おはようございます
←先日、久しぶりに鷹匠の「Venti Due」に行ってきました
写真は、定番の「マリナーラ」と「モレッティ」です。なにげに最強のコンビです。
おいしゅうございました。
今日は、午前中は、債権者集会が入っています。
午後は、沼津の裁判所で証人尋問が入っていましたが、延期になりましたので、事務所で書面作成です。
今日も一日がんばります!!
さて、今日は、心臓性突発死した従業員に対する安全配慮義務違反に関する裁判例を見てみましょう。
米八東日本事件(新潟地裁平成24年12月6日・労経速2166号15頁)
【事案の概要】
本件は、Y社の従業員であったXが死亡したのは、Y社における過重労働が原因であるとして、Xに対し、XらのうちXの妻子が、労働契約に基づく安全配慮義務違反に基づき、Xの母が不法行為に基づき、損害賠償の支払を求めた事案である。
なお、Y社の店舗の店長であったXは、有給休暇を取得して深夜にテレビでワールドカップの決勝戦を観戦していたが、翌朝ぐったりとして反応がなく病院に搬送されたが、心臓性突発死により死亡した(享年36歳)ことが同病院で確認された。
【裁判所の判断】
Y社の安全配慮義務違反を認定
→Y社に対して、合計約4000万円の支払を命じた
【判例のポイント】
1 労働者が長期間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは周知のところである。したがって、使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことのないように注意する義務を負う。
2 Y社本社は、一般に70時間を超える超過勤務を指導していたこと、Xのタイムカードのチェックを行っていたことが認められ、Y社は、Xの長時間労働の実態を認識していたものであるから、それによる心身の健康を損なう何らかの疾患の発症を予見できたものと認められる。したがって、Y社は、発症予防のため、過重な労働を是正する措置をとる義務があったものであり、Y社が同義務を遵守すれば、Xは、過重労働による心臓性突然死を避けることができたのに、Y社はこれを怠り、その結果、Xの心臓性突然死をもたらしたものであり、Xに対して損害賠償責任を負う。
この点につき、Y社は、心臓性突然死についてはその原因が不明であるから予見可能性や結果回避可能性がない旨主張するが、上記のとおりY社にはXにおける心身の健康を損なう何らかの疾病の発症については予見可能性や回避可能性が認められるところ、予見の対象としては心臓性突然死という具体的な症状までは不要というべきであるから、Y社の主張は採用できない。
3 Y社におけるXの労働は過重であったと認められるが、本件店舗の店長であるXは、これを是正するため、Y社に申し出て業務量ないし労働時間の軽減を図ることが可能な立場にあったにもかかわらず、そのような申出をしたことは認められない。また、Xは、平成18年6月9日から深夜のワールドカップ中継を観ており、特に同年7月3日から休暇を取得していたのであるから、その間、疲労回復に努め、心身の休養を図ることは可能であったにもかかわらず、深夜のワールドカップ中継視聴を継続していた。Xの心臓性突然死がワールドカップ決勝戦を観るために深夜一人でいた際に発症していることなどからすると、同発症にはこれらの要因が影響していることは否定できず、その他本件で認められる全事情を総合考慮すると、損害の公平な分担のためには、損害について3割の過失相殺をするのが相当と認める。
4 Y社は、本件のように債務不履行に基づく請求については債権者は弁護士費用その他の費用を請求できない旨主張する。しかし、労働者が、使用者の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償を請求するため訴えを提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる範囲内のものに限り、上記安全配慮義務違反と相当因果関係に立つ損害というべきであるから(最高裁平成24年2月24日)、同主張は採用できない。
長時間の残業が継続的に行われている場合には、使用者の安全配慮義務違反を認定されやすいです。
見て見ぬふりをしていると、大変なことになりますので、注意しましょう。
本件では、Xが店長という立場にあったことが過失相殺の一要素となっていますね。
自分で業務時間を軽減できる立場にあったということが理由です。
現実にそれが可能であったかどうかはわかりません。