場内で就労する者から法令等の遵守に関する相談を受ける本件相談窓口制度を設け、上記の者に対し、本件相談窓口制度を周知してその利用を促し、現に本件相談窓口における相談への対応を行っていたものである。その趣旨は、本件グループ会社から成る企業集団の業務の適正の確保等を目的として、本件相談窓口における相談への対応を通じて、本件グループ会社の業務に関して生じる可能性がある法令等に違反する行為を予防し、又は現に生じた法令等違反行為に対処することにあると解される。
これらのことに照らすと、本件グループ会社の事業場内で就労した際に、法令等違反行為によって被害を受けた従業員等が、本件相談窓口に対しその旨の相談の申出をすれば、Y社は、相応の対応をするよう努めることが想定されていたものといえ、上記申出の具体的状況いかんによっては、当該申出をした者に対し、当該申出を受け、体制として整備された仕組みの内容、当該申出に係る相談の内容等に応じて適切に対応すべき信義則上の義務を負う場合があると解される。
これを本件についてみると、Xが本件行為1について本件相談窓口に対する相談の申出をしたなどの事情がうかがわれないことに照らすと、Y社は、本件行為1につき、本件相談窓口に対する相談の申出をしていないXとの関係において、上記の義務を負うものではない。

3 また,・・・Y社は、平成23年10月、本件相談窓口において、従業員BからXのためとして本件行為2に関する相談の申出を受け、発注会社及び勤務先会社に依頼して従業員Aその他の関係者の聞き取り調査を行わせるなどしたものである。
本件申出は、Y社に対し、Xに対する事実確認等の対応を求めるというものであったが、本件法令遵守体制の仕組みの具体的内容が、Y社において本件相談窓口に対する相談の申出をした者の求める対応をすべきとするものであったとはうかがわれない。
本件申出に係る相談の内容も、Xが退職した後に本件グループ会社の事業場外で行われた行為に関するものであり、従業員Aの職務執行に直接関係するものとはうかがわれない。
しかも、本件申出の当時、Xは、既に従業員Aと同じ職場では就労しておらず、本件行為2が行われてから8箇月以上経過していた。
したがって、Y社において本件申出の際に求められたXに対する事実確認等の対応をしなかったことをもって、Y社のXに対する損害賠償責任を生じさせることとなる上記の義務違反があったものとすることはできない

一般論として応用可能性があるのは、上記判例のポイント2の部分です。

本件同様の制度をつくった場合には、つくりっぱなしにせず、適切に運用していくことが求められます。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

セクハラ・パワハラ38 セクハラと慰謝料の金額(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、市議会議員のセクハラに対する職員の損害賠償等請求に関する裁判例を見てみましょう。

市議会議員(セクハラ)事件(宇都宮地裁平成29年10月25日・労判ジャーナル71号26頁)

【事案の概要】

本件は、小山市の職員が、同市議会議員から、議員や同議会事務局職員などが参加する懇親会において、議員の席の隣に職員が座っていた際に、背中全体をなでるように触られたり、耳元に口を近づけたりされた、ステージ上でデュエットをする際に、職員の体を議員の方に引き寄せられ、職員の耳元に口を近づけたりされた、同懇親会終了後に電話で男女関係を強要されたなどのセクハラを受けたと主張して、議員に対し不法行為に基づく慰謝料200万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

慰謝料30万円を認容

【判例のポイント】

1 事実1(議員が、本件懇親会において、議員の席の隣に座って選曲のためにカラオケの本を見ていた職員に対し、職員の背中や腰に手を回したり、背中全体をなでるように触ったり、職員の耳元に口を近づけたりした事実)は認められるが、事実2(議員が、本件懇親会において、職員と議員のデュエット中に、職員の体を議員のほうに引き寄せ、職員の耳元に口を近づけてきた事実)及び事実3(議員が、本件懇親会の終了後、職員に対し、電話で「俺の女になってくれ」などと言った事実)は認められず、事実1が職員の意に反して行われたことは、行為のとき職員が背中をそらすなどして不快感を示していることや本件懇親会後あまり期間が経過していない時期に他の職員や弁護士に話をしていることなどから明らかであり、事実1の行為は、相手の意に反する深いな性的言動と認められ、セクハラに該当するものであり、これは職員の性的自由ないし人格権を侵害するものであるから、不法行為が成立し、このような議員の職員に対するセクハラの態様・程度、職員がその後不安障害になったと診断されていること等から、職員が被った精神的苦痛を慰謝する金額は30万円をもって相当と判断する。

