おはようございます。
今日は、勤務成績不良を理由とする解雇が有効と判断された裁判例を見てみましょう。
ドイツ証券事件(東京地裁平成28年6月1日・労判ジャーナル54号39頁)
【事案の概要】
本件は、Y社との間で労働契約を締結していた元従業員Xが、Y社から解雇の意思表示を受けたものの、当該解雇は無効であるとして、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、本判決確定の日まで、月額給与約305万円等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 Xの収益結果は、金額自体も収益目標に対する達成率も減少を続けていることが認められるところ、外資系金融会社では、営業成績が労働能力及び勤務成績の評価に直結する面があることは否定できず(このため、営業成績が上がれば、これに連動して高額な基本給とは別に多大な裁量賞与が支給される)、評価者と被評価者の合意の下で設定される収益目標及びこれに対する達成率を労働能力及び勤務成績査定の重要部分として位置づけ、これを単年度ではなく複数年度でかつ前年比という水準を考慮して評価することに合理性はあるというべきであり、また、本件労働契約は、職種限定契約であり、Xは、上級の専門職として特定の職種・部門のために即戦力として高待遇で中途採用されたものであり、長期雇用システムを前提とした従業員とは根本的に異なるところ、期待される能力を有していなかった場合には、解雇回避措置を取らなかったとしても、それをもって直ちに解雇の相当性を欠くことにはならないというべきである。
好待遇でのヘッドハンティング事案では、このような判断がなされることが多いですね。
解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。