おはようございます。
今日は、社内ブログおよび営業部長のメールにおいて、労組の活動を非難し、労組への批判的意見の醸成を図ったりしたこと、全社集会において労組に批判的な発言がなされても集会の司会を務めた取締役が発言を抑止しなかったことの不当労働行為性が争われた事案を見てみましょう。
桐原書店事件(東京都労委平成29年9月19日・労判1169号94頁)
【事案の概要】
本件は、社内ブログおよび営業部長のメールにおいて、労組の活動を非難し、労組への批判的意見の醸成を図ったりしたこと、全社集会において労組に批判的な発言がなされても集会の司会を務めた取締役が発言を抑止しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
社内ブログおよび営業部長のメールにおいて、労組の活動を非難し、労組への批判的意見の醸成を図ったりしたことは不当労働行為にあたる。
全社集会において労組に批判的な発言がなされても集会の司会を務めた取締役が発言を抑止しなかったことは不当労働行為にあたらない。
【命令のポイント】
1 これは、「責任を追及」等の強い表現をもって、所長又は副所長が自ら組合執行部を非難することを求めたものであり、本来使用者が介入すべきではない組合内部の意思形成に介入して組合の方針の転換を図ったものといわざるを得ないから、使用者に許される意思表明の範囲を超えているというべきである。
2 全社集会において、会社が、組合を批判する発言を禁止する等の対応はせず、従業員の発言はいずれも制止しないけれども、組合に対して弁明の機会を確保したことは、一部の従業員と組合との対立がある中でのやむを得ぬ対応であり、このような会社の対応が、組合に対する支配介入に当たるとまでいうことはできない。
上記命令のポイント1については使用者側が気をつけなければいけません。
思っていても言っていいことと悪いことがあるのです。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。