一般的なハラスメント事案については、裁判所は多額の慰謝料を認めてくれません。

ハラスメント事案については、そもそもそのような事実が存在したのか自体が争われることもあるため、原告としてはどのようにして立証するかを提訴前に十分検討しなければなりません。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

セクハラ・パワハラ37 懲戒処分の事情聴取の方法が違法と判断される場合とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、懲戒処分及び異動の処分無効確認請求と会社の使用者責任に関する裁判例を見てみましょう。

京王電鉄バス事件(東京地裁平成29年3月10日・労判ジャーナル70号52頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社での勤務中、Y社から受けた懲戒及び異動の処分並びにこれらに関連する調査等の措置が違法なものであったと主張して、懲戒処分又は使用者責任に基づき損害賠償金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

懲戒処分の無効確認請求は却下

Y社及びAに対する慰謝料等支払請求を一部認容(10万円)

【判例のポイント】

1 Xは、既にY社を退職し、XとY社との間の雇用関係は解消されているから、本件降職の効力の存否は、もはやXとY社との間の雇用関係上の権利義務又は法律関係に影響を及ぼすことはなく、Y社及び上司だったAに対する不法行為等に基づく損害賠償請求権に関しては、まさに本件訴訟で請求されているように現在の権利に関する給付の訴えによることで足り、その請求原因事実に関連する過去の法律行為の効力の存否に関する確認の訴えによる必要はなく、名誉回復のための民法723条に基づく原状回復措置の請求は給付の訴えにほかならず、確認の訴えの利益を基礎づけるものではないこと等から、本件訴えのうち本件降職の無効確認を求める請求の部分は、確認の訴えの利益を欠き、不適法であり、却下すべきである。

2 本件降職及び本件異動は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当なもので、不法行為が成立する違法性はないが、ただし、Aは、事情聴取で真実を供述させようとするあまり、又は1通で事実関係を網羅した顛末書を作成しようとすることにこだわり過ぎて妥当性に疑問のある大半は同じ文章を繰り返す顛末書及び始末書の作成を続けさせている状況下で、Xにとってかなり不利益が危惧される下車勤務、事情聴取又は顛末書等作成指示が際限なく継続する意思を告知する脅迫的な要素のある発言をしており、この発言で、社会通念上相当な範囲を超えて、Xの心理的平穏を違法に害し、Xには精神的苦痛が生じて損害が発生しているものと推認されるから、この限度で不法行為の成立を免れないというべきであり、このAの不法行為は、高速バスセンター所長の立場におけるY社の事業の執行についてのものであるから、Y社も使用者責任を免れず、心理的平穏を害されたことによるXの精神的苦痛を慰謝するに要する慰謝料は金10万円とすることが相当である。

上記判例のポイント2は参考にしてください。

慰謝料額はわずかですが、事情聴取で度を越したやり方をすると違法行為になり得ることを頭に入れておきましょう。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

セクハラ・パワハラ36 パワハラ・セクハラを理由とする懲戒解雇と相当性判断(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、パワハラ・セクハラを理由とした懲戒解雇処分が無効とされた裁判例を見てみましょう。

