不当労働行為212 併存組合が存在する場合の使用者の対応と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社内に併存する2労組に掲示板を貸与しながら、新たに結成された労組の下部組織に掲示板を貸与しなかったことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

山陽タクシー事件(兵庫県労委平成30年10月25日・労判1189号183頁)

【事案の概要】

本件は、会社内に併存する2労組に掲示板を貸与しながら、新たに結成された労組の下部組織に掲示板を貸与しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は併存組合に対しては、具体的条件を付さずに掲示板を貸与しながら、A1分会に対しては、これを貸与せず、その異なる取扱いについて合理的な理由は認められないので、Y社がA1分会に対して掲示板を貸与しないことは、A1分会を不当に差別して取り扱い、組合の弱体化を図ったものと認められ、労組法7条3号の不当労働行為に該当する。

団体交渉でもよく掲示板の貸与の話が出されますが、併存組合が存在する場合には、その対応に注意しなければなりません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。