労働災害55(C高校事件)

おはようございます また一週間が始まりましたね。今週もがんばっていきましょう!!
__←先日、いつもお世話になっている社長と、ホテルセンチュリー内にある「けやき」の特別賞味会に行ってきました

7種類の料理が鉄板の上で調理されて出てきました。

写真は、2品目「鱈の白子のムニエール 鮪と赤ワインのソースで」。

白子をムニエルにして食べたのは初めてです。 とてもおいしかったです。

今日は、午前中は、管財人代理をやっている破産事件の第1回債権者集会が入っています。

午後は、裁判が2件(うち1件は証人尋問)が入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、教諭の修学旅行帰途中の突然死と公務起因性に関する裁判例を見てみましょう。

C高校事件(東京地裁平成24年4月23日・労判1055号79頁)

【事案の概要】

Xは、昭和60年、高校教諭として東京都に採用され、平成11年から、C高校に転任した。

Xは、平成14年、高校生203名を修学旅行に引率し、羽田空港で生徒を解散させた。

その後、空港内を巡回した際の生徒のもめ事の対応をした後、疲労が激しいとして早めに帰路についた。

Xは、駅のバスロータリーのバス停でバスを待つ間に卒倒した。

Xは、病院に救急搬送されたが、同日、死亡した。

【裁判所の判断】

地公災基金東京都支部長による公務外認定処分を取り消す
→公務起因性を肯定

【判例のポイント】

1 地方公務員災害補償法に基づく補償は、公務上の疾病等の災害に対して行われ、同法31条にいう「職員が公務上死亡した場合」とは、職員が公務に基づく負傷又は疾病と死亡との間には相当因果関係が認められることが必要である。そして、地方公務員災害補償制度が、公務に内在又は随伴する危険が現実化した場合に、それによって職員に発生した損失を補償する制度であることからすれば、上記の相当因果関係を認めるためには、その負傷又は疾病が当該公務に内在する危険が現実化したものであると評価し得ることが必要である

2 被告は、修学旅行の引率業務が、脳・心臓疾患を発症する危険を内在する業務ということになれば、全国の公立高等学校において、修学旅行を行うことができない自体になりかねない等と主張するが、一口に修学旅行と言っても、文化施設の見学等から本件のようなスキー実習のようなものまでその内容には多様なものがあり、引率教員の人数や生徒に対する指導の程度(夜間巡回の頻度や時間等)、複数の引率教員ら内部のそれぞれの教員の立場や役割、また、修学旅行の引率前の職務従事状況等によって、引率教員の負担に大きな差が生じうることは当然のことであって、被告の上記主張が本件に妥当する主張であるとは考えられない

3 ・・・以上を総合すると、Xの発症前1週間の公務は、質的にも量的にも、日常の勤務と比較して特に過重であったと認められ、従前からの疲労を回復する機会を持つことができないままに本件死亡に至ったものと考えられるのであり、Xの上記基礎疾患が、その自然の経過によって直ちに急性心筋梗塞に至るまで増悪したとみることは困難であり、他に確たる増悪要因が見出せない本件においては、Xが従事した上記の公務による過重な精神的、身体的負荷が上記基礎疾患をその自然の経過を超えて増悪させ、発症させたとみるのが相当であり、公務に内在する危険が現実化したものとして、公務と本件死亡の原因である急性心筋梗塞の発症との間に相当因果関係の存在を肯定することができる

上記判例のポイント2にあるように、被告は、反論として、修学旅行の引率業務一般についてとりあげていますが、裁判は、当該事案について審理するものであるため、どれだけ一般論を展開してもあまり意味がありません。

労災事件(に限りませんが)は、事実を丁寧に拾い、業務(公務)過重性を主張・立証することが重要です。

抽象論を繰り広げても仕方がありません。