国立大学法人甲大学事件(前橋地裁平成29年10月4日・労経速2329号9頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社によるXのパワーハラスメント及びセクシュアルハラスメント等を理由とする解雇は無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、賃金請求として平成27年1月1日から毎月17日限り58万1975円、期末手当及び勤勉手当の支払請求として平成26年12月10日から毎年6月30日限り114万6249円、毎年12月10日限り79万8393円及びこれらに対する各支払日の翌日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、さらに、Y社がXに対する諭旨解雇処分を懲戒解雇処分に強行的に切り替えた行為により、意思決定の機会を奪われ、精神的損害を被ったと主張して、Y社に対し、民法709条に基づく損害賠償請求として、慰謝料100万円及びこれに対する不法行為の日である同年11月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

1 Xが、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
 本件訴えのうち、本判決確定の日の翌日から毎月17日限り58万1975円及びこれらに対する各支払日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める部分、本判決確定の日の翌日から毎年6月30日限り114万6249円及びこれらに対する各支払日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める部分並びに本判決確定の日の翌日から毎年12月10日限り79万8393円及びこれらに対する各支払日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める部分をいずれも却下する。
 Y社は、Xに対し、平成27年1月1日から本判決確定の日まで毎月17日限り58万1975円及びこれらに対する各支払日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 Y社は、Xに対し、15万円及びこれに対する平成26年11月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

【判例のポイント】

1 ・・・以上によれば、本件懲戒解雇は、同日の時点では、Xが退職願の提出の「勧告に応じない」と断定できないにもかかわらず行われたものであり、解雇手続が就業規則45条1項2号の規定に違反した違法な処分であると言わざるを得ない
もっとも、解雇手続に違法があっても、Xを諭旨解雇を経ずに直ちに懲戒解雇とすることが相当であるといえるだけの悪質な、あるいは多数の懲戒事由が認められるとか、既に諭旨解雇に応じるか否か検討する十分な時間を与えられていたなどの特段の事情があり、軽微な違法にとどまる場合には懲戒解雇は有効と解するのが相当である
本件懲戒解雇においては、そもそも全く懲戒事由が存在しないのに懲戒解雇したというような場合ではなく、諭旨解雇から懲戒解雇への切替えが不相当であったに留まる。諭旨解雇か懲戒解雇かにより、退職金の支給の有無などの経済的待遇の違いが生じる余地はあっても、いずれにしても、Y社の教職員としての地位を喪失させる処分という点では異なるところはない。
したがって、Y社としては、Xが勧告に応じれば諭旨解雇として、勧告に応じなければ懲戒解雇として、XのY社の教職員としての地位を喪失させる処分をするという結論自体に変わりはなかったものである。そうすると、平成26年11月20日の本件懲戒解雇の手続が違法であったとしても、Y社は、Xが諭旨解雇の勧告に応じるのに十分な時間が経過した後、日時を改めて、懲戒解雇することになるだけであるから、本件懲戒解雇における手続的瑕疵は軽微なものであったというべきである。

2 Xは、訴訟の段階で平成25年8月29日に行われたXを対象者として行われた聞き取り調査の結果であるハラスメントに係る事実確認調査書に記録されていない事実を懲戒事由として事後的に追加することは許されず、Y社が本件懲戒解雇の懲戒事由として主張できるのは、処分説明書に処分事由として記載されている限度にすぎないと主張する。
確かに、使用者が労働者に対して行う懲戒は、労働者の企業秩序違反行為を理由として、一種の秩序罰を課するものであるから、具体的な懲戒の適否は、その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである。したがって、懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情のない限り、当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから、その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることはできない(最高裁判所平成8年9月26日第一小法廷判決・集民180号473号)。
もっとも、懲戒当時に使用者が認識していた非違行為については、それが、たとえ懲戒解雇の際の処分説明書に記載されていなかったとしても、処分説明書に記載された非違行為と実質的に同一性を有し、あるいは同種若しくは同じ類型に属すると認められるもの又は密接な関連性を有するものである場合には、それをもって当該懲戒の有効性を根拠付けることができると解するのが相当である。
前記のとおり、Y社は、平成25年8月6日以降、J助教、C講師、K助教及びE研究員からXの言動に関する申述書の提出を受け、また、同月29日以降、X、B講師ら5名及びE研究員に対して、それぞれ聞き取り調査を行っているところ、Y社主張欄記載のハラスメントは、いずれもY社が上記各手続により認識するに至った行為であるということができ、処分説明書に記載された非違行為と実質的に同一性を有し、あるいは同種若しくは同じ類型に属すると認められるもの又は密接な関連性を有するものであるということができる。よって、別紙主張証拠対照表のY社主張欄記載のハラスメントは、いずれも本件懲戒解雇の有効性を根拠付けることができるというべきであり、Xの上記主張は採用できない。

