おはようございます。
今日は、元マネージャーの能力不足を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。
コンチネンタル・オートモーティブ(解雇・仮処分)事件(東京高裁平成28年7月7日・労判1151号60頁)
【事案の概要】
本件は、Xが、Y社に対し、Y社がXに対して行った解雇が無効であるとして、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定めるとともに、1か月当たり73万2452円の月例給与の支払を求める事案である。
原審はXの申立てを却下し、Xが即時抗告した。
【裁判所の判断】
抗告棄却
【判例のポイント】
1 Xは、不動産事業収入について、所得金額は36万6335円であって、家計に入ってくる収入は1か月3万0530円であると主張するが、不動産事業に係る経費には減価償却費などがあり、一概に所得金額が手取りの収入金額であるとはいえないところ、Xはその内訳について明らかにしていないことに照らし、Xの主張は採用しない。
また、平成28年3月時点で、X世帯の預貯金額は269万円程度となっていると主張するが、本件解雇からは既に2年以上が経過しているのであって、Xとしては、これまでの間、本案訴訟を提起することは十分可能な状態であったことに照らすと、Xの主張する事情を考慮しても、仮の地位を定める仮処分命令における保全の必要性の有無についての前記判断を左右するものではない。
解雇されてから2年以上経過しても地位確認の本訴を提起していないことを保全の必要性を否定する理由として挙げています。
解雇されてすぐに本訴を提起していたいたら、かなり前に判決なり和解で終結していたでしょ、という感じです。
解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。