3 確かに、Xは、本件教室の教授という立場にありながら、本件教室の構成員であるC講師、J助教、K助教に対し、複数回にわたってパワーハラスメント及びセクシュアルハラスメントを行ったものであり、その他にもXのB講師ら5名に対する言動は、直ちに懲戒事由に該当するものではないとしても不適切といわざるを得ないものが相当程度含まれていることは既に説示したとおりである。Xが平成24年11月1日付けで本件教室に着任してから平成26年11月20日に本件懲戒解雇がなされるまで、E研究員を除く全ての構成員が退職ないし異動をしており、B講師、C講師、J助教及びK助教が何らかの精神疾患に罹患する結果に至っていることは決して軽視できるものではない
しかし、前記で説示のとおり、本件で提出された証拠によっては、Y社が主張する非違事由のほとんどが懲戒事由に該当するものとは認められないものであり、Xの懲戒事由に該当するハラスメントの内容及び回数は限定的である。その上、Xのパワーハラスメントはいずれも業務の適正な範囲を超えるものであるものの業務上の必要性を全く欠くものとはいい難いし、また、Xのセクシュアルハラスメントが殊更に嫌がらせをする目的に基づいてなされたものとはいえないことからすれば、Xのハラスメント等の悪質性が高いとはいい難い。また、C講師が、平成24年5月12日に起立性調節障害、不安緊張状態の診断を受けた後、欠勤を余儀なくされたような事情はないし、K助教は、平成25年5月16日、神経症により約2週間の自宅療養を要する旨の診断を受け、欠勤するに至っているものの、証人尋問においては、欠勤した理由について、医師から「病欠をすることで相手の出方が変わるかもしれないし、とりあえず一度様子をみてはどうか」と言われた旨を供述しており、神経症により直ちに就労が制限される状態であったということができないことも考慮すべきである。さらに、Xは、過去に懲戒処分を受けたことがあることをうかがわせる事情はないし、本人ヒアリング結果等において、ハラスメントの一部を認め、反省の意思を示していたことも認められる。
そうすると、教職員に対する懲戒処分として最も重い処分であり、即時に労働者としての地位を失い、大きな経済的及び社会的損失を伴う懲戒解雇とすることは、上記懲戒事由との関係では均衡を欠き、社会通念上相当性を欠くといわざるを得ない

相当性の判断で拾われていますね。

担当する裁判官によっては解雇を有効とする可能性もあるのではないでしょうか。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

セクハラ・パワハラ35 長年にわたり仕事を与えなかったことに対する慰謝料額(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、在職中長年にわたって仕事を与えられなかったことにつき損害賠償請求を認めた裁判例を見てみましょう。

国立大学法人H大学事件(神戸地裁平成29年8月9日・労経速2328号23頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の職員であったXが、在職中長年にわたって仕事を与えてもらえず、差別的な扱いを受けるなどの嫌がらせをされて精神的苦痛を受けたと主張して、Y社に対し不法行為または債務不履行に基づき550万円の損害賠償+遅延損害金を請求する事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、50万円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキンググループ」の平成24年1月30日付け報告書は、職場のパワハラの概念とその行動類型を次のように説明している。当裁判所もこれを適切なものとして採用することとする。

2 業務上の合理性がないのに、Y社がXに対し長年にわたって仕事をほとんど与えず、研修も受けさせなかったこと、学術情報チーム所属当時に輪番制の事務を割り当てなかったことは、パワハラにあたる。これはXの校務員としての雇用関係上の人格的利益ないし労働者としての人格的利益を侵害する不法行為を構成する。
・・・Y社が成立する前の大学は国の行政機関であったし、Y社も政府からの出資を資本金とし、税金等でまかなわれる政府からの交付金を財源としている。給与は職務の対価であるから、特定の職員に対し長期間にわたりほとんど仕事をさせないでおきながら給与を支給し続けることは、国民に対する背信行為であり、許されるはずもない

3 Xは病気休職から復職した平成10年4月から、学術情報チームにおいて継続的に仕事が与えられ、開館準備行為、書架整理作業を順次割りあてられるようになった平成23年3月頃までの間、約13年間にわたって上記のパワハラを受けた。平成16年にうつ状態、平成17年に自律神経失調症、平成22年に混合性不安抑うつ反応と診断されており、このパワハラがXの精神状態に与えた影響は小さくない
他方、Xは平成9年の減給処分直後から複数回職務遂行上の指導を受けたにもかかわらず、職務に精励し他の職員との人間関係を改善するための努力を十分にしなかった。上記のとおり平成23年春頃以降、Xへの対応は改善されたにもかかわらず、同年8月には学術情報課長に土下座や長時間の正座をさせるなどの強要等の事件を起こしている。Xの粗暴な言動や職場における不届きなふるまいは平成9年の減給処分の理由となった出来事においてすでに顕著に現れており、その後も上司に対して不穏当な発言をするなどしているから、Xが扱いにくい職員であったことはまちがいないXに仕事を与えることをXの上司に躊躇させた原因がX自身にあるのは否定できないトラブル防止のために職員に仕事を与えないという措置を長時間にわたってとることが許されないことはすでに述べたとおりであるが、慰謝料額の算定においてはこのような事情も十分に考慮すべきである。

上記判例のポイント3を読む限り、Xにも相応の原因があったようです。

慰謝料の金額自体は、毎度同じく高額にはなりません。

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セクハラ・パワハラ34 違法な指導と慰謝料の金額(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、元警察官らの人格権等侵害に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

熊本県・熊本県警察事件(福岡高裁平成29年9月15日・労判ジャーナル69号34頁)

【事案の概要】

本件は、熊本県警察に警察官として採用され、熊本県警察学校に入校した元警察官ら(A,B、C)が、熊本県に対し、警察学校の教官の指導に違法があり人格権等を侵害されるとともに、違法な退職勧奨により辞職を余儀なくされたとして、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償金約569万円(逸失利益・慰謝料等)の支払を求めたところ、原審が、A及びBの各請求をそれぞれ11万円の限度で、Cの請求を22万円の限度で認容したため、元警察官ら及び熊本県がいずれも原判決を不服として控訴した事案である。

【裁判所の判断】

原判決一部変更
→A及びBの認容額を22万円に変更

【判例のポイント】

1 Hは、Aに対し、警察学校に在校しづらくなることを示しながら、監察課に連絡した教官によるAに対する暴行はなかったとしてこれを取り下げるように父親に働きかけることを要求したことが認められ、Aに対する不法行為となり、また、Fは、Bに教室の最後列の後ろに机を持って移動させているところ、このことが他の学生から孤立させられ、他の学生に対するいわば見せしめとされたような屈辱感をBに与えるものであるから、指導として違法といわざるを得ず、さらに、キャビネットの施錠忘れは警備当番であったLによるものであったが、同人のほかBを含む警備当番3名の連帯責任とされたものであるところ、Cのみに重量が少なくとも5キログラムある上記盾及び2023グラムのダンベルを持って走ることが命じられたこと、その時間も合計約1時間に達することを考慮すると、指導として合理性を欠くものといわざるを得ず、違法であること等から、Aらの請求はいずれも22万円等の支払を求める限度で理由がある。

これが日本の慰謝料の相場です・・・。

弁護士費用が費用倒れになるような金額しか認めてくれません。

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